井澤勇貴×杉江大志が“メサイア愛”をたっぷり語る『舞台「メサイア―悠久乃刻―」』インタビュー
-
ポスト -
シェア - 送る
舞台「メサイア―悠久乃刻―」杉江大志&井澤勇貴 撮影=堀江有希
井澤勇貴と杉江大志が主演を務める『舞台「メサイア―悠久乃刻―」』が、2017年8月31日(木)から9月10日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場、9月22日(金)から9月24日(日)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて上演される。2017年2月に上演された『舞台「メサイア―暁乃刻―」』では、過去に自らのメサイアを自らの手で葬り、深い哀しみを抱えながらもサクラとして任務を遂行する厳格な青年・有賀 涼(井澤)と、幼少期からスパイとしての英才教育を受け、有賀の新しいメサイアとして特殊機関“チャーチ”に加わった加々美いつき(杉江)が、過酷な戦いを経て絆を深めた。8月より上演される本作では2人を中心とした物語が描かれ、驚愕の卒業ミッションが与えられる。
舞台の開幕を間近に控えた某日、主演の井澤と杉江にインタビューを実施。これまでの思い出やお互いの印象、新ストーリーへの意気込みなど、メサイアについてたっぷりと語ってもらった。
――いよいよ8月から『悠久乃刻』が上演されますが、まずは前回の公演『暁乃刻』での思い出や、一番心に残っていることを教えてください。
杉江大志:(赤澤)燈くんかなぁ。大変な様子を舞台上では一切見せなくてかっこよかったです。あとは(赤澤演じる白崎護のメサイア・悠里淮斗役の)大ちゃん(廣瀬大介)も大阪の大千秋楽に駆け付けてくれて、カーテンコールで燈くんに花束を渡してくれて……。メサイアっていいなぁって思いました。一作品を超えた、心の底からぶつかっている作品だなと思います。
――精神的にも深く来る作品ですよね。
杉江:そうですね、体もそうだし心も結構きつい。
井澤勇貴:きついよね。
杉江:メサイアの魅力を聞かれたときによく“絆を描いた少年漫画感のある設定”と答えてたんですけど、そういう所を一歩超えた演劇になってきてるなと思います。身を削って役を生きることは役者冥利に尽きるし、やっててとても楽しい……だけではないやりがいがあるので、それがお客さんにも伝わってるといいなと思いますね。
――井澤さんはどうですか?
井澤:一回一回のテーマが重くて考えさせられるようなこともあったので、全編を通して作品から学べることがたくさんあったなと思います。メサイアは相方というか、もう一人の自分だと思ってるんですけど、そういう人に対しての愛だったり友情だったりを感じて、人間って温かいなぁと思えます。メサイアという作品のすごさを聞かれると、最初はアクションって答えるかもしれないけど、でも奥深いところにいくと心情の描き方が毎回違って……だから今回も楽しみにしています。
杉江:メサイア=派手なアクションでしょ?と思ってる人は観に来て!って思います(笑)。心も体も削って全身全霊で挑んでますので。(井澤に向かって)削ってるよね?
井澤:削りまくってるね。でもそのすり減った先に暁が待ってるんだよ~(笑)。
――ではお互いの最初の印象と、それから今どう変化したのかを教えてください。(※2人の初共演は2015年公開の映画『メサイア ―深紅ノ章―』)
杉江:僕は『深紅ノ章』が初映画だったのでめちゃくちゃ緊張してました。同い年だけど勇貴の方が先輩で風格あるから、なかなか敬語が抜けなくて。「いいよいいよ! タメ口でいいよ同い年だし!」と言ってくれてたけど、その「いいよいいよ!」がもう偉そうだから……。
井澤&一同:(笑)。
杉江:だからしばらくは敬語でした。
井澤:頑張ってタメ語にしてるのも伝わってきたんですよ、それがなんか可愛くて(笑)。
杉江:僕からしたらメサイアとしても先輩だし追いつかなきゃいけない存在だったので……。でも僕はお芝居が大好きだし、勇貴のお芝居に対する向き合い方もすごくすごく好きだし。そうやって今やっと肩を並べて、背中をあずけられる所まで来たんじゃないかなと思っています。
――井澤さんはいかがですか?
