『中川晃教コンサート2017 〜Seasons of love〜』開幕! ミュージカル初出演・初主演を果たした“思い出”の場所・中日劇場公演をレポート
中川晃教
『中川晃教コンサート2017 〜Seasons of love〜』 2017.9.14(Fri)中日劇場
ライブと演劇の境界を超えた“ここにしかない”中川晃教の歌、その表現の可能性を追究する『Live Act』シリーズの最新型『中川晃教コンサート2017 〜Seasons of love〜』が9月14日(金)に中日劇場にてスタートした。この後、新歌舞伎座、明治座へと続くステージ初日の模様をお届けする。
佐藤和哉
緞帳が上がり聴こえて来たのは、佐藤和哉の篠笛の旋律。そして真っ赤なコスチュームに身を包んだ杉浦ゆらがその音色に合わせて踊り出す──「なるほど、ふたりは今夜の水先案内人。私たちはここから違う世界に向かうのだな」などと考えつつ体温伴う篠笛の独特なメロディーに身を委ねるうち、どことなくシノワズリなムードが漂えば……この日の一曲目、男と女のソリッドなドラマが綴られる「チャイナガール」で中川が登場! ノスタルジックだが近未来的でもある篠笛の響きと中川のハード目なボーカルが織り成す、ドラマティックな幕開けだ。
中川晃教
中川晃教
曲が終わり、ゆっくりと景色が変わるように朗読が始まった。寺山修司『お月様の瓶詰』。パートナーは、自身もミュージシャンで中川のレーベルメイトでもある伊礼亮。伊礼の少年のように弾みのある“詩人の声”は中川との掛け合いにふくよかさを与えてくれ、ふたりの放つ言葉から物語の情景がありありと脳内に立ち上がっていく。
伊礼亮
バンドメンバーの演奏をBGMに語られるのは、やさしさと温かさとさみしさが同居する、ちょっと不思議な恋を綴った詩、もしくは短篇童話。ここでは一篇語り終わるごとに中川の歌が始まるというミルフィーユな構成。「このお話のあとでこの歌ね。なるほど!」と、物語と歌が絶妙に重なり合う選曲の妙はぜひ生で感じて欲しい。
中川晃教
3つのストーリー、3つの歌を披露したところで、本日最初のMC。トークはあいさつからやがて2018年3月末で建て替えが始まる“中日劇場の思い出”へ。そう、この劇場は、2002年に中川がミュージカル初出演・初主演を果たした『モーツァルト!』の最初の公演が行なわれた場所。空間に積もる時間に思いを馳せ、「あの頃を思い出して……」と魂を込めて歌ってくれた劇中ナンバー「僕こそ音楽」を筆頭に、ここからはインタビューでも告知していた「Walking in the Rain」「オン・ブロードウェイ」(『ビューティフル』より)、「Can't Take My Eyes Off You(君の瞳に恋してる)」「Who Loves You(愛はまぼろし)」(『ジャージー・ボーイズ』より)など、浅井信好のコンテンポラリーダンスとのコラボレーションも交えながらのミュージカルゾーンへ突入だ。
中川晃教
大きな大きな手拍子に包まれ、次第に頬が紅潮していく中川。客席の熱も着実に上がっている……ところですかさず「よし、せっかくだからここからは立ちましょう。無理をしない程度に(笑)」と、中川自らスタンディングも解禁! 続くオリジナルナンバーの連打で盛り上がりも最高潮。エンディングまで一気に駆け抜けた。
中川晃教
“歌を聴く”というよりは“歌に包まれる”という感覚にしてくれるアッキーマジックたっぷりのコンサート。オリジナルもスタンダードもオールディーズも、中川が歌えばすべてが“今の歌”となり、時空を超えて輝きを放つ。また、MCで「ずっと前から中川の歌の世界観でドラマ、映画……なにかを創れればという野望がある。ぜひ一緒に創って下さい」とも語っていたように、そのクリエイティビティも惜しみなく発揮。独りでたまたま入った見知らぬBARでの不思議なひととき、とでも言うような日常の浮遊感が味わえたリーディング、観劇中のワクワクとした思いが一気に甦るミュージカルコーナー、ライブハウスで音と一体になって愉しむようなストレートなライブの時間。“Seasons of love”をテーマにそれぞれに手触りの異なる表現を2時間の中に巧みに詰め込み、満足度の高いショーにまとめあげているのはさすが! 丁寧に大胆に、今興味の向いていることを観客に届けて行こうという旬の気持ちの爆発を、オーディエンスは確実に受け取っていた。
中川晃教コンサート2017 〜Seasons of love〜
レポート・文=横澤由香 撮影=宮川舞子
【大阪公演】
日時:2017年9月24日(日)17:00開演
会場:新歌舞伎座
【東京公演】
日時:2017年10月1日(日)17:00開演
会場:明治座
【神奈川公演】
日時:2017年12月14日(木)~12月17日(日)
会場:KAAT神奈川芸術劇場 ホール
公演日程:2018年1月20日(土)
【長野公演】
公演日程:2018年1月26日(金)・1月27日(土)
会場:サントミューゼ
会場:大阪 新歌舞伎座
【愛知県】
日時:2018年2月15日(木)~2月16日(金)
会場:刈谷市総合文化センター 大ホール
【東京公演】
日時:2018年3月2日(金)~3月12日(月)
会場:TBS赤坂ACTシアター
原案・作詞・演出:ラサール石井
脚本:倉持裕
作曲・音楽監督:玉麻尚一
振付:川崎悦子
出演者:哀川翔/相葉裕樹/橋本じゅん/青木さやか/池田純矢/今拓哉/芋洗坂係長/オレノグラフィティ/陰山泰/岡田誠/河本章宏/新良エツ子/井上珠美/外岡えりか/福永吉洋/大竹浩一/森内翔大/香月彩里/谷須美子/伊藤結花/小林佑里花/大空ゆうひ/中川晃教
ミュージシャン:中野裕子/川上鉄平/副田整歩/一本茂樹/萱谷亮一
■公演公式HP:http://m-headsup.com