池袋から32分! パ・リーグ戦をラグジュアリーに楽しむなら“スペシャルシート”へ!
ピッチャーの球筋から打球の行方までを見渡せるのが、「ネット裏スペシャルシート」の魅力
今季のプロ野球が開幕して1カ月あまり。ひいきのチームの戦いぶりに一喜一憂している野球ファンも多いことだろう。筆者は幼少期から西武線沿線在住で、根っからの埼玉西武ライオンズのファン。今季は開幕から好調なこともあり、足しげく球場に通い、ライオンズに声援をおくっている……と言いたいところだが、そこは社会人の端くれ。仕事の都合などで、なかなか球場での観戦がかなわない。足を運べるのは年に数試合といったところだろうか。
そんな貴重な生観戦なら、素敵な体験にしたい! と思い立ち、今回は、本拠地メットライフドームで行われる試合で、「ネット裏スペシャルシート」のを購入してみた。実はこの、バックネット裏から試合が観戦できるだけでなく、さまざまな特典がついてくる、ちょっとラグジュアリーな。その魅力を体験すべく、さっそくドームへ出発してみた。
女性スタッフのエスコートで専用ゲートからラクラク入場
埼玉県所沢市にあるメットライフドームは、ナイトゲーム開催時であれば池袋から西武池袋線で最速32分。今日の先発投手など、試合の情報をスマホで調べているうちに、最寄りの西武球場前駅に到着してしまった。う~ん近い。しかも球場は改札を出ると目の前! 駅前では、大きなレオ人形がお出迎え。さらにたこ焼き、から揚げ、弁当などといった飲食の出店やグッズショップが並び、さながらお祭りのような華やかさだ。
西武球場前駅の改札を出ると、メットライフドームはすぐ目の前(※画像はイメージです)
試合開始よりも1時間ほど早く到着してしまったが、すでに入場ゲートは多くの人で溢れていた。しかし、「ネット裏スペシャルシート」のを持っていれば、混雑に巻き込まれることはない。人混みを避けて、球場の脇にある専用道をのんびり歩いていくと、専用ゲートが見えてきた。ゲートでは女性のエスコート係で出迎えてくれ、メニューとおしぼりを渡してくれる。入場から早くもゴージャスな気分! ちなみに、駐車券付きのもあるので、車での観戦も安心だ。
ボックスシートの専用入り口から、人混みを避けてドームに入場
少し早めに到着したところ、グラウンドでは選手が練習を行っていた
そうこうしているうちに、いよいよ「ネット裏スペシャルシート」が見えてきた。球場でも“最上級”だという、そのシートは、通常の席よりもかなり大きめ。飛行機のファーストクラスや新幹線のグリーン車のシートに近いだろうか。さて、その座り心地は……。クッションがしっかり効いていて、背もたれもしっかりしている! これなら長時間の観戦でも疲れなさそうだ。
シート前のスペースが広くとってあるため、大柄な人でもひざが前列のシートにぶつかることもなさそうだ。何より、トイレや買い物のときの出入りが楽なのがいい。前列との段差も大きくとってあるので、観戦時に前の人の頭が邪魔にならないのもありがたい。
ソファ感覚でくつろげる「ネット裏スペシャルシート」
ピッチャーの快速球に興奮、バッターのフルスイングに感動!
この日は、北海道日本ハムファイターズを迎えた5回戦(4月18日)。ライオンズがファビオ・カスティーヨ、ファイターズが高梨裕稔投手の先発で試合が始まった。
「ネット裏スペシャルシート」はその名の通り、バッターボックスがすぐそこに迫る、絶好のロケーション。長身から投げ下ろすカスティーヨ投手の速球がコーナーにビシッと決まると、森友哉捕手のミットが“ズバンッ”とうなりを上げる。この迫力がたまらない! 一方の高梨投手は、落差のある変化球を要所で決めてくるが、その変化の鋭さもバッチリ見ることができた。
ピッチャーが投げるボールの変化やコースがしっかりと確認できるのは、バックネット裏の席ならでは。山川穂高、森友哉といったスラッガーのフルスイングの迫力も圧巻。空振りですら、空を切る音が聞こえてくるかのようだった。
バックネット裏から観戦すると、変化球の球筋もバッチリ見える
ちなみに「ネット裏スペシャルシート」は下段、中段、上段の3ブロックに分かれており、下段からは選手のプレーが間近で見られ、中段と上段からはグラウンド全体をやや俯瞰で眺めるようになる。死角になる部分がほとんどなく、グラウンド全体を見渡せるので気分は爽快! 内外野手のポジショニングの変化などをつぶさに確認でき、観戦にもより熱が入ってしまう。
上中下段の3ブロックに分かれた「ネット裏スペシャルシート」
席を離れずビールや食べ物を注文
さて、序盤は両投手の好投で、手に汗握る投手戦に。緊張した試合展開に喉が渇いてしまった。ということでビールを注文することに。いつもならビールのタンクを背負った売り子さんに声をかけて購入するところだが、「ネット裏スペシャルシート」は専門のエスコートスタッフに注文すると、席までデリバリーしてくれるというシステム。ビールやソフトドリンクといった飲みものだけでなく、おつまみや食事も注文できるのが嬉しいところだ。
これまでは、売店までつまみを買いに行くために、周囲に「ちょっと済みません」などと声をかけながら、満員の席を抜け出していた。ちょっと目を離している間にホームランが飛び出して、悔しい思いをしたこともある。しかし、「ネット裏スペシャルシート」なら、基本席を立つ必要がない。これは、野球観戦において、かなりポイントが高いんじゃないだろうか?
