NYの演劇学校がやって来る~梶原涼晴&岩上紘一郎が語る「ステラ・アドラー・スタジオ・オブ・アクティング in 銀座九劇アカデミア」
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(左から)岩上紘一郎・梶原涼晴
日本人俳優に世界で活躍できる力をもっと磨いてほしい―。そんな願いを込め、マーロン・ブランドやロバート・デ・ニーロら数多くの名優を育てたニューヨークの演劇学校「ステラ・アドラー・スタジオ・オブ・アクティング」から講師を招いた演劇ワークショップが、12月13日から22日まで、東京・銀座の銀座九劇アカデミアで開かれる。SPICEでは、今回の企画に携わった二人、俳優養成所「アクターズクリニック」を運営する梶原涼晴と、国際的なキャスティング・ディレクターの岩上紘一郎(Ko Iwagami)に話を聞いた。ともに米国留学経験を持ち、海外のエンタテインメント事情に詳しい両氏に、ワークショップの意義や狙い、さらには近代演劇史や演技術の流れ、オーディション事情に至るまで根掘り葉掘り聞いた。俳優あるいは俳優志望者はもちろん、芸能事務所関係者、さらに演劇に興味のある人には必読のインタビュー。「そうだったのか!」と思える耳寄りな話をたっぷりお届けする。
銀座九劇アカデミア内観
■スタニスラフスキーからグループ・シアターへ
--演劇学校にその名を冠したステラ・アドラー(1901ー92年)は、演劇史に名を刻むロシアの演出家コンスタンチン・スタニスラフスキー(1863ー1938年)から直接教えを受けた米国の女優でした。学んだ演技術を独自の解釈でさらに発展させ、その果実をマーロン・ブランドらに伝えたことで知られる著名な演技教師でもあります。まず、彼女の演技術の土台となった「スタニスラフスキー・システム」とは何か、という始めの一歩から教えてください。
梶原 「スタニスラフスキー・システム」のベースは非常にシンプルで、要は写実的でリアルな芝居をしようということ。近代に入ってから、スタニスラフスキーが提唱しました。それまでは型にはまった芝居が主流でした。シェイクスピアの作品は、すべてが台本に書かれているので、行間を読んでリアリズムを追求する必要もなかった。台本通りのかたちを観客に届けていれば事足りていたんです。でも、現代劇に移行するなかで、「もっと自然に芝居をしたい」という欲求が、スタニスラフスキーの中に芽生えてきたんでしょうね。まあ、そんなに簡単な話ではありませんが(笑)。彼の演技論を集大成した名著『俳優修業』だけでも膨大な量ですから(笑)。
--実は、ここへ来る前に『俳優修業』を一夜漬けでざっと目を通してきました。脳が溶けそうです(笑)。
梶原 アドラーは生徒たちにこう言っていたそうです。「スタニスラフスキー先生の本は読まなくていいわよ。だって、あなたたちには分からないから」(笑)。『俳優修業』は、例えば会話のシーンなら、普段と同じような感じで話すには、こういう方法論があると、まとめた本です。自然かつリアルに存在しようと提唱して、演技論を体系化した功績は、非常に大きいものがあります。このスタニスラフスキー・システムをベースにして、アドラー以外にもリー・ストラスバーグ(1901ー82年)やサンフォード・マイズナー(1905ー97年)が後々、演劇学校を作って広めていったわけです。
--彼らがスタニスラフスキー・システムを積極的に取り入れようとした1930ー40年代のアメリカの演劇や映画の世界界はどういう状況だったのでしょうか?
岩上 もともと俳優たちは、映画スタジオとの契約の下、映画に出演していました。要は、スターを映画にキャスティングしていたんです。観客はそのスターを見に行った。俳優を見に行くという感じではなかった。一方、ニューヨークでは、スターではないが、実力派の俳優たちがブロードウェイの舞台で次々と名作を放っていた。そのニューヨークにゆかりのある俳優たちがテレビに出演するようになり、ようやく自然な演技というものが認知されていきました。映画はスターを見るために存在するものでもいいけれど、何かもっと生活のにおいがする芝居も見てみたい。模索の時代だったんです。
梶原 アドラーも、ブロードウェイへ行ってみたけれど、最初はどうも肌に合わなかったみたいです。プロダクションごとに、いつも違う人たちと演じるというのが苦手で。それで、いつも同じ仲間と演劇をやるために、ストラスバーグやエリア・カザンたちが結成した劇団「グループ・シアター」に参加したんです。
(左から)岩上紘一郎・梶原涼晴 銀座九劇アカデミアにて
--スタニスラフスキー・システムの影響を受けた演劇人たちが作った「グループシアター」は、やがて分裂して違う方向に行きましたね。
梶原 「グループ・シアター」は、大きくいうと3つの流れがあります。1つ目は、ストラスバーグが提唱した演技法「メソッド」。自分の記憶や経験に入り込んでいき、その当時の感覚や感情を、いま目の前に与えられたシーンや設定において再現するアプローチ。面白いことが起きる一方、自分の経験に頼りすぎれば一人旅になりがちで、パートナーとの共有が難しくなる危険性もあります。
--2つ目は?
