パワーアップする2018年『アニー』~演出の山田和也にインタビュー ~【THE MUSICAL LOVERS】ミュージカル『アニー』【第23回】
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『アニー』演出中の山田和也
ズムサタプレゼンツ!きっと誰かに話したくなる意外な“へぇ~”満載春のアニー祭り
■日本テレビ 4月14日(土)10:30
■テレビ新潟 4月28日(土) 10:30
■福岡放送 5月3日(木) 10:25
■讀賣テレビ 5月4日(金) 9:30
■中京テレビ 6月9日(土) 10:30
□CS日テレプラス 4月27日(金)14:30、4月28日(土)6:00、5月2日(水)6:30、5月2日(水)19:00
『アニー』
【THE MUSICAL LOVERS】
Season 2 ミュージカル『アニー』【連載第23回】
パワーアップする2018年『アニー』~演出の山田和也にインタビュー
1977年4月21日にブロードウェイで開幕したミュージカル『アニー』。日本では1978年に東宝製作で初演。1986年に現在の日本テレビ主催・製作が始まり、2018年には33年目を迎える。日本ほど『アニー』を上演している国はない(【第4回】 参照)。2017年からは、翻訳台本・編曲・振付・舞台美術・衣裳などを一新。ミュージカルからストレート・プレイまで幅広く演出する山田和也を演出に迎え、あざやかな新生『アニー』が始動。完売回が相次ぎ、当日券は長蛇の列となった。
今回、創り手の総指揮者である山田が、『アニー』の魅力を語ってくれた。さらにパワーアップすることが約束された2018年『アニー』。その開幕は、4月21日(土曜日)だ!
1933年12月。1929年からの世界的大恐慌が色濃く残り、家や職を失う人々にあふれていたアメリカ合衆国。ニューヨークの孤児院には前向きな11歳の少女アニーがいた。孤児院を脱走し、犬のサンディ、さらには「フーバービル」の人たちと出会うが、警官に補導され孤児院に連れ戻される。そこに大富豪ウォーバックスの秘書グレースがやって来た。アニーはウォーバックス邸でクリスマス休暇を過ごす。ウォーバックスはアニーにひかれ、養子にしたいと願う。しかしアニーは「普通の子と同じように両親と暮らしたい。父さんと母さんを見つけ出したい」と望んだ。ウォーバックスは5万ドルの賞金を出し、アニーの両親を公開捜索。しかし両親になりすまそうとする悪人は、全米にごまんといた。どうするどうなる、アニー!?
(第一幕:70分 第二幕:60分<予定>)
■『アニー』には、「良い作品」に不可欠なものが詰まっている
--山田さんの演出で上演時間が20分短縮。『アニー』の魅力が、ギュッと凝縮しました。ご自身の、お気に入りポイントはどこですか?
自分としては、ドラマの展開のテンポが良かったこと。言葉遣いのよそよそしさを減らせたこと。スピーディーで見栄えの良い場面転換が実現できたこと。物語が論理的に進行し、情緒的になっていないこと。登場人物が一面的なキャラクターになっていないこと。
スタッフワークでは、照明(高見和義さん)がゴージャスだったこと。衣裳(朝月真次郎さん)の質感が高かったこと。(新国立劇場 中劇場の)舞台の高さと奥行きを効果的に使えたこと(美術:二村周作さん)。音楽の仕上がりが、サウンド・デザインやオーケストラの演奏も含めてスウィンギーだったこと(音楽監督:佐橋俊彦さん、音響:山本浩一さん)……等が気に入っている点です。
理由は、それらはすべて「良い作品」に不可欠なことだからです。
--その評判や手応え、観客の反応はいかがでしたか?
