三ツ橋敬子(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
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ここでしか味わえないマル秘イタリア・メニュー
オペラの大家によるオペラ以外の作品だけを聴く。この興味深いプログラムが、三ツ橋敬子指揮による東京シティ・フィルのティアラこうとう定期で実現する。曲は、プッチーニとヴェルディの弦楽四重奏曲の弦楽合奏版にプッチーニの「グローリア・ミサ」。イタリアのペドロッティ国際指揮者コンクールで優勝、トスカニーニ国際指揮者コンクールで準優勝後、ヴェネツィアに暮らす三ツ橋ならではの選曲であり、また以前話を聞いた際に「声楽曲や演奏される機会の少ない作品も取り上げたい」と語っていた彼女の意欲が反映された演目でもある。
まずプッチーニの「菊」。これは主題が《マノン・レスコー》に転用された切なく美しい弦楽四重奏曲で、“プッチーニ節”が存分に味わえる。ヴェルディの弦楽四重奏曲は、対位法やフーガが駆使されたシリアスな作品。オペラの巨匠の意外な一面を知ることができる。そしてプッチーニ22歳時の作「グローリア・ミサ」は、本人が演奏を禁じた「幻のミサ曲」。40分を超える大作だが、抒情的な「キリエ」、輝かしい「グローリア」、劇的な「クレド」、厳かな「サンクトゥス&ベネディクトゥス」と続くメロディアスな音楽で、後のオペラに至る要素が随所に盛り込まれている。
衒いのない表現の中に濃密な表情と引き締まったカンタービレが宿る三ツ橋の指揮と、充実顕著なシティ・フィルの演奏に加えて、イタリア留学の経験をもち、現在はオペラで活躍する与儀巧(テノール)、与那城敬(バリトン)のソロ、ミサ曲に実績ある東京シティ・フィル・コーアの合唱も心強い。ここは皆こぞって、イタリア秘曲の美味を体験しよう!
文:柴田克彦
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年10月号から)
■日時:10/17(土)14:00
■会場:ティアラこうとう
■出演:
指揮:三ツ橋 敬子
テノール:与儀 巧
バリトン:与那城 敬
合唱:東京シティ・フィル・コーア(合唱指揮:藤丸 崇浩)
■曲目:
プッチーニ:弦楽四重奏のための「菊」(弦楽合奏版)
ヴェルディ(ヘルマン編曲):弦楽四重奏曲 ホ短調(弦楽合奏版)
プッチーニ:グローリア・ミサ
■問合せ:東京シティ・フィル
http://www.cityphil.jp