舞台『ジョン万次郎』溝口琢矢×石原壮馬。二人が「初めて」を語るエピソード満載のインタビュー
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(右から)溝口琢矢、石原壮馬
教科書には詳しく載らないような歴史上の人物や出来事を、エンターテインメント舞台として表現する「もっと歴史を深く知りたくなるシリーズ」の第6弾となる『ジョン万次郎』が、2018年6月14日からEXシアター六本木にて上演される。
本作で主演を務めるのは、これまでに数々の舞台にも出演経験もあり、5次元アイドル応援プロジェクト『ドリフェス!R』によるユニットDearDreamの一員でもある、溝口琢矢。そのほかキャストに、主演の溝口と同じDreaDreamのメンバーである石原壮馬と正木郁、ミュージカル『刀剣乱舞』でにっかり青江役の好演が記憶に新しい荒木宏文、そしてこれまでのシリーズに出演を続けてきた役者陣から細貝圭、石井智也、井深克彦、寿里らの出演が決定している。
DearDreamとしても活動をずっと共にしてきた溝口琢矢と石原壮馬のふたりに、ここでしか聞くことができない「初めて」エピソード満載のインタビューを行った。
ジョン万次郎という波乱万丈の人物について
--舞台の出演決定を聞いてどう思われましたか?
溝口:主演で、とお話をいただいた時は本当に嬉しかったです。それと同時に、その時ちょうどプロデューサーの座間(隆司)さんとお会いしていたんですが、ジョン万次郎という人物の名前は聞いたことがあっても深く知らない人物だったので、座間さんの顔を見るとちょっと恥ずかしくなるというか……そういう時期もありました。原案である小説を読ませていただいてからは、意識はもう楽しみの方にどんどん移り変わってきています。
石原:歴史ものをやってみたいと考えたことが最近あったんですが、その時にちょうどいただいたお話でした。すごく嬉しいなと思うと同時に、たくさん勉強しないとなと! とても楽しみです。
--演じられる役どころを教えてください。
溝口:この物語の主役であるジョン万次郎を演じます。遭難というところから彼の壮絶な人生がスタートして、そこから全部を自分のものにしていくという精神力の強さがすごいです。あとは好奇心旺盛で貪欲に言語や技術を自分の身につけていったという生き様がとても面白いな、と思います。そういう人物を演じさせていただくということにとてもワクワクしています。
石原:ジョン万次郎と同じ船に乗っていた人物を演じます。彼とは一度別れてしまいますが、のちの人生で再会を果たします。ジョン万次郎が一人でアメリカにいる間、彼は何を思ったのか、再会してどう感じたのかなどを自分で深く理解しつつ、その時代の中で生きた一人として、しっかり演じることができたらいいなと思っています。
--ジョン万次郎という人物をそれまで知っていましたか?
溝口・石原:名前だけ、ですね。
溝口:そういう名前のご飯屋さんがありました。
石原:それ今日(取材時)ずっと言ってるよね! すごい気になってきたもん。
溝口:僕は両親に連れて行ってもらっていたんですが、食べ放題のお店です。
--(スタッフ)「居酒屋ジョン万次郎」ですね。
溝口:そうなんですか! 僕は子供だったからですね、お昼の食べ放題の方が印象あります。
--(スタッフ):全国展開していなかったかもしれませんね。
溝口:そうなんだ、ごめんね(笑)。
石原:それは知らないや。熊本で育ってきたから(※石原さんは熊本出身)。
(右から)溝口琢矢、石原壮馬
--歴史は得意ですか?
溝口:不得意の方です。高校の時に日本史か世界史かの選択をしなければならず、広く浅くを学ぶ世界史を選択しました。日本史のより深くという方向は僕には難しいのではと考えまして。一時期、学校に行けなかった時があったんですが、その時初めて赤点を取ってしまい……家族には拍手をされました。「覚えればいい教科で赤点を取るなんて、すごい! もうちょっと反省した方がいいよ。」って(笑)
石原:逆に怖いよそれ。
溝口:独特な攻め方をされましたね(笑)。溝口家で初めての快挙(?)を取ってしまいました。
--ちなみに得意な教科はなんでしたか?
溝口:勉強は全般的に苦手でしたが、古文漢文は好きでしたね。
石原:古文、難しくなかった?
溝口:読むのは難しいんだけど、ストーリーが面白いんですよね。昔の人のロマンチック感といったら! 現代語訳したら恥ずかしくてこんなの書く人いないよって思うくらい面白い話が多かったですね。
石原:歴史は好きです。そんなに広く深くは知らない方ですが、自分が注目して本を読んで調べた人もいます。僕は結構はまり性で、興味を持ったらどんどん知りたくなるっていうタイプでして。去年、西郷隆盛にめちゃくちゃハマった時は一日中図書館にこもって関連書籍を読みまくりました。東京に来て初めて行ったんですよ、図書館。この歳になって、学生みたいに勉強するなんて……。大人になって改めて歴史を学ぶ時がきましたね!
溝口:じゃあジョン万次郎についての本を持っていなかったら、「あんまりハマってないんだな」って思っちゃうけど?
石原:これからどんどん知りたくなるから大丈夫!
