ミラノ・スカラ座の今期開幕公演『アンドレア・シェニエ』と、昨秋の『パヴァロッティ没後10年記念コンサート』をBSプレミアムシアターで
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マッダレーナ役のアンナ・ネトレプコ。Brescia e Amisano (c)Teatro alla Scala
1月22日(21日深夜)のNHKーBS『プレミアムシアター』は、豪華ラインナップだ。イタリアオペラの殿堂、ミラノ・スカラ座の今シーズン開幕公演『アンドレア・シェニエ』と、『パヴァロッティ没後10年記念コンサート』を一挙に放送する。
まず、前半の『アンドレア・シェニエ』は、フランス革命時に実在した詩人・シェニエと伯爵令嬢・マッダレーナの悲恋を描いた、ウンベルト・ジョルダーノ(1867~1948)の傑作オペラ。世界の歌姫、アンナ・ネトレプコと夫のユシフ・エイバゾフが、マッダレーナとシェニエを演じて話題を呼んだ。
舞台は、革命の嵐が吹き荒れる18世紀末。伯爵家の夜会で、令嬢のマッダレーナと下僕のジェラールは、若き詩人・シェニエの即興詩「ある日、青空をながめて」に心を奪われる。3人の運命が大きく動き始める瞬間だ。革命後、ロベスピエールの恐怖政治が始まると、政府を批判したシェニエは密偵に追われる身に。逆に、ロベスピエールの部下となったジェラールは出世し、密かに思いを寄せていたマッダレーナの行方を追う。シェニエを愛するマッダレーナは、侍女にかくまわれていたが……。
投獄されたシェニエは、やがて辞世の詩「5月の晴れた日のように」を詠み、32歳の若さで断頭台に送られる。彼を思うマッダレーナは、女囚に化けて死出の旅をともにする。オペラ版「ベルサイユのバラ外伝」とでも言おうか、フランス革命にまつわる情熱的でドラマチックな悲劇だ。ちなみに、史実ではロベスピエールも失脚して断頭台へと送られる。
ミラノ・スカラ座で1896年に初演されて以来、シェニエの「ある日、青空をながめて」と「5月の晴れた日のように」は名唱が数多く残されている。テノールの定番アリアで、マリオ・デル・モナコをはじめ3大テノールのルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラスのCD・DVDは、平成の今も人気が高い。舞台装置、衣装なども豪華なので、映像での見比べ・聴き比べも一興だ。
また、どん底の日々を送るマッダレーナが、生活の激変とシェニエへの愛を歌う「亡くなった母が」は、マリア・カラスの歌唱が映画『フィラデルフィア』(ジョナサン・デミ監督、米93年)で使われている。エイズの主人公(トム・ハンクス)の、死の直前の意味深いシーンが心にしみる。もしネトレプコの歌唱を映画で使うとしたら、同じ映画の同じシーン?
さて、後半の『パヴァロッティ没後10年記念コンサート』は、パヴァロッティ(1935~2007)没後10年の昨秋、9月6日の命日にヴェローナ野外劇場で開催されたメモリアル・コンサート。ドミンゴ、カレーラスをはじめ、ズッケロ、ヴィットリオ・グリゴーロ、アンジェラ・ゲオルギウ、アンドレア・ボチェッリら、世界的スターが集結して、パヴァロッティのありし日を偲びながら熱唱。パヴァロッティの映像とともに、かつての3大テノールが舞台によみがえる……。
文=原納 暢子
ミラノ・スカラ座2017/18シーズン開幕公演 歌劇『アンドレア・シェニエ』
『パヴァロッティ没後10年記念コンサート』
■放送局:NHK BSプレミアム
■放送時間:1月22日(月)【1月21日(日)深夜】午前0時00分~午前4時00分
■放送内容:
本日の番組紹介(0:00:00~0:04:00)
ナレーション: 水落幸子(みずおち ゆきこ)
歌劇『アンドレア・シェニエ』(全4幕)ジョルダーノ 作曲 【5.1サラウンド】(0:04:00~2:10:00)
■出演:
アンドレア・シェニエ:ユシフ・エイヴァゾフ(テノール)
マッダレーナ:アンナ・ネトレプコ(ソプラノ)
カルロ・ジェラール:ルカ・サルシ(バリトン)ほか
■合 唱:ミラノ・スカラ座合唱団
■管弦楽:ミラノ・スカラ座管弦楽団
■指 揮:リッカルド・シャイー
■収録:2017年12月7日 ミラノ・スカラ座(イタリア)
■出演:
ホセ・カレーラス、プラシド・ドミンゴ、ルチアーノ・パヴァロッティ(映像)
ズッケロ、ヴィットリオ・グリゴーロ、アンジェラ・ゲオルギウ
アンドレア・ボチェッリ、フランチェスコ・メーリ、2CELLOS ほか
<司会>カルロ・コンティ
<管弦楽>ブレーシャ&ベルガモ、ピアノ・フェスティバル交響楽団
<指揮>ユージン・コーン、レオナルド・デ・アミーチス
■収録 2017年9月6日 ヴェローナ野外劇場(イタリア)
■曲 目
マイ・ウェイ フランソワ/ルヴォー
歌劇「トスカ」から 星はきらめき プッチーニ 作曲
歌劇「連隊の娘」から ああ 友よ! ドニゼッティ 作曲
イマジン ジョン・レノン 作曲
歌劇「愛の妙薬」から 人知れぬ涙 ドニゼッティ 作曲
歌劇「椿姫」から 乾杯の歌 ヴェルディ 作曲 ほか
音楽の生まれた街(3:49:00~4:00:00)
■演 奏
トーマス・クヴァストホフ(バリトン)
チャールズ・スペンサー(ピアノ)
■曲 目
歌曲集「冬の旅」から おやすみ、春の夢
シューベルト 作曲