宝塚歌劇月組公演『All for One ~ダルタニアンと太陽王~』開幕!~ゲネプロレポート
宝塚歌劇月組公演『All for One ~ダルタニアンと太陽王~』ゲネプロより
時代を超えて読み継がれるアレクサンドル・デュマの「三銃士」をもとに、小池修一郎(脚本・演出)が新たな発想で描くロマンチック・アクション・ミュージカル『All for One ~ダルタニアンと太陽王~』兵庫公演が開幕した。太陽王と呼ばれたルイ14世が治めるフランスを舞台に、国家を揺るがす秘密を知った銃士隊の英雄たちが、悪を凝らしめる物語。幕開きのファンファーレが高らかに冒険の始まりを告げる、アツい絆と愛に満ちたユーモアたっぷりの痛快活劇だ。
宝塚歌劇月組公演『All for One ~ダルタニアンと太陽王~』ゲネプロより
月組トップスター珠城りょうが誘う、痛快ロマンチック・アクション・ミュージカル!
オープニングは80年代のスポ根ドラマを彷彿させる軽快な主題歌に乗って、大胆不敵なポルスト、冷静沈着なアトス、色香で惑わすアラミス、そして無敵ヒーローのダルタニアンと個性豊かな勇者たちが次々に登場。掲げたレイピア(片手剣)を空中でクロスさせ、「All for One♪」と叫ぶ決め台詞&ポーズもカッコよく、幕開きからワクワク感が止まらない。
宝塚歌劇月組公演『All for One ~ダルタニアンと太陽王~』ゲネプロより
全権力を手中に収めるべく親族で側近を固めるマザラン枢機卿、ダルタニアンと直接対決するマゼランの甥で護衛隊の隊長ベルナルド。また、幼い頃からルイの妻になることを夢見るいとこのモンパンシェ公爵婦人など、登場人物たちの思いが様々に交錯する。スペイン王女とルイの政略結婚が迫るなか、王家の秘密を知ったダルタニアンたち銃士隊はマザラン一味の攻撃を阻止することが出きるのかーー。縦横無尽に広げた大風呂敷がどのように回収されるのか、ぜひ見届けて欲しい。
ダルタニアン役の珠城りょうは、揺るぎない大樹のような存在感が懐の深い正当派ヒーロー役にぴったり。
宝塚歌劇月組公演『All for One ~ダルタニアンと太陽王~』ゲネプロより
他のキャストは、太陽王ルイ14世役に愛希れいか。三銃士には、アラミス役を美弥るりか、アトス役を宇月颯、ポルトス役を暁千星。さらに、敵役となる護衛隊長ベルナルド役に月城かなと、モンパンシェ公爵夫人役に沙央くらま、マザラン枢機卿に一樹千尋、といずれも個性際立つ配役。
各役が面白過ぎて膨らみすぎた筋書きを「削りに削った」と小池修一郎が明かすように、まだまだ観たいと思わせる、スピンオフや続編を期待せずにはいられない。また、本作ではバラエティに富んだ太田健作曲・編曲による音楽が素晴らしい。台詞に書ききれない登場人物らの心情を音楽が余すことなく補い、観客の心をも揺り動かしていく。音楽と物語の相乗効果を実感できる、興奮と楽しさに満ちたミュージカルの醍醐味を存分に味わえるはずだ。本編終了後には歌とダンスによるフィナーレを。階段を使った男役の群舞、ロケットガールズによるラインダンス、トップコンビによるデュエットまで、宝塚の魅力を詰め込んだ充実の約3時間を堪能できる。
宝塚歌劇月組公演『All for One ~ダルタニアンと太陽王~』ゲネプロより
取材・文=石橋法子 撮影=奥村達也
■出演:珠城りょう、愛希れいか、美弥るりか、宇月颯、月城かなと、暁千星、沙央くらま他
2017年7月14日(金)~ 8月14日(月)
■会場:宝塚大劇場
2017年9月1日(金)~ 10月8日(日)
■会場:東京宝塚劇場
■公式サイト:http://kageki.hankyu.co.jp/revue/2017/allforone/index.html