開催直前 “POLYSICS×四星球”が語る『OTODAMA’17~音泉魂~』ヘッドライナー座談会
POLYSICS×四星球 撮影= 大久保啓二
関西の名物イベンター清水音泉が毎年、大阪の泉大津フェニックスで開催する夏の野外イベント『OTODAMA~音泉魂~』が今年も開催される。9月2日(土)、3日(日)の両日で、初日に『夏フェス OR DIE!!!編』、二日目に『夏フェスというボケ編』というサブタイトルが付き、POLYSICSと四星球がヘッドライナーを務める。今回、両バンドのメンバー全員に集まってもらい、ヘッドライナーへの想いから出演者について、互いにどう思っているかなど、ざっくばらんに話してもらった。
POLYSICS×四星球 撮影= 大久保啓二
――せっかく、みなさんライブの衣装でお集まり頂いたのですが、U太君のみ衣装を忘れたという事なので特別バージョンで出て頂いています(笑)。まずは、それぞれヘッドライナーに決定した経緯などをお伺いしたいです。
北島康雄(四星球/以下、康雄):僕らは、自分から言ったんですよ。
ハヤシ(POLYSICS):それ観てたよ。
康雄:えっ、そうなんですか!2年前の『音泉魂』の露天風呂ステージに出演した時にヘッドライナーをやりたいとライブ中に言って…それも15周年となる2年後を指定したんです。それまでヘッドライナーをやりたいとか言ったことはなかったんですけどね。以前『MONSTER baSH』で僕らがヘッドライナーを務めたのを清水音泉の清水さんが観てくれていて、ライブ後に「もう一度ヘッドライナーで観たい!」と言ってくれたんです。だから、OK貰えるプロポーズをした感じですね。言ったらいけるやろ、みたいな(笑)。
ハヤシ:ウチらも今年20周年だから、ヘッドライナーをやりたかったんだよ。でも、今年の『音泉魂』出演者第一報のニュースを見て、“四星球かぁ!悔しい!”と思っててね。でも、その後で二日間開催される事になって、初日のヘッドライナーをオファーしてもらって、嬉しくて声を出して喜んだよ。僕らも『WORLD HAPPINESS』に先輩方に囲まれて出演した時に清水さんが観てくれていて、「ハヤシ君が影響を受けた人たちを集めた『ハヤシフェス』をいつかやりたいね!」と言ってくれて。そしたら今回がそうだからね!ありがとうございます!
POLYSICS×四星球 撮影= 大久保啓二
――ユニコーンや筋肉少女帯など、ハヤシさんが影響を受けたバンドが初日の同じ日に出ますもんね。
まさやん(四星球):言うたもん勝ち(笑)。
ハヤシ:絶対に言った方が良いよ!それも「3年後!」とか「4年後!」とか周年関係でやらしてくださいと(笑)。
まさやん:ははは(笑)。決まった後に、『OTODAMA’17~音泉魂~』の題字を書かせてもらったんですけど、僕はそれで実感が湧いてきましたね。僕が1人で書いたものと4人で書いて混ぜたものと二種類を送ったら、僕1人で書いた方が選ばれたんです。4人で書いたのはそれぞれの個性が出ていて良かったんですけどね。意外と清水音泉は保守的だなと思いました。
康雄:いやいや、4人で書いたのがバラバラ過ぎて、デザインに合わなかっただけ(笑)。
まさやん:あと、僕らが初めて『音泉魂』に出演した時は本編のステージではなくて「SET YOU FREEテント」でしたから。そこも背負ってますし、ちょっとしたシンデレラストーリーだと思うんです…言いすぎですかね(笑)。
まさやん(四星球) 撮影= 大久保啓二
――言いすぎではないですよ!フミさんは、いかがですか?
フミ(POLYSICS):嬉しかったですけど、「まさか!」でしたね。「ほんとに大丈夫?」と聞きたくなるくらいびっくりしました。でも、こうやってプロモーションでキャンペーンを廻って、ようやく実感が湧いてきましたね。てか、フェスのヘッドライナーでキャンペーンを廻るのも面白くて(笑)。
フミ(POLYSICS) 撮影= 大久保啓二
――他のフェスでヘッドライナーがキャンペーンを廻るって、聞いた事ないですからね(笑)。
モリス(四星球):僕はヘッドライナーに決まった後も清水さんが応援してくれていて嬉しいです!鰤シャブにも連れて行ってもらったので。
康雄:鰤シャブを食べたいってずっとお願いしてたら連れて行ってもらえた(笑)。
モリス:「何でも言う事聞くよ!」と言ってもらったので、スピッツとの対バンと鰤シャブをお願いしたのに…結局スピッツの出演はなく…それなら最初から鰤シャブを諦めて、ずっとゴミを食べてでもスピッツと共演したかったです。
康雄:ゴミを食べるヘッドライナーのフェスに、スピッツが出てくれるわけない(笑)。
ハヤシ:逆に出てくれるかもよ!