梶原 マイズナーの打ち出したテクニック。一番有名なのは、レペティション(反復)です。俳優2人が向かい合って、同じせりふを繰り返します。一見、意味のない作業に見えますが、いろいろな効果が期待できます。パートナーとの関わり方を重視したのが特徴です。
--3つ目がアドラーのテクニックですね。では、アドラーにとって、ストラスバーグ、マイズナーとの人間関係はどうだったと思いますか?
梶原 アドラーはマイズナーとは仲が良かったけれど、ストラスバーグとは仲が悪かったようです。不仲の理由は、気質が合わなかったこと。ストラスバーグのプロデュース能力は買っていたが、ビジネスマン的なところは嫌っていましたからね。彼が教えた俳優養成所「アクターズ・スタジオ」の卒業生から多くのスター俳優が出たことを、自己PRに使っていたと批判していた。方法論についても、これだけは違うと主張していた点があります。そこがアドラーの一番独自の観点です。
--それは、何でしょう。
梶原 自分の経験では補えないところは、想像力を働かせようと打ち出した点です。例えば、包丁で腹を刺されるシーンがあるとします。それには、三つの対処の仕方がある。第一に、ストラスバーグの「メソッド」が説くように自分の経験を生かす。でも、そんな経験のある人はめったにいない。だったら、第2に、刺されたことのある人を探して、話を聞いてみなさいとアドラーは言う。でも、それもなかなか難しいでしょう。では、どうするか。アドラーは第3の選択肢として、想像力を駆使しなさいと言う。現実には、このやり方がほとんどを占めるはずだとしているんですね。ただし、漫然とやってはいけない。リサーチをしっかりするようにと。このリサーチについてアドラーは、口を酸っぱくして言っていたそうです。アドラー・スタジオで学んでいた頃の僕は苦手でしたが、今教える立場に置かれると、その大切さが身に染みます。
--役作りのためにリサーチしている俳優は多いと思いますが、そのやり方を自覚的にしているか、どうかの差は大きいのではないでしょうか。
岩上 感覚的なものを理論化したのが、アドラーでしょうね。
--アメリカで今、一番主流の演技法は何ですか?
梶原 やはり「アクターズ・スタジオ」が提唱している、ストラスバーグの「メソッド」でしょう。
岩上 アドラーは、「これだけ『メソッド』が広まっていることに、危機感を持て」とまで言っていますよね。
梶原 でも、アドラーとマイズナー、ストラスバーグの演技法がくっきり境界線を引かれて、三つどもえで戦っているわけではありません。俳優としては、やはり三つ全部学びたい。それぞれの良いところを吸収していけばいいと思う。「絶対にこれでなくては」というのがないのが、演劇の世界の魅力です。
梶原涼晴
■「ステラ・アドラー・スタジオ」で学んだこと
--では、アドラー・テクニックについて、「ステラ・アドラー・スタジオ」で実際に学んだ経験を持つ梶原さんにお伺いします。梶原さんは32歳のとき単身渡米して、演劇留学をされたそうですね。
梶原 大学時代から志していた俳優の夢をあきらめきれなくて、10年間勤めた大手広告代理店を辞めてアメリカへ渡りました。25、26歳頃から会社員勤めをしながら、俳優・映画監督だった故・塩屋俊さんの主宰する俳優学校「アクターズクリニック」に通っていて、塩屋さんから「行くなら今がチャンスだ」と背中を押されたんです。
--最初からステラ・アドラー・スタジオで学ぶ予定だったのですか。
梶原 塩屋さんから勧められてはいましたが、僕も自分の目で確かめたくて、ニューヨークの演劇学校をいろいろ回りました。でも、なかなか気に入った学校が見つからなくて。ステラ・アドラー・スタジオに行ってみたら、すごく柔らかい空気が流れていて、いいなあと思いましたね。でも、こっちが選ぶ立場ではなくて、オーディションを受けないと入学できないので、必死にやりましたよ。
--オーディションではどんなことをやるのですか?