手応えは、自分としてはありました。お客様の反応は、私が客席にいた回のことしか分かりませんが、それほど悪く無いように感じました。
ただ私は、「評判」は気にしないことにしています。
ご覧になった方全員の感想を伺うことができるなら別ですが、そうでない以上は、一部の方の感想を気にしても意味がないように思われますので。
その代わり、公演関係者の意見には注意深く耳を傾けます。プロデューサーさんであったり、デザイナーさんであったり、助手の方々であったり、現場のスタッフさんであったり……。それらの方々は、プロとして責任のある発言をしてくださるので、とても参考になります。その意見に従うか、従わないかは、また別の話ですが。
■2018年『アニー』始動!今年のアニー&サンディ
--3月から本格的に、2018年『アニー』の稽古が始まりました。今年のアニー(新井夢乃さん、宮城弥榮さん)の印象はいかがですか?
今年のアニーは……A型アニー(几帳面)とO型アニー(マイペース)ですね。それも、とてもわかりやすい。
どちらがA型でどちらがO型かは……ご想像にお任せします。
--日本版『アニー』において、アニーの相棒である野良犬サンディは、1986年から2017年までの33年間、オールド・イングリッシュ・シープドッグが勤めました。2018年からは、レトリバーの血を引くミックス犬に犬種が変わります 。新しいサンディについてもお聞かせください。
新しいサンディ“バブ”はおとなしくて、そして人の言うことをとてもよく聞く賢い子ですね。今までのサンディ以上に物語の中に溶け込んでくれているので、とても自然に見られますし、アニーとのバランスも良いようです。今まで以上に細かく仕事をしてもらっています。
山田和也
■2018年ニュー・キャストについて
--新しい大人キャストの辺見えみりさん(孤児院の院長ハニガン役)、白羽ゆりさん(大富豪ウォーバックスの秘書グレース役)、伊藤俊彦さん(ローズベルト大統領役※)についてもご紹介ください。(※キャスト表では「ルーズベルト大統領」ですが、当連載では「ローズベルト大統領」と表記しています→【第4回】参照)
お三方とも、ご一緒するのは今回が初めてです。
辺見えみりさんは、一般的には毒舌キャラと思われているようですが、稽古場での辺見さんは、もちろんそうではありません。とてもまじめで真摯な俳優さんです。(母親の辺見マリさんが2006年ハニガン役を演じており)『アニー』のことを良くご存じなので、演出家が説明に多くの時間を費やす必要もありません。演出家の指示がなくてもハニガンの芝居を膨らませてくださいます。何よりも芝居のリズムと間が素敵です。毒舌も「役」としては大いに生きていますし。
白羽ゆりさんは、今まで拝見していた舞台でのイメージとは全く違う方だったので、ちょっと驚いています。宝塚のご出身ですから、舞台上のことも舞台裏のこともとてもよくわかっていらっしゃる。そう言う部分ではとても頼りになります。が、それ以外のことになると、思いの外「ほんわか」としていらして……。癒されます。
伊藤俊彦さんは、作品に取り組む熱い姿と、気さくで気取らないカジュアルさが絶妙なバランスです。それが稽古場の空気をとても良くしているように感じます。なんだか部活で芝居をやっているような楽しさを思い出させてもくださる方です。
--アンサンブルには、続投組の鹿志村篤臣さん(18年目)、矢部貴将さん(18年目)、谷本充弘さん(3年目)、森 雄基さん(2年目)、坂口杏奈さん(2年目)、神谷玲花さん(2010年タップキッズ、アンサンブルとしては2年目)と、新しい方(伊藤広祥さん、大竹 尚さん、岩﨑ルリ子さん、川井美奈子さん)が入り混じります。配役はどうなりますか?
旧メンバーの配役は昨年と変わりません。新しく参加してくださる皆さんを、今年は出演されない方のところにそのままはめ込んでいます。2018年に向けてのオーディションの時から、そのつもりで選考しています。
--今年の孤児たち、ダンスキッズの印象はいかがですか?
