朝夏まなと&神田沙也加がW主演! ミュージカル『マイ・フェア・レディ』製作発表会見

2018.5.24
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別所哲也、神田沙也加、朝夏まなと、寺脇康文(左から)

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朝夏まなと神田沙也加のW主演で上演されるミュージカル『マイ・フェア・レディ』の製作発表記者会見が2018年5月24日、東京都内で行われた。朝夏が「じっとしていられない」、神田が「だったらいいな」をそれぞれ歌唱披露し、出演者らが作品への思いを熱く語った。会見の様子をレポートする。

【動画】神田沙也加『だったらいいな』の一部、朝夏まなと『じっとしていられない』の一部


ジョージ・バーナード・ショウの戯曲『ピグマリオン』が原作で、『ブリガドーン』で注目を浴びたアラン・ジェイ・ラーナーとフレデリック・ロウのコンビが書き直した作品が、この『マイ・フェア・レディ』だ。1956年3月にニューヨークのマーク・ヘリンジャー劇場で初演を迎えている。

戦後のブロードウェイを代表する大傑作と称された舞台は、レックス・ハリスンとジュリー・アンドリュースが主演し、トニー賞ミュージカル部門で最優秀作品賞、演出賞、主演男優賞を含む6部門を受賞。この成功を受けて、1964年、ヒギンズ教授は舞台版と同じレックス・ハリスン、イライザはあのオードリー・ヘップバーン主演で映画化された。アカデミー賞の最優秀作品賞、監督賞など8部門で受賞している。

日本での初演は映画公開前の1963年。日本初演50周年となった2013年、演出を一新。クラシカルな英国の香りと華やかさはそのままに個性豊かな登場人物たちの生き生きとした情感がより際立つ舞台となって再誕生した。今回の2018年版もその「リボーン」した演出を踏襲する。

イライザ・ドゥーリトル役の朝夏まなと

この日、会見に登壇したのは、W主演を務める朝夏まなと神田沙也加のほか、寺脇康文別所哲也相島一之今井清隆平方元基前田美波里、演出のG2の9名。

まず、神田が「だったらいいな」、朝夏が「じっとしていられない」をそれぞれ披露した。ダイジェスト版ではあったが、生き生きとしたイライザ像がそれぞれに垣間見えた。

昨年11月に宝塚歌劇団を退団した後、今回が初ミュージカル出演となる朝夏まなと。宙組トップスターだった彼女は、イライザ・ドゥーリトル役として出演する。

「初めてのミュージカルが伝統のある『マイ・フェア・レディ』という作品で、本当に嬉しく光栄に思っております。女優さんとして、今までとは全く違うことに挑戦していくわけですが、不安とワクワクで胸がいっぱい。G2さんと素晴らしい共演者の皆様から沢山勉強させていただいて、また新しい道をしっかりと頑張っていきたい」と意気込みを語った。

イライザ・ドゥーリトル役の神田沙也加

同じくイライザ役を演じる神田沙也加は、ミュージカルの大作に続々と出演し、『キューティ・ブロンド』のエル・ウッズ役により第43回菊地一夫演劇賞を受賞している。

「『マイ・フェア・レディ』は私にとって本当に特別な作品。ずっと大好きで、何回も劇場に足を運んで、一緒になってセリフを言って、一緒になって歌を歌って、楽しんできました」と作品への思いを語り、「今日、実際にイライザの扮装を着させていただきましたけれども、この姿でみなさまにお会いできることをすごく楽しみにしていました。本当に素晴らしい先輩方とご一緒させていただき、G2さんとも久しぶりにご一緒させていただき、みなさまにご指導いただいて、誠心誠意、真摯に役と作品と向き合っていけたら」と話した。

演出のG2

13年、16年に続き3度目の演出を手掛けるG2は「今回は、キャストもほぼ一新して、なかなか華やかに賑やかにキャストが入れ替わりました。このお仕事をオファー頂いた時に、東宝さんは『これまで50年続けてきた。これから50年、全部で100年続けたい』と仰っていたんです。そのために、いろいろ新しくてして、今を生きる人の感覚に近づけていきたいなぁということで、2013年に歌詞とセリフを全部書き換え、構成を大きく変えました」とこれまでを振り返る。

そして、「大昔からの歌詞と違うのでいろいろ賛否両論はありましたが、頑張ってやり続けております。今回もそれでやり続けたいと思います。今回はそれに加えて、もう一つ人間ドラマを深く、しっとりと、一人一人のキャラクターが胸に迫るような、そういう演出を加えていきたいと思います」と演出プランを語った。

