Bentham、1stEP「Bulbous Bow」を携えツアーへ ーー進化を遂げた4人の現在の心境

インタビュー
音楽
2018.4.6
Bentham 撮影=森好弘

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2017年4月のシングル「激しい雨/ファンファーレ」でメジャーデビューしてから約1年。Benthamが1stEP「Bulbous Bow」を4月4日(水)リリースした。目まぐるしい1年を経て、確実に進化を遂げた4人の新しくもブレることのない姿が映し出されたこの作品に込められたものとは。「Bulbous Bow Tour」ツアーを控えたメンバーに今回の1stEPとツアーについて話を訊いた。

――この4月でメジャーデビュー1周年。1年を振り返ってみていかがですか。

小関:あっと言う間でしたけど、いろんなことをやらせていただいて経験値が増えました。その中で、これからこうしていきたいという意欲が出てきましたね。

――特に印象的な出来事は?

小関:今作「Bulbous Bow」の「FATEMOTION」という曲で、初めてドラマ(連続ドラマ『こんなところに運命の人』)の主題歌を担当させていただいて、そのドラマにエキストラで出演させてもらったんですよ。その時にドラマのプロの仕事に触れられたことが刺激になりましたね。「本番!」ってなった時の切り替えの仕方とか……。それは僕らの「ライブ行くぞ」って時だと思うんですけど、そういう情熱的なプロの姿がすごく新鮮で、自分たちの今後につなげたいです。一つのことに対して思いを強く持つとか、そういうことがすごく大切だなって思えました。

Bentham 撮影=森好弘

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――ドラマ出演! 

小関:全員で出演しました。

辻:ちょっとですけどね。

須田:5秒ぐらい(笑)。

辻:でも、出ているのはガッツリわかります(笑)。

Bentham 撮影=森好弘

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――見てみます。他にこの1年の感想や変化は? 辻さんは最近、体を鍛えているとか。Instagramに写真が……(笑)。

辻:30歳を過ぎてから代謝が落ちたなと思って(笑)。やっぱり人前に立つ仕事である以上、引き締まった体でいたいという願望があって、去年あたりから体重管理のために食べ物にも気を使っていて、夜はなるべく野菜中心でカロリーを抑えるってのをやりながら、筋トレもしてます。

――それは演奏に反映されますか?

辻:ライブの持久力がつきましたね。アクションしてても芯がぶれないというか、体幹を鍛えているので……(しばらく話が続く)って、誰も話に入って来ねえ(笑)!

小関:いいよ(笑)!

須田:すごくいいよ! ただ、俺らは鍛えてないから(笑)。

――辻さんのプレイの変化は感じますか?

小関:それは感じないです。

辻:おい(笑)!

小関:ま、筋肉が関係するかはわからないですけど、昔から頼りがいのあるタイプです(笑)。

須田:それはもう……(笑)。

鈴木:(演奏の変化に関しては)でも練習したからか、筋肉を付けたからかは、わかんないですね(笑)。

Bentham 撮影=森好弘

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――次、須田さんはどうですか?

須田:小さいことなんですけど指が最近進化を遂げていて……(笑)。ギターやってると荒れて硬くなってくるんです。何年もやってるとそのまま硬くなって普通そこから変化ないんですけど、最近一段と硬くなって皮がむけ始めて。今回のレコ-ディングでも一日中弾いたりしたので、そのせいなのかはわかんないんですけど、最近はクリームとかオイルで手入れしてきれいにしてます(笑)。

――努力が指に! では、鈴木さんは?

鈴木:これまで僕は、PAさんにあまり負担をかけない方向で、まとめよう、まとめようとしてたんです。ドラムの音って余韻とかが長いと、PAさんによってはもうちょっと短くしてもらえると助かるみたいなことを言われるので。でもPAさんが変わって「あまりまとめなくていいよ」って、むしろ「無難な音よりもうちょっと主張のある音というか、もっと攻めて来ていいよ」って……。「もしダメだったら言うから」って言ってくれて。それでメンタル的になんか解放されたんですよね。自由に構えていいんだなって思えて、無難なプレイより記憶に残る音を!ってなりましたね。

辻:前はめちゃミュートはってたもんね。

鈴木:バンドに入る前にサポートとかをしていたので、そういうのもあったんですよね。

Bentham 撮影=森好弘

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――各々メンタル、フィジカル、進化があった1年でしたね。では今度は4月4日(水)にリリースされたニューEP『Bulbous Bow』についてお聞きしたいのですが、みなさんは、作品ごとにしっかりと照準を絞って緻密に作られている印象ですが、今回はどうでしたか?

