【CHART insight of insight】サカナクションは、なぜジャニーズに勝てたのか?
今週の「HOT100」で見事1位を獲得したのは、サカナクションの新曲「新宝島」(9/30リリース)。映画『バクマン。』の主題歌に起用されたことでも話題の作品だ。
彼らのチャート戦略はとてもオーソドックス(表1)。タイアップということでいい具合に楽曲がひとり歩きしているし、その話題を引っ張りながらラジオのオンエア(緑のグラフ)も発売日の前週(1位)と前々週(3位)にピークを作っている。そして、ビデオクリップも発売前週にYouTubeへアップして3位を獲得し(赤い点)、音と映像をすごくいいタイミングで露出しているのだ。
彼らのようなロック・バンドが上位に食い込むには、こういったメディアミックスが大切。でも、そのためには話題になるようなキャッチーな楽曲や映像を作ることが前提だ。特に今回のビデオクリップは、昔の歌番組のようなレトロなセットやダンスが面白く、ついついツイッターなどでつぶやきたくなるような映像だったことも勝因だろう。実際、ツイッターのツイート数(水色のグラフ)も、発売前週に6位と急上昇している。
一方、同じく9/30の発売日で3位に浮上したA.B.C-Zは、極端に戦法が違う(表2参照)。ジャニーズはYouTubeを一切使わないし、ラジオもそれほど積極的に活用するわけではない(発売週でも55位)。プロモーションのメインはテレビ出演なので、メンバーの出演に合わせてツイッター指数にも反映されるのだろう。ツイート数では今週8位にまで上昇している。でも、それ以外のポイントはほぼ皆無。ということは、実数のCD売上のみ(ダウンロードやストリーミングも無し)で、チャートの3位にまでこぎ着けたわけで、この事実はとても驚異的。よって、ジャニーズの根強いファンに対抗するには、やはりサカナクションのようにメディアミックスでどう盛り上げるかを考えなければいけないのだ。 text by 栗本 斉