大塚明夫インタビュー “ファントム”役の俳優が語る「異形」のアクション映画『RE:BORN リボーン』の衝撃
大塚明夫 撮影=鈴木久美子
8月12日公開の『RE:BORN リボーン』は、『HiGH&LOW THE RED RAIN』などで知られるアクション監督・匠馬敏郎がTAK∴(坂口拓)名義で主演するアクション映画。坂口の20年来の盟友で、『アイアムアヒーロー』『GANTZ』シリーズのアクションを担当した下村勇二氏がメガホンをとっている。米軍特殊部隊の格闘技教官をつとめる稲川義貴氏が戦術・戦技スーパーバイザーとして参加し、坂口が約一年間の訓練を受けて練磨した戦闘術“ゼロレンジコンバット”が全編にわたって使用されているのが大きな特徴。『HiGH&LOW THE RED RAIN』で片りんを見せた未知のアクションの、全貌があらわになるのである。
同作でTAK∴演じる主人公・敏郎は、石川県加賀市のコンビニで働きながら少女サチ(近藤結良)と慎ましい日々を送っていたが、過去には特殊傭兵部隊に属した人物。そんな敏郎の前に現れる謎の男“ファントム”を演じるのが、声優・俳優として活躍する大塚明夫だ。今回のインタビューでは、大塚が声の出演ではなく俳優として『RE:BORN リボーン』に出演することになった経緯や、「異形」と語る同作のアクション、そして『メタルギア』のキャラクターを思わせる‟ファントム”の役作りまで、真摯な言葉で明かしてくれた。
俳優・大塚明夫はなぜ『RE:BORN リボーン』に出演したのか
大塚明夫 撮影=鈴木久美子
――『RE:BORN リボーン』に大塚さんが出演されていると知って驚きました。
「え!声の出演じゃないの?」っていう感じでしょうね(笑)。
――PS4のゲーム『メタルギアソリッドV ファントムペイン』で下村監督がムービーパートのアクション監督をつとめられてらっしゃいますが、その繋がりで出演が決まったんでしょうか?
いえ。下村監督がうちの事務所にオファーをかけて下さったんです。
――作品はご一緒されていても、実際にはお会いされたことがなかったんですね。以前からアクション映画やアクション監督にご興味はおありだったんでしょうか?
ええ。仕事がら(アクション関係の)知り合いも出来たりするんですけど……アクションの世界って、なかなか新しい方とお会いするのが難しいんですよ。JAC系だったり、ほかにもいろいろとチームに分かれているので。
大塚明夫 撮影=鈴木久美子
――最初に『RE:BORN リボーン』の脚本を読まれたときは、どう思われました?
「大丈夫かな?」と思いましたよ。ぼくはアクションなんか出来ないので。もう、今から10年以上前……45歳くらいのときかな?舞台で、何十人かと喧嘩をするシーンがあったんです。そのときは「殺陣がついたのでやりましょう!」ということでやったんですが、気持ち悪くなっちゃって(笑)。「こんなに大変なのか……」と思いました。やっぱり、普段から恒常的に身体を動かしているわけではなかったので、たまにやると酸欠になっちゃうんです。
――演じられたファントムは、役名だったり、左目に傷のあるビジュアルだったりが、『メタルギア』シリーズで声をあてられているキャラクターにそっくりなので驚きました。
どう考えても、俳優を使う起用というよりは、声優を使った起用ですよね(笑)。(『メタルギア』での仕事は)身体が勝手に動いてくれる役ですが、ぼく自身は身体がそんなに動くほうじゃないので。
――脚本をお読みになった後に、ファントムというキャラクターについては、下村監督から説明などはあったんでしょうか?
そうですね。あとは、稲川(義貴)先生のアクションがYouTubeに上がっているので、前もってそれを観たりもしました。動画を観たら、「すごいなこれ!」と思いましたが、「俺にこの映画のラスボスが務まるのか!?」という思いは、すごくありました。
(C)「リボーン」製作実行委員会
――ただ、ファントムはバリバリにアクションするキャラクターではなく、大塚さんが演じられるように上手く作られているな、と思いました。
そうですよね。本当に助かりました(笑)。最初は(ファントムが)もっと戦うシナリオだったんです。本編でも、死体を見ながらアビスウォーカー(編注:稲川氏が演じる傭兵)に手をかざして、バーンと波動みたいなもので吹き飛ばすシーンがありますが(笑)。しゃがんだ状況から飛びのいたり、というアクションが、もう肉体的に無理なんですよ。「どこいしょ!」となっちゃいますから。でも、やらなくてもラスボスになるようにしてくださったので、「ああ、よかった」と思いました。
――下村監督は大塚さんの存在感を大切にされたそうです。
最近は、どういう芝居でも、「存在感が欲しい」と言われます。何の説明もないけど、黒幕の役をいただいたり。「いや、バックボーンも何も書いてないじゃないですか」と言うと、「大塚さんの存在感があれば大丈夫です!」って(笑)。存在感って不思議なもので、自分で出そうと思っても、手も足も出ないんですよね。だって、どうやって出すと思います?
