串田和美がチェーホフ初演出、『桜の園』をベースにラディカルに切り込む
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高橋克典、風間杜夫、八嶋智人、松井玲奈、美波、小林聡美ら出演
2017年11月にBunkamuraシアターコクーンで『24番地の桜の園』が上演される。『桜の園』をベースに串田和美が演出を担う。彼にとってチェーホフを演出するのは初となる。出演は、高橋克典、風間杜夫、八嶋智人、松井玲奈、美波、小林聡美ら豪華キャストが揃う。
■名作「桜の園」にラディカルに切り込む。串田和美、チェーホフ初演出
シアターコクーン初代芸術監督を務め、多彩な演出方法で無二の舞台を生み出してきた串田和美が、50年の演劇人生で初めてとなるチェーホフ作品演出に挑む。名作『桜の園』をベースに、チェーホフの様々なエッセンスと新しい視点を盛り込んだラディカルなチェーホフ劇が誕生する。
■変わりゆく時代に生きる人々の普遍的なドラマ
アントン・チェーホフ最期の戯曲『桜の園』は、社会の転換期に生きる人々の哀しさや苦しみを繊細な視線で描き現在まで世界中で上演され続けている。好んで書いた“ヴォードヴィル”の精神をこの作品にも持ち込み、“悲劇”をどこか軽妙な“喜劇”に仕立てたことも観客を魅了する要因といえる。この公演では木内宏昌が新たに翻訳した戯曲に、“言葉で表しきれないものを差し示すのが演劇”という串田とともに脚色を加え、現代にも通じる滑稽なまでの人間模様をより鮮やかに描き出す。また、民族音楽や即興演奏などあらゆるジャンルをこなす太田惠資が音楽を担当し、個性豊かなミュージシャンとともに生演奏出演。さらにダンスカンパニーBATIKの主宰で振付家・ダンサーの黒田育世が振付として加わり、ジャンルを超えて活躍するプランナーの力が結集し作品世界を広げる。
■新たな『桜の園』に挑む個性豊かな俳優陣
“桜の園”と呼ばれる領地に出入りする商人<ロパーヒン>を演じるのは、圧倒的な色気と存在感を放ち、5年振りの舞台出演となる高橋克典、串田とは『もっと泣いてよフラッパー』('90)『セツアンの善人』('99)以来のタッグとなる。領主ラネーフスカヤの兄<ガーエフ>に、数多くの舞台を踏み抜群の安定感と爆発的なエネルギーを併せ持つベテラン風間杜夫。新しい思想を持つ万年大学生<トロフィーモフ>に、飄々とした佇まいと硬軟自在な演技で多くの演出家から信頼が厚い八嶋智人。ラネーフスカヤの娘<アーニャ>に、シリアスからコメディまで幅広い演技に注目を集め、多方面で目覚ましい活躍を見せる次世代の女優 松井玲奈。養女<ワーリャ>に日本とフランスを拠点に活躍を続ける美波。串田和美は隣人の地主<ピーシチク>役で登場。そして、“桜の園”の女領主<ラネーフスカヤ>を、自然体で包容力のある人柄が多くのファンを魅了し、確かな演技力で個性を放つ小林聡美が演じる。また、大堀こういち、池谷のぶえ、尾上寛之、北浦愛、大森博史、久世星佳など、多彩な実力派がずらりと顔を揃える。
<串田和美コメント>
--初のチェーホフ作品に取り組もうと思った理由、現時点での演出プランを教えてください。
串田:チェーホフ作品はよく上演されていますが、自分からは遠い世界のもので、一生演出はしないだろうと思っていました。でも、ここ数年色んな作品で色んなアプローチの方法を試してきて、今ならできるかなと思ったのが最初のきっかけです。ロシアの古い話だけれど、太宰治がチェーホフに惹かれて『斜陽』を書いたように、日本人にもわかるノスタルジーがある。ノスタルジーという感覚の中には、後ろ向きばかりではなく、未来を見つめるための要素があるのではないかと思っています。先日、チラシビジュアルのために動いているトラクターの撮影をしたのですが、古い家を壊して新しい土地にしていく行為は、ある意味では暴力的な破壊のイメージがあるけど、新しい建設みたいなイメージもあり面白いなと思いました。この作品もそういったものを内包したものになるかなと思っています。
--高橋克典さんと、小林聡美さんのキャスティング理由と、お二人に期待していることは何ですか?
串田:役柄に関わらず、全ての出演者が与えてくれるものがあるので、“誰が何をしてくるだろう!?”という期待がすごくあります。小林聡美さんは初めてご一緒しますが、以前から、既成の演技とは何か違う印象がありました。
どの役柄にも可能性を持たせて作っていこうと思っている作品の中でこの役を考えた時に、普通の『桜の園』のラネーフスカヤ像とは違う存在感が出たらすごく面白いと思っています。高橋克典さんは舞台2本を一緒にやって久しぶりに再会したのですが、50歳を過ぎたのに青年の悶々としたものをテレビで活躍しながらもずっと持ち続けていて、火が消えずにまだあるのだと分かって感動しました。(ビジュアル撮影の現場で)皆と話をしながら膨らんだイメージもあるし、今回高橋克典さんから受けた印象に新たなイメージが生まれました。きっと全く新しいチェーホフが出来ると思います。
<高橋克典コメント>
--5年ぶり5度目の舞台出演となりますが、今の心境は?