メニューにある食事やドリンクを、席に座ったままオーダー
そうこうしているうちに試合も1時間ほどを経過し、球場の気温がだいぶ下がってきた。メットライフドームは屋根のついたドーム球場ではあるが、スタンドと屋根の間にある隙間から外気が入ってくるのが、寒い時期にはつらいところ。だが、「ネット裏スペシャルシート」なら、専用インフォメーションでブランケットを貸し出してくれる。これが、まだ寒さが残るこの時期にはたのもしい。ライオンズのロゴがあしらわれたフリース地の大柄のブランケットは暖かく、春先の肌寒い日の観戦も安心だ。
レンタルしたブランケット。会社帰りに手ぶらで観戦にいっても、これなら寒さに凍える心配はない
オーナーズレストランで豪華な料理を楽しみながら試合観戦
試合は西川遥輝選手のタイムリーでファイターズが先制。その後も得点を重ねて、じわじわとリードが広がっていく。お腹も減ったので、ここは気分を変えたいところだ。
そこで、足を運んでみたのが、「ネット裏スペシャルシート」の後方にある「オーナーズレストラン」。実はこのレストラン、「ネット裏スペシャルシート」の利用者など、一部の人しか入れないプレミアムなレストランになっている。「国産牛のサーロインステーキ」といった肉料理からパスタやピザまで、メニューは本格的な品ぞろえ。何より、席の目の前にネット裏からグラウンドを見下ろす見事な眺望が広がっており、まるで上空からグラウンドを見下ろしているような気分まで楽しめてしまった。こんなゴージャスな野球観戦って、ちょっとほかにないんじゃないの?
写真はミックスピザ(1300円)。ほかにも、「国産牛のサーロインステーキ」や「三元豚ロースのカツカレー」などメニューは豊富
「オーナーズレストラン」もバックネット裏にあるので、グラウンド全体を死角なく見渡せる
さて、8回表を終了した時点で、ライオンズは8点のビハインド。迫力あるプレーもたっぷり見られたし、美味しい料理も堪能できたのでこれで十分満足……なんて思っていたのだが、この後にまさかの展開が!
8回裏に3四球と5安打を集中し、一気に7点を挙げ、1点差に迫ると、最終回にはヒットと四球でノーアウト満塁というチャンスが生まれた。打席には森友哉。1ボールから2球目のストレートを豪快に振り抜くと、打球は高く舞い上がり、右中間を抜けて見事なサヨナラ打に。なんと8点のビハインドをはねのけて、劇的な勝利を収めてしまったのだ。
まさかのサヨナラ勝ちに、会場のファンは総立ちに!
「ネット裏スペシャルシート」は視線が打者のそれに近いといえる。それだけに森選手の打球が上がった瞬間は、まるで自分が打ったような錯覚に陥り、ボールの行方を手に汗を握って見守ってしまった。「森選手もきっとこんな感じで打球を見上げていたのかな」なんて思いも頭をよぎって、今でもその軌跡が目の奥から離れませぬ。
さて、劇的なサヨナラ勝ちを間近で体験したことで、いよいよ今回の観戦もクライマックスに。「ネット裏スペシャルシート」の中央にあるビクトリーロードを通って、選手が退場していく。ここで、「ネット裏スペシャルシート」のがあれば、選手の近くまで立ち寄って、ハイタッチができるのだ! この日のトリを飾ったのは、もちろん森選手。ファンとハイタッチしながらも、まだ興奮さめやらぬといった表情だったのが印象的だった。
ビクトリーロードでファンとハイタッチする森友哉選手
選手のプレーを間近に見て、時には直接触れ合って思いも感じ取れる。「ネット裏スペシャルシート」のおかげで、大満足な一日を過ごすことができた。さて、元気ももらえたことだし、明日からの仕事も頑張りますか。
文=天野四志夫@H14