宅間孝行 、篠田麻里子、片岡鶴太郎らが熱演!タクフェス 春のコメディ祭!『笑う巨塔』公開ゲネプロ
タクフェス 春のコメディー祭!第2弾『笑う巨塔』
宅間孝行率いる「タクフェス」の舞台『笑う巨塔』が、2018年3月29日(木)から東京グローブ座にて開幕した。「コメディ」をテーマにした本シリーズの第2弾となる本作は、とある病院で起きるとんでもない大騒動を描いた物語。宅間が主宰していた「東京セレソンデラックス」の2012年の解散公演で上演された作品だ。
出演は、脚本・演出も手がける宅間のほか、篠田麻里子、松本享恭、石井愃一、梅垣義明、佐藤祐基、越村友一、北代高士、堀川絵美、梛野里佳子、想乃、豊泉志織、渡辺碧斗、かとうかず子、鳥居みゆき、片岡鶴太郎。初日前に行われた本作の公開ゲネプロの模様をレポートする。
東京はとある所にある「四王病院」。この病院に総選挙を間近に控えた山之内代議士が突然倒れ運び込まれた。山之内の息子であり、父親の秘書も務める蓮太郎(松本)たちは検査の結果をやきもきしながら待ちわびていた。
一方、とび職の親方、花田浩美(片岡)は検査の為入院していた。そこに一人の男が見舞いにやって来る。 昔、浩美の元で修行をしていた富雄(宅間)が数年振りに現れたのだ。しかしこの男、とんでもない迷惑者。 富雄との再会に喜ぶのは浩美の娘、ふみ(篠田)ばかり。
また政界の古狸、浜惣こと浜村惣一朗(石井)は、元横綱・三子山親方を見舞いに来ていた。 総裁選を控えた大事な時期に仕事をほったらかすなど相手陣営に知れたらとやきもきする秘書をよそに、ばれる訳がないと意気揚々の浜惣であったが……。
患者、見舞い客、医者、看護師、水道屋…様々な想いや事情が交錯し、平穏だった病院はとんでもない事態に…。
タクフェス 春のコメディー祭!第2弾『笑う巨塔』
病院の待合室を舞台にしたノンストップ・ワンシチュエーションコメディ。待合室といえば、ナースセンター、各病室へ繋がる廊下、他の階へ繋がるエレベーターや階段、もちろん男女トイレもあって何かと人の行き来が多い場所。となれば、あの人とこの人が絶妙にすれ違ったり、鉢合わせしたり。それによって起きる誤解や勘違いも多発しがち。そもそも病院とは、患者への配慮から何かと「~してはいけない」が多い場所。特に誰がここに入院しているか、どのような病気で治療を受けているか、などという個人情報は決して外部に漏れてはならない―禁忌が多ければ多いほど、それをひっくり返すことで笑いが起きる。コメディにおあつらえ向きのフラグが多数散りばめられている場所なのだ。
タクフェス 春のコメディー祭!第2弾『笑う巨塔』
宅間が演じる富雄の存在がこの物語の要となる。乱暴者でおバカ、思い込みが強くてどこか憎めないキャラクターの富雄が、周囲の人をかき回して話をどんどん混乱させていく。なかでも富雄と親方のやり取りは観る者の腹筋を何度も刺激する。ゲネプロの後に行われた記者会見の場で「あのやり取りはほとんどアドリブです」と宅間が苦笑していたが、この日はとあるセリフの一部を「イカ(烏賊)に変えちゃった」と悪びれず語る片岡。そのやり取りに篠田が「鶴太郎さんは台本の中の台詞をちゃんと覚えないんです!」と笑いながら突っ込む。だが、アドリブで言ったことをさらに膨らましつつ、しっかり回収していく片岡の手腕に「やっぱりすごい人です」と感心していた。
アドリブの応酬中(笑)
タクフェス 春のコメディー祭!第2弾『笑う巨塔』
入院中の山之内代議士の若手秘書、蓮太郎と古株秘書、芥川(梅垣)、新人秘書あゆみ(豊泉)の3人と、山之内と総裁選で対立する浜惣の来院という、別次元のストーリーが富雄たちの世界にふいに絡んだことで、さらに物語はややこしく転がっていく。当初、富雄たちだけでも成立できそうな話では、という感もあったが、浜惣の登場くらいから一気に話の枝葉が広がり、楽しさは倍増していった。
タクフェス 春のコメディー祭!第2弾『笑う巨塔』
病院チームでは、看護師長の絹江役・鳥居が強烈な魅力を放つ。くそマジメでとにかく圧が強いキャラクターだが、ある出来事から勘違いの暴走が始まっていく。絹江本人は至って真剣に生きている(はず)だが、結果クレイジーに見えてしまうのは鳥居が演じるからこそ。次にどの場面に登場するのか、目が離せない存在だった。
タクフェス 春のコメディー祭!第2弾『笑う巨塔』
このほかの登場人物も非常に個性的なキャラクターぞろい。出番の多少を問わず物語にしっかり爪痕を残す絡み方をしており、改めて最後まで上手くできているコメディだと感じさせられた。
タクフェス 春のコメディー祭!第2弾『笑う巨塔』
タクフェス 春のコメディー祭!第2弾『笑う巨塔』
なお、キャストを束ねる宅間の演出指導(ダメ出し)はかなり厳しかったそうで、会見でその話が出ると宅間は「誰のこと聞きたいんですか?」とけん制。若手の松本に対して鳥居が「この場でハッキリ言っちゃえ!」と何度も煽って笑いを誘い、その横で片岡は「私は貝になりたい」と、今回の劇中の台詞でもある有名映画の名台詞を使ってボケ、笑わせていた。
(左から)松本享恭、梅垣義明、鳥居みゆき、宅間孝行、かとうかず子、片岡鶴太郎、石井愃一、篠田麻里子
取材・文・撮影=こむらさき
公演情報
■作・演出:宅間孝行
■出演:宅間孝行、篠田麻里子、松本享恭、石井愃一、梅垣義明、佐藤祐基、越村友一、北代高士、堀川絵美、梛野里佳子、想乃、豊泉志織、渡辺碧斗、かとうかず子、鳥居みゆき、片岡鶴太郎
■公演日時・会場
【東京公演】2018年3月29日(木)~4月8日(日)東京グローブ座
【愛知公演】2018年4月13日(金)~15日(日)ウインクあいち大ホール
【兵庫公演】2018年4月17日(火)~22日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
【愛媛公演】2018年4月24日(火)ひめぎんホール サブホール
【福井公演】2018年4月30日(月・休)越前市文化センター 大ホール
■アフタートーク登壇者
【東京・東京グローブ座】
3月30日(金)14時公演 宅間孝行、篠田麻里子、石井愃一、佐藤祐基、堀川絵美
4月2日(月)14時公演 宅間孝行、松本享恭、越村友一、豊泉志織、かとうかず子
4月3日(火)14時公演 宅間孝行、梅垣義明、想乃、渡辺碧斗、鳥居みゆき
4月6日(金)14時公演 宅間孝行、梛野里佳子、北代高士、片岡鶴太郎
※登壇者は変更の可能性があります。
■公式サイト:http://takufes.jp/kyotou/