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現役京大院生の書店スタッフが選ぶ『人生を狂わす名著50』選書全リストが公開に

2018.1.22
ニュース
アート

26/50『コミュニケーション不全症候群』中島梓 

― 社会に適合するのってむずかしいと思うあなたへ
「90年代」以降の少年少女の生き様を書き下した評論。 自分を傷つける方法と、 楽にする方法を同時に学べる一冊。 

27/50『枠組み外しの旅「個性化」が変える福祉社会』竹端寛 

― どうせ変わりっこない、 なんてほんとは思いたくないあなたへ
「しゃーない」って諦めてしまうところをきちんと「越えて」いく元気が出る学術書

28/50『燃えよ剣』司馬遼太郎 

― 理想の「生き様」や「美学」を探している青少年たちへ!
「カッコよさ」の定義が狂わされる、 問答無用にカッコいい歴史小説。 土方歳三は負けてもなお、 カッコいい。 

29/50『堕落論』坂口安吾 

29/50『堕落論』坂口安吾

― 「まともさ」や「綺麗事」に違和感を覚えるあなたへ
不況になると「坂口安吾」が流行るらしい。 すぐに「堕ちて」しまう人間の性を、 じゃあどうするかって本です。

30/50『アウトサイダー』コリン・ウィルソン 

― 人生に意味なんてないのでは……と絶望しはじめたあなたへ
どうしたら人は「日常の退屈」に負けずに生きられるのか? そんな疑問に文学を通して答える、 とにかく死ぬほどおもしろい本。 

31/50『ものぐさ精神分析』岸田秀 

― 社会の幻想がつまらなく思えてきたあなたへ
夢とか自己実現とか、 そういう「まやかし」に惑わされないために読みたい一冊。 歴史的名言に出会ってください。 

32/50『夜中の薔薇』向田邦子 

― 「言い過ぎてしまう自分」がいつも恥ずかしいあなたへ
名脚本家による名エッセイ。 古いのに新しい、 優しいのに厳しい、 黙っているのに声が聴こえてくる一冊。 

33/50『東京を生きる』雨宮まみ 

― 東京は自分の居場所だと思いたい、 思えないあなたへ
地方出身者である作者が「東京」への欲望を語る一冊。 私はこれを読んで東京に住みたくなくなった。 あなたはどうだろうか?

34/50『すてきなひとりぼっち』谷川俊太郎 

― 詩の世界に触れてみたいって思い始めたあなたへ
誰もが知る詩人・谷川俊太郎の誰も知らないベスト・アルバム詩集。 私たちがふだん使っている言葉と同じ言葉なのに、 どうしてこんなふうに扱えるのだろう。 

35/50『チョコレート語訳 みだれ髪』俵万智、 与謝野晶子 

― 日本語のおもしろさを知りたいあなたへ
明治時代の与謝野晶子の歌を、 俵万智が現代語訳! 明日から自分の口からこぼれる言葉を大切に選びたくなる一冊。 

36/50『ぼおるぺん古事記』こうの史代 

36/50『ぼおるぺん古事記』こうの史代

― 日本の神話をいつか読んでみたいと思っていたあなたへ
原文そのままなのに古事記が理解できちゃう!? 日本で今いちばんすごい漫画! ぶっ飛んでキャラ立ちまくりな神様たちの物語です。

37/50『百日紅』杉浦日向子 

― 今まで読んだことのない漫画を読んでみたいあなたへ
浮世絵風の絵に注目。 江戸の街を舞台に、 幻想と日常をうつしだす美しさの価値観が変わる一冊。 

38/50『窮鼠はチーズの夢を見る』『俎上の鯉は二度跳ねる』水城せとな 

― 大人になってから恋を「してしまった」あなたへ
ふだんBLや少女漫画を読まない人にもおすすめしたい。 Amazonの口コミ評価が異様に高く熱量がすごいので、 ぜひご覧くださいませ(笑)

39/50『二日月(山岸凉子スペシャルセレクション8)』山岸凉子 

― 少女漫画の深淵を覗きたいあなたへ
私はこれを読んで、 世界に物語が必要な理由がわかった。 読めば人生観が覆される、 「人間の業」を見つめた少女漫画。 

40/50『イグアナの娘』萩尾望都 

― 消せないコンプレックスを持つ女へ
イグアナの顔をした母娘の間に生まれる「憎悪」から、 自分との向き合い方を50ページで見事に描き切った短編漫画。 

41/50『氷点』三浦綾子 

― 「愛」って何か、 ずっと知りたかったあなたへ
「一生、 家族を殺した犯人を憎まずに生きられるか」というよくあるテーマ。 だけど、 これ以上掘り下げた作品をほかに知らない。 