高橋:恐ろしさも含めてものすごく楽しみです。舞台はいつも僕にとっては新しく、ここに来ての新たな挑戦です。しかもチェーホフ。でも串田さんなら、従来のチェーホフとは違うものを創ってくれるのではないかと、自分という素材だけもって串田ワールドにとびこみます。
--小林聡美さんとは初共演となりますが、どのような印象をお持ちでしょうか?
高橋:以前、どこかの駐車場でお見受けした時の、柔らかそうでかつ芯の強そうな印象があったことを覚えています。今回ご一緒させていただくにあたり、とても楽しみにしております。
--演出の串田和美さんとは、18年ぶりのタッグとなりますが、意気込みをお願いいたします。
高橋:串田ワールドを持てる全てで楽しみたいと思います。いつも想像を超えたセンス、これを楽しみにしていると同時にくらいついていこうと思います。その発想の自由な広がりが楽しくて大好きです。でも難しい。それをいかに単純に楽しむか……!ものすごく楽しみです。
<小林聡美コメント>
--今回、オファーを受けた際の率直なお気持ちをお聞かせください。
小林:14年ぶりのシアターコクーン、初めての串田和美作品、そしてこれまた初のチェーホフ。どれも自分とは縁遠いものだと思っていたものが、束になってやってきた!といった気持ちでした。
--高橋克典さんとは初共演となりますが、どのような印象をお持ちでしょうか?
小林:色が黒くてナイスガイ。ご自分を律し、ストイックな印象。だいぶ昔、町の駐車場の精算時に偶然に一瞬お目にかかり、ご挨拶したことがありましたが、その時の印象は、とても爽やかでお優しそうなかただな、と。
--演出の串田和美さんとは、初タッグとなりますが、串田作品の印象と、意気込みをお願いいたします。
小林:エネルギーに満ち溢れ、お祭りのような陽気さと妖しさが漂う串田さんの作品。「どうやって作っていったのかなぁ」といつも興味津々でした。今回はその舞台裏から表にまで関わることができて、楽しみなのと同時に身の引き締まる思いです。
20世紀初頭のロシア。“桜の園”と呼ばれる領地。
地主であるラネーフスカヤが娘・アーニャとともにパリから5年ぶりに帰国した。
待ち受ける兄のガーエフ、養女のワーリャは再会を喜ぶが、一家の財産は尽き、地所の“桜の園”は売却を迫られていた。
一家につかえてきた農奴の家の出であるロパーヒンは、今は若き商人として頭角を現している。
“桜の園”の売却を避けるべく、ロパーヒンは別荘地として貸し出す事を提案するが、ラネーフスカヤとガーエフは現実を直視しようとしない。
娘のアーニャは、亡き弟の家庭教師であったトロフィーモフと未来を語り合う。
ワーリャとロパーヒンは以前から互いに思い合っているが、どちらからも歩み寄れないままでいる。
“桜の園”が競売にかけられる当日にも舞踏会を開いているラネーフスカヤ。
競売の行方に気もそぞろの夫人に、駆け戻ったロパーヒンが“桜の園”を競り落としたのは自分だと告げる――。
■作:アントン・チェーホフ
■翻訳・脚色:木内宏昌
■演出・脚色・美術:串田和美
■照明:齋藤茂男
■音楽:太田惠資
■音響:市来邦比古
■衣裳デザイン:太田雅公
■ヘアメイク:佐藤裕子
■映像:栗山聡之
■振付:黒田育世
■衣裳進行:中野かおる
■美術助手:原田愛、
■演出助手:片岡正二郎
■技術監督:櫻綴
■舞台監督:横沢紅太郎/二瓶剛雄
■出演:
高橋克典、風間杜夫、八嶋智人、松井玲奈、美波、大堀こういち、池谷のぶえ、
尾上寛之、北浦愛、大森博史、久世星佳、串田和美、小林聡美
<ミュージシャン>太田惠資、関島種彦、アラン・パットン、飯塚直、ギデオン・ジュークス
■企画・製作:Bunkamura
■会場:Bunkamuraシアターコクーン
■日程:2017年11月9日(木)~11月28日(火)全20回
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■主催:Bunkamura
■公演に関するお問合せ:Bunkamura 03-3477-3244(10:00~19:00) http://www.bunkamura.co.jp
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■主催:一般財団法人松本市芸術文化振興財団
■松本公演に関するお問合せ:まつもと市民芸術館 0263‐33‐3800
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■主催:サンライズプロモーション大阪
■大阪公演に関するお問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00~18:00)