『CHESS』会見で安蘭けい、人生の大勝負は「宝塚歌劇団の合格発表のとき!」
(左から)田代万里生、石井一孝、安蘭けい、中川晃教
ミュージカル「CHESS」いよいよ開幕!
9月27日(日)から、東京芸術劇場プレイハウスにてミュージカル「CHESS」が開幕する。2012年に『CHESS in Concert』日本バージョンを初演。安蘭けい、石井一孝、浦井健治、中川晃教という豪華キャストと、演出・訳詞に荻田浩一、音楽監督を島健が務めるという最高の布陣で披露。2013年12月には、再演となりこのときも成功を収めている。そして2015年、満を持してミュージカル化となった作品だ。
舞台は米ソの冷戦時代。イタリアの田舎町でチェスの世界一を決める選手権が開催。ときの世界チャンピオンであるアメリカのフレディ(中川)。彼の横には公私ともども彼を支えるハンガリー出身のセコンド、フローレンス(安蘭)。対戦相手はソビエト連邦のアナトリー(石井)。天才チャンピオンとしての重圧や孤独を背負うフレディと、国家の威信を背負うアナトリー、そして彼らの世界を冷徹に支配する審判のアービター(田代万里生)。
闘いは盤上にとどまらず、彼らを取り巻く家族、人々、そして国家の思惑も交錯し…すべてを賭けたゲームが今、始まる。
ゲネプロ前に劇場内で行われた囲み会見には、安蘭けい、石井一孝、中川晃教、田代万里生が出席。開口一番、安蘭が「早く舞台に立ちたかった。稽古中もまだ少ししかできてないのに早く舞台に立ちたくて。そしてお客様の前で反応をいただきたかった」と初日を目前にはやる思いを口にした。
石井も「感無量。稽古場が燃えているさまを早くお客様にお届けしたかった」、中川は「80年代のアメリカとソ連の冷戦時代がモチーフになって生まれたこの作品。2015年の今、この時期にやることに意義があると思います」と語った。
今回初参加の田代は「CHESSみたいなミュージカルがほかに思いつかない。稽古を重ねるにつれ、その思いはますます強くなった。ミュージカル界にとっても斬新な作品ですね。役どころや、音楽も変わったところが多くて。お客様にどんなふうに受け取ってもらえるのかな」と幕開けを楽しみにしていた。
バンドと一緒になった舞台稽古について問われると、石井は「どえりゃあ迫力!(笑)」と突然の名古屋弁で表現した後、「細かくて変拍子と転調が嵐のようにやってくる。過去一番難しいかも」。中川は「島健バンドが一糸乱れずに紡ぐその完成度の高さ!一方、音楽が素晴らしいので棒立ちで歌っても成立してしまうかもしれないが、音楽に立ち向かって、飲み込まれる瞬間も飲み込まれないよう抗っている瞬間も、ギリギリのきわどいところを行き来できる、まさに“ライブ”を経験できます」と演じる側の興奮を語った。田代は「スコアは難解ですが、そのうちCHESSの音楽にハマって…夢の中でもゲームのチェスをやるようになってしまって…今はすっかりCHESSの虜です。お客さんも虜にしたいですね」とシメると「ウマイこというね~」と3人から突っ込まれて照れていた。
ちなみに、チェスの試合に絡めて「これまでの人生で“ここが大勝負”と思ったことは?」という質問を投げかけると、田代は「今、この舞台。初日がいちばん大勝負かも。大失敗するかも、と思ったら大成功するかもってね」安蘭は「宝塚歌劇団を受験したとき。大学も別で受験していて、そちらが先に合格したんですが、入学金を納めるギリギリが宝塚歌劇の合格発表の前日で…賭けでしたね。入学金を払わずにいたら宝塚に合格していました!勝負師です!」と笑った。中川は「オーディションというのが一つの勝負ではあるけれど、実はあまりそういう気持ちではいないんですよね。気負っちゃうとダメだし。僕たちって日頃から意識を安定したところに置いておかないとね。本番の舞台も本番でないときも。だからある意味いつも大勝負です」とコメント。質問を振られた当初「記憶力がなくて…思い出せない(笑)」とつぶやいていた石井がここで口を開く。「中学3年生のとき、好きな子を屋上に連れ出しまして…大勝負でした。告白したが見事にフラレました。それ以降、屋上は怖くていけません!」と語ると、キャストも記者たちも大笑いとなった。
「ラブストーリーでもあるが、ただ単純に甘いドラマチックなラブストーリーではない。今の時代に置き換えたときにアメリカとソ連の関係とはまた違うバランスで情勢を観た時に、お互いけん制しあっている国の人間が恋をしたり、大事な人を相手の国に殺されたりしたとき、それでも相手の国の人間をどこまで愛することができるのか、それを乗り越えていくためのエネルギーを=自分自身のアイデンディディを強く認識すること、それを原動力にして新しい未来を切り開こうとする一歩を歩みだすこと。決して表面上の美しさだけではない美しさを感じ取ってほしい」と中川が語るミュージカル「CHESS」。
ぜひ本作の“チェスの駒”の一つになってご覧いただきたい。