42/50『約束された場所で』村上春樹 

― 日本の、 いや「私たち」の闇について知りたいあなたへ
村上春樹によるオウム真理教信者へのインタビュー集。 「彼ら」と「自分」の「違いのなさ」に衝撃を受ける一冊。 

43/50『存在の耐えられない軽さ』ミラン・クンデラ 

― 恋愛で「重すぎる」「軽すぎる」自分に嫌気がさしたあなたへ
人生に求めるのは軽さか? 重さか? 「プラハの春」を舞台にした哲学的恋愛小説。 

44/50『春にして君を離れ』アガサ・クリスティー 

― 自分の「間違い」を認めることが苦手なあなたへ
アガサ・クリスティーの「ミステリじゃない」小説。 正しさは人を傷つけ得る、 ということを描いた名作。 読むと背筋の凍ることうけおい。 

45/50『ティファニーで朝食を』トルーマン・カポーティ 

45/50『ティファニーで朝食を』トルーマン・カポーティ

― 本当は、 自分に正直に生きていきたいあなたへ
ニューヨーク、 恋心、 まるで猫みたいな美女。 イノセンスの思い出をめぐる、 きらきらと切ない小説。

46/50『光の帝国―常野物語』恩田陸 

― 「善き物語」に触れたいあなたへ
目を向けると心が荒むことばっかりで、 こういう「善き人々」が存在すると信じさせてくれるだけでも価値あるよなって思う小説。 

47/50『なんて素敵にジャパネスク』氷室冴子 

― 本を読んで、 とにかく元気になりたいあなたへ
少女小説の原点であり、 永遠に女の子の味方。 ラノベの開祖みたいなものです。 傑作平安時代ラブ・コメディ!!

48/50『恋する伊勢物語』俵万智 

― 古典をもっとおもしろく読みたいあなたへ
私の人生を変える恋のきっかけになった一冊です! 古典なのに、 不倫ありナンパあり格差婚ありの恋愛パターン詰め込み集。 

49/50『こころ』夏目漱石 

― 自分って実はめっちゃワガママな人間なのでは……と思い始めたあなたへ
日本文学史上もっとも読者を狂わせる、 人間の孤独の冷たさを完璧に綴った傑作。 教科書で読んだよって方も、 ぜひもう一度。 

50/50『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ 

50/50『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ

― この世でいちばん切ない小説を読みたいあなたへ
とりあえず私が今この世界でいちばんの傑作だと思う小説です! 読んで!! 今の時代、 「善」とされない方向へ傾きます。 

■三宅香帆 コメント
実際リストを作ってみると、 やっぱり 「読んだあと、 明確に自分の見てる世界が変わった本」 のリストになったなぁ、 と思います。 「狂う」って、 「世界の規範から外れる」ことだと思うのですが、 どうしても社会や世界に流されることのできなくなる本たちを選んでみました。 
現在23歳の小娘である私がつくったリストですが、 これから先、 たとえば46歳になってどういうリストになるのかなぁ、 と今から楽しみでなりませんね。 これだから本を読むのはやめられないのでしょう。 

ここまで読んでくださってありがとうございます。 
どうか『人生を狂わす名著50』を通して、 あなたに、 一冊でも多くの、 素敵な本との出会いがありますように。 

 

書籍情報
『人生を狂わす名著50』三宅香帆
作家・有川浩 推薦! 
「作品の芯を射貫かれた。 予断のない読み筋が清々しく、 ありがたい。 
人生狂わせちゃったみたいで、 ごめんなさい。 」 
知らない本が知れる。 知っている本は、 もっとおもしろくなる! 外国文学から日本文学、 漫画、 人文書まで、 人生を狂わされる本を50冊選書。 その一つひとつに確かな紹介文が書かれています。 加えて「文学研究」の視点で、 50冊それぞれに「その次」に読みたい本を3冊ずつ紹介。 本書には合計200冊の名著が紹介されています。 
 
著者:三宅香帆
絵:今日マチ子
発行元:ライツ社
定価:1,600円+税
取り扱い:全国書店、 ネット書店

■Amazonはこちら
https://www.amazon.co.jp/dp/490904406X 
■書籍詳細はこちら
http://wrl.co.jp/2017/09/11/masterpiece50-2/ 

■著者プロフィール
高知県出身、 1994年生まれ。 京都大学大学院人間環境学研究科に在籍中の大学院生。 その一方、 天狼院書店(京都天狼院)のオープニングスタッフとして採用され、 現在も働いている。 大学院での研究領域は国文学で、 テーマは「万葉集における歌物語の萌芽」。 一語一語を解釈して精読することによって歌や物語をちゃんと読めるようになることが現在の目標。 卒業後は博士課程進学予定。 ブックオフに開店と同時に入り浸って不審な目で見られる小学生だったが、 今や深夜に本屋をうろついて不審がられる日々。 ちなみに人の本棚フェチ。