川村毅が、初期代表作『ニッポン・ウォーズ』を基にした新作『エフェメラル・エレメンツ』を吉祥寺シアターで上演!
『ニッポン・ウォーズ』リーディング稽古中の川村毅。(左は33年ぶりに共演の宮島健)
自身の原点を再考するという川村毅が、23歳時に書いた初期代表作といわれる『ニッポン・ウォーズ』を基にした新作『エフェメラル・エレメンツ』を吉祥寺シアターで上演する。
「エフェメラ」とはラテン語で、短い命の蜉蝣(カゲロウ)。転じて「はかないもの」を意味している。80年代、川村が20代の頃に、ある時は無国籍都市の、そしてある時は姿の見えない支配者の名前として、戯曲集『エフェメラ伝説』等に好んで使っていた名称だ。
近未来、軍事用アンドロイドの人間への反乱を描いた『ニッポン・ウォーズ』から33年。AIと人間の共存というテーマが、よりリアルになっている現在、57歳の川村毅が同テーマの新作を書き下ろすことになる。
キャストは、ほぼ初顔合わせの18名。30代の俳優を中心としたパワー溢れる俳優たちのエネルギーに触発されて、一人一人をイメージして書き下ろした群像劇になると言う、作・演出を担当する川村毅からコメントが届いた。
【川村毅コメント】
いやはや時代は急速にAI、ロボット開発に向かっています。私は今から34年前『ニッポン・ウォーズ』という戯曲を書き、上演しました。これは日本で(世界で?)初めて劇にアンドロイドを登場させたものだと言われました。今、57歳の私は23歳の私の戯曲をまるで他人が書いたもののように読んでいます。時間が経って、若い頃の作品の呪縛からすでに解き放たれたということでしょうか?
アンドロイドがSFでなくなった時代、この時代にこそ今一度ヒューマノイドロボットに取り組んでみようと思い立ち、『エフェメラル・エレメンツ』の発想を得ました。ヒューマノイドロボットとはヒト型ロボットのことです。日本が世界で一番ヒト型ロボットの開発が進んでいると言います。ヒト型ロボットが社会に進出した時、我々人間は彼らとどう向き合い、関係すればいいのだろうか? そんなことを考えてこの劇を書きました。
俳優たちは、若手気鋭の面々です。彼らとわいわいとエンタテインメントな舞台を創りますよ。
【『エフェメラル・エレメンツ』ストーリー】
ヒューマノイド・ロボットの実用化が現実となった時代。
より豊かな生活を求め、更なる発展のために、人間は益々ヒューマノイドロボットの開発に取り組んでいる。日常の規格は人間仕様に作られているため、ヒト型ロボットの需要が増してきているのだ。
教授は、自分の息子のための理想の母親像をインプットしたロボットを製造する。ところが自分を母親だと認めてくれたという感情が芽生えたとたん、母親ロボットは青白い炎を発して壊れてしまった。しかしこの青白い炎=エフェメラの発見により研究はまた一歩進んでいく。
一方、原発事故処理作業場では、原子炉内の燃料デブリ処理に人間への危機を察知できるようにと、ヒトに近づけたロボットを使っている。ロボットによる作業への期待を寄せつつも、実用に葛藤する人間の作業員たち。
街のあちこちでロボットが実用化され始めると、人間とヒューマノイドとの衝突が生じだす。共生という概念が必要なのだろうか。はたしてそれは可能なのだろうか。AIが人間の頭脳を超えていったとき、果たして人間のとるべき道は…。
田中壮太郎 笠木誠/宮下雄也 岡田あがさ 中村崇