真夏の大阪城野外音楽堂で今注目の11組が集結『MORNING RIVER SUMMIT 2017』をレポート
MORNING RIVER SUMMIT 2017
『MORNING RIVER SUMMT 2017』2017.8.19 大阪城野外音楽堂
8月19日、大阪・大阪城音楽堂にて毎年恒例の音楽イベント『MORNING RIVER SUMMT 2017』が開催された。出演は、嘘とカメレオン、A11 your Days、神はサイコロを振らない、クアイフ、Cloque.、DENIMS、日食なつこ、ハルカミライ、ビッケブランカ、緑黄色社会、LOCAL CONNECTの計11組。2008年のスタート以来、9回目を迎える今年も代金はたったの1000円! お得すぎるライブを思いっきり満喫しようと、会場には朝早くからたくさんの観客が集まった。これからの活躍に期待が高まるアーティストたちの熱いステージの模様をレポートをお届け。
開場前
嘘とカメレオン
最初に、主催であるキョードー大阪の川上氏がMCで登場。「いま観てほしいアーティストに出演を依頼した」とイベントに懸ける思いを語る。そして、トップバッターに登場したのは嘘とカメレオン! まず、渡辺壮亮(Gt&Cho)が、これから始まるステージに向けて、ねっちょりした“エェ声”で「こんな素敵な日には、最高にうるさい音楽を奏でたくなるのです。早い時間に集まったオマエラに、最高の景色を見せてやる! 覚悟しとけ!!」と叫び、1曲目「モームはアトリエにて」へ。初っ端からトップギア全開で、紅一点のチャム(Vo)が熱量高いステージングで会場を煽っていく。
嘘とカメレオン 撮影=日吉”JP”純平
続く「されど奇術師は賽を振る」、静と動を使い分けた楽曲に乗せる、憂いを感じる歌声が絶妙なハマりを見せる。さらに、メンバー5人の個性豊かすぎるパフォーマンスに観客は夢中になって彼らの姿を追い続ける。そしてステージはラスト「N氏について」へ。次々に変わりゆく音はどれも色彩豊かで、全4曲と短い時間ながらも確かな印象を残してくれた。
嘘とカメレオン 撮影=日吉”JP”純平
クアイフ
日差しが照りつける中、SEが鳴り響きゆっくりと登場したのはスリーピースバンド・クアイフ。森綾乃(Vo/Pf)が「MORNING RIVER SUMMT よろしく」と叫び、ピアノの綺麗な旋律と透き通る歌声が絶妙にマッチした曲調の1曲目「クロスハッチング」が披露されると会場からは歓声が上がる。そして続く2曲目では新曲であるアップテンポで爽やかな夏を感じさせる楽曲の「Imagination」で観客をさらに盛り上げていく。
クアイフ 撮影=酒井修平
MCでは「大阪! 暑すぎるくらい良い天気で良かった! 今日はいい1日にしましょう!」と言い放つと、野外の開放感と夏を感じさせる楽曲を披露していき、曲の途中では観客とシンガロングを行い一体感を高めていく。少しMCを挟み最後の曲では、「どうしても最後に伝えたい曲があります」と伝えしっとりとした楽曲の「good morning」を歌い上げると、次に出演する神はサイコロを振らないへと最高のバトンを繋げ、クライフのメンバーは笑顔でステージを後にした。
クアイフ 撮影=酒井修平
神はサイコロを振らない
この日のステージが初の野外イベント出演となった、神はサイコロを振らない。地響きのように迫る音をSEに、メンバーが静かにステージに姿を現すと、1曲目「秋明菊」から抒情的な詞世界を音で魅せていく。緩やかながらもしっかりと熱を帯びた楽曲は一音々々が確かに印象を残し、時折爆ぜるようなサウンドに思わずゾクっとしてしまう。
神はサイコロを振らない 撮影=日吉”JP”純平
「めっちゃ楽しいです!」と、柳田周作(Vo)は満面の笑みを浮かべつつ、初めての野外でのステージに力を貸してほしいと観客に言葉を投げかけ、3曲目「ナスタチウムの花」へ。凛とした歌声、ぐっと腹に響くリズムに呼応するように拳を突き上げる観客たち。ラスト「極彩」では「今日このステージに(バンドの)証を刻みに来た!」と芯から熱を孕んだ楽曲でバンドが表現する世界をしかと浸透させ、全4曲を走り抜けた。