小関:前作のフルアルバム『Re:Wonder』の反応を加味しながら、今回のEPについて考えた時、発売が春というのもあって「前向きとか、前に進んで行く」っていうのを前提にしつつ、テーマは特に決めず僕らが一番得意な球を投げよう! ということで、キャッチーだったりポップだったり、全曲がリード曲になるようなものにしようということに……。そこに加えて僕らは全員が作曲するので、作曲者の色が出るようにサウンド面でそれぞれ変化したいねということで、サウンドプロデュースを変えて臨ませてもらったんです。そこで得た新しいスキルや、これはこうした方がいいっていうこと、逆に何が良くないかも考えながら、その中でもカッコ良いからそのままでもいい部分とかも言っていただいたりして成長しながら前に進もうとしました。「Bulbous Bow」(船の造波抵抗を消すためにある船首部分の球状突起のこと)ってタイトルはそういう意味も含んでいて、今回それがテーマと言えばテーマですね。

――内容も姿勢もより前向きに。

小関:そうですね。今まで悲観的だったわけではないんですけど、やっぱりメジャーデビューして、何かすごいことが起こるんじゃないか? とか期待もありましたし……実際にアニメのタイアップとか、すごいことも起こっているんですけど……目に見える結果というか、例えば同世代のバンドや今の音楽シーンと比べた時に、どれくらい伸びしろがあったのかな?……って。そう考えると、少しガソリン切れというか、良い作品は出したけど、僕らの人気はどうなんだ?って思う瞬間もあったんです。でも、そういう気持ちが何周も何周もして、やっぱり良いものを作っていれば売れるはずだし、実際に良いものを作るための努力もしているから、最高の5曲にしましょう!と。結果、今回過去最高の作品になったと思います。

Bentham 撮影=森好弘

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――ちなみに前作の反省から今作へフィードバックした点とは?

小関:もちろん前作も100点だと思っています。割と試した部分もありながら僕らの良い部分もあるし、曲数も多かったので起承転結もある。「1stフルアルバムでみんなを驚かせる」というテーマで作ったもので、本当にステキな1枚なんですけど、ただ、それがすごく広まったり、それによって話題になったか?というとそれはなかったなと……。それで今回はまず、サウンドに目を向けようとなりました。テレビやラジオでちょっと流れた時に「誰だ?」ってなるような音って何なんだろう?というのを考えて、まだわからない部分はアドバイスをいただきながら「少し聴いただけでも印象に残るようにしつつも、音楽的にダサいってなるのか、カッコいいってなるのか?」って……。派手なことをしたり音圧を上げたり、いくらでもやりようはあるけれど、あくまでも僕らは音楽で勝負したいと思ってるので、ちゃんと誤解のないように前に進んでいきたい。それは強く思いましたね。前作で誤解を与えたという認識ではないですけど、初めてのフルアルバムだったので、ちょっと気持ちが空回りしながらの13曲になって伝わり難い部分もあったと思うんです。だから、より伝わりやすくというのが前回との相違ですね。良いところをちゃんと誤解なく受け止めてほしいという。

須田:前作は、聴いた人には「いい!」と結構言ってもらえた作品だったし、自信もあったんです。でも、例えば自分のベストな環境で大きな音で聴いたらそれは当然いいはずだし、僕らがやりたいことも伝わると思う。ただ、さっき小関が言ったように、テレビとかラジオとかで流れた時ってそこまで(曲に)聴く人の意識が向かない。だから、僕らの長所を残しつつ何か変化を与えるなら?っていうことで、サウンドに目が向いたということですね。なので、今作はまったくやったことのない音を入れたりしたわけではないです。自分たちが今までやってきた土台があって、それがより目立つためにはどういう音に、どういう1枚にすべきかを考えたんですよね。