梶原 僕の時は、モノローグでしたね。古典劇と現代劇からそれぞれピックアップして、1分間ずつ一人芝居を披露しました。小道具も使ってね。手ごたえは正直なかったけど、自分なりに頑張ったら、ステラ・アドラーの孫のトム・オッペンハイムが歩み寄ってきて、握手を交わしながら「9月に会おうね」と言ってくれて。それで入学できました。
--オーディションの合格率は?
梶原 倍率は分からないんですけど、きついみたい。もちろん、落ちる人もいますし。
--学校の雰囲気はどうでしたか?
梶原 厳しかったですよ。3日休むと退学。たとえ欠席理由が体調不良であっても、です。なので、スタジオには2年間留学しましたが、一日も休みませんでした。僕の同期は、1クラス約20人で4クラスあったので、80人ぐらいいたと思います。いろんな国から来ていましたね。
--レッスン内容について教えてください。
梶原 ボイス&スピーチ、ムーブメント、インプロ(即興演劇)、シーンスタディ-、スクリプト、シェイクスピア、オーディション対策、アドラー・テクニック、それから特別ワークショップなどがありました。どれもこれも目から鱗だったんですけど、中でも役に立ったと思うのは、ムーブメントです。例えば、自分の体を使って、空のイメージを再現したこともありました。
--抽象的なテーマで難しそうですね。
梶原 音楽に合わせて踊るのがダンサーなら、音楽に溶け込むのが俳優だと教わりました。すごく感覚的な作業で、想像力を必要とします。そういうのが大抵の日本人は苦手。僕も最初はすごく恥ずかしくて。一方、米国人たちはうまく体を使って、喜々として演じている。彼らを見倣って、見よう見まねから入りました。
岩上 アドラーはこう言っているんです。「脚本があって登場人物がいて、せりふを発してアクションが続いて、ストーリーが展開する」と。キャスティングが重要なのは、登場人物が1人ずつ成立していないと、彼らが衝動的に動き出して勝手にストーリーを形成してしまう。それに加えて、もし役者本人が脚本に書かれる様々な状況下に置かれた時、自分ならどうするだろうか?といった想像力も必要となってきます。それを養うトレーニング方法を教えてくれるのが、アドラーじゃないかと思います。僕がやっているキャスティング・ディレクターも、その人が配役されることで、物語にどんなレイヤーが生まれるかを想像することが仕事なので、似ているところがありますね。
岩上紘一郎
■日本人俳優はフォーマットを変える必要がある
--岩上さんは、数多くのオーディションに携わっています。日本ではまだ耳慣れないキャスティング・ディレクターについて教えてください。また、仕事に選んだきっかけや理由などは、何だったのでしょうか。
岩上 キャスティング・ディレクターは、例えていうと結婚相談所のアドバイザーです。結婚したい方から希望する相手の条件を伺って、引き出しの中からふさわしい候補をパッパッと提示する。クライアントが思い描くストーリーや役に適した方、もしくは予想外だった方を推薦して、キャストを選んでいくわけです。監督たちと俳優たちの橋渡しをする役ですね。
--人を見る目がとても重要なんですね。
岩上 僕は元来、幼いころからすごくシャイで引っ込み思案。それでもクラスの人気者になるには人からどう見られたらいいのか、人を見る目をずっと意識して、これまで生きてきました。なので、キャスティング・ディレクターに向いているのかも。この仕事を知ったのは、映画を学ぶために米国のサンタフェの大学に進み、職業訓練期間の一環としてプロダクションで働いていた時です。俳優を志望していた時期もあったのですが、自分で演じられる役は限られているけれど、キャスティングディレクターとして、ぴったりハマる役を見つけた時の喜びは、自分が役を獲得した時と同じ感覚だと気付きました。その喜びを毎回味わいながら海外案件を中心に様々なキャスティングに携わっています。
--岩上さんは米国などでの活動を経て、4年前に日本に帰国されました。オーディションでは年間どれくらいの人とお会いしますか?
岩上 自分でオーディションを開催しているので、多い時で2000人近くお会いします。
--日米両国のオーディション現場をみて、日本の俳優のここが惜しいと思うところはどこですか?