井澤:映像の仕事が初だと言っていたので、そりゃ緊張するよなぁと。とは言え僕もその現場に入って間もなかったので、結構人のことを見てる余裕がなくて。今ではもう3年ほどやらせていただいてるので、スタッフさんやキャストとも仲良くやらせていただいてるんですけど、その時はほぼ全員が初めましてでした。そうした不安と戦いながらの中、大志が入ってきてくれたんです。当時はドラマと映画を同じ時期に撮影していたので、ドラマの方では(染谷俊之演じる)間宮星廉という相方がいるけど、片や映画になると大志演じる加々美いつきがいて……これが結構分からなくなっちゃったりして(笑)。でも映像一発目からの大志を見てるので、親心とまではいかないですけど兄弟っぽくもあり、成長の仕方や変化が分かりやすく見えてるなぁと思います。
――役柄と比べて普段の印象はどうですか?
井澤:大志はそのまんまな気がするなぁ。あそこまで図々しくはないけど、頭がいいんですよ。
杉江:そうなんですよ、僕頭いいんですよ。
井澤:まぁちょっと、こういう所がバカなんですけど。
杉江:(笑)。
井澤:例えば学校の授業中にふざけまくってて、でも“これ以上やったら先生怒るな”ってところでやめられる。
杉江:いっぱい経験してきたからこそ、やめられる(笑)。
井澤:僕は、普段仲いい人としか喋れないんですよ、結構閉ざしちゃうタイプで。でもそれを大志が開けてくれたり、歩み寄ってくれる。僕の周りにはあんまりいないタイプで好きなんですよね、面白いなぁって。
杉江:そこさ、好きなんですよねって言い方がガチみたいじゃん!(笑)
井澤:いやガチだもん!
杉江:うわ~照れるわ。……あんまり言いたくないですけど素直に嬉しい(笑)。最近の有賀さんは、だんだん勇貴に寄ってきたなぁと思います。間宮がいた頃よりも心を開いてきたね。閉ざしてるときの勇貴は昔の有賀さんみたい。
井澤:そうかもね。でも自分が閉ざしてるときの方がひどいかも。ほんっとに喋らないですよ。
杉江:でもこう見えてお茶目だから、勇貴は。可愛がられるタイプです。
井澤:そうなんですよ。
杉江:同じボケしないでもらっていい?(笑) 多分お互いが後輩気質というか年下気質だから、始めは接し方が分からなくて。でもこの距離感になれたのは、お互いがちゃんと心を開いたからだなって。今は本当に最強のメサイアだなと思います。
舞台「メサイア―悠久乃刻―」 撮影=堀江有希
――前回の『暁乃刻』では色々な苦難を乗り越えてきました。今回の『悠久乃刻』では卒業ミッションを控えていますが、今の心境を教えてください。
井澤:この作品に携わっている以上は必ず卒業するときが来ます。過去の先輩もそうですけど、死ぬことで作品を卒業する場合もあると思います。卒業するにはミッションを成功しなければいけないので、果たしてそれを無事に成功できるのか、それとも留年することになるのか(笑)。ただ僕はお客さんと同じ目線でいこうかなと思ってて。台本を見れば結末が分かりますが、卒業できるかどうか分からないという有賀さんの気持ちと同様にやっていけたらいいなと思います。あとはついに来たか、僕たちの番だ、という気持ちです。
杉江:メサイアという大きな作品は、皆が繋いで紡いできたもの。そこで真ん中でやらせていただけるのがすごく嬉しくて、楽しみだしワクワクするけど、それ以上に責任と重みを感じています。この作品を背負いきって、次に繋げて卒業していきたいなと思っています。そして後輩たちにも同じ気持ちになってほしい。
井澤:そうだね。
――共演の皆さんの印象はどうですか? 今回からの新キャストも加わりますよね。
杉江:えーっと……(資料の山田ジェームス武を指さして)井澤勇貴。顔が似てるよね。
井澤:よく言われるんですよ~。
杉江:顔交換をして遊ぶスマホのカメラアプリで、顔が入れ替わってるか分からないっていう(笑)。でもこう見てると、メサイアはキャスティングがお上手ですよね。当て書き(※役者の個性に合わせて脚本を書くこと)なのかなと思うくらい、その人を掴んだキャラクター性がある。
井澤:うん、それはそうだね。
杉江:闇の深い小生意気な役は長江崚行、素直でまっすぐ生真面目な役は山沖勇輝、真面目なメガネ姿の役は橋本真一。
井澤:ほんとにそう思う。
杉江:まだお会いしてない方もいて分からないですけど。でもきっと大人組が締めてくれると思うので、のびのびやるだけだよね。新しく入ってきてくださる方にもメサイアという作品を愛していただけるように……僕も当初はメサイアに対する今の思いがなかったし。でもこの思いになれたのは先輩方が背中を見せてくれたからこそで、僕らも精一杯背中を見せていきたいです。あとは……(井澤へ向かって)どうよ? 帰って来てくれた(村田)充さんの印象は?
