強烈な個性を放つBRATSに直撃インタビュー「私たちはガールズバンドじゃない」
BRATS
強烈な個性を放つ3人組のこのバンドは、女性3人で構成されていながらも「ガールズバンド」と呼ばれたくないと言い放ち、渾身のロックを突き刺してくる。中々ない刺激的ロックバンドBRATSに直撃した。
BRATS
――れいさんは色々な活動をしていますが、BRATSで歌っている時の自分が、一番に素に近い感じですか?
れい:そうですね。アイドルをやっていたり個人の仕事もやっていますが、もちろん私ではあるのですが、その中でも歌が一番自分を表現できる場所だと思います。
――ガールズバンドという言葉で括られたくないと、みなさんおっしゃていますが、その意味を教えて下さい。
ひなこ:私は男性バンドのゴリゴリしたロックが好きでずっと聴いていて、高3でメタルにハマって、だからガールズバンドというルックスを中心に見られるような、それで判断されるようなバンドにはなりたくないと思っています。歌と音で判断して欲しい。
れい:ガールズバンドと普通のバンドと何が違うのかわからない。バンドはバンドなのになんで男か女かで区別されなければいけないのって感じです。性別で見方を変えているのはちょっと違うと思う。
――レコード会社の人が売り出すときに、わかりやすい表現としてガールズバンドって使うのだと思う。
ひなこ:普通に「ロックバンド」でいいと思う。
れい:何が違うのかわからない。
(事務所担当者):書き直すね(苦笑)。
――年齢もそういう感じでみられる要素なのかもしれないですね。
ひなこ:音だけ聴いてカッコいいと思ってもらえる人に聴いて欲しい。
BRATS
――それは昔から思っていた事ですか?
れい:新生BRATSになってから強く思うようになりました。前は逆にガールズバンドって言われる事で助かっていた部分も正直ありました。でもそれはまだ自分達が音楽ときちんと向き合えていなくて、中途半端な気持ちでやっていたからだと思います。音楽を真剣にやるようになって、ガールズバンドという事で全部が済まされるような感じになるのがすごくイヤで。
――一旦活動を休止して、一年間色々と考える時間があって、そう思えるようになった。
ひなこ:それまではあまり考えてなかったので。
――楽しければいいか、みたいな?
れい:あまり楽しくも感じられていなかったかもしれません。
――音楽は好きだったけど、活動を楽しめてなかった?
れい:楽曲を自分達で作っていなかったので、自分達がやりたい音楽とはずれていたり、言いたい事も違ったりしていたからかもしれません。
――活動休止して、一旦仕切り直して、音楽に前向きになり楽しいと思えてきて、何が一番大きな要因になっているんですか?
れい:まず今のプロデューサーと波長が合うということが、大きいと思います。自分達がやりたかった音楽ができるようになった事です。
――一番影響を受けているアーティストを教えて下さい。
れい:銀杏ボーイズです。そのパンク精神と童貞マインドと歌詞がピュアでカッコいい。自分の歌いたい事をちゃんと歌っているところがいい。
あや:影響を受けたというよりは、最近はMY FIRST STORYとミオヤマザキがいいです。
ひなこ:ONE OK ROCKが良い。演奏スタイルはTORUさんの影響を受けています。
れい:あとは三人とも共通しているのはヴィジュアル系が好きだという事で、その話をよくします(笑)
――BRATSの音はヘヴィで、音が前へ前と向かってくる感じで、そこにれいさんの色気というか妖艶さがある声、伸びるボーカルが乗ってくると、独特の空気感の音楽を作り上げています。6月21日に「アイニコイヨ/脳内消去ゲーム」でCDデビューですが、2曲を手にした時はどういう感想を持ちましたか?
れい:「脳内消化ゲーム」は『スレイブメン』という映画の主題歌で、自分の嫌な過去とか、消したい過去ってみんなあるじゃないですか?それがテーマになっていて、歌詞もそういう内容で、10代は特にそういう気持ちが強くて、だから私たちが歌う事でよりリアルさが伝わると思っています。
ひなこ:私は、そこから更に、嫌な事があって今があると思うようにしていて。
BRATS
――「アイニコイヨ」も「脳内消去ゲーム」も音はラウドで力強くて、サビがキャッチーというところが共通しているなと思いました。演奏していても気持ちいい感じですか?
あや:楽しいです。
――2曲ともまずYouTubeで公開して、3月29日に池袋LIVE INN ROSAで1年ぶりのライブ『Reborn』を行いましたが、やはり緊張しましたか?
れい:実はその前に去年の12月に、関係者向けにライブをやって、でもそのライブは私が歌詞を覚えていない上に、歌詞を見ながら歌っても歌えないという状況でした(笑)。その後もう一回ウォーミングアップ的なライブをやって、3月の本番に臨みましたが、とにかく歌詞を覚えられるかが不安でした。だから緊張というよりも歌詞の事が気になってライブもよく覚えてなくて。結局間違いましたけどね(笑)。
ひなこ:YouTubeで曲を公開してはいましたけど、それ以外の曲は、お客さんは知らない曲ばかりなので、どうしようって思っていました。お客さんもノれないのは当然だから、でも、自分達は新しくなったんだという気持ちでやるしかなく、ただただそれを感じてもらいたかったので、なんとかやり切った感じです。
れい:人の顔が見れなかった。
あや:確かにお客さんみんな真顔だった。
――久しぶりのライブだったからファンは真剣に見るでしょ。
ひなこ:その視線に負けないようにもう割り切ってやっていました。今度やる時は、会場全体に一体感が出るようにしたいなあと思いながらやっていました。
――ライブをもっとやりたい、そういう手応えがあった?
