ミュージカル『魔女の宅急便』主演の上白石萌歌にインタビュー~「自分の中のキキをもっと膨らませたい」

インタビュー
舞台
2017.6.1
上白石萌歌 (撮影:中田智章)

上白石萌歌 (撮影:中田智章)


『魔女の宅急便』が新たなミュージカルとなって帰ってくる! 同名の原作は角野栄子が1982年から27年間に渡り執筆した児童文学の傑作。1989年に宮崎駿監督がスタジオジブリでアニメーション映画化し大ヒット、日本はもちろん世界的に有名な作品となった。1993年には蜷川幸雄の演出によりミュージカル化。そして2014年、実写映画化、さらに2016年にはイギリスでも舞台化された。そんな、誕生から35年を経て今なお色あせない『魔女の宅急便』が新たな脚本&演出のミュージカルとして6月から上演される。この舞台で主役のキキを演じる女優の上白石萌歌から話を聞いた。

――『魔女の宅急便』のことは、キキ役に決まる前からご存じでしたよね?

はい! もちろんです。

――スタジオジブリのアニメ版を?

小さいときから見ていました。

――原作の小説はお読みになりました?

はい!全部で6巻もあるとは知りませんでした(笑)。

――『魔女の宅急便』の舞台で、キキを演じてくれと言われたときはどうでした?

本当にびっくりしました!

――13歳のキキが独り立ちして、思春期を過ごしておとなになっていくのを描いた作品ですが、今、萌歌さんは……?

17歳になりました。

――同年代としてシンパシーを感じたりしますか?

実は私、鹿児島の実家から上京してきたのがちょうど13歳の時だったんです。だから私もキキも、同じくらいの寂しさを抱えながら新しい街に出てきたんだろうなって。そう思うと、すごく通じるものがありますよね。そこに運命を感じました。

――鹿児島から東京に出てきた時の心境はいかがでしたか?

お仕事ではよく東京に通っていたんです。でも、通うのと住むのとでは、やはり全然違いますよね。引っ越しの日が近づくにつれて、実家の写真を撮ってみたり、「あそこに行きたい!」ってお父さんにわがままを言って連れて行ってもらったり、友だちといる時間をもっと大事にしなければと思ったり、とにかく、とても寂しかったですね。

――もう4年経ちましたが、さすがに慣れましたか?

はい。最初は逆方向の電車に乗っちゃったり大変でしたけど、混雑した場所で前から歩いてくる人を避けるのも上手になりました(笑)。

――鹿児島と東京の違いって何かあります?

空気が違いますね。東京はなんか機械のような匂いがするんですよ、でも鹿児島は甘いというか、柔らかい匂いがしますね。

――『魔女の宅急便』はアニメ化はもちろん、過去に舞台化や実写映画化もされるなど、様々な形で取り上げられてきました。いろいろな人がキキを演じてきましたが、萌歌さんはどう演じてみたいですか?

原作には忠実に演じたいです。「絵本から出てきたみたいだ!」って思っていただけたら嬉しいです。でも、その中に自分らしさを出すというか、私なりの人間味は出していきたいですね。やはり物語の主人公って応援したくなるものだと思うんです。だから、観てくださる方たちが感情移入できるような、等身大の普通の女の子を演じたいですね。

――普通の女の子を演じるって案外難しそうですけど……。

そうなんです、難しいんですよ! ちょっと変わった役のほうが自分も振り切って演じられたりしますね。極端な役だと自分を変えやすいんですけど、自分に近いと自分と役との境目がわからなくなるときがあるんですよ。でも今回はそこを上手く演じていきたいです。

――原作やアニメ版などで印象的な好きなシーンとかありますか?

満月の夜に、箒(ほうき)に乗って街に出ていくシーンですね。ラジオから「ルージュの伝言」が流れていて、街の夜景がとても綺麗で……そこがとても好きです。

――今回の舞台で萌歌さんが特に楽しみにしてるシーンはありますか?

私は空を飛ぶことがずっと夢だったんです。だから今回、フライングがあるというので、とても楽しみなんです。

――高いところは平気なんですか?

全然平気です! 遊園地でも絶叫系が大好きなんです! それに加えて、今回は背後にプロジェクション・マッピングの映像効果が現れるので、お客さんも一緒に空を飛んでいるような気持ちになれるんじゃないでしょうか。そういう演出も見どころだと思います。

――作品の中でキキは大人になっていきますが、萌歌さんご自身もおとなになっていく途中ですよね。

そうですね。今ちょうど思春期にあたりますね(笑)

――お母さんに反抗してみたりすることはありますか?