――たしかに、意識して出せるものじゃないですね。
そこにいるしかないわけですから(笑)。だから、ぼくはこれが不安なんです。舞台にしてもそうですが、「大丈夫なの?これでスクリーン持つの?」という。だから、60歳にしてつねに不安と戦っています。
――脚本から読み取っていくしかない、と。
そうですね。しちゃいけないことを、どう拾い上げるかですね。しないほうがいいことを、どれだけわかることが出来るか。そうすると、削いでいく方向になっていくわけです。「動いてしまうと軽くなってしまう」とか、色んなことがあるので。動ける人はつい動いちゃうんですけど、ぼくの場合はどうせ動けないんだから、やらないほうがいい、と(笑)。あとは、立ち上がるときの重心の動かし方とか、後ろへのアンテナの張り方とか、そういったところには気を遣いました。「達人でなきゃいけない」と思ったので。
――指揮官・ボスという立場ですから、戦わないシーンで達人感を出す必要あったというわけですね。
「それしかない」と思いました(笑)。ヤクザの役とかは経験があるのですが、そもそもアクション映画に出るのは初めてなので。
大塚明夫 撮影=鈴木久美子
――ファントムがこういう過去を経てきた、というような裏の設定はあるのでしょうか?
ファントムは敏郎と同じ世界にいました。ただ、敏郎は本物なんですが、ファントムは本物に挑んでしまった究極のまがい物、みたいなところがあります。結果、最後はやはり本物には敵わない、ということだと思うんです。
――大塚さんは、後藤まりこさん主演、島田角栄監督の『乱死怒町より愛を吐いて』など、かなり個性的な映画に出演されていますね。何か出演作を選ぶポイントがあるのでしょうか?
そういう濃い方じゃないと呼んでくれないんですよ(笑)。ぼくが選んでるんじゃないです。ただ、だいたいそういう方は、スケジュールはとれないけど、「こういう風にすればいい」といろいろ組み替えて呼んでくださるので、出られるんです。そうじゃないと、スケジュール的になかなか難しい。
――どんな作品でも出演されるわけではないですよね?
ええ、何でもいいというわけではないです。そうなんですけど、スケジュールがきつくてもぼくでやりたいという方は、いい役をオファーしてくれるんです。だからこそ、ありがたいんですが。
ゆっくり呼吸をして観られるほど甘いアクションじゃない
大塚明夫 撮影=鈴木久美子
――相手役のTAK∴さんとは初めて共演です。いかがでしたか?
いやあ、素敵ですね。作品を観て、あらためてファンになりました。
――以前からTAK∴さんをご存知だったんでしょうか?
『アウト×デラックス』に出てらっしゃったのを観ていました。そのときは、「なんだかおもちゃみたいにされて気の毒に」と思っていました(笑)。でも、彼も存在感のある俳優ですよね。“殺気”を持っている。すごく明確に、するどい殺気を飛ばしてくるんです。
――殺気を放つ俳優さんって、他にいらっしゃるんでしょうか?
不思議なもので、どんなに凄んでも殺気が出ない俳優さんって、いるんですよ。だけど、何もしていないのに殺気をはらんでいる方もいるんです。そういうものっていうのは、やっぱりバレちゃうんです。例えばこの映画だと、心得のある方は、アクションシーンを観るときに、息をしないと思います。素人の方は普通に観るんでしょうけど、心得のある方がゆっくり呼吸をして観られるほど甘いアクションじゃない、というか。
――というのは?