ひなこ:そうですね。めっちゃやりたいと思うようになりました。
――これからも活動の中心はライブになりそうですか?
れい:そうですね。
ひなこ:ロックのフェスに出たい。
BRATS
――これだけたくさんのバンドがいる中で存在感を示すため、突き抜けるために必要なものはなんだと思いますか?
ひなこ:確かに女の子がやっているバンドではありますが、そういう部分を殺してでも粗さを出したい。野生児が野生児でいられるように!?
れい:わけわかんない(笑)。どういう事?あ、人間にはもう戻れないって事?(笑)
ひなこ:違う(笑)。きれいな音楽じゃなくていいって事。
れい:ひなちゃんが言っている事もそうだと思うし、今はまだ模索中だと思う。これからライブを重ねたり、色々なフェスやイベントに出て、自分達の強みはこれだっていうものを明確にしてからそれを極めていけばいいと思うので、今これだって決めつけてそれに絞って、他の可能性を殺す必要はないと思う。だからまだ答えがないと思う。
あや:女子だけど男子にも負けない音と、れいの声は武器だと思う。
――これから色々な活動を積み重ねていって、音も鍛えられてさらに強くなっていくと思うし、ボーカルも変っていくと思うし、今、答えがないというのは正解だと思います。今後どんな曲をやりたいですか?
ひなこ:ドラマティックな感じのやつ。
れい:粗いメタルとかやりたい。下手くそなんだけど、本気!って感じの音楽をやりたい。最初にも言ったけど、ガールズバンドだからこういう系統の曲をやらないといけないとか、そういうのが嫌だから。BRATSっていうガールズバンドがいるんだ、観に行ってみようって初めて観てくれた人が「ナメてたわ」って思ってくれるような曲。いい意味で裏切りたい。
ひなこ:BABY METALとかBAND -MAIDとか、今メタルとガールズバンドという組み合わせって珍しくないじゃないですか。でも太いサウンドに女の子のかわいい声がノッているのじゃなくて、れいの力強いボーカルに合う、エモーショナルなボーカルが生きる、振り幅が広くてドラマティックな音を目指したい。れいのボーカルは最強ですよ。
れい:やったあ!やばくない?れいの声が死んだら、みんな死ぬんだから、みんなれいのこと大事にして下さいよ!
ひなこ:いや、お前が喉大事にしろよ!(笑)。
BRATS
――れいさんはLADYBABYとしても活躍していますが、BRATSの時とは自分の中では完全に違うものなんですか?
れい:そうですね。LADYBABYは、インタビューでよく「アーティストに見られたい」って言っていますが、やはりアイドルじゃないですか。
ひなこ:正解。
れい:今はアイドルなんですけど、だから同じ気持ちでやるとバンドに失礼だし、逆にLADYBABYにも失礼だと思っていて。「やっている人が同じだから一緒じゃないの?」ってよく言われますが、それは自分にもプライドがあるので、一線を画しています。だからLADYBABYのスタッフがBRATSのライブを観に行きたいって言っても「絶対来るな」って言ってるし、観て欲しくないです。
――スイッチの切り替えができるというのは、才能ですよね。
れい:でも簡単だと思うんです。アイドルは夢を与える仕事で、バンドは夢を与えるというよりも、自分達がこうしたいと思う事を形にして、それに共感したり、惹かれたりした人がついてきてくれるもので、そこは全然違うと思います。
――臨み方が違うと。
れい:そうです。だからBRATSの音楽に夢を持ってくれる人がいるかもしれないけど、でもBRATSはこうじゃないといけないとか、そういう理想は押し付けないで欲しい。自分達はその通りやらないし、私たちの人生だし、BRATSはBRATSらしく進めばいいだけだと思っています。
――れいさんにとってはBRATSもLADYBABYも両方とも必要な場所であり、時間であるけど、それぞれ違う考え方で、きちんとすみ分けができているんですね。
れい:そうですね。だからお願いだからファンの人は、BRATSのライブに、LADYBABYのTシャツを着てくるのはやめて欲しい(笑)。
ひなこ:顔を観ないで音だけ聴いて好きと思ってもらえるバンドになりたい。
れい:アー写も顔がはっきりみえないものがあります。
ひなこ:それ結構ポイントで、ジャケ写も表はメタルっぽい感じにして、中の写真も顔が写ってないものも多いし(笑)。
れい:社長にも「このバンド売りは顔じゃないから」って言われました(笑)。
(社長):可愛げがないって言ったの。「可愛くない」と「可愛げがない」は違うからね。
ひなこ:そういう事にしておきましょう(笑)。
BRATS / Rei
BRATS / Hinako
BRATS / Aya
取材・文=田中久勝 撮影=三輪斉史
◆初回限定盤(CD + DVD) 価格\2,300.+税 CD番号:BRTC-001
BRATS
【CD】
M1. アイニコイヨ
M2. 脳内消去ゲーム
M1. アイニコイヨ (MUSIC VIDEO)
M2. 脳内消去ゲーム (MUSIC VIDEO)
M3. アイニコイヨ (LIVE VIDEO)
M4. なかったこと (LIVE VIDEO)
M5. 脳内消去ゲーム (LIVE VIDEO)
M6. Pain (LIVE VIDEO)
M7. 正当化プライドモンスター (LIVE VIDEO)
M8. 決まりごと (LIVE VIDEO)
M2. 脳内消去ゲーム
M3. アイニコイヨ (instrumental)
M4. 脳内消去ゲーム (instrumental)
※「脳内消去ゲーム」は、現在絶賛上映中の映画『スレイブメン』(井口昇監督)の主題歌である。※シネマート新宿ほか、順次全国の劇場にてロードショー。