ヤノ(POLYSICS):面白いね~(笑)。
モリス:面白がってないで、ヤノさん次しゃべってください。
ヤノ:あっ(笑)。俺も純粋に嬉しかったです。何よりハヤシ少年が喜んでいますよ!
ハヤシ:ハヤシ少年は喜んでいるだろうな~。人生初の日本武道館ライブがユニコーンで、2回目の武道館が筋肉少女帯だったからね。
――それは本当に感慨深いですよね。U太君は、いかがでしたか?
U太(四星球):それはもう嬉しかったです。嬉しいですけど、歴代のヘッドライナーを見てたら、普通にやってもアカンなと。どう攻めるかをずっと考えていますね。基本的に面白いイベントなのでハードルが高いんですよ。
U太(四星球) 撮影= 大久保啓二
――今年は露天風呂ステージとは別に、メインのステージが左右セットの2ステージ制になりまして、それも右湯・左湯(後に「ジャパンの湯」「KOHYOの湯」とステージ名がスーパーマーケットの店名に進化)なんて愉快な名前がついてますからね(笑)。
康雄:僕らは2日目なので、ハードルがより上がってますからね。ポリ先輩が(ハードルを)上げた後なんで。それに、他のフェスでもあれやった、これやったとなるので、1回やった事はやれないんです。もちろん過去に『音泉魂』でやってきた事も出来ないですからね。
――それは無茶苦茶ハードルが上がりますよね。今年は特に出演者も例年以上にバラエティー豊かになっていると思います。
康雄:メンツが面白いですよね。今年はこういう攻め方をしてきたかと。2日目で言うとBRAHMANと銀杏BOYZも出演しますしね 。こういう人たちが出た後のどよめきはイベントの最後まで残ってますし、消そうと思っても消せないものを残す人たちですから。中高生時代にドンピシャだった憧れの人たちとやると、その雰囲気に引っ張られるんですよ。引っ張られながらも、コミックバンドをやっているところを観て欲しいですね。で、僕らの後、ガガガSPがクロージングアクトに出るんですよ。あの時間、一度終わって向こう側にいったテンションを持ったお客さんに、「これぞ祭り!」というライブをしてくれる先輩ですからね。でも、いつまでも先輩、先輩とも言ってられないので、それを見越して、打倒の気持ちを持って輪をかけたライブをやってやろうかと。
POLYSICS×四星球 撮影= 大久保啓二
――いいですね…。ハヤシさん的に今回のメンツはいかがでしょう。
ハヤシ:とにかくバラエティーに富んでいて、クセが凄い(笑)。でも、初出演の人を踏まえてみても、ちゃんと最終的には『音泉魂』カラーになっている。特に初日は大先輩たちから若手でお馴染みのOKAMOTO’S、フレッシュなフレデリックや岡崎体育もいてのPOLYSICSなんでね。だからこそ、意識しすぎない方がいいかなと。いつもの自分たちを見せる方がいい。“ヘッドライナーをやる”、それがスペシャルな演出だと思ってるし、とにかく観て良かったと言ってもらいたい。“夜ポリ”を見せたいかな。
ハヤシ(POLYSICS)撮影= 大久保啓二
――フェスでのポリは早い時間帯のイメージがありますもんね!
ハヤシ:そう、だからこその夜ポリなんだけど、カッコイイこと言うのは下手で噛んじゃうから(笑)、いつも通りにいきたい。それにユニコーンからのポリだからね。引っ張られないようにしたい。プレッシャーはあるけど、楽しみたい。
康雄:引っ張られ過ぎてはいけないですけど、引っ張られるという感覚を持つのは悪い事ではないですから。逃げてないって事なので、いい事なんですよ。
フミ:憧れの先輩は出るけど、それどころじゃないから、自分たちの事で。考え過ぎないようにしたい。
ヤノ:いつも通り、やりたいですね。そう言い聞かせます。
U太:2日目でいうと、僕らみたいに『音泉魂』の緩い空気を知っているバンドの中に、BRAHMANや銀杏BOYZや打首獄門同好会みたいに新しく出る人たちもいて…そういう変化をお客さんがどう楽しむんやろうとか(笑)それが楽しみ。今年は全てがグチャグチャになりそう!
