桜庭和志インタビュー 打撃禁止の組み技限定イベント「QUINTET」を始動した目的 そしてUFC殿堂入りと木村政彦を語る

2018.3.8
インタビュー
スポーツ

●桜庭和志と木村政彦とビル・ロビンソン

――桜庭さんのグラップリング技術についてお伺いしたいと思います。レスリングをやって、Uインターに入って……と様々な変遷がありますが、ご自身で何がベースだと思いますか?

ベースはレスリングだと思います。レスリングからプロレスに入って、プロレスになるとレスリングじゃやっちゃいけない技もやってよくなって。だから、結局はレスリングに繋がるんですよね。

――極めを覚えても、そこに行くまでの過程はレスリングの技術で。

そうですね。だから、僕はできれば下にはなりたくないですし。練習では下のポジションにもなりますけど、レスリングの考えだとやっぱり上になりたいですし。

――引き込んでる桜庭さんって見たことないですもんね。桜庭さんはUインターの若手時代から「極めっこなら負けねえ」という思いがあったとのことなんですが、その思いは今も持ち続けているわけですか?

いや、もう歳だし、負けるかもしんないです。

――いや、いや(苦笑)。ただ、日々練習していて「進化しているな」という実感はあるわけですよね?

それはあります。「あっ、こんな形でもできるんだ」というのもありますし。

――桜庭さんの中で「俺はUインターで技術を覚えた」という思いはありますか?

基本、アームロックとかはレスリングから繋がってのUインターで覚えたものなんですけど……。う~ん、どうだろう。シュートボクセ行ったりもしましたんで、特になんか……。

桜庭和志

――色々なものを吸収して……という感じでしょうか?

そうですね。色んなものをやって今があるみたいな感じなんで。

――例えば、エンセン井上さんとの交流とか。

そうです、そうです。エンセンさんとやって、いきなり下になって寝たりするから。下になっても、別に不利じゃないわけですよね。柔術の練習に行くと「こうやって足を使うんだ」という発見もあったんで。UWFではシューズとレガースを着けているんで、あんまりそういうのはないんですよ。だけど、足関節はUWF系で覚えたこともありますし。船木(誠勝)さんと練習したら、足技は凄かったですし。

――へぇー! それは、Uインターの道場には無い技術でしたか?

どっちかって言うと、船木さんの方が強いです。船木さんに足を持たれたら引っこ抜かれそうになりますし。アキレス腱固めとか、足ごと持って行かれそうな感じですね。

――パワーなんですか?

パワーじゃなくて、コツっていうか。

――へぇーっ! じゃあ、一つの道場に思い入れがあるんじゃなくて、レスリングというベースがあり、その他に色々なものを吸収して出来上がったという感じでしょうか。

そうですね。

――桜庭さんとチームメイトのジョシュ・バーネットは自分の技術を「キャッチ・レスリング」とアピールしています。ビル・ロビンソンさんも桜庭さんのことを「キャッチだ」と仰っていましたが、桜庭さんはご自分のことをキャッチだと思いますか?

僕はキャッチではないですよね。シューズ履かないですし。でも、どこかで観たんですけど、昔のビル・ロビンソンさんの試合映像で僕と同じ動きしてたんですよ。「これ、同じ取り方だ!」と思って。何の技か忘れちゃったんですけど。それは、別に教わったわけじゃないんですよ。

――行き着くところは一緒だったということなんでしょうか。桜庭さんのサクラバロックとキムラロックが、まさにそうですよね。

はい。昔の昭和初期くらいの映像がYouTubeにあるんですけど、それ観たら、木村(政彦)さんにアームロックの取り方を教わったわけでもないのに、同じ取り方してたんですよ。

(ここでマネージャーさんが、乱入)

YouTubeの動画を観て「全部、俺のマネしてる!」って言ってるんですよ。いや、映像も白黒だし、向こうが先だから(笑)!

ワハハハハッ、いや、俺のマネしてた(笑)!

桜庭和志

――「木村政彦が俺のマネしてる!」って(笑)。木村さんやロビンソンさんの取り方の些細な部分が桜庭さんに似ているということだと思うんですけども……

(遮って)ロビンソンさんは僕のマネしてたんですよ(笑)!

――違いますよ(笑)!

なんだよ~、セミナー代取るぞって(笑)。要は、マネって言うよりかは考えることはみんな一緒だと思うんですよね。

――桜庭さんや木村さんやロビンソンさんと同じ取り方をする現役選手はいないんですか?

やっぱり、人それぞれ違いますよね。木村さんと同じ取り方をしていたのはアームロックだってすごい覚えてるんですけど、ロビンソンさんと同じだったのは何だったけなあ……? アームロックについては、こうですよ。(以下、アームロックの取り方の秘密を説明してくれる桜庭選手だが、門外不出のため割愛)

――おわ~っ、さすがはIQレスラー! この取り方を、桜庭と木村がやっていたという。

他の人はやらないですもん。マネされてましたよ……。

――マネじゃないですから(笑)。ちなみに桜庭さんは、ロビンソンさんから指導を受けたことはないんですか?

ロビンソンさんがいた頃は僕は入ったばっかりで、どっちかって言うと実験役です。ロビンソンさんが教えたものを他の人たちが試す時の実験役。アームロックの時とか「勘弁してよ……」って感じでした。「余計なこと教えないでくれ!」って感じ。Uインターでロビンソンさんから指導を受けたのは、田村さんとか垣原さんまでじゃないですかね。金原さんがギリギリかな? 高山さんと僕は実験台のやられ役で。

――今、お名前が出ましたが、現在、高山さんがケガと闘っていらっしゃいます。桜庭さんもお見舞いには行かれましたか?

行きました。昔のプロレスの話とかして。「今、ニンジャチョークって流行ってるんすよ」って話をしたら、高山さんが「俺、それ、ロビンソンさんに教わって昔やってたよ!」って。

――高山さん、使ってたんですか! やっぱり、そこでもロビンソンさんが関わってくるんですね。ロビンソンさんがパクったのではなく(笑)。

僕はニンジャチョークっていうのは分からないんで、パクられてはいないです。

――ハハハハハハ!

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