向井太一に宿る静かな“BLUE” ー大阪で初のワンマンライブをレポート
向井太一 撮影=森好弘
向井太一が昨年末に発表したメジャー1stアルバム『BLUE』を提げて行ったライブツアーの大阪公演。開演時刻が近づいても、心斎橋・VARONの前には長蛇の列ができていた。大阪では初めてのワンマンライブということもあり、は早々に完売。多くの観客がフロアでひしめきあいながら待ちわびる中、ステージにキーボーディストとドラマーの2人が登場し、ドラムの小気味良いビートが響くと手拍子が起こった。
向井太一 撮影=森好弘
カラフルなライトに照らされ、白いTシャツに黒いジャケットを羽織った向井太一が颯爽と現れる。聴こえたイントロはアルバム『BLUE』きってのアッパーチューン「FREER」だ。大歓声に笑顔を見せた向井は、自ら手がけた英語詞を張りのある声で歌い上げる。向井が 「Clap your hands!」 と煽ると、手拍子がよりいっそう大きくなった。一気に引き上げた会場の熱気をそのままに、手にしていたマイクをマイクスタンドに収めた向井は、両手を使って歌詞を細やかに表現しながら、ラフなミディアムナンバー「Lost&Found」を披露した。再びハンドマイクへと切り替え、ダンサブルな「Can't Wait Anymore」 へ。
向井の背後から届く白や水色といった寒色のライトが、歌詞に登場する「冬の東京」をイメージさせた。ステージを左右に広く移動し、ひとりひとりと目を合わせて歌う向井。《シュミレーションは全てオーケー》というフレーズでは、「オーケー!」の一言とともに親指を立てて高く掲げる観客の姿も。絡み合う電子音が印象的なドロップ部分では、しなやかにリズムに身を委ねる向井の動きに合わせ、観客たちも思い思いに揺れた。
この日初めてのMCで向井は、「『BLUE TOUR 2018』にお越しいただきありがとうございます」と感謝を述べたあと、超満員のフロアを目の前に「めちゃくちゃパンパンや……」と感慨深げに話し、ピアノの柔らかな旋律とともに、アルバム『BLUE』の1曲目であるバラード「楽園」へ。《ここは僕には狭すぎる》という歌い出しは、まるでこれから彼の音楽が広く浸透してゆくことを暗示しているかのように聞こえた。ステージの中央で歌う向井の顔を、黄色と青のライトが交差しながら照らす様は、「楽園」のタイトルにふさわしく幻想的だ。彼が最後のサビで伸びやかなフェイクを聴かせると、会場内は恍惚のため息に満ちた。
向井太一 撮影=森好弘
ここまではアルバム『BLUE』を象徴するような涼しげな色にまとめられたステージングだったが、「眠らない街」へと移り、照明はたちまちピンク色に。途中、ラップのようなバースに差し掛かると、それまでの包み込むような歌声とは異なるソリッドなボーカルアプローチを披露する。アルバム収録曲の中でも極めて深みのあるR&Bナンバー、「Conditinal」が続いた。笑顔を封印した向井のシリアスな面持ちが、恋人同士の諍いを歌い、歌詞のリアリティーを増幅させる。音源で聴く以上に感情的な表現に溢れ、楽曲のストーリーに描写された2人の悲痛が手に取るように感じられた。
向井太一 撮影=森好弘
「Conditional」と対照的な恋人との甘い生活が綴られた「Teenage」を披露し、「18歳で上京して、バンドをしていた頃から歌い続けている大切な曲です」という言葉とともに届けられたのは、「君にキスして」。ストレートな愛情表現を歌詞に乗せたラブソングを、長年に渡り重ねてきた芳醇なパフォーマンスでみせた。
ここから向井は、アルバム 『BLUE』以前に発表された、ファンにとってもお馴染みのスローナンバーを届けていく。「THINKING ABOUT YOU」を、両手でマイクを包みながら丁寧に歌いこみ、続く「TOUCH」のクライマックスでは手を大きく広げ、突き抜けるようなハイトーンで観るものを圧倒した。
向井太一 撮影=森好弘