溝口:でも絶対ハマるよ! 原案の本はすごい面白かったから。
石原:帯にオバマ大統領も読んだって堂々と書いてあるし。
溝口:そこはあんまり関係ないかなぁ~(笑)。
--原作のどういうところが面白かったですか?
溝口:僕は舞台のお話をいただいてから読んだので、どうしても舞台化したらっていう目線になってしまいました。その時に思ったのが、ジョン万次郎の気持ちや描写など起こったことはほぼ心のナレーションだということ。例えば一つの「アイ」という言葉にしても、私(I)や目(eye)、はい(Hai=肯定)の3種類――これを僕は覚えられるんだろうか、とか。あとはポケットに手を突っ込んだ時に、初めてポケットというものを認識する。知らない世界を知っていくときの感動が幼くて可愛いなって感じたんですが、未知のものに触れたら年齢問わずそうなるだろうなっていうふうに思うようにもなりました。そういうところが面白かったです。
(右から)溝口琢矢、石原壮馬
アメリカではブロードウェイやグランドキャニオンに行きたい!
--ジョン万次郎は「日本で初めてネクタイをした」と言われるなど、日本人で「初めて」というエピソードが多くある人物ですが、お二人の「初めて」エピソードを教えてください。
溝口:小さい頃、初めて自分の誕生日と母の日が被ったことがあったんです。
石原:どういうこと?
溝口:母の日って5月の第2日曜日だから、毎年違って何年かに一度被るんです。小学生の頃だったんですが、その時真剣に悩んじゃって。「自分が祝われるのか、それともお母さんに何かをプレゼントするべきなのか。これは困ったぞ……?」と。「母の日なのに母から何かをもらうわけにもいかないし……もしかして相殺されて何もない日になるのでは?」なんて。
石原:相殺(笑)。
溝口:色々悩んだ結果、お花屋さんにいって花を買って帰りました。そういう、自分か家族かで悩んだ初めての経験かもしれないです。「初めて」って聞いてパッと浮かんだのはそれでした。こんなのお仕事で話したことないよ(笑)!
石原:うーん、僕は……。
溝口:それこそ、初めて東京に来た時のエピソードとか? 初めて家を決めた時とか? そういうの知りたいな。
石原:カルチャーショックを受けた話はいっぱいあります。まずは駐車場がなくてびっくり。あとはコンビニに駐車場がない。
溝口:駐車場で判断するの!?
石原:道路とか駐車場ってすごく注目して見ちゃうんです。車運転しないのに。あとは、スーパーとか物価が高い。
溝口:だって都会だから。
石原:物価の高さには本当にびっくり。家も高い! 僕の地元だったら、例えば7万だったら1LDKとか2DKとかに住めるんですけど、東京だったらワンルームでバストイレ一緒とかかなって。それだけ東京って人が密集してるんだなって。東京いいなって思ったことない……。
溝口:なんかゴメン……。(しょんぼりとした表情の溝口さん)
一同:(笑)
石原:でも東京で学生時代を過ごしていたら楽しいんだろうなって思います。遊び方がわかるじゃないですか。僕は仕事のために上京してきたから、遊ぶって感覚がないんです。いまいち東京の楽しさがまだわからないっていうのかな。
石原壮馬
--ジョン万次郎はアメリカに渡りましたが、海外の経験はありますか?
溝口:お仕事で中国に行ったくらいですね。他はないです。
石原:本当? 上海オンリー?
溝口:うん。
石原:僕もです。だから初めての海外が一緒に行ったことになるよね。
溝口:そうだね~! アメリカってどんな国なんだろう?
石原:でかいってことくらいしか。
溝口:役としては知らないですしね。現代の僕らは映画とかテレビでは身近な国だけど。
--アメリカに行くとしたらどんなところに行きたいですか?
溝口:ブロードウェイに行きたいですね。あとは地平線まで続く、真っ直ぐな道が見たいです。車の免許を持ってないので、運転手が必要!
石原:ニューヨークはまず一度は行きたい場所です。そういう大都会かもしくは大自然。岩と道がいっぱいあるところ……。
--グランドキャニオンとか?
石原:それです! グランドキャニオン、自然の造形物を見てみたいです。
--最後に、ファンに向けてのメッセージをお願いします。
溝口:この歴史シリーズのファンの方も、僕をすでにご存じの方もたくさん見にきてくださると思います。今までは戦国時代をテーマにした作品が多かったですが、今回は幕末です。シリーズとしても新たな試みだと思いますし、そういう新たなシリーズの魅力をしっかりと提示していけるように、きちんとジョン万次郎を勉強します。波乱万丈のジョン万次郎の人生はつらく苦しい場面が多いとは思いますが、それを通して力強さのようなものをしっかりと訴えかけていけるような舞台にしたいと思います。
石原:僕も初めてシリーズに参加させていただきます。ジョン万次郎について調べるのも初めてです。ジョン万次郎がどういう人なのかというのを知るのが舞台で初めての人もいるでしょうし、またこのシリーズ企画に触れるのが初めてという方も、ハマってくれたらすごく嬉しいです。このシリーズを盛り上げていけるようにたくさん勉強して、そしてこの作品の中で役として生きていけるように頑張って行きたいと思ってますので、見にきていただいてそして歴史が好きになってくれたら嬉しいなと思います。
(右から)溝口琢矢、石原壮馬
取材・文=松本裕美 撮影=岩間辰徳