六本木の夜が極彩色に染まる 蜷川実花も登壇した『六本木アートナイト 2017』プレスカンファレンスをレポート

レポート
2017.7.28
左から、南條史生、蜷川実花

左から、南條史生、蜷川実花

画像を全て表示(10件)

夜の六本木で繰り広げられるアートの祭典『六本木アートナイト』。2017年は「未来ノマツリ」をメインテーマに、9月30日から10月1日の2日間に渡り開催される。メインプログラム・アーティストをつとめるのは写真家の蜷川実花。今年は東南アジアの注目アーティストを招聘する「東南アジア・プロジェクト」が始動し、六本木の夜が極彩色に染まる。

7月24日に開催された『六本木アートナイト 2017』のプレスカンファレンスでは、蜷川と実行委員長の南條史生が登壇。アートとSNSの関係、日本と海外の違い、アートナイトの楽しみ方についてなど、話は多岐に及んだ。

 

六本木アートナイトは、参加者全員が楽しめるイベント

南條は冒頭で、六本木アートナイトは参加者誰もが楽しめて、「アートっていいね」と思ってもらえるようなイベントを目指していることを強調。さらに、「地方に行けば数々の芸術祭があるが、東京にはありません。このイベントを通じて日本の文化やイノベーションを発信して、東京のクリエイティビティを可視化することが目的です」と付け加えた。

メインプログラム・アーティストとして抜擢された蜷川は「以前から六本木アートナイトはおしゃれな感じで楽しそうなことをやっていて、ズルいなと思っていました(笑)。今回はメインプログラム・アーティストとして呼んでいただき嬉しく思っています。未来ノマツリというテーマは、我ながら合っているなと。ワクワクドキドキしながら準備しています」と意気込みを語った。

蜷川が作品を作る際に大切にしているのは「入り口の広さ」だという。「興味のない人たちでも立ち寄ってくれる楽しそうなパッケージにして、ふらっと入った人たちを思ってもいない出口に連れて行くような仕掛けを作りたい。そういう点では、アートナイトの考え方と非常に近いと思います。アートって面白い、カッコいいというシンプルなことが意外と伝わっていない。そこの風穴を開けたい」。

ネオ・アンゴノ・アーティスト・コレクティブ(フィリピン) 《Angono Higantes,Big and Small》 photo credit : photo walk Philippines/whatsnewph.com

ネオ・アンゴノ・アーティスト・コレクティブ(フィリピン) 《Angono Higantes,Big and Small》 photo credit : photo walk Philippines/whatsnewph.com

ナウィン・ラワンチャイクン(タイ) 《OK Tower》 OK Tower, 2016 Installation view at Nishiura village, Megijima, Japan Photo by Navin Production

ナウィン・ラワンチャイクン(タイ) 《OK Tower》 OK Tower, 2016 Installation view at Nishiura village, Megijima, Japan Photo by Navin Production

国⽴奥多摩美術館(日本) 《24時間⼈間時計のためのドローイング》 《Drawing for 24h Human Clock》

国⽴奥多摩美術館(日本) 《24時間⼈間時計のためのドローイング》 《Drawing for 24h Human Clock》

 

若い子はみんな「インスタ用の顔」を持っている

出展する蜷川の作品はステージが中央に配置され、その両脇がフォトスペースになっていて、来場者が中で写真を撮れるようにする予定だという。「私の写真の世界に入って誰でも写真が撮れる。それをSNSで拡散してほしいですね。作り手と見る側の境界がなくなったら面白い」。

さらに、蜷川はインスタグラムをはじめとするSNSについての興味深いエピソードを披露した。「私の研究によると、若い女の子たちの間ではインスタ用の顔というものがあるんです(笑)。以前、USJで韓国の女の子たちが頭にカーラーを巻いたまま遊んでいたんです。でも、写真を撮るときはカーラーを外すんです。つまり、彼女たちにとってはインスタこそが表現の世界であって、日常ではカーラー巻いていてもぜんぜん気にしていないんです。何人のフォロワーがいるかわからないけど、現実の世界よりもインスタの方が自分を見てくれる人が多い、という発想の転換。インスタの中で生きる人が増えているという事実は無視できません」。

 

若い世代が決定権を持つアジアの国々

後半では、南條が蜷川に対して「日本と海外の違い」について質問を投げかけた。

「先日も香港と中国の友だちといっしょにご飯を食べたんですが、本当にエネルギッシュ。今度、上海で展覧会をやる予定なんですけど、そこでも20代の若い子が『実花のことを中国で有名にするわ』といってくれてるから、気合いを入れてやっていきたいですね。私は昨年、台湾で展覧会をやって13万人のお客さんが来てくれたんです。それって、台北市の大きさからするとスゴい人数になるんです。本当に多くの人に来ていただいて、平日でも3時間待ちの行列ができるくらい。皆さん熱狂的で、インタラクティブに体感することが大好き。自撮りスペースを作ると本当にずっと撮っているくらい、好奇心旺盛です」。

この意見に対して南條も同意。「未来を見ていますよね。既存の勢力がいないから、若い人たちが前に進むことを恐れていない。上海ではレンタル自転車の普及がスゴいですよね。乗り終わったらどこにでも置き去りにしていいという。これがものすごい勢いで爆発的に伸びています」と、上海のエピソードを語った。

 

写真とは、最も感情に近い原始的なメディア

ラストは参加者からの質問タイムとなった。「蜷川さんにとって、写真だから表現できることは?」という質問に対して、蜷川は一番原始的な感情に近いメディアが写真であると述べた。映画などはグループで製作して、言語化して他人に伝える必要があるが、写真はいいと思ったらその場でシャッターを押すだけで成立する。

「カッコいい、カワイイ、キレイ、そんな感想だけでシャッターを押すから、写真とは感情がピタッとフィックスされるメディアなんです。他のメディアは言葉で表されるので、自分の体内から出て一周して着地する感じですが、写真はダイレクトに思いがつまっている」。

六本木アートナイトの楽しみ方については「いっぱい写真を撮ってほしいですね。作品の中に入れるというのは面白い体験だと思うので、皆さん思いっきり楽しんでほしい。ハッシュタグも作るのでバンバンSNSに上げてほしい(笑)」と、入り口の広さを活かした楽しみ方を提案した。

 

イベント情報
六本木アートナイト 2017
 
六本⽊木アートナイト 2017 Photo by Mika Ninagawa

六本⽊木アートナイト 2017 Photo by Mika Ninagawa


会期:2017年9月30日(土)10時~10月1日(日) 18時
<コアタイム>9月30日(土)17:27【日没】~10月1日(日)【日の出】05:36
※コアタイムはメインとなるインスタレーションやイベントが集積する時間帯です。
場所:六本木ヒルズ、森美術館、東京ミッドタウン、サントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、国立新美術館、六本木商店街、その他六本木地区の協力施設や公共スペース
入場料:無料(但し、一部のプログラム及び美術館企画は有料)
■一般の問い合わせ先
ハローダイヤル:03-5777-8600

http://www.roppongiartnight.com
シェア / 保存先を選択