美術館を擬人化してみた~「ポーラ美術館」編~【SPICEコラム連載「アートぐらし」】vol.21 とに~(アートテラー)
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美術家やアーティスト、ライターなど、様々な視点からアートを切り取っていくSPICEコラム連載「アートぐらし」。毎回、“アートがすこし身近になる”ようなエッセイや豆知識などをお届けしていきます。
今回は、アートを発信する「アートテラー」のとに~さんによる『【美男化プロジェクト】Mr.ミュージアム』第4弾です。
軍艦、刀剣、城、お米……さまざまなモノが擬人化されている昨今。本企画は、日本全国の美術館・ミュージアムを擬人化していく『【美男化プロジェクト】Mr.ミュージアム』です。毎回イケメン男子の姿となったミュージアムたちが、自己紹介をしながらその館の魅力や展示をお伝えします。今回は「ポーラ美術館」編です。
過去の連載はこちらから
イラスト=yukimone
本日は、よろしくお願いいたします。
まずは自己紹介ですよね?
え~っと、ボクの名前は、ポーラ美術館です。
2002年に箱根で開館して、去年でめでたく15周年を迎えました。
東京からは、どうやっていらしたんですか?
ふんふん。新宿駅から特急ロマンスカーに乗って、箱根湯本駅から箱根登山鉄道に乗って、さらに、強羅駅から施設めぐりバスに乗って……って、いやぁ、もう完全なる小旅行ですよね。
遠路はるばるお越しいただきまして、本当にありがとうございます。
でもでも、その代わりと言ってはなんですけど、都心の美術館では決して味わえないレジャー感を楽しんでもらえると思いますよ。
しかも、近くには温泉もありますし。ぜひ一日たっぷり、余裕があれば一泊して、箱根を満喫していってくださいね♪
ちなみにですね。
ボクがいるのは、富士箱根伊豆国立公園の中。
とっても豊かな自然環境で、ブナやヒメシャラなどが一面に生い茂っています。
で、ここには、たくさんの野鳥や野生動物、昆虫などが住んでいるんです。
そんな森の景観をそこなわないようにってことで、ボクの建物のほとんどが地下に埋められているんですよ。
えっ、地下にあるってことは、館内は暗くてジメジメしてるんじゃないかって?
いやー、全然そんなことないですから!
天井や周囲の大きなガラス面から、自然光をふんだんに取り入れているので、むしろ明るく開放的に感じられるはずですよ♪
ボクのところにあるコレクションの数ですか?
聞いて驚かないでくださいね。なんと約1万点にのぼります!
ポーラ創業家2代目の鈴木常司(1930~2000)さんが、40数年かけて集めたんですって。
実は、これって、戦後の個人コレクションとしては、質量ともに日本最大級の規模なんですよ。
ピエール・オーギュスト・ルノワール《レースの帽子の少女》 1891年 ポーラ美術館蔵
え~っと、そんなボクのコレクションの最大の特徴は、近代美術史上で重要な画家の作品が体系的に集められていることです。
お客さんの特に人気が高いルノワールの《レースの帽子の少女》や、モネの《睡蓮の池》をはじめ、印象派の作品も、もちろんいっぱいあるんですけどね。
クロード・モネ《睡蓮》 1907年 ポーラ美術館蔵
アングルやドラクロワといった19世紀の巨匠の作品から、カンディンスキーにピカソ、シャガールといった20世紀の巨匠の作品まで。
ワシリー・カンディンスキー 《支え無し》 1923年 ポーラ美術館蔵
西洋絵画の歴史に名を残す画家たちの作品は、ほぼほぼ網羅しています。
自分で言うのもなんですけど、まさに“美術の教科書のような”コレクションだと思いますよ。
展示室 (C)Hotta Sadao
それに、西洋絵画だけでなく、日本の洋画、ガラス工芸、日本画、版画、東洋陶磁、版画、
あとはポーラの美術館らしく、古今東西の化粧道具なんかもコレクションに含まれているんです。
さらに言うとですね。昨年10月に、開館15周年を記念して、ボクの1階ロビーに、現代アートを展示するスペース「アトリウム ギャラリー」も誕生したので、今活躍しているアーティストの作品も楽しめるようになったんですよ。
これだけ、いろんなジャンルのアート作品が楽しめる美術館って、そうそうないですよね。
美術が好きな方には、きっと満足してもらえるはずですよ。エヘヘ。
あ、でもでも、美術にそこまで興味がないなぁって人にも、ぜひぜひ遊びにきてほしいです。
なので、コンサートとかワークショップとか、楽しくユニークなイベントを定期的にいろいろ開催しています。
去年の夏には、ボクの周囲に広がる森にテントを設営して、実際に宿泊キャンプが体験できるアウトドアイベント、その名も「FOREST MUSEUM 2017」を開催したんですよ。
閉館後の美術館で貸切のギャラリートークもあったり、野外映画上映もあったり。
想い出に残る楽しい1日でしたよ。
参加者の皆さまにも大好評だったようなので、もしかしてもしかすると、今年も開催するかも。
ボクのホームページを、こまめにチェックしてもらえるとうれしいです。
ん?どうしたの、チューン(※)? あー、そろそろ餌の時間か!
(※肩に止まっているルリビタキ。ポーラ美術館に同名のカフェあり)
それじゃあ、ボクは彼と森に行ってきます♪
文=とに〜 イラスト=yukimone 協力=ポーラ美術館
イベント情報
会場:ポーラ美術館
開館時間:9:00~17:00(最終入館は16:30)
公式サイト:http://www.polamuseum.or.jp/exhibition/20180317s01/