圧倒的な存在感を示すSurvive Said The Prophet、渾身のライブで古都が沸騰

レポート
音楽
2017.9.29
Survive Said The Prophet

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『WABI SABI TOUR 2017』
 2017.9.24(SUN) 京都MUSE

ラウド、パンク、エモetc.…。多ジャンルをミックスした独自のロックサウンドで今、国内外から注目を集めるSurvive Said The Prophet、通称・サバプロ。彼らが8月2日に3rdアルバム『WABI SABI』を引っ提げたツアー『WABI SABI TOUR 2017』を9月よりスタートさせた。そこで今回は、全10か所を巡るツアーの4か所目となる9月24日に行われたKYOTO MUSEでの公演をレポート。秋の肌寒さを吹き飛ばし、熱帯夜を呼び込んだ古都の夜を報告しよう。

Survive Said The Prophet

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開演定刻の18:00。会場にまず姿を現したのは今ツアーに同行するサポートアクト、NoisyCellだ。頼もしい切り込み隊長は、跳ねる、回る、大開脚のエネルギッシュなパフォーマンスで、オーディエンスをリードし、あっと言う間に沸騰させる。歌心もノイジーに表現する衝動も壮大さを覚えるサウンドも出し惜しみなく響かせれば、会場もクラップにシンガロングにとライブの醍醐味を早くも満喫。全5曲ながらも、全員が既に汗だくといった様相になる。
そんなホットなバトンを受け取り登場したのは、今夜のゲストアクトのSHADOWS。初っ端からエンジン全開のショートチューンでサークルモッシュを生み出すと、さらにHiro(Vo)が「叫べ!」「拳を挙げろ!」と煽り、「Oi!Oi!」のコールも高まるばかり。また、時にラップテイスト、時に抒情的にと表情を変えるボーカルや徐々にスピードアップするドラムで観客を揺さぶると、Hiroの「サバプロも俺たちも進み続けた結果の今日のKYOTO MUSE…」という言葉でファンのハートを打ち抜き、サバプロのステージへの期待を高めさせていく。気づけばフロアはキラキラした笑顔にあふれていた。

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そして、2バンドが生み出した熱気が、今にも爆発を起こしそうなムードのなか、ニューアルバムでも1曲目の「WABI」が鳴り始め、ついにサバプロがステージに! Yosh(Vo)の「Come on! 待ってたぞ!!」の第一声でスタートし、「Lost in Time」の静から動への美しい展開とメロディアスなサビで1曲目からシンガロングが発生。さらに「Network System」でも歌声が会場から響き、耳に残るサビや畳み掛けるボーカルに高揚させられる。

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「Fool's gold」では大きなバウンドもヘドバンもありで、序盤から楽しみどころがめじろ押しだ。もちろん「とことん楽しんでいきましょう!」(Yosh)とメンバーも早々に高まった様子。バンドの名の由来を熱っぽく語り「後悔のないように…。この曲を!」と「When I」へ。R&Bのメロウさも漂わせた“聴かせる”この曲には、観客の伸ばした手が左右に大きく振られる。またほほえみを見せたり体全体を使ったりと、“伝えたい!”という強い気持ちで曲に向き合うYoshの姿も印象的で、広がりあるナンバーはスタジアムで聴いているような気分にさえなる。

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続く「Conscious」でも語りかけるような歌声が会場中にじわりと浸透し圧倒される。頷きながら聴く者、思い切り手を伸ばす者、観客は思い思いに、そして全力で曲を受け止めている。ただラウドでアッパーなだけでなく、こんなくっきりとした心の動きが見える瞬間もあるのが、彼らのライブの真骨頂なのかもしれない。

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だが、ここで空気を変えるMCタイムへ。主役はYudai(B&Scream)だ。舞台中央に立ち「ちょっと失礼します!」と口上チックに切り出すと、「Yudai!」の声が会場から掛かる。「WABIってる? SABIってる(笑)?」とYoshもYudaiと掛け合ってアットホームなムードに。そしてこの空気感から上昇するようなナンバー「Subtraction」で突き抜けると、今度は「Ashes,Ashes」の重厚感で支配。光の中に浮かび上がるメンバーのシルエットが目に焼き付く。

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すると「[ ]」のピアノで静かで清らかな世界も広げ、アコースティックギターで「Listening」に。タイトルよろしく、Yoshのスモーキーな声の良さが際立ち、切ないメロディが琴線に触れるナンバーには思わず誰もが聴き入る。なかには涙をぬぐうファンもいる程だ。さらに続くMCでYoshが、かつて「続けることに意味があるんだよ!」という言葉をくれたSHADOWSのHiroとKazuki(G&Vo)への感謝の思いも明かし、「こうやって音楽を続けられるのは奇跡です」と熱いひと言を残す。そしてライブはいよいよラスト2曲のスパートへと突入する! 

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まずは鳴り出したのは「Again」。ピアノのイントロから始まる緩急ある楽曲に、ラフなボーカルとヨコユレ感も入り混じり熱を放出。そこからダメ押しの「Mirror」でよりエモーショナルに。ファルセットとシャウトを同居させながら、途中にはYoshがノーマイクで歌うというひと幕も! 加えてミラーボールの反射がフロアに星の光のように降り注ぐ……そんな、なんともドラマチックな光景を見せ付けて5人はステージを後にした。

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しかし当然熱が下がらない会場には、アンコールの大拍手が起きる。それに対するサバプロからの回答は、アグレッシブに「Spectrum」だ。大合唱からクラップ、そして拳を握って「Oi!Oi!」のコールへと続く。最後の最後にこれでもか! と見応え聴き応えあるナンバーを思い切り轟かせ、全11曲、一瞬たりとも目を離すことができない圧巻のステージは終了した。今回のライブの充実度を物語るように、Yoshが去り際に見せた上気した顔とピースサインは、今日の観客だけの宝物になったことだろう。

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レポート・文=服田昌子 撮影=Hiroya Brian Nakano

イベント情報
"WABI SABI TOUR 2017"
10月4日(水)札幌cube garden
10月5日(木)盛岡CHANGE WAVE
10月6日(金)仙台MACANA
10月13日(金)名古屋APOLLO BASE
10月14日(土)大阪Pangea
10月19日(木)恵比寿LIQUIDROOM
 

 

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