岩上 海外案件のキャスティングの観点からいうと、日本人像について、日本人自身が思っているのと、海外が求めているのとの間ではズレがあると感じています。ハリウッドでは、いまだにサムライ、ニンジャ、ゲイシャ、天才科学者とか。ありふれた人物ではなくて、どこか型にはまっている。でも、このことを日本にいる俳優はあまり知らなくて。見せる力の出しどころというか、海外案件は別モノと考えて、フォーマットを変える必要があるんじゃないでしょうか。
--自分の力を見せる。日本人は苦手そうですね。
岩上 そうですね。察する文化ですからね。「出る杭は打たれる」文化の中で自己主張は本当に苦手。でも、演劇は真逆ですからね。自分はどうしたいのか、なぜここにいるのか、何をしたいのか。それらをきちんと組み立てて、主張できないといけない。
岩上紘一郎
--オーディションや演技の指導をする機会の多い梶原さんの目から見て、最近の日本の俳優はどう映っていますか。敢えて耳の痛いところをお話しください。
梶原 何の勉強もしないで、千載一遇のチャンスをぼんやりと待っている俳優がとても多い。学んだ経験もない。「今、何をやっているの?」と聞くと、「オーディションを受ける以外はバイト」とか。指導する側にも問題があると思いますけどね。「こんな感じかな」とか、感覚的に教えている人もいる。アドラー・テクニックに限らず、伝統の根づいた演技法を、自分の中でしっかりと理解して、それを丁寧にひもといて紹介できる人材が、日本ではまだまだ少ない。僕自身も勉強不足で、これからすっと学び続けるつもりです。
岩上 「泣く演技はこんな感じ」「怒る演技はこのくらい」「このセリフはこれぐらいで話そう」……このようにいまだに型にはまった演技をしている俳優さんが多い気がします。自分があらかじめ決めて来てしまった演技に固執してしまっては、現場で柔軟に対応する事が難しくなってしまいます。
■ワークショップで学べること
--そういう日本の現状を変えるきっかけにしていこうと企画されたのが、今回のワークショップですね。「プロフェッショナル」と「レギュラー」のクラスがあります。それぞれの対象者は?
梶原 「プロフェッショナル」は、定期的にオーディションを受けたり、現場で活動している方々を想定しています。既に活動経験のある方。「レギュラー」は演技の構造をゼロから学びたい方が対象です。「プロフェッショナル」では、前半がオーディション対策、後半は、実際の本番を想定して、いかに演技をするかをやります。オーディションで仕事を獲得して、現場でどうするかを掘っていく。
梶原涼晴
--オーディション対策を学ぶことで、何が得られますか?
岩上 オーディションに臨む準備が変わってきます。俳優に与えるNOTES(演技指示)を変えても芝居が変わらない方が多く存在します。現場では自分とは全く違う演技法で学んだ俳優とシーンに取り組まなければならなかったり、準備段階では想像し得ない事態が起こります。自分の潜在意識で外的環境や相手のことをしっかりと理解して、理論づけて自分のものにして持っていれば、どんな現場でも戦えるはずです。
梶原 揺れ幅を最大限大きくした状態で本番やオーディションに臨めるということですね。型から入ってしまうと、どうにも演技を崩せない。
--「レギュラー」クラスのレッスンで伝授するアドラー・テクニックのエッセンスとは?
梶原 アドラーのいう「理由づけ」です。どんなアクションをするにしても、日常生活では必ず理由がある。例えば、席を外して走っていくのは、トイレに駆け込むため。いろいろなシーンで行動する時の理由を検証していきます。日常生活では難なくやっているのに、芝居になると、なぜかすっ飛んでしまうことがある。そこで、レッスンではどういう行動をするのか、ではそれはなぜなのか。「なぜか」を細かくひもといていきます。演技の構造を分かりやすく学べます。これを一度経験しておくと、この現場のこのシーンではどうすればいいのか、思い浮かべることができるようになると思います。
岩上 思考回路がつながるんですね。戦う筋肉をつければ、短距離でもやり投げでもできるようになる感じです。
--講師は、アドラーに長年師事して、彼女が提唱した演技理論を受け継ぐロン・バラスです。
岩上 アドラーテクニックを本から学ぶ人が多い中、本家の「ステラ・アドラー・スタジオ」の主任講師であるロンから直接学べるのは、すごく貴重な機会になりますね。
梶原 今回のワークショップのカリキュラムをロンといろいろ詰めているんですけど、楽しみがどんどん膨らんでいるんですよ。
岩上 僕自身もレッスンを受けます。もう、全力で参加しますよ、「レギュラー」も「プロフェッショナル」も。
ロン・バラス
--ワークショップの成果は、舞台でも映像でも生かせますか?
