宍戸留美、MotionGallery社長大高健志、対談インタビュー

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2015.9.28

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元祖フリーアイドル、宍戸留美がクラウドファンディングを使うわけ

宍戸留美が動き出している。今年デビュ-25周年を迎える宍戸留美が自分の25周年企画の予算をクラウドファンディングで自ら集めだした、集める金額の使いみちも全て記載されたサイトの中で目を引くのは「宣伝費」
プロモーションの宣伝費がだいたいこれくらいかかります、という詳細が乗っているのだ、これは面白い、そう思ったSPICE編集部は宍戸さんにコンタクト、インタビューを申し込んだ、返答には
「お世話になってるクラウドファンディングのMotionGallery社長の大高さんとお会いしてみたいです」との事。
こちらとしても願ったり叶ったりの企画案、早速コンタクトを取っての企画となった。


宍戸留美デビュー25周年記念作品!応援プロジェクト!!はこちらから

 

――ということで宍戸留美さんと大高健志さんをお呼びしてのインタビューでございますが、よろしくお願いします。

二人:よろしくお願いします。

――宍戸さんまずはデビュー25周年おめでとうございます。

宍戸:ありがとうございます。

――時が流れるのは早いというか、あっという間ですが。その25周年記念の作品をクラウドファンディングで実現しようという企画、なぜこういう事をしようと思ったのか、思惑をお伺い出来れば。

宍戸:そうですね、なんせ1人でやってるもので、25周年っていっても話題性や広がりがないなって思っていて、MotionGallery(モーションギャラリー)さん丁度いいなっていうのと、あと皆にそろそろもうちょっと応援してよって思いです(笑)

一同:(笑)

宍戸:丁度アニメでついたファンの方と、アイドル時代のファンの方が「この人元アイドルだったんだ」とか「今声優やってるんだ」という所でリンクし始めたので、何というか…私の家に皆遊びに来て!みたいな感じです。 

 

――ということで大高さんにも色々聞いてきたいなと。

大高:はい

まずクラウドファンディングとは何ぞや、という人も結構いらっしゃると思うんですが。

大高:クリエイティブなプロジェクトというか制作をする時に、先にファンの人達からお金を頂くという形を取ることで、クリエーターがリスクなく物を作っていくためのファンコミュニティも作っていきましょう、という仕組みですね。

――数々のクラウドファンディングの会社がある中で、今回大高さんと手を組んでやるぜ、ということに至ったのは何か理由があったんですか?

宍戸:一番は後輩のミュージシャンの子がやってて「すごい良いですよ!」って聞いていて、どれどれ、といろんな会社を調べたら条件も素晴らしい!

大高:大高:アメリカのKickstarterとかIndiegogoが元々なんですけど、 向こうで少し話題になりかけたころに、僕は日本でもやるべきだなと思ったんですね。その時に、なるべくクリエイターの方々にお金をお渡しできる形で運営したいという想いと、両方とも手数料が10%だったので、10%が良いだろうとスタートしました。ビジネス的に考えて手数料10%だと正直運用は難しいなっていうのはわかりつつも、10%でやるためには逆にどうしたらいいのかな、と逆算して作っていったのでなんとかやれているという感じで(笑)



――クラウドファンディングは達成しなければ決済されませんっていうのが一番特徴的だと思うんですが、大高さんの所は達成しなくても支援されて集まった分ファンディングされます、これにはなにか理由が?

大高:基本的には僕は達成しなければ決済されない、それが正しいと思っています。ファンの人たちから必要な金額が集まればそれはGOサインだし、集まらなければ逆に頑張っても大変なだけかもしれないからやめましょう、そういううオールオア ナッシングが1番あってると思うんです。

――なるほど。

大高:達成しなくてもというのを始めた理由は、2011年の頃映画のプロジェクトが走りまして、その時はまだクラウドファンディングというワードを誰も知らなかったんですけど500万を目標に始めたんです、でも300万円くらいでピタっとストップして集まるかどうかわからないって状況になって…ただその得体の知れないクラウドファンディングというものでお金が集まった、と注目が集まった事で法人からの製作費のオファーも急激に増え、クラウドファンディングの結果を待たずに製作に向けてプロジェクトが稼働し始めました。それを見たコレクターの人達からのクレームというかお叱りが多くて、「もし目標金額に到達しなくても返金しないでくれ!」みたいな