14歳くらいのころは結構ありました。といっても、プチ反抗ですね(笑)。足音をわざと大きく立てたりとか。……でもそれはみんなそういう時期があると思うんです。だから自分ひとりだけが悩んでいるんじゃないと思えるようになったら、気が楽になりましたね。友だちに話してスッキリしました。

――これから20歳も見えてくるところで、萌歌さんの未来はどんなものになっているでしょうか? あるいは、どうなりたいですか?

今17歳なので、あと3年ですね。3年なんて思ってるよりすぐ過ぎちゃいますよね。今、悩んでいる、苦手なことを克服できていればいいですね。20歳は大人になる節目ですから、もっとお仕事にも責任を持ちたいですね。そのためにもお芝居を追求していかないと!と思います。

――今できない苦手なものなんてあるんですか?

小さいころは、極度の人見知りだったんです、今はだいぶ直りましたが、それでもまだ、なかなか難しくて。もっと人と打ち解けられるような自分になりたいです。

――ほう。

20歳といえば、私、20歳になった自分に向けて書いた手紙が4通ほど実家にあるんですよ。いつごろ、どうして書いたか覚えてないんですけどね(笑)。20歳になったら、それを全部開けて読むのが楽しみです!

――今回の共演者のトンボ役、阿部顕嵐さん(ジャニーズJr.)の印象は?

もう本当にトンボ君にしか見えなくて! 共演者の皆さんが、見た目も含めて作品の世界観を作ってくださっているので、私も頑張らないといけないなって思いました。

――今日、萌歌さんとお会いした瞬間から「あ、キキちゃんだ!」ってドキドキしましたよ。

本当ですか?嬉しいです!

――黒い服を着て、リボンを付けるとやっぱり気持ちは変わりますか?

そうですね、衣装を着てカメラの前に立った時に実感しました。私がキキなんだ!って。

――今回、特に見てもらいたい世代ってありますか?

私と同学年の世代ですね。男の子も女の子も、キキの気持ちが絶対わかると思うんです。もちろん、大人の方々にも、「懐かしいなぁ」って思っていただけると思います。全世代に楽しんでいただける舞台にしていきたいですね。

――公演に向けて意気込みを聞かせていただけますか。

役作りを強化したいので、自分の中のキキをもっともっと膨らませたいです。それから、稽古の一分一秒を大事にしていきたいです。お稽古場でやったことをそのまま舞台に持っていけるように頑張りたいです。

――先ほど未来の自分に書いた手紙の話がでましたが、この公演を無事に終えた時の自分に対して一言メッセージをおくるとしたら?

ええー! なんでしょう……「内もも大丈夫?」ですかね。

――う、内もも?(笑)

撮影で箒にまたがった時に、内ももがすごくプルプルしちゃったんですよ! だから本番を終えた時に、内ももプルプルしてないかな、って(笑)。

取材・文=加東岳史  写真撮影=中田智章

公演情報
ミュージカル『魔女の宅急便』
 
<東京公演>
■会場:新国立劇場 中劇場 (東京都)
■日程:2017/6/1(木)~17/6/4(日)
 
<大阪公演>
■会場:梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ (大阪府)
■日程:2017/8/31(木)~17/9/3(日)
 
■原作・監修:角野栄子 (「魔女の宅急便」福音館書店刊)
■脚本・演出・振付:岸本功喜 
■作曲・音楽監督:小島良太
 
■出演:
キキ:上白石萌歌 
トンボ:阿部顕嵐(ジャニーズJr.) 
コキリ:岩崎ひろみ 
オキノ(Wキャスト):横山だいすけ/中井智彦 
フクオ(Wキャスト):藤原一裕(ライセンス)/なだぎ武 
おソノ:白羽ゆり
 
■公式サイト:http://www.musical-majotaku.jp/

 
■ストーリー: 13歳になった魔女のキキは、古くから伝わる習わしにのっとり相棒の黒猫ジジと共に満月の夜に旅立つ。自分で新しい町を見つけ、一年後には自力で暮らせるようにならなければいけないが、空を飛ぶ魔法しか知らないキキは、新しい町コリコでも様々な壁にぶつかる。皆が家族同然の小さな街で育ったキキは、大きな町での価値観の違いに驚き、また魔女であることに対する好奇の目や偏見にも苦しむ。自分という小さな存在に葛藤しながらも、飛ぶことに憧れる少年トンボとの交流や、パン屋のオソノさんに励まされながら、思春期の少女は少しずつ成長していく。オソノさんの提案で飛べることを生かしお届けもの屋さんを始めたキキだが、なかなかうまく町に馴染むことができない。何かとちょっかいを出してくるトンボへの淡い恋心も、まだまだ子どものキキにはその気持ちを整理することができない。そんな中、町長からある依頼がくる。それは町の一年で一番大きな行事に関わる重要な仕事。キキは無事にその依頼を果たせるのか。そしてトンボとの淡い恋の行方はどうなっていくのか。
 
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