パリの展示レポート:クリスチャン・ディオール70周年記念展示『Christian Dior, couturier du rêve』
もし、今年の年末年始、パリ旅行に行くなんてラッキーな予定がある方は、この機会に絶対に見逃せない展示会を紹介します。それは、パリのルーブル美術館に隣接する『パリ装飾芸術美術館』にて、来年の1月7日まで開催中の展示会『Christian Dior, couturier du rêve』(クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ)です。
この展示会は、今年の夏に始まってからというもの、入場者の長蛇の列が美術館から途絶えることを知りません。むしろその入場待ち時間はどんどん長くなっており、噂では現在3時間待ちとも。
さすがに、旅行などでの短いパリ滞在で、寒空の下、それだけの時間を待ちに費やすのはもったいない。しかし、事前にネットでを買っておけば、待ち時間たったの15分ほどで入場できます。
さて、本題の展示内容ですが、ファッションやクリスチャン・ディオールというブランドに詳しくない方でも、パリの歴史あるオートクチュールのデザインや、職人技がほどこされた本物の芸術品に酔いしれることのできる内容でした。
入場を待つ人の行列の長さからもわかるように、筆者が見学した日は、会場内は人、人、人でごったがえし、Tシャツ一枚になりたくなるほどの熱気を感じる混みよう。それでも、手が届くような近さで70年という積み重なったファッションの歴史的芸術品を愛でられる、貴重な体験に感動してしまいました。
展示は、クリスチャン・ディオールというブランドの誕生からスタート。そして当時、白黒写真ではあるものの、写真がファッションとコラボすることによって、新しいファッションの表現がうまれた現象も丁寧に解説されていました。
また、その写真の数々から、いかにクリスチャン・ディオールの服が、女性の身体の美しいラインを際立たせるブランドであるかということを、改めて思い知らされます。
続いて、なかなか一般にお目にかかれないビンテージ・オートクチュールの手袋、カバン、帽子、靴など、ため息のでるような細かい刺繍がほどこされた作品が、びっしりと壁一面に展示されているゾーンへ。
ひとつひとつ、じっくり噛みしめて目に焼き付けておきたい。そんな、宝石のようなディオール作品のきらめきに興奮しているのは自分だけではないことが、この展示室にいるすべての入場者の熱気から伝わってきました。
ほかにも、歴代デザイナー直筆のデッサン画や、クリスチャン・ディオールで現役で働いている職人の手作業が見られるコーナーもあったりと、クリスチャン・ディオールというブランドの内部まで覗ける内容になっていました。
また、どの展示コーナーへ足を進めても、これでもか、これでもかと登場する歴代のオートクチュール・ドレスの数々。これから一生、自分が着ることなんてないだろうなぁとはわかっていても、まるでお姫様になった気分で、「私ならどのドレスを選ぶかな?」なんてことを考えさせられてしまう、夢のひと時に浸れます。
とにもかくにも、その展示の数と種類、息をのむ美しさは、会場にいる女性たちの熱気もあいまって目眩を起こしてしまいそうな濃厚さ。そんなパワーに圧倒されぬよう、ぜひ、心して挑んでいただきたい展示会です。
URL:https://www.dior.com/couture/ja_jp/%E3%83%A1%E3%82%BE%E3%83%B3-dior/%E5%B1%95%E7%A4%BA