小沢剛展、縄文展、名作誕生展…… 2018年の気になる展覧会を一挙紹介!【SPICEコラム連載「アートぐらし」】vol.14 力石咲(美術家)

コラム
アート
2018.1.16
《ニット・インベーダー》地域住民との協働作業

《ニット・インベーダー》地域住民との協働作業

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美術家やアーティスト、ライターなど、様々な視点からアートを切り取っていくSPICEコラム連載「アートぐらし」。毎回、“アートがすこし身近になる”ようなエッセイや豆知識などをお届けしていきます。
今回は、美術家の力石咲さんが、「2018年の気になる展覧会」について語ってくださっています。

新年おめでとうございます。美術家の力石咲です。4回目のコラムとなる今回は、年明けにふさわしく、2018年に行きたいと思っている展覧会をピックアップしてみたいと思います。

ベジタブル・ウェポン—さんまのつみれ鍋/東京  2001年  タイプCプリント  113×156cm  オオタファインアーツ、東京

ベジタブル・ウェポン—さんまのつみれ鍋/東京 2001年 タイプCプリント 113×156cm オオタファインアーツ、東京

まず、私が昨年からオープンを待ちわびていたのが、1月6日から千葉市美術館で開催される『小沢剛不完全-パラレルな美術史』です。1965年生まれの現代美術家、小沢剛さん。彼の作品で私がパッと思い浮かぶものといえば、《ベジタブル・ウェポン》です。世界各地を巡りながら、現地の女性が選んだお鍋の具材で武器をつくり、その女性に武器を持たせて写真を撮影するという作品。撮影後に武器は解体、調理され、プロジェクト参加者とともに食されるのだそう。

話は少し逸れますが、私は昨年、自分の作品が美術史のどこに位置しているのか、自分のルーツはどこにあるのだろうか、自分が影響を受けたアーティストや美術の出来ごとは? なんてことをよく考えていました。美術の動向として、”リレーショナル・アート”というものが、ひとつ自分と関係性があるのではと思っています。リレーショナル・アートとは、作品の内容や形式よりも、社会や鑑賞者との関係性や協同を重視する作品のことで、1990年代以降の美術界では世界的な動向となっています。私の作品でいえば、参加者がいて初めて成立する《旅するニットマシン》はリレーショナル・アートだし、地域住民との協同で成し遂げていく《ニット・インベーダー》もその性質があると感じています。そして、このリレーショナル・アートでよく知られている日本のアーティストこそが、小沢剛さんなのです。《ベジタブル・ウェポン》も、まさにリレーショナル・アートですよね。

《旅するニットマシン》ロンドンでの稼働風景

《旅するニットマシン》ロンドンでの稼働風景

小沢剛さんにとても興味がある理由はそれだけではありません。もうひとつのキーワードが、”旅”。小沢さんは、世界各国を旅しながら活動を続けています。私の活動においても旅は重要です。今回の個展では、小沢さんが日本美術史からテーマを得て制作した作品が中心に展示されるとのことですが、そういったテーマでの作品制作も、自分のルーツや位置を考える時の勉強になりそうです。リレーショナル・アートのアーティスト、旅するアーティスト、いろいろな視点で小沢剛さんのことをもっと知りたいと思います!

重要文化財 木製編籠(縄文ポシェット)  青森市 三内丸山遺跡出土、縄文時代(中期)・前3000~前2000年 青森県立郷土館蔵、展示期間未定、写真:小川忠博

重要文化財 木製編籠(縄文ポシェット)  青森市 三内丸山遺跡出土、縄文時代(中期)・前3000~前2000年 青森県立郷土館蔵、展示期間未定、写真:小川忠博

次に挙げる展示は、7月開催の東京国立博物館『縄文ー1万年の美の鼓動』です。縄文展というのはこれまで全国で数多く開催されてきたと思いますし、私も縄文土器は大好きです。なぜ今回気になっているのかというと、どうやら重要文化財である《木製編籠》、通称「縄文ポシェット」が展示されるそうだから。これは、紀元前3000年から紀元前2000年のもので、高さ13cm底面7cmの編籠。青森県三内丸遺跡で発見された時、中にはくるみの殻が残されていたそうです。

