【特報】鬼才ピアニスト反田恭平、サントリーホールでのデビューリサイタル決定!
反田恭平さん [写真] 高橋将志
若き鬼才ピアニストに聞く
2015年日本クラシック界を震撼とさせた若き鬼才といえば、もちろん反田恭平のことだ。今年5月「チッタ・ディ・カントゥ国際ピアノ協奏曲コンクール」古典派部門で優勝、7月にアルバム『Liszt(リスト)』でCDデビューするや「21世紀のリスト現る」と各方面より絶賛を浴び、9月には東京フィルハーモニー交響楽団・新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏会に相次いで客演し聴衆を熱狂させた。
そんな彼が来年1月23日、ついに本格的なソロのデビューリサイタルを行なうこととなった。会場はなんとサントリーホール(座席選択可能な先着順による先行受付開始は10月10日(土)12時より)。
この決定を受けて、クラシック音楽評論家の小田島久恵氏が反田氏にインタビュー取材をおこなったので、ここにその模様をお知らせする。
反田恭平さん [写真] 高橋将志
■デビュー・アルバム『リスト』は自信作
――先ごろリリースされたデビュー・アルバム『リスト』は、全曲リストで録音した意欲作(一曲のみリスト作曲・ホロヴィッツ編曲)ですが、ご自分でもよく聴きますか?
「日本では自分でアップルストアで購入した『ため息』だけを聴いていますが、モスクワに帰ったらもっと聴くつもりです。僕の自信作ですし、素晴らしい方々にサポートしていただき、レコーディングのスタッフもとてもよかった。他の演奏家の録音も聴かないことはないのですが、自分のことで手いっぱいなので、基本的には自分の録音ばかり聴いているタイプです」
――反田さんが使用されているのは、巨匠ホロヴィッツが愛用していた1912年製のスタインウェイです。
「このピアノがなければまた、アルバムも別のアプローチになったと思いますが、どんなピアノでも僕は自分が消えない「個」のピアノを弾いたと思います」
――リストという作曲家については?
「ピアニストであり作曲家であった、二刀流の人でした。彼の書いた楽譜を見ていると「どういうふうに弾けば聴衆が喜ぶのか」ということが、ぱっと見ただけでわかってしまうんです。譜面を見て共感するし、弾きやすいですね。僕はいつも初見で通して弾くのですが、16分音譜や32分音譜の上昇や下降を絵としてとらえて、そこに書かれていない強弱記号を読み取ります。楽譜が点描画のようにとらえています」
反田恭平さん [写真] 高橋将志
――リストの人物像については?
「強いところもあったし、あれだけ恋多き人だったから、失恋をしたり、弱い部分もあったと思います。ちやほやされたり、恋に破れたり…強いだけの人ではなかった」
――リスト以外にもたくさんのレパートリーがありますか?
「高校三年間は古典派を基本的に勉強していましたし、それ以前はロマン派も好きで弾いていました。ショパンも好きですが、しっくりくるのはリストの方ですね。でもまだ自分は若いので、どの作曲家が好きとは決めつけずに、広く深く勉強していきたいです」
――この夏には、イタリアのチッタ・ディ・カントゥ国際ピアノコンチェルトコンクールで、古典部門の一位を獲得されました。ふらりと旅に出るようにコンクールに行かれた…と聞いています。
「コンクールのネット締切の二日前に参加費を振り込んで、先生に「行ってきます」と言って、ホテルの予約もしないでそのまま弾丸のように向かったんです。ミラノから電車で二時間半のところにある田舎街で、まったく道が分からなかったのですが、出会ったイタリアの方々に親切にしていただいて、とても充実した旅になりました」
――それで優勝…大物ですね!
