若き民俗学者たちの葛藤を描く舞台「地を渡る舟」、10月上演

SPICER
「地を渡る舟」

「地を渡る舟」

文字による方舟はどこにたどり着くのだろうか

第58回岸田國士戯曲賞にノミネート、また第17回鶴屋南北戯曲賞にもノミネートされたてがみ座の舞台「地を渡る舟」が10月23日(金)から東京芸術劇場シアターイーストにて上演される。本作は2013年に初演されたもの。今回待望の再演となる。

昭和20年春、来るべき本土決戦が声高に叫ばれる街にひとりの男がいた。
男は敗戦の日を正確に予期し、各地の農家を訪ね歩いていた。
この国の命運が尽きるまであと4ヶ月。
「その日」を迎えた暁には、ただちに日本を立て直すために。

本作の主人公は、旅する民俗学者、宮本常一。瀬戸内海の島で生まれた彼は、日本列島を隅々まで歩きぬき、人々の営みをありのままに見つめ、文学にはならずに受け継がれてきた言葉に耳を澄ませた。そんな彼の活動を支援したのは渋沢敬三という男。戦時下において日銀総裁を務めた渋沢は私財を投じて自宅の敷地内に「屋根裏の博物館(アチック・ミューゼアム)」を作った。そこには宮本をはじめ、多くの研究者たちが集い、それぞれのやり方でこの国を書き留めようと尽力した…が、その情熱は戦争の大波に翻弄され飲み込まれて――

敗戦から今日までの歩みの中で、戦争を知る世代から果たしてどれだけ正しい情報を受け継いできたのだろう。戦争の悲惨さだけが強調され、大きな物事だけが文字に残り、それ以外の多くのものがとりこぼされているのではないだろうか。本作において、昭和初期という時代であっても正確に情報を把握し、敗戦後の日本に焦点を当てて積極的に活動していった一つの眼差しを描く。彼らが書き留めた戦時下の民俗学を題材に、日本人の心がどのように戦争に利用されていったのか、本当に次世代に次ぐべき日本人の源はどこなのか、この物語を通して検証していきたい。

脚本は長田育恵、演出は扇田拓也、出演は、福田温子、箱田暁史、今泉舞(以上、てがみ座)、俵木藤汰(ラッパ屋)、清水伸(ふくふくや)、西山水木、松本紀保、三津谷亮 ほか。

公演情報

てがみ座 第11回公演
『地を渡る舟 -1945/アチック・ミューゼアムと記述者たち-』

日時:2015年10月23日(金)~11月1日(日)
場所:東京芸術劇場シアターイースト
脚本:長田育恵
演出:扇田拓也
出演:福田温子、箱田暁史、今泉舞(以上、てがみ座)、俵木藤汰(ラッパ屋)、清水伸(ふくふくや)、西山水木、松本紀保、三津谷亮、川面千晶(ハイバイ)、近藤フク(ペンギンプルペイルパイルズ)、森啓一朗(東京タンバリン)、伊東潤(東京乾電池)、中村シユン
てがみ座 公式サイト:http://tegamiza.net/​

シェア / 保存先を選択