現役京大院生の書店スタッフが選ぶ『人生を狂わす名著50』選書全リストが公開に
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『人生を狂わす名著50』
全国の書店で、京大院生の書店スタッフによるブックガイド『人生を狂わす名著50』三宅香帆(ライツ社・刊)が話題を呼び、重版3刷を突破している。
この本は、2016年「はてなブックマーク数年間第2位」となり大きな話題を呼んだ記事を元に、現役の京大院生、かつ京都天狼院書店で働く文学マニアの女子大生が「世界の規範から外れる」どうしても社会や世界に流されることのできなくなる本を紹介するブックガイド。今回、50冊分すべての選書リストが公開されたので、ご紹介したいと思う。
あの、 書店スタッフとしてこんなこと言うのもどうかと思うんですけど、 ぶっちゃけ、 本読むのってめんどくさくないですか??
借りるのでない限り、 ネットやテレビみたいに無料じゃないし。 眠たい時に読んでると寝ちゃうし。 肩こりも酷くなるし。 (これは私だけ?)
だけど、 読む。 読んじゃうんですよね。 私は、 本を読むのがめんどくさいけど大好きです。 なんでかというと、 今まで本に、 たくさん励まされてたくさん教えられてきたから。 生きててよかったって思うくらい、 死ぬほどおもしろい本に出会ってきたから。 読むことで人生をつくってきたんだと思うから。
そこで、 今回は、 これを読んだらあなたの人生を狂わせてしまうかもしれない……! と思うほど、 衝撃的でおもしろい本を選んでみました。
あなたに、 一冊でも多くの、 素敵な本との出会いがありますように。
【京大院生が選んだ、 「正直、 これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う名著ベスト50】
1/50『高慢と偏見』ジェイン・オースティン
1/50『高慢と偏見』ジェイン・オースティン
― 人生の「笑い飛ばし方」がわからなくなったあなたへ
世界でいちばんおもしろい古典小説。 実は、 月9ドラマも今時放映しないくらいベタベタなラブ・コメディなんです。
2/50『フラニーとズーイ』J . D . サリンジャー
― 世に溢れかえる承認欲求にうんざりしているあなたへ
止まらない自己愛や承認欲求との距離の取り方を教えてくれる、 アメリカ大学生の青春文学。
3/50『眠り(『TVピープル』所収)』村上春樹
― 村上春樹をまだ読んでいないあなたへ
世界の村上ブンガクの傑作短編。 (私のように)なかなかほかの村上春樹作品を受けつけなかった人におすすめです!
4/50『図書館戦争』有川浩
― 新しい仕事や新生活を始めた「新人」さんへ
「組織としての正義」と「矛盾に葛藤しながら戦う主人公」。 読むたびに励まされ、 背筋の伸びる最高のエンタメ小説!
5/50『オリガ・モリソヴナの反語法』米原万里
― 「語られない歴史」が好きなあなたへ
私が「全人類」におすすめする本を挙げるとしたら、 この本を挙げる。 「歴史」と「文学」の間にある傑作です!
