朝海ひかるインタビュー「生で見ないのは絶対に惜しい」 舞台『黒蜥蜴』への想いを語る
朝海ひかる 撮影=中田智章
2018年1月に開幕する舞台『黒蜥蜴』。江戸川乱歩の長編探偵小説で、1961年に三島由紀夫が戯曲化した本作品は、三島が残した戯曲の中でも最高傑作のひとつと称されている。家政婦ひな役として出演が決まった朝海ひかるに作品の見どころや意気込みを聞いた。
朝海ひかる 撮影=中田智章
――今回は、一代で財を築いた宝石商の岩瀬家に仕える、家政婦のひな役を演じられます。役どころとしても“初挑戦”ですね。
そうですね。役名としては“老家政婦ひな”となっています。戯曲を知っている方は、この人物がどういう人物か分かっていると思いますが、知らない方は知らないまま見ていただいて、ぜひ楽しんでいただきたいですね。とにかくこの人物が唯一筋が通っているのは、台所が大好きというところ(笑)。お台所仕事に命をかけているキャラクターなので、その辺を大事にしたいですね。
――以前、SPICEのインタビュー「女優・朝海ひかるが語る役者人生「これまでの10年、これからの10年」~女優10周年ツアーDANCE LIVE「will」に向けて」でも、“役柄の幅を広げたい”と仰っていました。
はい。この役は単に老人の役でもないのです。奥にあるもう一つの物語というものに、演じる上で興味を持ちましたし、とても挑戦させていただく役としてはこの上ない役をいただいたなと思っております。
――本稽古に入る前に、3日間ワークショップをやられたそうですね。演出家のデヴィッド・ルヴォーさんの印象を教えてください。
製作記者会見の雰囲気でも感じていただいたと思いますが、とても和やかな素敵な方です。(今回、明智小五郎役で共演する)井上芳雄さんが『ルドルフ ザ・ラスト・キス』(2012)で、ルヴォーさんとご一緒した時のお話を聞きまして。当時を振り返って井上さんは「本当に僕ルヴォーのことが好きになっちゃって」と仰っていたので、本当に素敵な方なんだなと思いました。ワークショップは3日間だけでしたが、ルヴォーさんの演出のつけ方やお芝居をつくっていく手腕というか、考え方というか、そういうものを感じることができました。とてもフレッシュでありながら、イギリス出身でいらっしゃるので、ちゃんとシェークスピアの昔ながらの演劇論が土台にあって。人間同士のドラマを大事にされていて、そこを浮き彫りにしていく演出の仕方だと思いました。見ていても楽しかったですね。朗らかな雰囲気の中でも、どんどん役者を向けたい方向に導いていく力をお持ちで、本当に素晴らしいなと思いました。
朝海ひかる 撮影=中田智章
――本稽古への期待が高まりますね。
そうですね。ワークショップが終わった時に、みんな「本稽古が始まる12月が楽しみだよね」と言っていました。その言葉通り楽しみにしています。
――黒蜥蜴役として主演される中谷美紀さんの印象を教えてください。
ドラマで拝見している中谷さんは本当にパーフェクトという感じで、女性が憧れる女性。とても手の届かないイメージだったのですが、ご自身、本当に朗らかでフレンドリーな方だったので、すごくびっくりしました。共演するキャストの名前もいち早く覚えてらっしゃって、仕事をやる上で、人との交流をとても大切にされている方だなと思いました。
――明智小五郎役の井上芳雄さんについての印象はいかがですか。
井上さんも初めての共演です。井上さんは、優等生で、非の打ち所のない方というイメージがあったのですが、意外にボヤくところはボヤくし、抜くところは抜いているんですよ(笑)。あぁうまい具合にやってるなぁと、ワークショップで感じました。「ワークショップが嫌い。なるべくなら一生ワークショップをせずに暮らしたい」なんて仰っていたんです(笑)。でもそんなこと言っておきながらも、やる時はバシッとやるので、ある意味ずるい方だなぁと思いながら、ね。「勉強していない、していない」と言いながらテストで100点を取ってしまうような感じ(笑)。完璧と思っていても、ちゃんと人間味がある話しやすい方だなぁと思います。中谷さん、井上さんのお二人を始め、本当に素敵な方とご一緒できるのはありがたいことです。
朝海ひかる 撮影=中田智章
――最後に作品の見どころとファンへメッセージをお願いします!
『黒蜥蜴』という作品は、セクシーでグロテスクな表現というイメージが強いですが、人間の真髄のようなものを浮き彫りにする作品だと思っています。見ている方はとても深く自分に向き合うこともできると思います。さらに、ルヴォーさんの演出によって戯曲以上の作品になるような予感がしているので、ぜひお楽しみに。中谷さんの美しい『黒蜥蜴』を生で見ないのは絶対に惜しいと思いますので、ぜひ劇場にお越しいただけたらと思います。
朝海ひかる 撮影=中田智章
ヘアメイク=arie miyazawa (gem hair&makeup)
インタビュー・文=五月女菜穂 撮影=中田智章
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■原作:江戸川乱歩
■脚本:三島由紀夫
■演出:デヴィッド・ルヴォー
一倉千夏、内堀律子、岡本温子、加藤貴彦、ケイン鈴木、鈴木陽丈、滝沢花野、長尾哲平、萩原悠、松澤匠、真瀬はるか、三永武明、宮菜穂子、村井成仁、安福穀、山田由梨、吉田悟郎(50音順)
■公演日程:
東京公演:2018年1月9日(火)~ 28日(日)日生劇場
大阪公演:2018年2月1日(木)~ 5日(月)梅田芸術劇場メインホール
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■一般発売中
■料金
東京公演 S席 12,500円 A席 9,000円(全席指定)
大阪公演 S席 12,500円 A席 9,000円 B席 5,000円(全席指定)
■企画・制作:梅田芸術劇場
■問い合わせ(10時~18時):梅田芸術劇場 0570-077-039[東京] 06-6377-3800[大阪]
■公式サイト
http://www.umegei.com/schedule/634/