MCで向井は、「一昨年、インディーズデビューして、去年メジャーデビューしたのですが、メジャー1stアルバム『BLUE』は僕の意思表示なんです。「音楽で生きていく」と決めて、やっとその土俵に立てた。今の時代、音楽はトレンドに巻かれてどんどん流れていってしまうけど、僕は芯のあるアーティストになりたいんです」 と淀みない言葉で強い思いを口にした。「気づけば上京して7年経って、過去には音楽が嫌になった時期もあったけど、こうして自分の居場所を見つけることができたのは、みなさんのおかげです。次の曲は、自分と、僕を支えてくれたひとのために歌います」
白と青の光が降り注ぐ。アルバムのタイトルトラック「Blue」が、ピアノの音色とともに始まった。志す未来へもがきながら進もうとする様子を描くこの楽曲は、彼の歩んだ軌跡が決して安易なものではないことを物語っている。固い決意を歌う向井の頬を涙が伝い、それを目の当たりにした私たちの胸には、えも言われぬ熱い何かが押し寄せた。静かに滾る情熱を綴ったバラード「ONE」を経て、ギターのカッティングが軽快な 「YELLOW」へ。「ライブももう後半、残りわずかです。とにかく、何でもいいから、楽しんで!」 と観客に呼びかけ、向井が楽しげにサイドステップを踏みながら歌うと、観客たちの動きもほぐれていく。曲間をブリッジで鮮やかに繋ぎ、続いたのはプロデューサーStarRoと手がてたダンスナンバー「Great Yard」だ。「Are You Ready? 1, 2, 3, 4!! 」 向井の声を合図に、サビで観客たちが一斉に手を挙げて飛び跳ねる様子は、壮観だった。
向井太一 撮影=森好弘
アルバム『BLUE』に先駆け、リードトラックとしてリリースされた「空」のイントロが聴こえると、観客たちの笑顔が弾けた。陽気で親しみやすいリズムに合わせ、自然と手拍子が起こる。《悩んだっていいんじゃない 見上げれば広がる世界 君を待っている》 向井は、友人に語りかけるようにメロディーを紡いでいった。彼がワンコーラスを歌い上げると、曲の途中にも関わらず大きな歓声と拍手が沸き立つ。「空」 が、いかに観客たちの心に寄り添う楽曲であるのかが伺えた。
「早いもので、次が最後の曲です。」 向井が切り出す。「最後は、ファンのみんなのために書いた曲です」と向井が本編の最後に選んだのは、ゆったりと心地いい曲調にポジティブなメッセージを添えた「SLOW DOWN」だ。フロアの奥までくまなく見渡しながら、《ここは東京》という歌詞を大阪に変え、訪れた全員に音と言葉を手渡すように歌う向井。この上なく穏やかで優しい空間が、そこに生まれた。「ありがとうございました」 一言そう告げて頭を下げ、彼は青一色に染まったステージを後にする。
向井太一 撮影=森好弘
アンコールの1曲目として、現代的な音使いとファンクを掛け合わせたようなキャッチーなサウンドで人気の「FLY」でフロアを揺らし、向井はMCで 「ワンマンは来てくれたみんなが味方だからいいよね。終わりたくないね」と笑いながら、集まった人々との別れを惜しんだ。「大好きなメンバーを紹介してもいいですか?」 そう言って、キーボーディストGeorge(MOP of HEAD)とドラマーSatoshi Yamashita(MOP of HEAD)を紹介した後、向井が最後に贈ったのは「RISE」。《素晴らしい君に今日は花束を 喜びの言葉を》彼がステージに残すすべてをひとつとして逃さないようにと、見つめる観客たちの眼差しはどこまでも真っ直ぐだった。「次回、もっと大きくなった僕と、お会いしましょう」 向井太一の大阪初のワンマンライブは、溢れんばかりの多幸感で満たされたまま幕を閉じた。
「その歌声は、青く燃えている」 阿部広太郎氏による、アルバム『BLUE』に添えられた一行のコピーである。海のように深い瞳の奥には、空のように澄んだ歌声には、濃く美しい"青"が 確かに宿っていた。
レポート・文ーNatsumi.K 撮影=森好弘
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