エッセイ「ちっちゃい発明家」【SPICEコラム連載「アートぐらし」】vol.23 芋生悠(俳優)
芋生悠
美術家やアーティスト、ライターなど、様々な視点からアートを切り取っていくSPICEコラム連載「アートぐらし」。毎回、“アートがすこし身近になる”ようなエッセイや豆知識などをお届けしていきます。
今回は、俳優の芋生悠さんのエッセイ「ちっちゃい発明家」を紹介します。
私は幼少期、とにかく発明するのが好きな子でした。
幼稚園児の私が最初に発明したのは、「幼稚園学校」というもの。
学校のお勉強なんてわかるはずもないのに、先生をするのは私。
生徒数は3人(笑)
なにを教えていたかというと、
ひらがなの"ひ"は何色かとか
○と×はどっちがいい子かとか
ランドセルの中にどれだけティッシュを詰められるかとか
思いつきでした。
絵の具で色をつけた紙は燃やすとその色の炎が出るのかというのは、ストーブで実験したら焦げ臭さでボヤ騒ぎ。
正座で怒られました。
小学校低学年の私が発明したのは、「幽霊が見えるスポット」でした。
大きなジャングルジムのテッペンから空に念じると幽霊が舞い降りると信じていた私は、友達を連れてひたすら念じていました。
しかし一向に幽霊が見えることはなく、いつまでも動かない私達は幽霊にでもなったかのように怖がられて終了しました。
高学年になった私が発明したのは、「クラス郵便局」でした。
これは、普通に文通するの飽きたなと感じてきた頃に思いつきました。
教室内にポストを設置し、紙と封筒を隣に置く。
あとは郵便局員の私が回収して宛名の人に手渡ししにいくというもの。
これはこれは大流行りでした!
文通をしたことない子もみんな楽しそうで。
ポストの中がパンパンで溢れかえる勢い、もう嬉しくてダッシュで配り続けました。
……そんなある日。
匿名で宛名も書いていない封筒があって、仕方なく開いて見た手紙に
「すきです。」
って書いてあって以降、ドキドキしてポストが開けなくなり、ポストに次第にみんな飽きて消えていきました。
まぁ、結果はどうあれポストってなんだかワクワクしませんか?
家族のポストを作ったりするのも楽しそうだなって今思いつきました!
普段言えないことを書けるかもしれない。
いいかも。
あとがき
普通の子供らしい子供でした。
新しい発見をするのが楽しくてしょうがなかったという感じ。
間違いだらけだったみたいだけど、私は×が好き。