井澤:味方だと強いんですよ。ものすごく。
杉江:そうね(笑)。でもある意味最強の味方だよ、一緒に作品を作るっていう上で最強の敵でいてくれるのは。
井澤:まぁそうだね。これ顔合わせの時に言おう、充さんは多分すごく照れると思うんですけど(笑)。いい言葉が生まれたね。
舞台「メサイア―悠久乃刻―」 撮影=堀江有希
――先ほど当て書きのようだというお話がありましたが、先日メサイアシリーズ初の展覧会『MESSIAH FIRST EXHIBITION』で脚本の毛利亘宏さんが、井澤さんと杉江さんのお2人に“どんなひどい目に合わせてやろうかと思いながら書いてます”と仰ってました(笑)。そのお話は聞かれてますか?
杉江:特に聞いてないですね……(笑) もちろん、ある程度は覚悟してます。
――毛利さんの印象は?
井澤:僕は違う作品でも毛利さんとご一緒させていただいてますが、毛利さんの頭の中を覗いたら多分大変なことになってるんだろうなと思います。僕は作品を書く人って(良い意味での)変態だと思ってるんですよ、じゃないと何人もいるキャラクターの関係性を描いて……なんてできないと。その点毛利さんが書かれる脚本は分かりやすくて、尚且つ驚きがあって。
杉江:シンプルに深い。
井澤:そう。あとは本当に色んな作品を観られてるんだなと思います。
杉江:今回も楽しみだね。散々ひどい目に合わされてる先輩を見てきたからね。
井澤:なんか2人でテレビとか観ながらさ、“あ、卒業ミッションの時間だ行こうぜ”って。それで2、3人の敵を片付けて“はいオッケー!”って。それぐらいラクな感じがいいなぁ~。
杉江:新しいね!(笑)
――最後に意気込みと、楽しみにしてくださっているファンの方々へメッセージをお願いします。
杉江:メサイアはたくさんの愛が詰まっていて、たくさんの愛で繋がれてきた作品だと思います。それを背負えることは光栄で名誉なことなんですが、正直重さもすごく感じております。ですがしっかりと背負いながら立ち向かい、そうして卒業された先輩方の背中を見てきたので、僕たちも後輩にその姿を見せたいです。そしてメサイアシリーズを応援してきてくださった方々に今後とも応援していただけるように、最高の作品にしたいと思います。頑張ります。
井澤:今まで通りやります。“卒業ミッション”というのが今回のホットワードみたいになっていますが、その前に大志と一緒に作品の構築をして、そこへ卒業というものがプラスされればいいかなと。メサイアという作品を担わないといけないので、2人でバランスよくやれたらいいなと思っています。観に来てくださる皆さまには、仮に僕たちが卒業してもこの作品は進んでいきますし、それを見届けてほしいなと思います。作品の中では僕たちの役も生きていくと思いますし、何より素敵なキャラクターがどんどん入ってきたり、魅力や実力のあるキャストが帰ってきてくれたりと毎回サプライズがありますので、これからもメサイア・プロジェクトをよろしくお願いします。ぜひ楽しみにしていてください。
舞台「メサイア―悠久乃刻―」 撮影=堀江有希
インタビューの後「いつかファンの皆と一緒に、自分たちも一ファンとして観れたらいいね」と笑顔で話していた井澤と杉江。そんな2人のたくさんの思いを、ぜひ『舞台「メサイア―悠久乃刻―」』で感じ取ってほしい。
衣装協力=H>FRACTAL
取材・撮影・文=堀江 有希