V6坂本昌行が歌とダンスを封印、ミステリアスな難役に挑む 舞台『君が人生の時』フォトコール&会見
『君が人生の時』フォトコール
V6の坂本昌行、元宝塚歌劇団・宙組トップ娘役の野々すみ花が主演する舞台『君が人生の時』が6月13日(火)から新国立劇場にて上演される。
本作はウィリアム・サローヤンの戯曲。1939年ニューヨークで初めて上演され、ニューヨーク劇評家賞・ピュリッツァー賞を受賞した(本人は辞退した)作品。新国立劇場が「日本の演劇がどのように西洋演劇と出会い進化してきたか」をテーマに、新翻訳で贈る「JAPAN MEETS...―現代劇の系譜をひもとく―」シリーズの第11弾となる。
舞台はサンフランシスコの波止場の外れにある、安っぽいショーを見せるニックが経営する場末の酒場。そこには様々な事情を抱えた客がやって来ては去っていく。ピアノの名手、ダンサー、港湾労働者、哲学者、警察官、娼婦……。誰もがそれぞれの想いを抱えながら酒を飲み、本音をポツリと語り、時の流れに身を委ねる。若く美しい放浪者のジョーは、いつからかこの店にやって来て毎日朝から晩までシャンパンを飲んで過ごす不思議な男だった。この店で出会いジョーの弟分となったトムは、客の一人、自称女優の魅惑的な女性キティに恋しているが思いを打ち明けられずにいた――。
12日の初日直前にフォトコールが行われ、その後、同劇場ロビーにて囲み会見が行われた。会見にはジョーを演じる坂本、キティ役の野々、そしてニック役の丸山智己、トム役の橋本淳が姿を現した。
橋本淳、野々すみ花、丸山智己
会見冒頭、「自分の役をどう説明すればいいのか…」と言いよどむ坂本。「非常にミステリアスでベールに包まれた男、安酒場にいていろいろな人を観察して、交流して、自分自身の喜びに変える男。なのでずーっと座ってます!」
事実、公開された場面の中では、ステージ上手の椅子に座ったまま、一切立たない状態でトムやキティたちに話しかけたり絡んだり…身動きが取れない分、より一層演技力を求められる難役では、と感じられた。
野々は安酒場に出入りする、夢と希望を持った娼婦役。「坂本さん演じるジョーとも橋本さん演じるトムとも絡みます…」と自身の役を説明すると、「…その説明だとドロドロの関係のように聞こえる」と笑いながら坂本がフォロー。
「僕は三角関係が起きる…じゃなくて」と野々の話に乗っかって話し出したのは丸山。「安酒場のマスターの役。みんなの様子をずっと見ています」
橋本は「ジョーの弟分であり、友人であり、使いっぱしりであり。とても純粋で素直な少年のような青年役」と自分の役どころを紹介した橋本。ステージの上だけでなく普段からも坂本の事を「『兄貴』と呼ばさせていただいてます」と嬉しそう。稽古の段階からこの関係が築かれていると語る坂本は「いろんなことをしてもらってます。シモの世話以外は全部やってもらってます」というとその場にいた全員が大爆笑。橋本もその言葉を受けて「介護してます」とにっこり。
橋本淳
本作について、坂本は「とらえどころのない作品。一つ一つ紐解いていくと、非常にあたたかい作品とわかる。移民も多いアメリカの1930年代の酒場で、人間として触れ合えるあたたかさが(本作にある)魅力ではないか」と語る。だが、台本の読み込みや役作りは相当難しかったようで、「初めの一週間はディスカッションだけでした。自分の役だけを調べるのではなく、みんなでその役を調べていく感じ。(台本に)書かれてない部分も多かったので、自分のフィルターを通してジョーに変えていく作業が、今まで経験したことがない作業だったので、難しく、勉強になりました。何故、こういうセリフをここでいうのか。それを紐解いてもわからないから(ジョーの)歴史をたどっていく…ああ、こういう経験があったからこう言えるんだ、とか。一歩一歩…」と初日までの道のりを振り返っていた。
そんな座長・坂本の印象について、野々は「よい意味でいつもニュートラルでナチュラル。一歩お芝居の中に入ると、一瞬目が合うだけでもいろいろな事を受け取り、発信する、大きな方」と語る。
野々すみ花
「V6の坂本」としては「小学生くらいから見てた…」という橋本に、苦笑いの坂本。「でも立ち稽古が始まって、初めて椅子に座った坂本さんを観たら、もうジョーだな…たたずまいをすでにつかんでいらしてて。ジョーのセリフが非常に難しいのを徐々に作り上げていくのをいちばんそばで観ていたので、とても楽しく、新鮮に、刺激になりました」と語る橋本。「兄貴の一挙手一投足でどう受け取るのかを大事に、坂本さんの背中を感じながら大事にやっていけたら」と敬意を表していた。
丸山から見た坂本は、「周りの人に対する気遣いがすごい。にじみ出ている。尊敬すべき座長です」その言葉に「…用意してきたような事を言って…」と笑う坂本。「昨日寝ずに考えました。言えてよかったです」とささやくように返す丸山。そんな4人のやり取りから坂本を中心としたこの座組みのチームワークの良さが垣間見えた。
丸山智己
会見の後半、本作のタイトル『君が人生の時』という言葉の意味に話が及ぶと、坂本は「逆にこのタイトルを(観客が)どう受け取るのかな、という事に興味がありますね。僕らは台本を読んでいるのでわかっていますが。ぜひ舞台を観ていただいてその意味に気づいていただきたい。自分が人生の中でいちばん輝ける場所、瞬間、素直になれる瞬間はいつなのか?…などと考えていただけたら」と含みを持たせていた。
取材・文・撮影=こむらさき
新国立劇場 2016/2017シーズン演劇公演『君が人生の時』
■作:ウィリアム・サローヤン
■翻訳:浦辺千鶴
■演出:宮田慶子
■出演:
坂本昌行 野々すみ花
丸山智己 橋本 淳 下総源太朗 沢田冬樹 中山祐一朗 石橋徹郎 枝元 萌
瀬戸さおり 渋谷はるか RON×Ⅱ かみむら周平 林田航平 野坂 弘 二木咲子
永澤 洋 寺内淳志 坂川慶成 永田 涼
一柳みる 篠塚 勝 原 金太郎 木場勝己
■日程:2017年6月13日(火)~7月2日(日)
■会場:東京・新国立劇場 中劇場
■公式サイト:http://www.nntt.jac.go.jp/play/performance/151225_007982.html