――「出したかったのに」という。

大高:「応援したくてだしてるのに、製作されないだったらいいんだけど、製作されて上映した時に、どういう気持ちで俺はその上映を見に行けばいいんだ、みたいなことをすごい言われて(笑)。幸いそのプロジェクトは最終的に目標金額を大きく超えることが出来てよかったですが、確かにやることが決まってるのに、返金っていうのはよくわからない仕組みだなっていうところで、そういう、集まらなくても、物によっては実行前提でファンディングしますよっていうのを追加したという形ですね。
 

撮影:坂井美碧織

撮影:坂井美碧織

――ということで今回のプロジェクトです。25周年記念の写真集と音源のCD化とそして宍戸留美のプロモーション費というのをみんなの力を借りようと。

宍戸:そうですね。

――今回話題的に一番フックしてるというのが、大体は物を作るために力を貸してくれ、というのが多いと思うのですけれども、大半はプロモーション費用です、と表に出してるところだと思うんですよね。具体的な金額でこれ位のことをやりたいからこれ位くれ、っていうのを全部出してる人はあまりいないんじゃないかというのを思うんですけど。

宍戸:私もお金を出す側の気持ちを考えると、何に使われるかっていうのを明確にだしていた方が気持ちがいいなって思って。謎なまま生活費とかになるのかなみたいに思われたらすごい嫌だなって(笑)

大高:多分、ツイッターをみてると"雑誌の取材費用"みたいなのが入ってたから「どこまでぶっちゃけるんだ(笑)」と話題になっていた印象があります。僕は、そこも含めてすごいいいページだと思っていて

 

――そうですね。

大高:ちゃんと「何に使います!」って書いてあると、雑誌のインタビュー記事が出てたら「この記事は俺の3000円から出てきたんだよしよし」みたいな楽しみのがあるじゃないですか(笑)

――目標金額が350万、のこり70日ちょっと、どきまぎします?

宍戸:最後盛り上がるんだろうなっていうのは思ってるんですけど、やっぱりインターネットに弱い人っていうのはガラケーとかで情報を見ても登録の仕方がわからない、って人が実際にいて。そういう窓口もあるとすごくもっと助かるなって思うんですが、その辺りはどうなんですか?

――そうですね、若い子、特に10代の子なんかはカードを持っていないから振り込めないという意見があったりして、いろんなこと考えていかなきゃいけなそうですよね。

大高:勝手に振り込まれちゃうと、「これは誰のお金ですか?」になってしまう(笑)色々考えてはいますので!

宍戸:確かに!(笑)期待しています!
 

撮影:坂井美碧織

撮影:坂井美碧織

――宍戸さん自身はアイドル、でデビューして、アイドル活動の中で最初に多分一番でかいトピックになったのがフリーランス宣言、そして気が付いたら声優になっているというマルチぶりを発揮されている訳なんですけど、アニメの声をやっているというところも含めて、新しいなお子さんのファン層とかもいるんですかね?
 

宍戸:そうですねアニメで私の声を聞いて育った層は0歳~30代でしょうか。

――そうですね、僕も全力で瀬川おんぷちゃん(編集部注:人気アニメおジャ魔女どれみのキャラクター)にやられていた世代なので

宍戸:えーっそっかあ(笑)

――パブリシティックイメージをを頑なに守る人もいますし、プライベートは見せない、みたいな人もいるけど、宍戸さんってすごく明け透けで、「私は今こういう表現をしたい」という、その時々で全然違う宍戸留美がみれる様なイメージがあるんですよね。

宍戸:今回のクラウドファンディングのページを見てもらえればわかりますが、仕事に関しては明瞭です。18歳から色んな表現を全部同時進行でやってるんですけど、見られる部分がたまたまそこだったっていう感じですかね。

――『長ぐつの唄』歌ってる人が『地球の危機』やってるとは思わないじゃないですか。
 

宍戸:まあそれは年代ですよね月日っていうか(笑)

――今回は写真集も出すそうですが、今まで撮影された写真のセレクトと、撮り下ろしの新しい撮影とっていうことは、昔の写真も入ってきたりということは?