神はサイコロを振らない 撮影=日吉”JP”純平
ハルカミライ
ハルカミライの登場を待ち望む観客が溢れた会場に、登場のジングルが鳴り響くと同時に会場から歓声が上がった。橋下学(Vo)がシャウトすると間髪いれず1曲目の「君にしか」がスタート。真夏の太陽の下でのロックなステージが幕をあけた。畳み掛けるようにアップテンポな楽曲を次々と披露。途中、橋下がステージ後方の台の上に登ったり、客席に突入に歌ったりと、ライブ序盤とは思えぬ程のアグレッシブなステージングで観客を魅了し続ける。
ハルカミライ 撮影=酒井修平
そして「今日、他の場所でフェスがいろいろ開催されてるけど、今日ここを選んで来てくれたみんなはセンスあるぜ。俺たちはロックバンドやりにきました! 見逃すなよ!」と言い放つと、荒々しくロックな演奏で会場のボルテージを最高潮にまで高めた。全8曲、最後まで全力で走り抜けたボリュームたっぷりでハルカミライらしいロックなライブを見せつけた白熱のライブであった。
ハルカミライ 撮影=酒井修平
A11yourDays
イベント前半も折り返し、5番手に登場したのはA11 your Days。今年7月にメンバー1人が脱退したばかりの彼ら、サポートメンバーを入れてのステージで展開するも、その堂々としたステージングで会場に大きな一体感を生み出した。1曲目「Bell」、メロディはポップながら開放感のあるピアノロックが耳にしっかりと馴染んでいく。
A11yourDays 撮影=日吉”JP”純平
華やかなUK(Key)のメロディが楽曲に彩りを添える「Stella」、SOGYON(Vo)の広く伸びゆく歌声と、滑らかな英詞が印象的な「Blue」を、夏の野外に映える楽曲を次々に投下。最終曲では「絶対オレたちのことが好きになる曲」と、「City」を披露。頼もしくも心弾ませる楽曲はバンドが持つ可能性をより大きく感じさせ、全5曲と短い時間ながらも、彼らの次の動きに期待せざるを得ないステージで楽しませてくれた。
A11yourDays 撮影=日吉”JP”純平
日食なつこ
ステージにセットされた楽器が太陽に照らされ眩しく光る中、白と黒のバイカラーのワンピースを着た日食なつこが登場。静かにマイクを手に取り、ステージセンターに立つとゆっくりと歌い出し、日食なつこの唯一無二の個性ある歌声が広い会場全体に響き渡る。そして、キーボードの前に立つと身体を大きく揺らしながら、感情を込めて鍵盤を弾きノスタルジックな雰囲気が漂う楽曲「あのデパート」を披露。
日食なつこ 撮影=酒井修平
続けて「ビッグバード」ではkomaki(Dr)の太く正確に刻むリズムが入り演奏にダイナミックさが増していく。その心地良いグルーヴに観客たちは笑顔と拍手で包み込む。楽曲ごとにキャラクターのことなった楽曲を披露していき、彼女の独特の世界観が会場を包んだ。確かな実力と世界観を持った歌唱力と楽曲のセンスを見せつけ、会場にいた全ての観客の心をグッと掴んだであろう、日食なつこらしい存在感を見せつけてくれた。
日食なつこ 撮影=酒井修平
緑黄色社会
西日が強く照りつけるなか、7番手に登場した緑黄色社会は開放感いっぱいの楽曲陣で盛り上げてくれた。1曲目「始まりの歌」はタイトルのままに、躍動感あるサウンドがこれから始まるステージに期待を募らせていく。続く「アウトサイダー」、peppe(Key&Cho)のメロディーが程よいスパイスを与え、楽曲の世界観をより立体的に感じさせ、長屋晴子(Vo&Gt)の歌声は女性らしさの中にも凛とした姿を感じさせる。
緑黄色社会 撮影=日吉”JP”純平
次曲「キラキラ」ではじっくりと心拍数を数えるような繊細なリズムが心地よく、楽曲の描く世界観が心にするりと浸透していく。ステージは後半に向けてより色彩豊かになり、あっという間にラスト曲「またね」へ。扉を次々に開け放つような、次の音がどんな表情なのか、より期待高まるステージングで魅せると全6曲のステージはあっという間に終わりを迎えてしまった。
緑黄色社会 撮影=日吉”JP”純平
Cloque.