孤児たちの第一印象は、去年の孤児たちと比べるとおとなしい、と言うか、控えめだなあ、と、思っていたんです、……最初は。大間違いでした(笑)。
ダンスキッズは、今年は敢えて小柄な子たちを選んでいるのですが、見た目とは反対にとてもダイナミックな動きを見せてくれているので、開幕がとても楽しみです。
■さらにパワーアップ! 2018年の『アニー』
--山田さんのブログ の「『アニー』2018通信」 によると、“今年の『アニー』は、「もっと分かり易く、もっと楽しく」したい”、“手直しをしようと思っている「幾つかの箇所」がある ”とのことですが……。
どんな作品でもそうなのですが、開幕の時点では「やれるだけのことはやった」と感じていても、月日が経つといろいろと粗が見えてくるものなのです。
2年目の今年は、先ずその粗を解消しようと考えています。作品の完成度を高める、と言うことですね。「あそこはもっと分かり易くできたんじゃないか」と言う部分を「しっかりと分かり易くしよう」と思います。「より分かり易く」なれば、それがそのまま「より面白くなる」ことになりますから。
--「分かり易く」を放棄しないことが、エンターテインメントのプロならではの山田さんだと感じます。「分かり易く」伝えるには、技術もハートも、根気強い稽古も必要です。
一番手を入れたいと感じているのは、第一幕のビッグ・ナンバー「N.Y.C.」を彩る、ダンスキッズの部分です。どう変わるのかは劇場でご覧いただきたいのですが、その部分に関しては、(振付・ステージングの)広崎うらんさんと何度も意見交換をしました。そして(音楽監督の)佐橋俊彦さんのお知恵もお借りしています。
--「より分かり易く」「より面白く」なることで、さらにパワーアップしますね。
ミュージカル未体験の方には、大人の方にもお子さんにも、特にお勧めです。
--1933年のニューヨークを舞台にした『アニー』には、歴史劇としての要素や、現代に通じる風刺もふんだんに織り込まれています。随所に挟み込まれるコメディ・シーンも、山田さんの演出でいっそう際立ちました。
『アニー』は子どもを主人公にした、大人のためのミュージカルです。
大人の方にこそ観ていただきたいですし、お子さんがいらっしゃる方は、一緒に観ていただきたいと思います。
『アニー』2018合格発表にて【前列左から】新井夢乃、宮城弥榮 【後列左から】佐橋俊彦(音楽監督)、山田和也(演出)、広崎うらん(振付・ステージング)
■アニーになりたい歴31年の筆者より質問! どうしたらアニーになれますか?
--アニー選考の基準は、「他人の真似をしない」「スウィングのリズムが刻める」等がありつつも、最終的には「アニーっぽさ」とのことですが、その「アニーっぽさ」とは、どうしたら身につくものなのでしょう?
具体的には、『アニー』のようなタイプの楽曲を歌うレッスンを積むことと、そういうタイプの音楽を生かしたダンスのレッスンを積むことが必要でしょう。その上で、アニーという子がどんな子なのかをよく考えて、アニーだったらこんな時どう感じるだろうか、どう反応するだろうか、どう行動するだろうか……。そのことを一生懸命考えてみることです。
構成:ヨコウチ会長
[第1回] あすは、アニーになろう
[第2回] アニーにとりつかれた者たちの「Tomorrow」(前編)
[第3回] アニーにとりつかれた者たちの「Tomorrow」(後編)
[第4回] 『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その1>フーバービル~
[第5回] 『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その2>閣僚はモブキャラにあらず!/span>
[第6回] アニーの情報戦略
[第7回] 『アニー』に「Tomorrow」はなかった?
[第8回] オープニングナンバーは●●●だった!
[第9回] 祝・復活 フーバービル! 新演出になったミュージカル『アニー』ゲネプロレポート
[第10回] 『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その3>ラヂオの時間
[第11回] 『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その4>飢えた人々を救え!
[第12回] 『アニー』がいた世界~1933年のアメリカ合衆国~ <その5>ウォーバックスにモデルがいた?
[第13回] ブラックすぎる!? 孤児院の実態
[第14回]ウォーバックスの財力と華麗なる元カノ遍歴
[第15回]Leapin' Lizards! リメイク映画『ANNIE』のトリビア<前編>
[第16回]Leapin' Lizards! リメイク映画『ANNIE』のトリビア<後編>
[第17回]ミュージカル『アニー』2018の主役&孤児役合格者、発表! 新アニー役は新井夢乃&宮城弥榮!