Bentham 撮影=森好弘

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――確かに、どの曲にも言葉もメロディも音色も一つになって、しっかり耳に残るフレーズがありますね。

小関:そうですね。今回、すごくストレスなく作曲もレコーディングもできました。新しいことにチャレンジする緊張感とか、日程やレコーディング過程がいつもと違ったりすることとかはあったんですけど、その中でスッて出てきたものなんです。それ対してそう言っていただけると嬉しいですね。メロディと言葉のまとまりとか、そういうのはかなり意識したので伝わっているのかなと思います。

――先程話に出たドラマ主題歌の「FATEMOTION」は「最たる」といった感じですよね。ドラマで流れるのを聴いて良し、1曲フルで聴いて良し、EPの中の1曲としても良し。しかもMVもおもしろい。さらに「Fate」「Emotion」「Motion」のトリプルミーニングだとか。

小関:なんか……自分でもこんなにかみ合うものかな? と思って(笑)。最後のサビの後、大サビみたいなところで速くなるんですけど、最後の最後で全部いい感じに言葉がキマって流れもキマって来るんですよね。気持ち良くできた(笑)!

須田:出来た時にすごいテンション上がってたよね。“キタキター!”って(笑)。

小関:だって、ドラマタイアップで運命っていうテーマがあって、ここまで書けるかね?って……。俺、スゲー!って(笑)。

Bentham 撮影=森好弘

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――神が降りて来た(笑)?

小関:だいたいはできてたんですけど、パンチというかテーマ感が足りないというか、(ドラマのテーマの)運命に沿えているのかな? と思っていたら神様が(笑)!

――あと個人的には、強気な言葉が続くのに曲の最後のひと言が《僕じゃダメかな ダメだよな》っていうのがツボでした(笑)。

小関:これはドラマの主人公のこともあるんですが、僕自身が女性に対する「ま、ダメだよね?」みたいなこともありながらです(笑)。あと、みんなに対して「一番でしょ? いや、一番じゃないか」みたいなシニカルさも……。ウソはつきたくないというか、カッコいいこと言ってるけど「ダメだよね」みたいな、ちょっとホワッてする感じですね。

――で、ここ区切りに流れが変わって後半へ。1枚を通してストーリー性がありますね。

小関:はい。5曲そろって曲順もスッと決まって、起承転結の感じがあって流れに勢いがあって……。一枚の流れのなかで決意を表明するみたいな感じが良かったと思います。前だったら、そのままの勢いでいってたと思うんですけど、今後やりたいことというのが後半に現れていると思いますね。

――ラストはピアノの曲ですね。

須田:これまでにピアノの曲は2つあるんですけど、こういう入れ方は初めて。前はピアノを入れる時は「鍵盤入りました!」っていう感じでギターを一本だけにして思いっ切り弾くというか……。でも、今回はメンバーで話し合って、バンドサウンドを軸にしてそこに鍵盤のアプローチをプラスαするという風にしたんです。バランス感で決めた感じですね。

Bentham 撮影=森好弘

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――この曲だけでなくどの曲もすべての楽器がちゃんと共存しつつ、たまにそれぞれフィーチャーされる部分もあって、確かにバランスがいいですね。

須田:はい。それぞれのパートにフォーカスを当てるというのは、まったくぶれてないところですね。基本、ボーカルのメロディに軸があるんですけど、ベースが出るところは出るし、ドラムが出るところはドラム出るしって……。その抜き差しは前から意識をしています。でも今回はその抜き差しだけでなくて、もっと進化するためにそのレベル全体の水準を上げてるんです。なので、ふり幅はもしかしたら少し狭くなってるかもしれないけど、そこはBenthamの良さなので。

――音の重なりが心地いいですよね。しかもしっかり詞も聞こえます。

小関:不思議なんですけど、僕は今までと変わってないつもりなのにメジャーデビューしてから(取材などで)詞のことを言われることが多くなったんです。最初は、詞にも注目しなくちゃいけないから聞いてくれているのかな?って思ってたんですけど、そうでもなさそうで、伝わりやすくなってるのかなって……。前は「(詞の)意味がわからない」と言われ続けてたんですけどね(笑)。

Bentham 撮影=森好弘

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――さてそんな4人の姿を見られるツアーが4月から! 辻さんの筋肉も見られますね(笑)。

辻:僕ら(ライブを)年間100本以上やるんですよ。そうなると体調管理を常にしないと! プロなんでね、いいライブを見せなきゃいけないので(笑)。

――メンバーの体調管理もするんですか?

