カイワレハンマー、活動休止から再開までの1年間を詳細に語る
カイワレハンマー
2016年3月31日・Zepp DiverCity TOKYO公演で活動を休止して、はや1年――カイワレハンマーが遂に活動を再開させた。
“ステップアップするため”に活動を休止してからは、各々個人でCDや音源をリリース・配信したり、ライブ活動を行なっていたという。そんなBEMAとimigaに活動休止から活動再開まで、そして気になる新アルバム『BegInner2』についてを訊いた。これからのカイワレハンマーはどんな作品、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか。今後の展望も詳細に語ってくれた。
──活動休止については、BEMAさんから「ステップアップするために休もう」という提案をされたそうですが、なぜ一度ストップしようと思ったんですか?
BEMA:他のアーティストから見て、自分達はかなり恵まれていると思うんですよ。いわゆる普通の感じとはちょっと違うというか。まずYouTubeがあって、そこで自分に興味を持ってくれた人達が「音源出してるんだ? 聞いてみよう」とか「ライブに行ってみよう」っていう流れになっていて。大きいハコでやってもありがたいことにみんな集まってきてくれるんですけど、大きいハコになればなるほど、ステージに立っている俺達のスキルはそこまでじゃないのかもなって思い始めて。お客さんに盛り上がってもらっているというか、そこに甘えているような感じがしたから、何かステップアップする方法はないかなと思ったときに、一旦離れて個々でやってみようと。あとは、自分の肩のこともちょっとあって……俺、昔から脱臼癖があるんですよ。ライブ中に一回やっちゃったこともあって。
──それめちゃくちゃ焦りますよね?
BEMA:いや、外れた瞬間は逆に冷静になるんですよ(笑)。「あ、やば」みたいな。で、裏にはけたんですけど、はめるときが一番痛いんですよね。音が聞こえるんですよ。
imiga:うわぁ……。なんかもう力が抜ける。
──そういったメンテナンスも含めて一度休もうと。imigaさんとしては、最初に活動休止の話が出たときにどんなことを思いました?
imiga:理由も言わずにいきなり「休止するか」って言われたのでビックリしたんですけど、理由を聞いて納得しました。あと、自分としては内心、ソロアルバムを作ってみたい気持ちもあって。無料の音源を10数曲詰めたファイルをフリーで配信したりしていたので。だから、自分も負けずに力をつけようと思って。
──休むこと自体は怖くはなかったですか?
imiga:その前まで会社に勤めてたんですよ。でも、これからカイワレハンマーに本気で挑もうと思って、その会社を辞めたタイミングでその話がきたから、ちょっと心配だなとは思ったんですけど。でも、もうそっちの道でいこうって決めていたので。
──やってやろうと。
imiga:そうですね。
カイワレハンマー・BEMA
──そして、昨年の3月31日に行なったZepp DiverCity TOKYOでのワンマンライブをもって活動休止に入ったわけですが、BEMAさんはソロライブと音源をリリースされていて。
BEMA:ソロアルバムとソロライブは絶対にやるって決めていたので、休止した段階ですぐに制作に入りました。あとは、カイワレハンマーでできなかったことをいっぱいやろうと思っていたので、他の人の楽曲へフィーチャリングで入ったり、地元のサイファーに参加したりしてて。ラッパーとしていろんなことをしていた1年だったと思います。
──サイファーにも行ってたんですね。
BEMA:行ってましたね。いろんなところに行く感じじゃなくて、地元とか、そこからちょっと離れたところでバトルがあったら行ってみる感じでしたけど。
──パっと入ってすぐに戦えました?
BEMA:全然いけました(笑)。
──たいしたことねえな、みたいな?
BEMA:あはははは(笑)。勝ったり負けたりって感じでしたけどね。Twitterに動画が結構アップされてバズってたんで、結果的にはよかったかなって。
──ソロ音源の『侵略的隙間』は、ある程度やりたいものが見えているなかでの作業でした?
BEMA:いや、まったくです。どうしようかなって考えながらやっていたらこうなったっていう感じですね。完成して全部聴いてみたときに、なんか思想強くなっちゃったなって(笑)。
imiga:世界観があるよね。そこがいいなと思った。
──参加されている方々も豪華ですよね。LITTLEさんとか、熊井吾郎さんとか。
BEMA:カイワレハンマーの2ndアルバム(『BETABOX』)で、LITTLEさんに曲を作っていただいたんですけど、「一緒にやりましょう!」って言うのがおこがましいというか、なかなか言えなかったんですよ。でも、このタイミングで「お願いします!」って言ってみたらOKしてもらえて、夢が叶った感じですね。熊井くんはプロデューサーが知り合いだったんで、お願いしたら「いいよ」ということになって。最初に送られてきたトラックを聴いただけで、お願いしてよかったなっていう感じでした。
──ソロライブはいかがでした?
