長塚圭史が演出する舞台『セールスマンの死』に、風間杜夫、片平なぎさなど、個性豊かな実力派俳優が集結!
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2018年11月からKAAT 神奈川芸術劇場(ホール)にて上演される、『セールスマンの死』の豪華出演者が発表された。本公演は日本の演劇界の次代を担う劇作家・演出家のひとりである長塚圭史が、アメリカ現代演劇の金字塔であるアーサー・ミラーの代表作に挑むことで話題となっている。
物語は、現代の日本・家族にも通じうる、競争社会の問題、親子の断絶、家庭の崩壊、若者の挫折感など、第二次世界大戦後に目立つようになったアメリカ社会の影の部分を鋭くえぐっており、発表から半世紀以上を経ても舞台化や映画化されている名作だ。
かつて敏腕サラリーマンであった主人公のウィリー・ローマンは、60歳を過ぎ、かつてのような精彩を欠き、家庭内の問題も抱えて、過去の思い出にすがっている。2人の息子たちも30歳を過ぎても自立できず、妻のリンダは夫を尊敬し献身的な愛をささげているが、自身をとりまくさまざまな問題に必死に耐えている。夢を叶えるにふさわしい仕事こそセールスマンであると信じてきたウィリーが、家族のため、そして自分のために選んだ道は……。
主人公ウィリー・ローマンには、40年以上にわたり舞台・映像の第一線で華のある実力派俳優として走り続ける、風間杜夫。その妻リンダ・ローマンには、映像や舞台で活躍する片平なぎさ。また、主人公の長男ビフを演じるのは、舞台や映像で独特の存在感を示す山内圭哉。主人公の次男ハッピーは、小劇場からミュージカルまで話題の舞台作品に欠かせない個性派俳優、菅原永二が演じる。
そのほか、主人公の上司ハワードには、阿佐ヶ谷スパイダースの伊達暁、ビフの友人バーナードを演じるのは劇団 「拙者ムニエル」の看板俳優、加藤啓。バーナードの父で、ウィリーの友人チャーリーには、舞台・映像で渋い演技が光る大谷亮介。主人公の兄ベンは存在感が光る実力派俳優の村田雄浩が演じる。
長塚圭史(演出) コメント
恐ろしい戯曲です。演出する余地などほとんど許されていないようでいて、どこまでも自由に飛び回れるような余白もある。いつかこれだけの戯曲と向き合える日があったら幸い、とほとんど夢見るような心持ちでおりましたが、まさかこうして本当に実現することになろうとは。『LAST SHOW』と『マクベス』で風間杜夫さんとご一緒したことは、私の劇人生において最も貴重な経験となっています。その風間さんがウィリー・ローマンを引き受けてくれたことによって、扉は開かれました。或るありふれた男の、理想を抱いた父親の、そして愛すべき夫の生涯と彼の家族の心象が見事に描かれた戯曲です。ウィリー・ローマンは目まぐるしく進歩する世界の中で何を見たのか。「生きる」ということをじっとりと深く見つめたこの作品を、ずっとご一緒したいと願っていた片平なぎささんをはじめ、素晴らしいキャスト・スタッフと共に上演出来ることに、いや、でもやっぱり恐怖と、それでいてとてつもない期待に胸が膨らむばかりなのです。
風間杜夫(ウィリー・ローマン役) コメント
この作品が世に生まれたのは1949年。僕と同い年である。以来、現代社会の普 遍的問題を内包した話題作として重ねて上演され、日本でも印象的な公演実績を残している。その評判は耳にしたが、観る機会を逃していた。いま台本を手にすると、俺もこんな深い役をやる年齢に達したのかと、あらためて思う。僕はセール スマンの経験を持たないが、時を刻むように急ぎ足で役者稼業を続けてきたことを振り返ると、生き方はそれ程遠いものではないかもしれない。役者としての力量だけではなく人間そのものが問われる時に来たような気がして、いささか身が震える。いや、信頼できる演出家と楽しい共演者が一緒だ。同じ時間を生きたこの作 品に、僕の全てをゆだねてみよう。
片平なぎさ(妻/リンダ・ローマン役)
数少ない舞台経験の中でも翻訳劇は二作品目となる『サラリーマンの死』。不安と期待にもうソワソワザワザワ。どうにも落ち着かない自分がいます。 誰からも必要とされなくなった老いた夫、追い詰められ苦しむ夫のたった一人の理 解者である妻リンダは、私にはまるで聖母のように見えます。長年連れ添った夫婦 の間に流れる空気感とは……。難しい芝居が要求されそうです。「スチュワーデス物語」以来、35年振りにご一緒させていただける風間杜夫さんに心を寄せながら、 才能あふれる長塚圭史さんにたくさんの肉付けをしていただきたい思いです。自分が、この先、舞台人として生きていけるか!?チャレンジ精神を持って臨みます。
公演情報
翻訳 徐賀世子
演出 長塚圭史
美術 二村周作
照明 齋藤茂男
音響 加藤温
衣装デザイン 伊藤佐智子
ヘアメイク 谷口祐里衣
公式HP:http://www.kaat.jp/