シンセ番長齋藤久師が送る愛と狂気のコラム『沼コラム』 第二十二沼(だいにじゅうにしょう) 『UNKO沼Ⅱ!』
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沼。
皆さんはこの言葉にどのようなイメージをお持ちだろうか?
私の中の沼といえば、足を取られたら、底なしの泥の深みへゆっくりとゆっくりと引きずり込まれ、抵抗すればするほど強く深くなすすべもなく、息をしたまま意識を抹消されるという恐怖のイメージだ。
一方、ある物事に心奪われ、取り憑かれたようにはまり込み、その世界にどっぷりと溺れることを
「沼」
という言葉で比喩される。
底なしの「収集」が愛と快感というある種の麻痺を伴い増幅する。
これは病か苦行か、あるいは究極の癒しなのか。
毒のスパイスをたっぷり含んだあらゆる世界の「沼」をご紹介しよう。
第二十二沼(だいにじゅうにしょう) 『UNKO沼 II!』
45年前のトラウマ
この一枚の少年の写真をご覧いただきたい。彼の表情、そして全体的から醸し出す雰囲気に何か違和感を覚えないだろうか。
そう、この少年は幼稚園児だった45年前の私である。
上野動物園に遠足に行った時の写真だ。
この何ともいえない哀しげな表情。
少しモジモジした足元。
彼はこの時点でノーパン。
いわゆるパンツを履いていない状態で立っているのだ。
つまり、UNKOを漏らした直後の写真だ。
楽しみにしていた遠足。
少年の私は嬉しくて朝5時に起きてしまった。
あまりの早起きに、思わず二度寝しまった私は、
登園ギリギリに再び起き、トイレに行く時間がなかったのだ。
そして上野動物園に到着した途端にUNKOを漏らすという大惨事を起こした。
「惨事〜のあ〜な〜た〜惨事〜のあ〜な〜た〜あなた〜の惨〜事〜♪」
それ以来、私はUNKOに対して異常なトラウマになってしまったのだ。
恥ずかしさと安堵、これは飴と鞭。
緊張と緩和、これはSM。
フェティシズムの回路が開いた瞬間だ!
全ては一杯のラーメンから始まった
そして18年後。
私はあるレコード会社からデビュー後、大阪で毎月イベントを開催していた。
その名も
「DEATH TOKYO」
ある日、そのイベントの為に前乗りで、相方「江袋くん」と女性マネージャー「高田ちゃん」と3人で大阪入りをした。
適当に夜遊びをした後の深夜、私たち3人は〆のラーメンを食べにいこうという事になった。
地元民の情報によると、何日か前にマドンナが来たというあるラーメン店に向かった。
そのラーメン屋さんは深夜営業もしている大阪でも有名な店であった。
その時にビックリしたのは、大量の具材がカウンターに並び、好きにチョイスし、いくらでもトッピングをして良いという珍しいスタイル。
色々な具材の中から、辛いものが大好きな私としては
「キムチ」
をドッサリとトッピングした。
酔っていたのか欲張ったのか、キムチ50%ラーメン50%ほどの割合で入れてしまい、残念ながらラーメンの味を楽しむどころかキムチ臭と辛さで酔いも吹っ飛ぶ勢いであった。。。。。。。
45年前のトラウマ、再び現る!
そして次の日、夜のイベントを祝うような天気にも恵まれ、私たち3人は早起きして街を散策する事にした。
アメリカ村三角公園近くのホテルに泊まっていた私たちは、東京ではあまり巡り会えない珍しい雑貨店やレコードショップなどを散歩がてら歩いていた。
その時、唐突に私の腹に激痛が走った。
っていうか、もうKOUMONのあたりまで深夜食べたキムチが到達していたようで、KOUMONが辛い!
そこに激しい腹痛!
とめどなく流れる脂汗・・・。
さすがに大人になっていた私は相方とマネージャー高田ちゃんに、「UNKOしてくるわ」と言って、三角公園近くの大きなショッピングビルに入った。
何事もないように装い小走りで1階のトイレを目指した。
・・・・しかし、トイレの入り口に死刑宣告看板が!!!!!
「ただいま清掃中です」
オーマイガッ!
慌てて2階へ!!!
エレベーターを待っている余裕も無く、SHIRIを抑えながら階段をダッシュで登り男子トイレにまっしぐらに爆走した。
そこで待ち構えていたものはまたしても地獄の様な光景だった!
4つ有る大用トイレが満員なのであった!