BEMA:かなり手ごたえありました。まあ、そこで脱臼したんですけど(苦笑)。
──よりにもよってソロライブのときだったんですね……。
BEMA:活動休止中に肩を治さないといけないなって思ってたけど、なかなか暇がなかったんですよ。でも、全然はずれないからいけるんじゃね?と思ってライブしてたら、TSUTAYA O-EASTのときにおもいっきりはずれちゃって。たまたま、quad4s(クワッドフォース:BEMA、imiga、Amaryllis Bomb(ゆうこん、サグワ)で結成された4MCユニット)のときだったんで、俺がはけてもまだステージに3人いたから、大丈夫といえば大丈夫だったんですけど。
imiga:俺、最初はマホト(BEMA)の演出だと思ってたんですよ。アドリブなのかなとか思ってたら、途中で気づいてヤバいな……って。
BEMA:結局5分ぐらいMCしてたよね? そのときにimigaが「僕、ソロアルバム出します」って、切羽つまって発表しちゃったんですよ。俺のソロライブなのに。
imiga:たしかに! 今考えたらすげえ変だ!
──とにかく繋げなきゃいけないっていう一心だったんですね。imigaさんは、『いみぷろLIVE vol.2』に始まり、アコースティックRAPライブなどを行われていて。
imiga:『いみぷろ』は年に一度やってるんですけど、アコースティックライブに関してはプロデューサーからの提案だったんですよ。ソロアルバムを作っていたし、quad4sもあったから、ライブをどうしようかなって思ってたんですけど、その話があがって。カイワレでもやったことがなかったから、やってみたいなと思ってやりましたね。
──いかがでした?
imiga:とにかく楽しかったです。カホンとギターとピアノでやったんですけど、臨機応変に対応が効くから、ちょっとリズムがずれたらすぐに修正することもできたので、スピーカーから(トラックを)流すよりもリアルな感じを受けましたね。
カイワレハンマー
──BEMAさんはライブを拝見されていたそうですね。
BEMA:肩の手術をした退院日が、(imigaの)東京のライブの日だったんですよ。というか、先生にその日を退院日にしてもらって。で、見に行ったんですけど、最初に挨拶ができなかったんですよね。それでライブを見てたら「肩の手術をしてる奴がいるんだけど、見にきてくれてるのかな……」っていういい感じの話をして、カイワレの曲をやり始めたんですよ。
──おお! いい流れですね。
BEMA:それで、俺のラップもやるのかなって思ったら、俺の前のところでスパーン!って終わって、まさかのショートバージョンだったっていう(笑)。
imiga:ちょっと自信がなかったんで(苦笑)。
──音源に関しては、「ジャケットを書いている」というツイートを拝見したんですが。
imiga:2週間前ぐらいにやっと完成したんですよ。今まではトラックをプロの方に任せていたんですけど、今回はトラックも歌詞もラップも全部自分で作ったので、そこまでやったんだからジャケットも自分で描こうかなって。結構いろんなことに手を出してみたんですけど勉強になったんで、そういう意味ではいい期間だったんじゃないかなと思います。
──あと、お話にも出ましたが、quad4sとしての活動もされていたと。どういうところからスタートしたんですか?
BEMA:昔、4人でやった音源をYouTubeにアップしていて、ライブでその曲をやるためにAmaryllisの2人を呼んでたんですけど、4人でやったのが結構楽しかったんですよ。はちゃめちゃ感があって。で、活動休止に入ることになったときに、これを機に4人でやらんか?っていうことになって。
──実際に活動してみていかがでした?
BEMA:カイワレで曲を作るときって、先に歌詞とかを考えてからスタジオに入る感じなんですけど、クワッドはちょっと違ってて。当日スタジオに入ってから、今日のトラックはこれで、コンセプトはこうしようって、その場で決めて、みんなでヨーイドン!で書いていく感じなんですよ。
──より即興力が問われる感じなんですね。
imiga:自分はそういう感じの作り方はあまり得意じゃなかったんですけど、楽しくやれましたね。
BEMA:あと、(メンバーに)サグワっていう奴がいるんですけど、俺のことをめちゃめちゃ敵視してくるんですよ。絶対負けねえぞって。そういうのもあったんで、ライブのときは戦ってる感じでしたね。どっちのほうがヤベえか?っていう。
imiga:俺とゆうこんはクールなんですけど……。
BEMA:自分でクールって言う奴はクールじゃねえよ?
──ははは(笑)。そういう2人を見ていたと。
imiga:そうです。遠くから眺めてました。ライブはやっぱり4人だから迫力があるんですけど、逆に4人いるからラクではあるんですよ。変な言い方ではあるんですけど。
──ああ。人数が増えて、自分の担当する部分が減るという意味では。
imiga:ただ、4人いる状態でのライブの見せ方とか動きは、逆に難しかったりもして。
BEMA:そうそう。自分が何もしていない時間にどう見せるか?っていう。そこは俺も結構考えてやってたし、相方が歌っているときに俺はどうしようかっていうのがカイワレのときは結構あったけど、今はそういうのがなくなった気がします。
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