蝉の鳴き声が響き渡る会場にSE流れると、メンバーがステージにゆっくりと登場。それぞれが楽器を持ちスタンバイすると、1曲目の「ハッピーエンド」がスタートすると、彼ら特有のロックでありながら聴きやすいメロディーと乗りやすいリズムに観客は身体を揺らし楽しんでいく。
Cloque. 撮影=酒井修平
1曲目が終わり、松村利彦(Vo/Gt)が「最後まで思いっきり笑っていきましょう!」と叫ぶと、ギターをかき鳴らしステージを走り回り飛び跳ねるなどアグレッシブなパフォーマンスを見せつけた。夏の暑さも吹き飛ばしてくれるような爽快な楽曲「君の声」やアップテンポ楽曲の「ポートレイト」を披露し会場を沸かせる。今回は野外という環境でのライブだったが、まるでライブハウスにいるような感覚にさせてくれた唯一無二の圧倒的なライブパフォーマンスで、生で体感する音楽の楽しさを全力で教えてくれた全5曲のCloque.らしいライブだった。
Cloque. 撮影=酒井修平
DENIMS
ダントツの心地良さで観客を酔わせたのがDENIMS。1曲目「It’s Me」からご機嫌なサウンドが全身に満ちていくのを感じる。続く「fools」「Goodbye Boredom」と、ゆるりとした空気の中にもしかと芯を当てていく極上のサウンドに観客は体を大きく揺らして応える。おかゆ(Gt)は客席フロアへ飛び降り、観客1人1人にぶつけるように音を弾いていく。リラックスした空気を作りこんだかと思えば、渋みを増したブルージーな音でびしっとキメてくるのもまた快感だ。
DENIMS 撮影=日吉”JP”純平
ステージは4曲目「おたがいさま」へ、シンプルながらもひとつひとつの音はしっかりと輪郭を描き、唯一無二の音世界を作りこんでいく。さらに「一緒に踊ってくれますか?」と「DAME NA OTONA」へ続く。観客とともにステップを刻み音を共有すると、ラスト「たりらりら」まで、昂る熱を臨場感ある音に代え、全7曲を一気に駆け抜けていった。
DENIMS 撮影=日吉”JP”純平
ビッケブランカ
日が沈みあたりも少し暗くなり始めた頃、ステージがオレンジのライトに照らされドラマーがリズムを刻み始めると軽快なステップと共にビッケブランカがステージに登場した。ファンキーなリズムの楽曲「Moon Ride」を1曲目に披露。ビッケブランカのしっかりとした歌声と透き通るようなファルセットボイスを使い分け歌う姿が印象的だ。そして、次々と軽快でハッピーな楽曲が演奏されていくうちに、先ほどまで座って見ていたオーディエンスも立ち上がり身体を揺らし楽しんでいる。
ビッケブランカ 撮影=酒井修平
最後に演奏された「ファビュラス」ではメンバーと観客が一緒に飛び跳ね最高の一体感を生み出す。高い演奏力とエンターテイメント性の高いライブパフォーマンスを披露し、限られた時間の中、彼にしか生み出せない圧倒的なパフォーマンスで観客の心に確かな軌跡を残していった。
ビッケブランカ 撮影=酒井修平
LOCAL CONNECT
8時間に渡る長いイベントもいよいよトリのステージへ。本イベント2回目の出演となるLOCAL CONNECTはリハーサルから「せっかく集まったんだから。LOCAL CONNECTが好きとか嫌いとか置いといて。前に出演した10バンド分の思いがあります。全員で(このイベントを)作らせてください」と、イベントに懸ける思いを熱く叫ぶ。そして始まったステージ、1曲目「スターライト」から全力のパフォーマンスで観客に真正面からぶつかっていく。心を揺らしに、掴みにかかるその思いがひしひしと伝わり、見ているこちらも思わず熱い拳を握ってしまう。続く「Gold」「優しい人」ではまーきー(Gt)のギターがうなりを上げると、ISATO(Vo)とDaiki(Vo&Gt)の歌声がより厚みを増して共鳴する。エネルギーはより大きく、オーディエンスもメンバーが作り上げる波に乗っかろうと必死になって喰いついていく。
LOCAL CONNECT 撮影=日吉”JP”純平
MCではイベントのトリを担うことへの責任感について語る彼ら。イベントに集まってくれた観客へ感謝の気持ちを伝えると、「(思いを)任せられる人間、音楽でありたい。今日はそれを証明したい。(みんなと)同じ目線で歌を歌うのが生きがい。あなたのど真ん中に歌っていきたい。命を振り絞って歌います」と、「コスモループ」へ。じわりと染み込んでいく楽曲、聴く者と心を交わろうとする彼らの心意気が伝わってくる。そしてラスト「フォルメイカー」、溢れる言葉をそのまま音に乗せ歌うISATOは感情昂り、客席へ乗り込んで声高らかに吠える。全ての出演者の思いを乗せて全力で魅せた5曲、ライブが終了すると観客からは大きな称賛の拍手が贈られた。
LOCAL CONNECT 撮影=日吉”JP”純平
この日のステージをきっかけにこれからの音楽シーンに大きく羽ばたいていくであろう11組のアーティスト、彼らの姿をぜひライブハウスで見届けてほしい。そして、すでに来年10回目の開催に向けた決意が決められているとのこと。来年もまたこのステージで、新しい音楽と出会えることを楽しみにしたい。
レポート・文=黒田奈保子(嘘とカメレオン、神はサイコロを振らない、A11 your days、緑黄色社会、DENIMS、LOCAL CONNECT) / けんじろ〜(クアイフ、ハルカミライ、日食なつこ、Cloque.、ビッケブランカ)
撮影=日吉”JP”純平(嘘とカメレオン、神はサイコロを振らない、A11 your days、緑黄色社会、DENIMS、LOCAL CONNECT)/酒井修平(クアイフ、ハルカミライ、日食なつこ、Cloque.、ビッケブランカ)