【“SAI”クイックレポ】ASIAN KUNG-FU GENERATION 強烈なキラーチューンの数々とあたたかく穏やかな空間
ASIAN KUNG-FU GENERATION
ACIDMAN presents 「SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI”」 ASIAN KUNG-FU GENERATION
ゆったりとステージに現れたアジカンの4人が鳴らしたのは「サイレン」のイントロ。この曲は彼らが2004年にリリースしたシングルで、この年に彼らは自主イベント『NANO MUGEN FES.』を初の大バコ、しかも日本武道館で開催し、そこにACIDMANを呼んでいる。この曲をオープニングに選んだのはたまたまかも知れないが、大きくヘヴィに揺れる演奏に身を委ねながら、そんな偶然の符合をネタに想いを巡らすのが楽しい。
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4人から生み出されるグルーヴは恐ろしく強靭でありながら、演奏姿は実に落ち着いたもの。しかも、「Re:Re:」「リライト」と強烈なキラーチューンが続くなかでもなぜか心は温かい。ふとスクリーンに目をやると、後藤(Vo/G)が優しい笑みを浮かべていた。ステージ上のリラックスしたムードが音に乗っているのかもしれない。
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MCでは「俺が出てきた瞬間に笑うのやめてよ。(ストレイテナーの)ホリエくんに裏で『その格好で出るの?』って言われてけっこうショックだったんだよ」と自嘲気味に笑う。そして、ACIDMAN・大木が普段から被っている帽子をネタに「今日は鳩とかなんか出てくるんじゃないかな?」と冗談で場内の笑いを誘った。この雰囲気、すごくいい。
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MC明けの「荒野を歩け」への入り方も印象的で、スイッチを切り替える様子を見せることなく、スッと演奏に入っていく。ACIDMANの20周年のお祝いというだけでなく、多くの仲間が集まっているこの場所が、バンドに心地良いフィーリングを送り込んでいるようだ。耳に聞こえてくるのは楽器と声だが、本当に鳴っているのはメンバーの心。そんなふうに感じさせるほどのパフォーマンスをするアジカンには恐れ入るし、こうやってバンドとのつながりを感じられることがとてもうれしい。この空気感はラストの「今を生きて」まで変わることはなかった。今日のパフォーマンスは、アジカンを取り巻くあらゆる要素が優しく結びついた、穏やかな奇跡だったんじゃないか。
取材・文=阿刀”DA”大志 撮影=AZUSA TAKADA、山川哲矢
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1. サイレン
2. Re:Re:
3. リライト
4. 荒野を歩け
5. ソラニン
6. 今を生きて