(左)小田島久恵さん(右)反田恭平さん [写真] 高橋将志
■「独自の試み」を盛り込んだサントリーホールでのデビュー・リサイタル
――2016年1月にはサントリーホールで初のソロ・リサイタルを行われます。
「あれだけ由緒のある大きな素敵な舞台で、2000席を独占できるのは楽しみです。CDからの曲もやりますし、リサイタルの後半ではちょっと変わった試みも準備しています。僕のファンクラブがあるのですが、アンケートで弾いてほしい曲を集計したところ、有名な曲からマニアックな曲までたくさん集まったんです。そのアンケートを参考にさせていただきます」
――デビュー・リサイタルで、後半の曲は休憩中に決まるのですね…度胸がありますね。
「候補の十数曲は、前もって準備をしておくので(笑)。前半はリストで僕が選んだ曲、後半は聴衆の皆さんと選んだ曲をやりたい。クラシックは敷居が高いというイメージがありますが、敷居自体はなくならないと思いますし…200年前にサロン文化として生まれたものですから…でも、敷居を調節することは出来ると思うんです。若い聴衆を増やしていきたいし、チビッコのための可愛い曲も用意していくつもりなんです」
(左)小田島久恵さん(右)反田恭平さん [写真] 高橋将志
――この伝説のピアノでリサイタルも行うのですね。
「出会ってから2年以上たっていますが、本当に電話一本から始まったんです。「いいピアノがあるから遊びに来ないか」と言われて来てみたら、あのホロヴィッツが使っていたピアノで、見るからに普通のピアノにはない存在感がありました。最初、弾くのがためらわれるほどで、一音出すのにも勇気がいりましたね。本当に衝撃的でした…! 高音は上にいくほどキラキラしていて、低音は普通のピアノではありえない音を出す。馬力がすごいんです。真ん中はというと、人の声のように甘く、弦楽器に似ています。100年以上経ったピアノが博物館に置かれず、今でも音を出すことが奇跡だと思いますし、「リストはこういうピアノを弾いていたのではないかな」と想像させてくれます。鍵盤がものすごく軽くてコントロールが難しいので、日本にいるときには出来るだけ触るようにしています」
――生演奏でしか聴けない迫力もありますね。
「今はyoutubeやネットなどで簡単に音楽が手に入るので、コンサートに足を運ぶことが少ない人も増えてきているのかも知れません。僕は、いかにお客様を楽しませるかを研究していきたいと思っているので、試しにでもいいから、聴きにきて欲しいです!」
[聞き手・文(インタビュー部分)] 小田島久恵 [写真] 高橋将志
【オリジナル動画】反田恭平 plays 「水の上を歩くパオラの聖フランチェスコ」(作曲:リスト)↓
2012年、高校在学中に、第81回日本音楽コンクール第1位入賞(高校生での優勝は11年ぶり、併せて聴衆賞を受賞)、毎日新聞社主催による全国ツアーで好評を博す。2013年、桐朋学園大学音楽学部に入学するも、同年9月M.ヴォスクレセンスキー氏の推薦によりロシアへ留学。2014年チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院に首席(日本人初の最高得点)で入学。
2014、15年度(財)ロームミュージックファンデーション奨学生。
2015年5月「チッタ・ディ・カントゥ国際ピアノ協奏曲コンクール」古典派部門で優勝。
2015年9月11日には、東京フィルハーモニー交響楽団定期への異例の大抜擢を受け、ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」(指揮:Aバッティストーニ)を熱演、満員の会場で大きな反響を呼び、同月27日は、新日本フィルハーモニー交響楽団と「フレッシュ名曲コンサート」にてチャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」(指揮:円光寺雅彦)を演奏し、観客を魅了した。
【オリジナル動画】反田恭平インタビュー&演奏<完全版>コチラ↓にて一挙公開中!
■日時:2016年1月23日(土)19:00
■会場:サントリーホール 大ホール(東京)
■料金:全席指定\3,000
■主催:日本コロムビア株式会社/イープラス/サンライズプロモーション東京
■協賛:サクラグローバルホールディング株式会社
■注意事項:※未就学児入場不可
■お問合せ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00~18:00)
■一般発売:2015年10月31日(土)12:00
■先行予約:2015年10月10日(土)12:00~座席選択・先着順受付開始 http://eplus.jp/sorita/
■公式サイト http://soritakyohei.club/
演奏中の反田恭平さん [写真] 高橋将志