どうしても、人間ってここ一番のときには、息が止まってしまうものですよね。レスリングの選手は試合が始まると心拍数が倍ぐらいになるんですが、それは何故かと言うと、無酸素で戦うからです。究極の戦いではそうなるはずなんです。だから、心得のある方がこの映画のアクションシーンを観ると、息が出来ないと思います。スクリーンを観ていても、(『RE:BORN リボーン』の世界から)遠い方は普通に呼吸しながら観られると思いますが、そうじゃない方は、きっと息が止まるレベルの戦いなんだと思います。
TAK∴(坂口拓) (C)「リボーン」製作実行委員会
――大塚さんも過去に空手をやってらっしゃったんですよね?
学生時代のことなので、遠い昔ですけどね。
――武道の経験者から観ても、この映画のアクションは相当すごい?
すごいです。若い頃のスティーブン・セガールもそうですが、異形な感じがすごいんです。棒立ちで立っていたら、「ヤバい」と感じる、稲川先生の雰囲気とか……これはすごいと思いますよ。やはり心得のある方は、自分が戦うのをイメージして観ると思うので、やっぱり息が止まると思います。
――『RE:BORN リボーン』は、アクション映画ではありますが。お話もすごくいいんですよね。アクション以外の脚本部分についてはどう思われますか?
(坂口)茉琴ちゃん(キャスパー役)が、「おじさん、そんなんじゃ生きていけないよ」っていうセリフがあるんですが、あの感じがいいですよね。自分が殺されなかったことに気が付いて、「なんで殺さなかった!」と、自尊心を傷つけられるところが、すごくいい。ぼくは、すっかり茉琴ちゃんのファンです(笑)。
――たしかに、あのシーンのキャスパーはぐっときますよね。
撮影中の大塚明夫 (C)「リボーン」製作実行委員会
ストーリーの部分はもっとやりたいですよね。やはり映画って、時間の問題で出来ないところもどうしても出てくるじゃないですか。そういう、ストーリーのディティールの部分も、もっと深くやりたいです。それができるともっと素敵だなあ。ただ、それは連続ドラマじゃないと難しいと思いますが。
――ちなみに。大塚さんご自身の、アクション映画の原体験になった作品は何ですか?
原体験ということであれば、かなり昔になりますよ。それこそ、ジョニー・ワイズミュラー主演の『ターザン』シリーズとか。カンフーアクションということになると、やっぱりブルース・リーですね。ちょうど中学生のときに、『燃えよドラゴン』が封切られたので、気が狂ったように入れ込みましたね。それで、中学生の頃に少林寺拳法を習いにいって、高校生までやったんです。大学に入って何故か空手部になっちゃったんですが(笑)。
――やはり、影響を受けて一通りやってらっしゃるんですね。
完全にアクション映画の影響、ブルース・リーの影響ですね。『ドラゴン怒りの鉄拳』の、コマのように回る後ろ回し蹴りが超人的で。それまでの、“自分は動かないけど殴ると相手が吹っ飛んでいく”というのとは違うじゃないですか。(ブルース・リーは)自分自身がコマのように回りながら、ドカンドカンと相手を倒していく。もう、魂を抜かれましたね。
――『RE:BORN リボーン』はそういう原体験的な作品になりえるかもしれませんね。
なりえますね。
――最後に、この作品で一番観てもらいたいところを教えてください。
それはもう、ゼロレンジコンバットですよ。「何だこれは!?」となるので、アクションが好きな方は観なきゃダメです!
――そのゼロレンジコンバットと大塚さんがどう戦うのかも気になると思います。
そうですね。ギャグみたいに思われないといいですが(笑)。
大塚明夫 撮影=鈴木久美子
映画『RE:BORN リボーン』は8月12日(土)より 新宿武蔵野館にてレイトロードショー。
インタビュー・文=藤本 洋輔 撮影=鈴木久美子
大塚明夫サイン入り『RE:BORN リボーン』ポスター 1名様に
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【出演】
稲川義貴 望月オーソン 賢太 坂口茉琴 屋敷紘子 三元雅芸 武田梨奈(声の出演)
【スタッフ】
監督 : 下村勇二
戦術・戦技スーパーバイザー : 稲川義貴
アクション監修 : TRIPLE CROWN
脚本 : 佐伯紅緒
撮影監督 : 工藤哲也
音響効果 : 柴崎憲治
音楽 : 川井憲次
加賀市アソシエイトプロデューサー : 石丸雅人 坂井宏行
プロデューサー : 藤田真一 井上緑
企画・製作 : 有限会社ユーデンフレームワークス 株式会社アーティット
製作協力 : 株式会社ワーサル
配給 : アルバトロス・フィルム
公式サイト:http://udenflameworks.com/reborn/
(C)「リボーン」製作実行委員会