梅棒の伊藤今人がHIPHOP界のスターたちと仕掛ける、音楽&ダンスで魅せる舞台版『TOKYO TRIBE』上演!
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『TOKYO TRIBE』合同取材会より(撮影/石橋法子)
架空都市”トーキョー”に生きる若者たちの日常を過激に描写した漫画家・井上三太の代表作『TOKYO TRIBE2』が今秋、舞台化される。ファッション誌での連載当時からヒップホップ、R&Bなど音楽ネタを散りばめたストリート感溢れるテイストがアメリカ、ヨーロッパほか国内外で支持を集め、累計発行部数は250万部を超える。2014年には鬼才・園子温監督により実写映画化され、ラップミュージカルとして強烈なインパクトを与えた。舞台版ではどんな世界が立ち上るのか。演出は台詞を用いずJ-POPの連なりでストーリーを伝え、ダンスと演劇の融合にも定評のある梅棒リーダー・伊藤今人。合同取材会で意気込みを語った。
伊藤今人
「梅棒ファンが嫌いになっちゃうぐらい、エログロ、バイオレンスな表現にも挑みます!」
ーー『TOKYO TRIBE2』舞台化は梅棒ありきでスタートした企画だそうですね。原作ものですが、本作でも台詞を使わずに、音楽とダンスで物語を伝えるのでしょうか?
そうですね。本作のプロデューサーが梅棒のスタイルなら舞台化ができると思ってくれたのがきっかけです。梅棒の公演もすべてを歌の歌詞で説明しているわけではなく、聞かせたい部分をピックアップして、あとは曲の雰囲気やパフォーマーの動きでシーンを説明できているので。台詞がなくても伝わるんじゃないかな。この物語も基本的にはストリートカルチャーやヒップホップ文化のカッコ良さが主だったテーマだと思っていて、そういう匂いや空気感が舞台化する上で一番大事なことだと思っています。ワケの分からないバイオレンス感に中学生だった頃の自分は憧れていましたし、「マジで池袋にはこんな人がいるんだ!」と思っていました。
伊藤今人
ーー出演にはヒップホッパー、シンガー、ダンサー、元AKB48まで多彩な顔ぶれが揃いました。
完全に初めましてなのはラッパーの方々だけなんですけど、僕が推薦した梅棒とも顔見知りのBeat Buddy Boiは、ボーカルのSHUNくんがラッパーで、ほかの共演者の方と一緒に楽曲制作するほどの仲なので。シンガーの當山みれいさん含め、ミュージシャン同士の愛称が良い。すでにいい関係が築けているので、稽古前ですがやり易さしか感じていません。PaniCrewの植木豪さんもハッピーな方ですし、宮澤佐江さんもポジティブな空気をまとっている。ラッパーのDOTAMAさんは普段は低姿勢なのに、ステージではすげえヤバイことを言ったりする。得体が知れないことで有名ですが、人間的には素晴らしい方なので仕事はやりやすいと思います(笑)。
伊藤今人
ーー梅棒のメンバーも意外な一面が見られそうです。
梅棒って誰もが幸せになるような作風を目指しているのですが、今回は原作のエログロさやバイオレンスの描写を排除するとストリート感も失われると思うので、そこはエッジを立たせてやっていく。梅棒としても普段できない黒さ、暗さ、怖さ、重さみたいな所をどっぷりと表現できる面白い機会だと思います。客演というより、これが梅棒の次回公演だという意気込みで、ファンの方が嫌いになっちゃうぐらいエグイ表現にも手を出すつもりです。
伊藤今人
「音楽、ダンス、演劇、すべてで楽しませる欲張りな企画、腕の見せどころです!」
ーー梅棒メンバーでは唯一、塩野拓矢さんがストリートダンス出身だそうですね。
そうですね。遠藤誠あたりはアクション派なので本作にもハマるでしょうけど、野田裕貴はうちでは可愛いキャラ、楢木和也も美しいジャズが持ち味なので、尖った梅棒を観にくるチャンスでもあるんじゃないかな。意外性でいえば、他の方も同じで(植木)豪さんにも面白い役をやってもらうつもりですし、ラッパーの方々もただの語り部ではなく、ちゃんと役を演じてもらうので、そこも楽しみですね。
伊藤今人
ーーすでにアニメ、映画化された作品ですが、舞台化にあたり一番の見どころは?
ヒップホップはリアルだと良く言われるんですが、その本物感が人間の眼差しや息遣いの距離の近さで最も感じやすいのが、演劇という手段だと思います。逆にフェイクだとバレてしまう。そういう嘘のない世界が伝わってなんぼだと思っているので。舞台美術や転換のスピード感が失われると、張りぼて感が出てしまう。そこが難しいところで、腕の見せどころですし、音楽をライブに近い感覚で楽しめる一番の作品が『TOKYO TRIBE』だと思います。大阪は松下IMPホールですが、東京と名古屋はライブハウスが会場なので、音楽を通して作品の世界観にどっぷり浸かってもらいたいですね。
伊藤今人
ーー梅棒で培ったノウハウが活かせそうですね。
この作品を「演劇として伝えたい」という部分があるから、梅棒がキャスティングされたと思うので、そこは……プレッシャーですよね(笑)。音楽、ダンス、演劇、すべてに手を出して、すべてを取りに行こうとする欲張りな企画なので。演劇としても楽しめるよう、バランス良くまとめなければいけない。梅棒にとっても挑戦だと思います。
伊藤今人
ーー最後に、観客にメッセージを。
舞台にするならこうでなきゃね!と、納得できるような舞台にしたいです。原作ファンはもちろんヒップホップミュージック、カルチャーが好きな人は必見ですね。今話題のラッパー、ダンサーと作品がガッツリ上手く噛み合った所をお見せするので。ストリート臭さがこの作品の大事なところで、そこさえ外さなければ後はやりたいようにやらせてもらいます(笑)。とにかくあの作品がどう再現されるのか、楽しみに観に来て欲しい。カッコいい舞台にします!
伊藤今人
取材・文・写真=石橋法子
■構成:家城啓之、
■演出:伊藤今人(梅棒)
■振付:梅棒、Beat Buddy Boi、植木豪
■音楽監督:KEN THE 390
■出演:伊藤今人、植木豪、ACE、遠藤誠、KEN THE 390、櫻井竜彦、塩野拓矢、SHUN、SHINSUKE、遠山晶司、當山みれい、DOTAMA、Toyotaka、楢木和也、野田裕貴、宮澤佐江、RYO ※50音順
2017年9月29日(金)~10月8日(日)
■会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST
■料金:S席6,900円 スタンディング4,900円
2017年10月11日(水)、10月12日(木)
■会場:愛知県 名古屋 Zepp Nagoya
■料金:6,900円(ドリンク別)
2017年10月21日(土)、10月22日(日)全3公演
■会場:大阪府 松下IMPホール
■料金:6,900円
■公式サイト:https://www.umebou.com/