クルマもコンパニオンも百花絢爛! 「東京オートサロン2018」が華々しく開幕
世界最大級のカスタムカーの祭典「TOKYO AUTO SALON 2018」が開幕
世界からクルマ好きが集まる世界最大級のカスタムカーの祭典『TOKYO AUTO SALON 2018』が12日に開幕。特別入場日にもかかわらず、初日から多くの観客で賑わった。
同イベントは1983年に始まり、今年は節目の35年目。当時はパワー競争真っ只中で、NAエンジンにボルトオンターボを装着して大パワーを稼ぎ出し、最高速300㎞/hをオーバーするモンスターマシンなどを展示。多くの若者の心をわしづかみにした。
しかし、昨年にトヨタ自動車の豊田章男社長が「全車を電気自動車に変える」と話したように、時代は大きく変わり、オートサロンの出展社やクルマも変わってきた。今では自動車メーカーが多くの面積を取ってブース展開し、コンセプトカーや現行モデル、レース車両などを展示している。
筆者はタービン交換やインタークーラー装着などで遊んだクチで、オートサンロンは初回から観に行っていた。このイベントを盛り上げてきたチューニングメーカーの御三家といえば、「HKS」「BLITZ」「TRUST」。今回はその御三家にイベントの変遷と今回の展示について伺った。
「昔に比べてターボ車が少なくなりましたね。うちはターボで有名になったメーカーなのですが、今は車高調整式サスペンションやマフラーを中心に製品開発・販売しています」とは、この業界を名実ともに引っ張ってきたHKSの営業部エキスパートの青松城久さん。スカイラインやシルビア、スープラなどのさまざまなターボキットを販売していた同社だが、今ではコテコテのクルマ好きだけでなく、幅広い層に訴求している。
「例えば、展示しているスズキのスイフトターボですが、『あと少しパワーが欲しく、乗りやすいクルマに』という人のために作りました。うちのこういうクルマで、チューニングの楽しさを知っていただきたいですね。そして、この業界をもっともっと盛り上げたいです」
フルチューンのイメージがあるメーカーだったが、今ではターゲット層をより広く設定し、クルマとモータースポーツを身近に感じて欲しいと話す。
「今年は創立45周年。S-styleという新しいサスペンションをリリースしました。レースにも積極的に出ていますし、そこで得たノウハウを街乗りに生かせるよう、フィードバックしています」
HKSは今も昔も、このカスタムカーの世界をリードしているようだ。
次にお話を伺ったのが「BLITZ」。1980年代のF1マシンに搭載されていた、KKK社製ターボを販売していたことで有名なメーカーだ。
「やっぱり、昔と今はライフスタイルが変化してきましたよね。絶対的なパワー志向ではなく、純正の持っているパフォーマンスをさらに伸ばしたいというお客様が多くなりました」
同社の企画部エキスパートの小林徹さんによると、中心顧客は40~50代が多いそうだ。若い頃にチューンドカーに乗っていた人が、昔のカリカリチューンではなく、ライトにカスタマイズして、センス良くクルマ作りをしたいと考えるようになったという。
「うちは結構、レクサスを乗る方に来ていただいています。もちろん、すべてのメーカーのクルマをお持ちの方がお客様ですが、普段乗っているクルマをより快適にという方が多いです」
やはり、クルマが好きな人はノーマルに飽き足らず、クルマ自体の素性の良さを引き出したチューニングをしたいと考えるようだ。
「昔はBLITZというと少し高級、高価なイメージがあり、車高調正式のサスペンションは30万円近くしたと思います。でも、今のうちのサスペンションの価格は15万円くらいが中心で、お客様も『え? BLITZさんなのにそんなに安いの?』とビックリされます。ショップさんでキャンペーンのものだと、もっと安く買える場合もありますね。お求めやすくなったことで、チューニングの楽しさをより多くの人に知ってもらえるのが嬉しいです」
驚かされたのが展示車両の「リーフ」。ドアミラーの代わりに小さいカメラ(サイドカメラ)が付いていた。車内のダッシュボードに2つモニターがついていて、ドアミラーの代わりのサイドカメラで映された映像が見られ、両サイドの様子が顔を大きく動かさずに確認できる優れものだ。
「まだ許認可などが取れていない試作品ですが、いち早く(クルマ)業界にプレゼンテーションしたかったんです」と小林さん。もともと電子パーツが得意だった同社。安全・安心の要求がより高くなっている今、時代の流れをしっかり捉え、時代を先取りした試みに拍手を送りたい。
最後にお話を伺ったのがTRUST。やはりターボで有名な同社の広報部 川島徹さんによると。
「日本はもちろんですが、今、日本車が大人気になっているのがタイとか中国などの外国なんです。特にタイではレースが盛んなんですよ。だからそういう国では私たちのようなメーカーの製品に注目が集まってきています。今年は中東からも多くお客様が訪れています。皆、凄いチューンをしているそうなんですよ」
海外ではフェラーリよりも人気になっているのが、日産自動車のGT-Rなのだそう。それも現行型のR35ではなく、R34という一つ前のモデル。中古でも程度が良いと1,000万以上の値が付くという。
「R34はプレミアがついてきているようです。もちろんうちでは現行型(R35)のパーツも出していますが、今年は敢えて(旧タイプの)R34のGT-Rをうちのフラッグシップにしました。昔のようにパワー&パワーではなく、今の時代に合わせた『乗りやすい』仕様にしています。乗りこなす技術が必要な大パワー車でなく、気軽に“モアパワー+快適性”を求めたトータルコーディネートですね」
御三家とも、サーキットユースのパワー系のファンは押さえつつ、今までチューニングの楽しさを知らなかった人たちに、この世界を知ってもらいたいと口を揃える。海外戦略はHKSが北米、BLITZがアジア、TRUSTが中東、中国、タイを意識しているという違いはあるが、日本が火を点けたカスタムの楽しさが全世界に広がっているのは嬉しい限りだ。
2017年の来場者数が3日間で32万人を数えたビッグイベント。カスタムメーカーやショップだけでなく、今やトヨタ自動車や日産自動車、Mercedes-AMG、ルノーなどの外国メーカーなども出展する盛況ぶりを見せている。
さらに、各ブースのコンパニオンもイベントに花を添えている。酒井法子、Do As Infinity、hitomi(以上13日)、HAN-KUN from湘南乃風、DOBERMAN INFINITY、CYBERJAPAN DANCERS(以上14日)らのコンサートも注目だ。