《旅するニットマシン: バッキンガムパレス - トラファルガー広場》

《旅するニットマシン: バッキンガムパレス - トラファルガー広場》

先に述べたとおり、昨年私は美術史における自分の位置を探るべく、日本美術史の図録を読み漁っていたのですが、そこにこの縄文ポシェットが掲載されていました。ニットをメディウムとして制作をしていることからも、編み物の歴史はずっと気になっていたのですが、日本においては少なくとも縄文時代には編み物が成されていたとわかりました。悠久の時を経て繋がっている! と勝手に感動していますし、編み物の手業を知っているからこそ、実物を見たら縄文人の手仕事の様子がリアリティを持って立ち現れそうで、ぜひ対面してみたい作品です。

その他に気になっている展示は、またも東京国立博物館で4月に開催される『名作誕生-つながる日本美術』。日本美術の名作のルーツを、その作品が生まれた時代背景や他の作品との関連から読み解くという展示です。これも、私がよく考えていた「自分のルーツは?」というテーマ、そして美術史の勉強になるような展示だと期待しています。特に興味があるのは、日本美術と中国の関係。美術に限らず、日本の文化には中国由来のものが実はすごく多いですよね。

他には、パナソニック汐留ミュージアム『ジョルジュ・ブラック展』、森美術館『建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの』なども気になっています。

そして、ギャラリーごとまるっと1年惹きつけられる展示を開催している場所を見つけました。東京オペラシティアートギャラリーです。4月の『五木田智央 PEEKABOO』展から始まり、『イサム・ノグチ ─ 彫刻から身体・庭へ』展、『田根 剛 Archaeology of the Future』展、『石川直樹 この星の光の地図を写す』展と続きます。

​ 《相対性 1953》All M.C. Escher works  (c)the M.C. Escher Company B.V. - Baarn -the Netherlands. Used by permission.  All rights reserved. www.mcescher.com

​ 《相対性 1953》All M.C. Escher works (c)the M.C. Escher Company B.V. - Baarn -the Netherlands. Used by permission. All rights reserved. www.mcescher.com

最後に、私はよく6歳の子どもとも展示を見にいくので、子どもと一緒に楽しめそうな展覧会をピックアップします。6月、上野の森美術館にて開催の『ミラクル エッシャー展』。だまし絵で有名な版画家の大規模回顧展です。そして、5月開催の『六本木アートナイト』も、祭り感覚で楽しめそう。2月まで開催の国立科学博物館『古代アンデス文明展』や、2018年9月にクローズしてしまう期間限定のSNOOPY MUSEUM TOKYOも気になっています。

今回は、規模の大きな展示ばかりのピックアップになりましたが、小さなギャラリーなどの展示もチェックして、今年もたくさんの展示を見にいきたいと思っています。

イベント情報
小沢剛 不完全−パラレルな美術史

 日時:2018年1月6日(土)~2018/02/25(日)
 会場:千葉市美術館
 公式サイト:http://www.imperfection.info/en.html

 

イベント情報
特別展『縄文―1万年の美の鼓動』

 会期:2018年7月3日(火)~9月2日(日)
 会場:東京国立博物館 平成館
 ※休館日、開館時間、公式サイトURLなど、本展の詳細は2018年2月下旬に発表予定。

 

イベント情報
『名作誕生-つながる日本美術』

 会期:2018年4月13日(金)~5月27日(日)
 前期展示は4月13日~5月6日、後期展示は5月8日~5月27日
 会場:東京国立博物館 平成館
 公式サイト:http://meisaku2018.jp/

 
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