6/ 50 『スティル・ライフ』池澤夏樹
― 都会とか現代とか、 「忙しさ」にちょっと疲れたあなたへ
透明感ってこういうことか。 精神的な何かのチューニングをするために、 「文章」で「自然」と出会うことのできる物語
7/50『人間の大地』サン= テグジュペリ
― 手の届きそうにない何かに出会ったことがあるあなたへ
あなたの人生を狂わすほどの「憧れ」に出会う一冊。 命よりも大事な何かに取り憑かれてしまった人が見た景色とは。
8/50『グレート・ギャツビー』スコット・フィッツジェラルド
― この世のロマンチストな男の人全員へ
憧れは手にした途端消えてしまう。 それでも……。 全世界の男のロマンを結晶させたアメリカ文学史にかがやく華麗なる一冊。
9/50『愛という病』中村うさぎ
― 「女という性」がよくわからなくなってきたあなたへ
ホスト狂い、 整形、 デリヘル嬢……女という動物の欲望の謎を中村うさぎの壮絶な実体験から知ることができる一冊。
10/50『眠れる美女』川端康成
― 自分の変態度をグレードアップしたいあなたへ
日本屈指の変態作家といえば川端康成でしょ! ノーベル賞作家の描く美少女の官能っぷりは最高です。
11/50『月と六ペンス』サマセット・モーム
― 小説家や画家に頭が上がらないと思っているあなたへ
絵に取り憑かれた画家の一生を通して、 「芸術」の魔力を描いた一冊。 鑑賞者ってつくづく楽だ……とか思っていたら殴られてしまう。
12/50『イメージを読む』若桑みどり
― 旅行に行っても美術館をちっとも楽しめないあなたへ
モナリザの秘密やルネサンスの謎。 絵は見るだけじゃなく、 読めるものなんだ! と教えてくれる美術史入門。
13/50『やさしい訴え』小川洋子
― 静かに感情の波に飲み込まれたいあなたへ
眠れない夜には小川洋子。 小説独特の「艶」というものを知る、 静謐で美しい恋愛小説。
14/50『美しい星』三島由紀夫
― 本気の美しさを見たいあなたへ
日本史上もっともロマンチストだった作家・三島由紀夫による究極の人間賛歌。
15/50『死の棘』島尾敏雄
― 結婚前(後)に夫婦の真髄を知りたいあなたへ
元祖メンヘラ女性小説。 620ページ、 妻がひたすら病んでいる夫婦文学でございます。 結婚に夢を持っている人は、 読んではいけない。
16/50『ヴィヨンの妻』太宰治
― 太宰治の言葉に殺されたい人へ
日本文学史上最高にキャッチーな「太宰の殺し文句」で、 男のクズさと女の冷たさを楽しむ短編小説。
17/50『悪童日記』アゴタ・クリストフ
― 残酷でタフな世界を生きる小さいあなたへ
子どもは純粋無垢なんて思うと痛い目見ます。 たったふたりで世界を生きた、 この世でいちばん残酷でクールな双子の物語。
18/50『そして五人がいなくなる』はやみねかおる
― 「本」のおもしろさをまだ知らない子どもたちへ
子どもたちを「本好き」という夢の世界へ狂わせ続ける、 名探偵夢水清志郎事件シリーズ。
19/50『クローディアの秘密』E . L . カニグズバーグ
― 冒険じゃない冒険を求めている、 自称子どもたちへ
家出先が「メトロポリタン美術館」。 大人が読んでもおもしろい、 素敵で都会的な秘密の家出物語。
20/50『ぼくは勉強ができない』山田詠美
20/50『ぼくは勉強ができない』山田詠美
― カッコわるい大人にはなりたくないあなたへ
不良じゃなくても、 優等生じゃなくても、 そのどちらでもない自分でも、 社会で「自由」でいられる方法を教えてくれる青春小説!
21/50『おとなの進路教室。 』山田ズーニー
― 大人になっても、 「これから」に迷っているあなたへ
ビジネス書でも自己啓発でもない。 だけど、 選択、 就職、 進学……悩んだとき「自分の意志に逆らわない勇気」をくれる一冊。
22/50『初心者のための「文学」』大塚英志
― 教科書に載っている文学作品って何がおもしろいの? と思うあなたへ
三島由紀夫や太宰治をどうしても読む気が起こらない人に、 「読み方」を教えてくれる、 文学のおもしろ取扱説明書。
23/50『妊娠小説』斎藤美奈子
― 新しい読書ジャンルを開拓したいあなたへ
文学の読み方が変わるっ。 高尚なはずの森鴎外や島崎藤村の小説がゲラゲラ笑けてきてしまう文学批評本。
24/50『人間の建設』小林秀雄・岡潔
― 「難しい話」に背伸びしてみたいあなたへ
知の巨人たちが語る「日本史上もっとも知的な雑談」。 文系と理系はわかり合えるのだろうか? 教養とは何か知りたい人、 ぜひ。
25/50『時間の比較社会学』真木悠介
― 生きるとか死ぬとかってけっこう虚しいよなぁと思う人へ
時間を相対化するという挑戦から、 誰もが抱える「どうせ死ぬんだから意味ないじゃん」という虚しさに対抗した労作。