宍戸:カメラマンの増田賢一さんには16歳の頃から撮って頂いてるので、あると思います。

――ちょっと聞いてみたかったんですが、今の宍戸さんからみた芸能界のアイドル状況っていうのはどうですか?

宍戸:もう誰でもアイドルって自分で言うからそれをやめてほしいと思ってます。(笑)

一同:(笑)

宍戸:ある年代の・・例えばあややくらいまでの人が私は好きですね。

大高:あやや、はOKなんですね。

宍戸:松浦亜弥ちゃん本当最高じゃないですかもう!

大高:なんかその、宍戸さんの中のアイドルの定義っていうのがあるんですね。

宍戸:なんか集団はズルいなって、女の子は固まるとね、かわいく見えるから(笑)

――確かに今ピンでやってるアイドルさんって今すごい少ない。

大高:確かに言われてみればそうですね

――宍戸さんが芸能の道に進もうと思ったきっかけというのは?

宍戸:広島にいたし、芸能界に知り合いもいなかったので、テレビの世界に行くにはどうしたらいいかっていうのでオーディション雑誌を見て、そこしかきっかけしかなかったんですよ。なんか登竜門みたいなものが。

――で、アイドルでデビューして、フリーランスになったりとかもして、今も芸能活動を続けてるということで、この業界がお好きなんだと思うんですよね。その魅力だったりとか、原動力みたいなのって何かあるのかなと。

宍戸:元々市原悦子さんに憧れて、女優さんになりたいと思ったんですよ。ただ綺麗な女優さんは沢山いらっしゃるけど、市原さんにしか出来ないお芝居とかに憧れて。私あんまり自我がないんですよね。声優をやっていてもフラットじゃないと役を演じられないので、自分がありすぎると、「あ、宍戸留美が喋ってる」ってなっちゃうので、常に柔軟でいたいです。
 

――タレントさんの何周年って言ったら周りが祝ってくれるみたいなイメージあるじゃないですか、それを自分でやるみたいなところが凄いですよね(笑)

宍戸:私そういう仲間もいないので、一匹狼なので、自分で旗あげるしかないなって(笑)

――仲間になっていきましょう皆で(笑)

一同:(笑)

――で、そして大高さんの方にお聞きしたいと思いますが、人からお金を集めるということに関しては必ずメリット、デメリットあると思うんですよね。その辺をご説明いただきたいなと。

大高:そうですね、メリットとしては投資ではなので、自由に使えるだとか変な言い方ですけど、自分が本当にやりたいことをそのお金を使って自由にお金を使って出来る、ところがいいところかなと思っています。
デメリットとしては、集め方の方法かなと思っていて。集めることだけを考えたらいろんな手法みたいなものがあると思うんですけど、それをやってしまうと変に色が付いたお金が集まっちゃうので、プロジェクトが出来た後に、むしろそこから先の変な誹謗中傷というかクレームとかが変な風に燃え上がっちゃう。

――やり方ってことですね。

大高:例えば、極端な例ですが、リターンにアイドル握手券とか書いてあるとお金が集まるからと言って、映画の資金を集める為に作品に本質的に関係ないのに無理くりそのような設定をすれば、それを買う人って映画に興味ない事が多いので、監督がやりたいものがアイドルファンからすると「俺の応援してるアイドルほとんど出ないじゃないか」とか…しっかり対話をファンの人とするって事が重要かなと思います。

撮影:坂井美碧織

撮影:坂井美碧織

――逆にクラウドを使うことによって下地が生まれて、そこからパブリシティになってくることもあるんですか?

大高:それは結構ありますね、実際にクラウドファンディングをやった事でパブリシティングに繋がったというプロジェクトは多いです。ただそれは副次的なものだっていうのを前提として始めた方がいいなと思います。やっぱりお金を集める前に、これをやりたいというビジョンとか思いがあるから、お金が集まるし、そこにパブが付いてくる。あくまでやりたいビジョンとかクリエイティングが主にあるといいかなと。

 

――そういう意味では今回宍戸さんのプロジェクトってページを見てもすごいよく出来てるなと

宍戸:二ヶ月かかったんですよ!