[第18回]決まったぞ~! ハニガン役に辺見えみり、グレース役に白羽ゆり!丸美屋食品ミュージカル『アニー』大人キャスト
[第19回]サンディが33年目にして犬種チェンジ! 丸美屋食品ミュージカル『アニー』
[第20回]新旧演出版のアニーたちが最後の共演!「丸美屋食品ミュージカル『アニー』クリスマスコンサート2017」レポート
[第21回]『アニー』劇中 人名&用語辞典<前編>
[第22回]『アニー』劇中 人名&用語辞典<後編>
[第23回]パワーアップする2018年『アニー』~演出の山田和也にインタビュー
次回に続く
公演情報
■日程:2018年4月21日(土)~5月7日(月)
■会場:新国立劇場 中劇場
■
■料金:全席指定8,500円
※4月23日(月)・24日(火)は特別料金「スマイルDAY」全席指定6,500円
※4月25日(水)13時公演 / 17時公演は「わくわくDAY」
(観客全員に『アニーのくるくるウィッグ』『オリジナルエプロン』『非売品バッジつきミニバッグ』『キャップ』の中から1点をもれなくプレゼント)
■日程:2018年8月4日(土)~8月5日(日)
■会場:福岡市民会館
■日程:2018年8月9日(木)~8月14日(火)
■会場:シアター・ドラマシティ
■日程:2018年8月26日(日)
■会場:新潟テルサ
■日程:2018年8月31日(金)~9月2日(日)
■会場:日本特殊陶業市民会館
アニー:新井 夢乃 / 宮城 弥榮
ウォーバックス:藤本隆宏
ハニガン:辺見えみり
グレース:白羽ゆり
ルースター:青柳塁斗
リリー:山本紗也加
ローズベルト大統領:伊藤俊彦
女性アンサンブル:岩﨑ルリ子、神谷玲花、川井美奈子、坂口杏奈
アニー役:新井 夢乃 (アライ ユメノ)
モリー役:尾上 凜 (オノエ リン)
ケイト役:歌田 雛芽 (ウタダ ヒナメ)
テシー役:音地 美思 (オンジ ココロ)
ペパー役:田中 樹音 (タナカ ジュノン)
ジュライ役:山下 琴菜 (ヤマシタ コトナ)
ダフィ役:藤田 ひとみ (フジタ ヒトミ)
大川 惺椰 (オオカワ セイヤ)
大谷 紗蘭 (オオタニ サラ)
大星 優輝 (オオホシ ユウキ)
齊藤 芯希 (サイトウ シキ)
平井 蒼大 (ヒライ ソウタ)
山中 莉緒奈 (ヤマナカ リオナ)
アニー役:宮城 弥榮 (ミヤギ ヤエ)
モリー役:島田 沙季 (シマダ サキ)
ケイト役:込山 翔愛 (コミヤマ トア)
テシー役:林 歩美 (ハヤシ アユミ)
ペパー役:武藤 光璃 (ムトウ ヒカリ)
ジュライ役:河﨑 千尋 (カワサキ チヒロ)
ダフィ役:山本 樹里 (ヤマモト ジュリイ)
東 未結 (アヅマ ミウ)
高橋 奈々 (タカハシ ナナ)
髙橋 有生 (タカハシ ユイ)
田中 愛純 (タナカ アズミ)
廣瀬 奏空 (ヒロセ ソラ)
宮原 咲心 (ミヤハラ ニコ)
■テレビ新潟 4月28日(土) 10:30
■福岡放送 5月3日(木) 10:25
■讀賣テレビ 5月4日(金) 9:30
■中京テレビ 6月9日(土) 10:30
□CS日テレプラス 4月27日(金)14:30、4月28日(土)6:00、5月2日(水)6:30、5月2日(水)19:00