シアタークリエ10周年記念公演 『TENTH』いよいよ最終週に突入! 坂本真綾ら出演『この森で、天使はバスを降りた』

レポート
舞台
2018.1.26


2018年1月4日(木)より開幕し、好評を博しているシアタークリエ10周年記念公演『TENTH』(テンス)。この第3週目の演目『この森で、天使はバスを降りた』の上演が1月24日(水)よりスタートした。初日前日に行われた公開舞台稽古の模様をお届けする。

『TENTH』は2007年の開場以来、海外の小規模ミュージカルを数多く上演してきたシアタークリエならではの公演。シアタークリエで日本初演されたオフ・ブロードウェイ発ミュージカルを1幕に凝縮したダイジェスト版を、週替わりで上演する第1部と、これまでにシアタークリエに登場した俳優たちが日替わりで多数集結し、それぞれが出演した海外ミュージカルナンバーを中心にガラコンサート形式で披露する『10周年記念ガラコンサート』を第2部とした2部構成となっている。これまでにシアタークリエの舞台に登場した俳優たちが多数登場し10年間のヒストリーを綴る記念公演だ。

すでに第1週の『ネクスト・トゥ・ノーマル』、第2週の『ニュー・ブレイン』が上演されて大反響を呼んでおり、いよいよ最終週となる第3週目に本作が登場した。演出は第2部の演出も務める小林香。本作は1996年サンダンス映画祭観客賞を受賞した同名映画をミュージカル化したもので、2001年オフブロードウェイで開幕。「心に深い傷を負った女性たちの再生の物語」をフォーク調の心揺さぶるメロディに乗せて歌い上げた名作だ。2009年5月にシアタークリエで日本初演が行われ、今回のダイジェスト公演でも当時のキャストである剣幸土居裕子田中利花が出演する。

坂本真綾

坂本真綾

剣幸

剣幸

田中利花

田中利花

土居裕子

土居裕子

ある事件で刑務所に収容されていたパーシー(坂本真綾)は仮釈放される。彼女が人生をやり直す場所に選んだ場所は緑豊かなギリアドという田舎町。パーシーはそこにバスで降り立つ。パーシーは保安官のジョー(平方元基)から紹介され、スピットファイヤー食堂の女主人ハンナ(剣)と出会い、食堂で住み込みの仕事を得る。パーシーはハンナ、ジョー、さらに心優しいシェルビー(土居)と昔気質の夫のケイレブ(坂元健児)、噂好きのエフィ(田中)との交流を重ねていく。そんな時、ハンナが食堂を手放したいと言い始めるが、パーシーは一つのアイディアを思いつく。人に言えない秘密を抱えながらも、パーシーは徐々に皆と心を通わせ始めるが、森にはある男(Spi)が潜んでいた…。

『この森で、天使はバスを降りた』

『この森で、天使はバスを降りた』

『この森で、天使はバスを降りた』

『この森で、天使はバスを降りた』

平方元基

平方元基

舞台セットはスピットファイヤー食堂を中心にギリアドの森を周囲に配置しており、全体的に初演よりもシンプルで洗練された印象を受ける。ギリアドの森がライティングの陰陽と交わり、“再生の場所”という神秘的なイメージを作り上げている。

『この森で、天使はバスを降りた』

『この森で、天使はバスを降りた』

新キャストとなる坂本。舞台だけでなく、歌手としても、声優としても活躍する彼女の鮮烈な歌声が絶望から救いを見いだしていくパーシーを綴りあげる。哀しき過去を背負うパーシーは人々の好奇の目にさらされつつも、人の優しさに触れ、再生への賛歌を織り交ぜながら希望にあふれていく。そんな坂本の表情の変化にも注目だ。

『この森で、天使はバスを降りた』

『この森で、天使はバスを降りた』

そのパーシーを厳しくも、時に優しく接するハンナを演じる剣の歌と演技は、2009年の公演よりもさらに深みを増している。ハンナもまたある悲しみを胸に秘めながら生きているが、その胸の内を剣が歌い上げる時、パーシーが降り立ったギリアドに、そしてスピットファイヤー食堂に新たな光が差し込む。

『この森で、天使はバスを降りた』

『この森で、天使はバスを降りた』

『この森で、天使はバスを降りた』

『この森で、天使はバスを降りた』

パーシーへの思いを優しくも切なく歌い上げる平方。パーシーとの出会いにより抑圧された心の解放を歌う土居。シェルビーの変化に困惑するも男として一つの考えを持ち、その思いを迫力ある歌声で表す坂元。エフィの田中はコミカルな要素を舞台に加え、Spiは登場シーンこそ少ないが印象的な役回りを持つ。

坂元健児

坂元健児

Spi、坂本真綾

Spi、坂本真綾

『この森で、天使はバスを降りた』

『この森で、天使はバスを降りた』

ダイジェスト公演として1幕のみの構成となってはいるが、そのスピーディーな展開はテンポの良さを生み、名シーンの数々を観る者の心に刻み込んでいく。最高のパフォーマンスが生み出すパーシーたちの歌声が重なり合う時、ギリアドの森に、そしてクリエと観客の心に天使が降り立つだろう。

会場ロビーには劇場のマスコットキャラクターである歴代の“クリエちゃん”が描かれたパネルが設置されており、出演者によるサインやイラストも加わって記念公演を盛り上げている。その最終週を飾る本作は、“これまでの10年の歴史をお祝いし、これからの10年へむけて新たなスタートを切る”というシアタークリエの想いにふさわしい作品だ。

取材・文・撮影=櫻井宏充

公演情報
シアタークリエ10周年記念コンサート『TENTH』
 
■日程:2018年1月4日(木)~1月31日(水)
■会場:シアタークリエ
■総合演出:小林 香
■公式サイト:http://www.tohostage.com/tenth/

 
<第1部>
2018年1月4日~1月11日『ネクスト・トゥ・ノーマル』
■演出:上田一豪
■出演:
安蘭けい
海宝直人
岡田浩暉
村川絵梨
村井良大
新納慎也

 
2018年1月14日~1月21日『ニュー・ブレイン』
■演出:上島雪夫
■出演:
石丸幹二
マルシア
畠中 洋
樹里咲穂
初風 諄
赤坂泰彦
本間ひとし
伊礼彼方
中村百花
五大輝一

 
2018年1月24日~1月31日『この森で、天使はバスを降りた』
■演出:小林 香
■出演:
坂本真綾
剣 幸
土居裕子
坂元健児
Spi
田中利花
平方元基

 
<第2部>
10周年記念ガラコンサート
各日のキャストは公式HPを参照のこと:http://www.tohostage.com/tenth/castsche3.pdf
当日キャンセル席の抽選販売については公式HP参照:http://www.tohostage.com/tenth/toujitsu.html
シェア / 保存先を選択