一同:(笑)

宍戸:レスポンスが遅かったですよね、私。

大高:パッとやってパッと始めるんではなく、ちゃんと時間をかけて構成して素晴らしいページに仕上げるって本当に重要だなと思います。

宍戸:多分ちょっと興味あるな、で見た人にとっては、長っ!と思ってやめるかかもしれないですけど、お金を出す人にとってはすごく誠実だと思います。

大高:そうですそうです、おっしゃる通りです。

――宍戸留美とは、から書いてありますもんね。

宍戸:初めて見る人がわかるように書こうと思いました。

――運営する側とのコミュニケーションをやりたい人にとっては大事なとこなんだな、と。

大高:そうですね、運営と本人と、応援しようと思ってる人、この三者でぐるぐるとコミュニケーション取ることだと思います。

――大高さんの思いっていう部分も多分にあるんですね。

大高:クリエーターへの還元率を高めたいですね、元々僕は東京芸大で映画をとっていたので、映画でもアニメでも現代アートでも同じ悩みがあるんです。明らかに売れる事を意識した企画にすれば大きなお金が集まると思うですけど、そうじゃない企画にはお金が全然集まらない。そういう企画もしっかりと作れていけるといいなというのが始めるきっかけだったので。

 

撮影:坂井美碧織

撮影:坂井美碧織



――さて、改めてここら辺で見てる人に宍戸さんから今回のプロジェクトに関して一言頂ければ。

宍戸:そうですねー、今まで一緒にやってもらったミュージシャンさんたちとか、どんどんいろんな人に恩返ししていきたいなって思うところもあるし、制作する作品は自信をもってお届けするので、その宣伝を皆さんに手伝って頂けたらなって思いますね。これが成功すると、みんな多分「私もやりたい」「俺らもやりたい」みたいな人が増えていくと思うんですけど、新しい形のファンの人たちとのコミュニケーションだなってのがあるので、その第一歩を応援して下さい、と。

――25年目を超えた新しい宍戸留美のスタートになる所ですもんね、逆にこれが成功すれば今後も何かのプロジェクトをこのような形でやるということは考えられますね。

宍戸:そうですよね、夢がすごくありますよね

大高:結構ファンとアーティストが直接お金もコミュニケーションもそういうCDや写真を出すパブリシティングも、直でやれるっていうのが多分いいところかなと

――今はアーティストとファンの距離が縮まっているのもあって。まずCDを買うというよりは、シェアをする、YouTubeでみるっていうことになってきてインタラクティブになっていると思うんです。だからこそ、クラウドファンディングの優位性が起こり始めてるのかなという気がするんですけども

大高:そう思いますね、今のネットのトレンドとしては、airbnbもそうですけど産業革命以前の時代の原理が復活して来ている様に感じます。クラウドファンディングも江戸時代の神社を金のある人たちで直しますみたいな、皆でお金を集めて直します、お上はどうせくれないし、ちょっと多くお金を出した人には名前を大きく出しますよ、っていうことをやってるだけなんです。今クラウドファンディングが流行ってるっていうか使われ始めてるっていうのはそこの、お金をファンから巻き上げるのではなく、実はファンと直接繋がる、一緒のコミュニティを作っていくっていうツール、それがアーティストにとってそんな違和感のないものになってきたのかな、と。

 

――確かに。なんかそうですよね、宍戸さんがフリーでやり出すと言った時からその胎動はあったのかもしれない。

宍戸:あの頃は誰も周りにそういう人がいなかったから。でもなんか斬新な人は皆私を応援してました、なんかよくやった、って。

大高:あー。

宍戸:「よくその怖いところから飛びぬけたね」って。すごい遠くから応援してくれました。今回のプロジェクトはそういう斬新な考え方の人にも応援して頂けたらと思っています。

 

――クラウドファンディングという下地も含めて宍戸留美さんデビュー25周年記念クラウドファンディングで応援しよう!という事で皆様ぜひご協力いただきつつ!SPICE共々応援していただければなと思っております。本日はお時間いただきありがとうございました。

撮影:坂井美碧織

撮影:坂井美碧織


 

終始にこやかに行われたインタビュー、初対面とは思えないくらい打ち解けた空気でお互いの思いを話し合った二人。新しいフリーランスアーティストとしての地平を開いていく宍戸留美と、アーティストがやりたいことをやれる環境を作る大高健志、今回のプロジェクトの先には更に面白いコンテンツの世界が開けそうだ、SPICE編集部でも注目していきたい。


インタビュー:加東岳史 写真:坂井美碧織

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