POLYSICS×四星球 撮影= 大久保啓二
――せっかくなので互いの印象や感想もお伺いしたいです。
ハヤシ:四星球は作りこんでいるけど、自由にワチャワチャやるところもあって、そこが面白いよね。あとは普通、ギターとかって自分の音を主張したいんですよ。でも、四星球は康雄君の声をバンドメンバー全員が一番大切に考えている。そこが素晴らしい。バンドで大切にする順序って、色んな形があるなって思いましたね。
康雄:そんなとこまで観てもらえて嬉しいですね…。ポリは今年の『MONSTER baSH』でハヤシさんが「戻ってくる」という意味の四国の方言「もんてくる!」をMCで使ってくれて。僕からしたら15年くらい前の17歳の時にお客さんとして観ていたので、「あのハヤシが“もんてくる”言った!」みたいな気分になったんです。で、その頃からハヤシさんは変わらないんですよ。ずっと面白いもんを作り続けているイメージがあるし、円谷プロとコラボもしたりするじゃないですか。全く留まってないんですよ。あと、メインカルチャーとサブカルチャーのど真ん中をいっているんです。そこが気持ちいい。サブカル的要素でメインを壊し、メイン的要素でサブカルも壊す。で、昔からですけど、どこのシーンにも属していない感じも好きなんです。
ハヤシ:軸は変わらないんだけどね。
康雄:お客さんから集めた「トイス!」っていう声で変な曲を作って、それをメジャーのレコード会社から出すわけじゃないですか。
北島康雄(四星球) 撮影= 大久保啓二
――アイデアとしては偏ったものだけど、それでど真ん中を攻めているのが良いですよね。まさにカウンターカルチャーですね。
康雄:そうなんです!だから、20年やってても、お客さんが飽きないんですよ。
ハヤシ:見た目が変わらないから髭を生やそうかなとか、落ち着きがないなとか、20年やってるぽくないなとか、悩んでいた事もあったから、そう言われるのは嬉しい。
康雄:実はつい最近まできちんと喋った事がなかったんですけど、あのステージ上の感じを観ている限り頭がおかしいネジの取れた人なんだろうなとは思ってましたね(笑)。
まさやん:僕も怖い人だと思ってました!
ハヤシ:みんなそれ言うよね!
まさやん:見た目が無機質なのに、ライブは激しいじゃないですか。でも実際に喋ったらギャップがあって、人間なんだなと(笑)。
――フミさんの四星球への印象なども教えて下さい!
フミ:こないだ『MONSTER baSH』で観たばかりなんですけど、凄く感動しました。馬鹿馬鹿しいことにかけてる労力や気合が凄いから…。楽屋(での仕込み)を観てのステージだったしね。
ハヤシ:四星球は、どれだけ出番が遅くても入り時間が早いから。楽屋で小道具の大量のビーチボールをみんなで膨らましているしね。あと、ローションを仕込んだりとか(笑)。
フミ:ローションとかあるんだけど、感動して泣けるから不思議。
ハヤシ:昭和のバラエティーなんだよ、全力感がね。
康雄:80年代や90年代の昭和バラエティーが好きなハヤシさんに面白いと思われなかったら駄目ですから。
POLYSICS×四星球 撮影= 大久保啓二
――四星球のライブは、元ネタを知っている人も興奮するし、元ネタを知らないキッズ世代も興奮できるんですよね。
ヤノ:緻密に練られたモノだし、凄い真剣にやっているから、やっぱ凄いなと本気で思いますね。
――モリス君は逆にいかがですか?
モリス:楽曲はもちろん、どこを取ってもポリなんですよ。言語感とか凄いし、強烈な個性で突き進んでいる。どの角度から観ても凄いです…。あっ、ヤノさんは普通にいい人です!
ヤノ:可も無く不可も無い言い方だけど、ありがとう(笑)。
康雄:華があるんですよ。『MONSTER baSH』でチャットモンチーのあっこと(ポリのステージを)観てたんですけど、「こういう音楽をやっているのに、華があるって凄いな」とふたりで話してたんです。それにはヤノさんが必要なんですよ。スリーピースって真ん中のドラムが客席から抜けで見えるじゃないですか。
ヤノ:ありがとう。がんばる!
U太:華があるのは勿論で、キャラクターのバランスが良いんです。凄いピュアで無邪気なハヤシさんがいて、姉御なフミさんがいて、クールで機械みたいなヤノさんがいる。無理して作られていなんですよ、キャラクターが。ちゃんと根底にあるキャラなんですよ。ハヤシさんは、やっぱサイコパス感が出ていますしね!
ハヤシ:サイコパスって!!
U太:フミさんは酒乱感もあるんですよ!だから、サイコパスと酒乱と機械のバンドですね(笑)。
――それは褒めているのでしょうか!?(笑)たくさん良い話が聴けました!とにかく、9月2日と3日を楽しみにしています。ありがとうございました!!
POLYSICS×四星球 撮影= 大久保啓二