梶原 両方いけますね。ロンは「ステラ・アドラー・スタジオ」では、オンカメラの演技クラスをメインで教えているんですよ。生徒に何か演技をさせるたびに、カメラで撮影して、出来映えを検証するんです。これは、今回のワークショップでも取り入れます。
岩上 自分の演技を客観的に映像を通して検証する事で、自分の癖、勘違いを洗い出す事が出来ます。「自分では出来ているつもり」が意外と多いことに気がつくはずです。
ーー今回のワークショップを契機に、エンタテインメント業界がどう変わっていってほしいですか。
梶原 事務所に入ってしまえば、おんぶにだっこでオーディションや仕事が舞い込んでくると思われがちですが、そんな環境は既に変わりつつあります。良い意味で一人一人の俳優が自分で責任を持ち、能力を伸ばすための投資や、仕事をつかむためのリサーチをやっていくようになるのでは。いずれ欧米のように、俳優が個人でエージェントを雇い、芸能活動をする時代が来るかもしれません。
岩上 最近は、オリジナル・コンテンツをネット配信するのが爆発的に増加することに伴って、国境を越えたキャスティング案件が確実に増えているんですよ。オーディションに参加しなくても、自分で課題を撮影してエントリーする「セルフテープオーディション」といったプロセスをはじめ、世界中の俳優がさまざまな案件に挑戦できる環境も整ってきています。海外が身近に存在していて事を実感して業界自体が新しいステップを駆け上がる事が出来ると楽しいですね。
銀座九劇アカデミア内観
--世界で通用する日本人俳優が育ってほしいという思いから、ワークショップの見学も受け付けるそうですね。
梶原 俳優たちがロンの指導を受けて、どう変わっていくのか。マネージメントの側の人々にも見ていただきたいと思います。今回のワークショップを企画した芸能プロダクション「株式会社レプロエンタテインメント」のご厚意もあって、受講者の事務所関係者の方を対象に、「レギュラー」クラスの見学の機会を設けました。日本のエンタテインメント業界全体が世界に向かって成長するきっかけになればと願っています。
岩上 日本の俳優が世界のライバルたちと渡り合っていくために、トップクラスの俳優たちが学ぶアドラーの演技法を体験する必要があります。世界の現場を意識した「知識」と「実践力」をぜひ身につけてほしいですね。
梶原 最後に、アドラーの人間性をとてもよく表していて、僕が大好きな彼女の言葉をご紹介します。 “Life beats down and crushes the soul and art reminds you that you have one”(日常はあなたの魂を打ちのめし粉々にするが、芸術はその魂を再びよみがえらせてくれるのだ)
取材・文=鳩羽風子 写真撮影=安藤光夫
<プロフィール>
岩上紘一郎(いわがみこういちろう/Ko Iwagami):キャスティングディレクター、プロデューサー。1985年東京生まれ。幼い頃、映画『インディー・ジョーンズ』シリーズを観て、映画人になることを決心。 中学卒業後、単身でアメリカへ留学し、ニューメキシコ州サンタフェの大学在学中にインターンとして映画制作に携わる。 2009年ロバート・ダウニー・Jr.主演の映画『デュー・デート』より、制作スタッフとして本格的にハリウッド映画界へ。 『ブレイキング・バッド』『アベンジャーズ』『ラストスタンド』『ウルヴァリン:SAMURAI』など数多くの大作に参加。 海外作品を中心に、映画、CM、ミュージックビデオ等に携わっている。 世界で評価されるクールな日本人を輩出することを使命とし、キャスティングディレクターとして独立。株式会社カイジュウを立上げる。最近では、映画『THE FOREST』にて小澤征悦、米ドラマ『GIRLS』にて水嶋ヒロのアメリカデビューへの橋渡しを担った。 株式会社カイジュウ 代表取締役。
■日時:
2017年12月13日(水)14日(木)16日(土)18日(月)19日(火)20日(水)各18時~21時
2017年12月22日(金)13時~16時(発表会)
■参加費108,000円
■定員:15名~最大30名
■日時:
2017年12月13日(水)14日(木)15日(金)16日(土)18日(月)19日(火)20日(水)21日(木)各11時~17時
■参加費162,000円
■定員:15名~最大30名
■公式サイト:https://asakusa-kokono.com/academia/