辻:全然(笑)。自己満足です。

小関:ただ、「チアシードがいいよ」とか言ってきます(笑)。

辻:栄養をしっかり取ってね……って(笑)。

――やはり頼りがいがある(笑)。

小関:そうそう。ありがたいです(笑)。「お魚のソーセージがいいよ」とか。

辻:「食べる?」って……。

小関:(即答で)「大丈夫です」って。

須田:誰一人として口にしたことはないです。

――ある意味、阿吽の呼吸(笑)。ツアーがますます楽しみです!

鈴木:前回はアルバムのリリースツアーだったんですけど、アルバムは13曲あったから全部はできなくて。でも今回はEPの5曲全部ができるし、最近はあまりやってないインディーズの時の曲で「結構いいのがあるよ!」っていうのも入れたりしたいなと思ってます。なので、初めて来てくれる人も昔から来てもらっている人も、楽しめる内容になるはずです。昔の曲も今やると、成長が感じられるみたいなところもあるし……。

辻:フレーズ変えたくなること多いよね。

須田:ある(笑)。

小関:(昔の曲が)むっちゃ簡単なんですよ。余裕だわって(笑)。昔はいっぱいいっぱいだったんですけどね。

――すごい成長ですね!

辻:今作の5曲はどれもライブ映えするじゃないですか。各々培ってきたテクニックがグッと詰まってるんで、それをライブで体現したいですね。対バンの人にも「Benthamいいライブしてるね」って思ってもらえるくらい、自分たちも自信を持って……説得力を持って「どうだ!!」っていうのを出せると思います。なので、すごくいいツアーになります!

取材・文=服田昌子 撮影=森好弘

ツアー情報

『Bulbous Bow Tour』

4/12(木)KYOTO MUSE w/ 夜の本気ダンス
4/15(日)長崎DRUM Be-7 w/ INKYMAP
4/16(月)福岡DRUM SON w/ INKYMAP
4/18(水)松山サロンキティ (感覚ピエロ対バンツアー) w/ 感覚ピエロ
4/20(金)高知X-pt. (感覚ピエロ対バンツアー) w/ 感覚ピエロ
4/22(日)徳島club GRINDHOUSE (感覚ピエロ対バンツアー) w/ 感覚ピエロ
4/23(月)山口LIVE rise SHUNAN w/ The Cheserasera
4/24(火)岡山CRAZYMAMA 2ndRoom w/ The Cheserasera
5/18(金)水戸LIGHT HOUSE w/ マカロニえんぴつ
5/20(日)千葉LOOK w/ ircle
5/23(水)仙台LIVE HOUSE enn2nd w/ 対バン後日発表
5/24(木)郡山♯9 w/ 対バン後日発表
5/28(月)新潟CLUB RIVERST w/ 対バン後日発表
5/29(火)金沢vanvan V4 w/ 対バン後日発表
6/04(月)梅田Shangri-La(Benthamワンマンライブ)
6/05(火)名古屋APOLLO BASE(Benthamワンマンライブ)
6/08(金)渋谷CLUB QUATTRO(Benthamワンマンライブ)

4月公演発売中!
5月・6月公演は4/7(土) 10:00~一般発売開始!

※水戸・千葉・渋谷公演は、4/6(金)21:00~最終先行(先着)あり
 

リリース情報

SINGLE「Bulbous Bow」
発売中
 
通常盤(CD Only):PCCA.04643 ¥1,500 (税込) 
Bentham屋限定盤 (CD+DVD):SCCA.00064 ¥2,500 (税込)
 
1. Bandwagon
2. Reset
3. FATEMOTION
4. SAYONARA
5. memento
 
Bentham屋 限定盤[DVD収録内容]
①「Benthamのドキドキ修学旅行 in 沖縄編」完全版
②「FATEMOTION」MVメイキング映像
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