この時、既に少しだけチビっていた・・・。
仕方なく男子トイレを出て3階に向かおうとした瞬間、女子トイレのマークが目に入った。
周りを見渡すと、人が居ない。
チャンス・・・・
心の中で誰かがつぶやいた。
女子トイレに男が入ってはいけない事なんて分かりきっている。
しかし、しかしこれは
緊急事態
なのだ。
私は素知らぬ顔でス〜っと女子トイレに潜り込み、ブリブリと用を済ませた。
と同時にお昼休憩のチャイムの様な音が鳴った。
バッドタイミングを身をもって体感
休憩のチャイムが鳴った途端、女性の従業員やお客さんが大量にトイレになだれ込んできた!
なんとタイミングの悪いことだろう。
自分の業を恨んだ・・・。
トイレの外では化粧直しや世間話などの会話が聞こえる。
女子ってトイレでこんなトークしてるんだなぁ・・・
と思ったのもつかの間・・・
我に返った。
さて、どうしますか。
幸いロン毛で細身だったので、オカマちゃんのふりして
「あ〜ら、失礼〜❤」
とか言いながら素知らぬ顔で出ていこうか。
他にいい方法はないか考え続けた。
10分程経過した頃、店内放送が流れた。
「東京からお越しの齋藤さま、齋藤さま〜〜〜。お連れ様がお待ちですので一階の案内所までお越しください」
・・・携帯電話も普及していなかった時代である。
ドアの向こうには沢山の女性達がいる・・・出るに出れない。
しばらくすると、マネージャー高田ちゃんの声が遠くから聞こえてきた。
「久師さ〜ん、久師さ〜ん居ませんか〜」
って男子トイレの方に向かって呼んでいる。
・・・そりゃそうだ。
まさか私が女子トイレに入っているとは夢にも思わないだろう。
ついに扉は開かれた・・・
遂に、30分程たった頃、なかなか開かない私の入ったトイレを不審に思ったのか、誰かが警備員に通報したらしい。
人々の気配だけはするのに急に静まり返る女子トイレ。
突然のノックとともに男性の声で
「大丈夫ですか?」
と呼びかけられた。
大丈夫じゃねーだろ!!マジでオカマのふりをするかっ?でも声は低いし・・・
整える暇も無く、警備員はドンドン激しくドアをノックしてくる。
最悪の状態だ。。。。。。。。。。。。。。。
自首しよう・・・。
いや、別に犯罪じゃない!!これは緊急事態だったのだ。自分に言い聞かせ、自ら鍵を開けドアを開いた。
二人の強靭な警備員と女性達の姿が目に入った。
「おおおおおおお〜〜〜〜!!!!って男かっつーの!」
というこのツッコミはさすが大阪だw。
と感心するのかもつかの間、その時点で完全に犯罪者扱いの私。
屈強なマッスル警備員に両腕を強くロックされ、そのまま事務所へ。
そこからの状況は完全に尋問態勢だった。
万引きとかして捕まるとこうなるのかもな。
ちゃうちゃう・・・
重ねて申し上げておくが、私の場合は緊急事態だったのだ。
犯罪ではない、悪意はないのだ。
事の経緯を詳細に説明するものの、警備員達は全く信じず、私を変態扱いし(そりゃそうだ)、警察を呼ぼうとしているではないか!
私は慌てて店内放送でマネージャー高田ちゃんを呼び出してくれと懇願していたところ、相方とマネージャーが事務所に到着。
昨日のキムチ話から詳細に述べ、緊急事態だった事、そして変態ではない事(実際問題は別として)が証明され、事なく解放されたわけだ。
いや、事無きじゃない。
事、有りすぎですからっ・・・。
UNKOを全開で漏らさずに済んだ安堵感、そして警備員からも解放された時間が過ぎ、私はボケ〜っとしながら幼稚園の時にUNKOを漏らしたことを思い出した。
もちろん、脳内BGMは
「惨事のあなた〜♪」
危機管理能力の発達恐るべし
それからというもの、少しでも便意を感じたら速攻でトイレに入ることに決めた。
そのため、一日20回はトイレに座る。
たとえUNKOが出なかったとしても・・・。
備えあれば憂いなし
人間ドックで書かされる書類に
「一日の便の回数は」
の欄に
「20回」
と書いてドクターにドン引きされながらも胃腸の様子を事細かく調べてもらった。
結果、エコーによる調査で胆石が見つかった。
もう一度言う
「備えあれば憂なし」
だ。
あなたもまだまだ遅くは無い!!
一緒にUNKO沼の住人になろう・・・。
日時:2017年10月29日(日)
会場:Knock Koenji
出演者:小林径・Hisashi Saito (齋藤久師)・森田潤・Go Max Gada・CGCZA・TAKEYOSHI SHINOKI
日時:2017年11月8日(水)
会場:Rラウンジ
出演者:Hisashi Saito (齋藤久師)・CD HATA・High Velocity・hikoukigumo・Maria Fujioka・EMI