ヒトリエ×UNISON SQUARE GARDEN ツーマンイベント『nexUs vol4』 灼熱の赤坂が大盛況で終了
-
ポスト -
シェア - 送る
ヒトリエ Photo by 西槇太一
ヒトリエのメンバー4人がそれぞれキュレイターとなって、イベントの発案・企画を行なう主催イベント“ヒトリエ主催ツーマン公演「nexUs」”。その第4回目が1月17日(水)マイナビBLITZ赤坂で開催された。過去3回のイベントでは、シノダ(G・Cho)がベッドイン、イガラシ(B)がぼくのりりっくのぼうよみ、ゆーまお(Dr)がパスピエなど、それぞれ縁のあるアーティストを迎えて成功を収めてきたこの企画。vol.4ではwowaka(Vo)がキュレイターを務め、UNISON SQUARE GARDENとの熱いツーマンライブを繰り広げた。
ヒトリエ Photo by 西槇太一
最初に登場したUNISON SQUARE GARDENは、斎藤宏介(Vo/Gt)が「MCなし!」と言い放つと、1曲目の「天国と地獄」を皮切りに、その宣言どおり一切言葉を挟むことなく、激しく共鳴し合うスリーピースの爆音を畳みかけていった。長身の鈴木貴雄(Dr)が繰り出すパワフルかつキレのあるドラムから突入した「サイレンインザスパイ」から、間髪入れずに雪崩れ込んだニューアンセム「10% roll, 10% romance」へ。最後の一音が終わる瞬間まで一瞬の油断も見せない緊張感のあるロックサウンドにのせて、斎藤のクリアなボーカルが一貫してキャッチーなメロディを歌い上げていく。
UNISON SQUARE GARDEN Photo by Viola Kam [V'z Twinkle]
UNISON SQUARE GARDEN Photo by Viola Kam [V'z Twinkle]
UNISON SQUARE GARDEN Photo by Viola Kam [V'z Twinkle]
アダルトな色気が漂う「CAPACITY超える」ではイントロだけで大歓声が湧きあがると、田淵智也(B)のヘヴィなベースラインが印象的な「等身大の地球」、真っ赤な照明が楽曲の激情を煽った「マスターボリューム」、さらにセンチメンタルなメロディが柔らかく降り注いだミドルテンポ「8月、昼中の流れ星と飛行機雲」など、久々に披露される楽曲も交えながら、ライブはノンストップで進んでいった。すでにこれ以上ないほどの興奮に包まれたフロアだったが、「シュガーステップとビターステップ」と「オリオンをなぞる」が披露されると、会場のボルテージはさらにマックスに。性急なビートが炸裂したラストナンバー「Cheep Cheep Endroll」では、冒頭から所狭しと暴れ回っていた田淵がステージの端から端まで全力ダッシュを見せて、ストイックに駆け抜けた50分のライブは幕を閉じた。去り際に、斎藤が「次はヒトリエです」とだけ、ひとこと。何も語らないことで、UNISON SQUARE GARDENというロックバンドの何たるかを雄弁に語る、圧巻のステージだった。
UNISON SQUARE GARDEN Photo by Viola Kam [V'z Twinkle]
Beckの「Square One」をSEと共にステージに現れたヒトリエの4人をフロアのお客さんは温かい手拍子で出迎えた。ライブの口火を切ったのは、wowaka初期のボカロ曲をヒトリエ・バージョンでカバーした「アンハッピーリフレイン」。衝撃の幕開けによって開始直後から最高潮へと達したフロアの熱狂にさらに拍車をかけるように、「お客さんのなかで踊り足りない方はいらっしゃいませんか?」(シノダ)と問いかけて、「踊るマネキン、唄う阿呆」へと突入。少しでもタイミングがズレたら全て瓦解するような緻密なバンドサウンドにのせて、wowaka節としか形容できない独特のメロディがフロアを一斉に踊らせていった。「今日は俺の日だ!最高の日にして帰りましょう!」と、どこか誇らしげにフロアへと語りかけたwowaka。そのパフォーマンスには、事前に発表したコメントで“いま日本で一番僕自身が見たいツーマン”と綴った一世一代のステージに臨む気合いが漲っていた。
ヒトリエ Photo by 西槇太一
ヒトリエ Photo by 西槇太一
ヒトリエ Photo by 西槇太一
ヒトリエ Photo by 西槇太一
wowakaがハンドマイクで歌った「イヴステッパー」から、サビ前で演奏を止めてスリリングな展開を見せた「るらるら」。怒涛の勢いで駆け抜けた前半戦を終えたところで、wowakaが「俺はUNISON SQUARE GARDENが日本でいちばんかっこいいバンドだと思ってる!」と力強く言い切ると、長いことフロアからの喝采が鳴りやまなかった。そして、久しぶりに披露された美しくもエモーショナルなミディアムテンポ「(W)HERE」から、ピアノのイントロがその静寂を打ち破ったのは再びのボカロ曲「ローリンガール」へ。通常のワンマンライブではあり得ない、wowakaによるキュレイター企画だからこそのスペシャルなセットリストに、イントロが鳴るたび会場からどよめきと歓声が湧き上がった。ゆーまおが叩き出すタイトなドラムに導かれた「絶対的」からフロアの狂騒はクライマックスに向けて、さらに加速していった。イガラシとシノダのツートップが競うようにステージ際まで歩み出た「センスレス・ワンダー」のあと、最後に「いまの僕らにとってとても大事な曲で、これからも歌っていきたいと思ってる曲を」と紹介したラストナンバーは、最新ミニアルバム『ai/SOlate』の先行配信曲でもある「アンノウン・マザーグース」。多幸感溢れるサウンドにのせて、wowakaがマイクスタンドをフロアに向けると、ウォーウォーという力強いシンガロングがフロアから湧き上がる。ヒトリエの楽曲で大合唱が起こる光景を目にしたのは初めてだ。それはヒトリエがバンドとして新たなフェーズへと足を踏み入れた証の曲でもあった。
アンコールでは、ユニゾンを迎えたこの日のツーマンについて、「音楽をやってて、バンドをやってて、夢のひとつが今日叶いました」と感謝を伝えたwowaka。「あの(ユニゾンの)かっこよさを信じて、音楽をやってきました。俺らも近づけてるかな?どうかな?」と問いかけると、イエスの意志を示す、とても大きな歓声が会場を埋め尽くした。そして、「またいつか胸を張ってツーマンをできるように自分の道を歩んでいきたい」と告げて、「SisterJudy」と「トーキーダンス」の2曲で、熱い想いが溢れた夢のツーマンは幕を閉じた。
ヒトリエ Photo by 西槇太一
なお、ヒトリエは1月28日から最新ミニアルバム『ai/SOlate』を携えた全国ツアー「ヒトリエ UNKNOWN-TOUR 2018 "Loveless"」を京都からスタートし、先日発表された台北・上海での追加公演も含めて全12公演を開催する。幸先の良い初ライブで2018年をスタートさせたヒトリエは、今年もさらなるバンドの進化を見せてくれるはずだ。
ライター:秦理絵