名古屋「大須演芸場」が待望の復活!
大笑いを誘った口上と“大阪締め”で、人気落語家が再開を祝福
新生「大須演芸場」の杮落としに東西の落語家が集結! 華々しいお練りも
江戸時代から大須観音の門前町として発展し芝居小屋が立ち並ぶなど、<芸どころ名古屋>のメッカとして栄えてきた大須。現在は、商店街を中心に軒を連ねる古着や雑貨、電化製品、アニメ関連グッズなどを扱うショップから多彩なB級グルメ、古くから存在するお寺、小劇場、メイド喫茶まで多彩な文化が入り乱れ、東京でいう“秋葉原や下北沢、浅草などが混在した街”と称されることも。
そんな名古屋の一大繁華街に、今から半世紀前の1965年、落語や漫才、講談などが行われる名古屋で唯一の常設寄席として「大須演芸場」が開場した。かつては連日賑わいを見せ、若手時代のビートたけしや明石家さんまなども出演していたが、時代の流れとともに客足は減少。度重なる経営不振と建物の老朽化のため、惜しまれつつ2014年2月に閉鎖された。
その後長らく復活が待たれていたが、この秋ようやく大改修工事を経て再開の運びとなり、新たな経営体制の整った“新生”「大須演芸場」としてよみがえったのだ。最高顧問には、故・初代林家三平の妻で「ねぎし三平堂」堂守の海老名香葉子が就任。今後は、毎月1日~10日は定席寄席、11日~末日は大衆芸能や古典芸能、演劇、音楽、舞踊などの貸席により多彩な演芸を継続して行うことで、名古屋における文化繁栄の拠点を目指すという。
9月22日(火)、ついに迎えた杮落としは快晴の空の下まさにハレの門出となり、朝9時から大須観音でご祈祷の後、境内大階段でセレモニーが行われた。司会は春風亭昇太、林家たい平が務め、賑やかな大須太鼓に続く挨拶では、新たに運営を行う一般社団法人大須演芸場代表理事の澤木孝夫や、名古屋市長の河村たかしらが登壇。市長はおなじみの名古屋弁で再開の祝福を述べ、「演芸場を毎日満員にせにゃいかんで、皆さん。わかっとる?」と、観衆に来場を呼びかけた。
河村市長(中央)と来賓の方々
そしてお待ちかねの東西落語家や地元芸人など、豪華な顔ぶれが登場。上方落語協会会長・桂文枝は、「大須演芸場が復活いたしまして、大変喜んでおります。これから東西の落語家が一丸となって演芸場を盛り上げますので…皆さん一緒にご唱和願います。大須演芸場へ、いらっしゃ~い!」と場を沸かせた。続く師匠らの紹介では歌や芸の披露も盛り込まれ、境内からあふれんばかりに集まった群衆から拍手喝采と笑いの渦が。さらに地元アイドルOS☆Uが華を添え、地元芸人も拠点復活の喜びを述べた。
落語家協会会長・柳亭市馬ら12名の落語家が登壇
セレモニー参加者全員で記念撮影
続いて、境内の前から始まったお練り道中では、セレモニー参加者が商店街のアーケードなど「大須演芸場」に至る約1kmの道のりを約40分かけて練り歩き、ファンや見物客らとふれあった。到着した「大須演芸場」は、これまでの古びた佇まいとは一変、外装や内装、設備は新しく整えられているが、場内の配置や2階の桟敷席などはかつての雰囲気が残されているので、初めて訪れても歴史の一部を感じることができるはずだ。
お練り道中の様子
ファンとの熱いふれあいも
お練り道中到着後、演芸場前にて
そして午後1時からいよいよ始まった杮落とし興行は、満員御礼、立ち見客もギッシリの中、進行役の林家錦平を含む落語家10人の口上で幕を開けた。今回の再開にあたり尽力した林家三平は、「去年の秋、オーナーと実行員の方が「ぜひとも寄席を再開したい」と母・海老名香葉子のところへ相談にいらしていただまして、母から「あんた、誰か頼りになる友達はいないの?」と言われたんです。それで携帯電話を出し<友達>の欄で一番最初に目に入ったのが桂文枝師匠だったわけです。すぐにスタンプを送りまして、「師匠、助けてください」と。「わかりました、明日伺いましょう」ということで、今回の話がトントン拍子に決まったというわけでございます」と、笑いをまじえながら今日に至る経緯を明かした。
中入りには明石家さんまのビデオメッセージやビートたけしの祝辞も披露され、切符を手にした幸運な観客は4時間たっぷりと口演を堪能。夜には名古屋芸人開場特別寄席も行われ、再開の華やかな一日は終幕した。今月30日までは開場特別寄席、来月1日から10日までは通常寄席が行われ、こちらも多彩な芸人が出演予定なので詳細はHPで確認を。今後もさまざまな演芸を楽しめる「大須演芸場」を、どうぞご贔屓に。
装い新たな「大須演芸場」
【セレモニー・お練り・寄席 出演者】
◆江戸より
柳亭市馬、林家木久扇、三遊亭好楽、林家正蔵、林家三平、林家ペー(余談漫談)、江戸家猫八(ものまね)、林家木久蔵、三遊亭王楽、勝丸社中(獅子舞)
セレモニー・お練り道中/春風亭昇太、林家たい平
◆上方より
桂文枝、桂ざこば、桂文福、桂米團治
◆地元より
旭堂左南陵、雷門獅篭、雷門幸福、古池鱗林、柳家三亀司、三木ひろし、OS★U(大須アイドル)
所在地:名古屋市中区大須2-19-39
開館時間:9:00〜21:30
アクセス:名古屋駅から地下鉄東山線で「伏見」駅下車、鶴舞線に乗り換え「大須観音」駅下車、2番出口から徒歩3分
問い合わせ:大須演芸場 052-222-0428
大須演芸場 公式ホームページ:http://www.osuengei.nagoya