ヘンリー・ヒギンズ教授役の寺脇康文

ヘンリー・ヒギンズ教授役を演じる寺田康文は、13年、16年に続いて3度目の出演だ。

「とにかく最初にお話を頂いた時、台本をもらって『できないなぁ〜』というぐらいセリフの量がすごかった。しかも(演じるヒギンズ教授は)言語学者ですから噛みませんしね(笑)。できるのかなぁと思いながら日々格闘しました。今回もまた呼んでいただいたので、新しいヒギンズを作っていきたいなぁと思います」と意気込む。

「G2さんの演出はきめ細かい、繊細な演出なので、それぞれのキャストの心情が読み取れるような、人間模様を楽しめる作品になると思います」と語り、さらにWキャストの別所哲也については「前回は一人で、2回公演の日はヘトヘトになったものですが、今回は別所さんに出ていただけるということで、ありがとうございます!(笑)」と話して、共演を喜んでいた。

ヘンリー・ヒギンズ教授役の別所哲也

寺脇とWキャストで出演する別所哲也は「憧れのヒギンズをやらせていただきます」と切り出し、「僕にとってはミュージカルというのは一つの表現の場として大切にしてきた作品のジャンルの世界。東宝のミュージカルと言いますと、30代で『レ・ミゼラブル』と出会い、そして40代では『ミス・サイゴン』、そして『南太平洋』、50代という年齢を重ねて、この作品にこうやって参加させていただくことは本当に光栄です」と感慨深そうだった。

「数々の憧れる、尊敬する先輩たちもこの作品に携わっていらっしゃいました。いろんな名優が歴史の中で重ねてきた役柄なので、この役柄を僕がどのように演じられるか、今から楽しみです。また、G2さんとは初めてご一緒するので、きめ細やかな演出のもとで、新しい自分がどのように演じることができるのか楽しみにしています。ここにいる仲間とスタッフとで素晴らしい舞台に作り上げていきたいと思います」と話す。

相手役の神田沙也加については「沙也加ちゃんとはね、『レ・ミゼラブル』で親子をやっておりますけれども……沙也加ちゃんなんて言っちゃいけませんね(笑)、沙也加さんと一緒に新たな共演をさせて頂くことに非常に喜びを覚えております」と語っていた。

ヒュー・ピッカリング大佐役の相島一之

ヒギンズの友人で、イライザの良き理解者でもあるピッカリング大佐を演じる相島一之は、オファーをもらった時に「え、僕でいいんですか?」と驚いたという。

昨年の『フランケンシュタイン』で初めてミュージカルに出演した相島は「50年という長い長い歴史がある、伝統があるこの素晴らしい『マイ・フェア・レディ』に……しかもピッカリングといういい役で……いつも主人公の隣にいるんです。しかも初演は益田喜頓さんという昭和の名コメディアンで名俳優です。その方がやられた役を相島がやっていいのか……。やらせていただきます!(笑) どうか楽しみにしてください!」と興奮気味に語った。

アルフレッド・ドゥーリトル役の今井清隆

いつも酔っ払い、娘のイライザに迷惑をかけるアルフレッド・ドゥーリトル役の今井清隆

「僕が初めてこの作品を見たのは栗原小巻さんがイライザで、神山繁さんがヒギンズだったんですよ(※1984年上演版)。僕も若かったんで、フレディの役をいつか……と思っていたんですが、こんな形になっちゃいました(笑)。まぁ生まれ変わったらということで……」と語り、笑いを誘う。

そして、「いい加減な親父の役なので、この役は私には向いていないのかなと思っていたんです。私、こう見えても生真面目で、真面目に粛々と生きている人間なもんですから、この役は合ってないなぁ……役作りが大変だなぁ……と思っていたんですが、『コメディーというのは真面目な人しかできないんだよ』と益田喜頓さんが仰っていたと相島さんが教えてくれたので、ちょっと安心しました(笑)。頑張ります」とコメントした。

フレディ・アインスフォードヒル役の平方元基

イライザに恋をする上流階級の青年フレディを演じる平方元基は、13年の出演以来となる。

「再びこの作品に出会うことができて、G2さんの演出を受けることができて、嬉しく思います。13年にフレディ役でやらせていただいて、その時『君の住む街角』という名曲を歌わせていただいたんですが、日に日に緊張も解けていき、すごく幸せな気持ちで毎日舞台に立たせていただいていたなぁという記憶が蘇ってきました。また幸せな気持ちを皆さんと共有できるよう一生懸命頑張ります」と意気込みを語った。

ヒギンズの母役の前田美波里

ヒギンズの母役を演じる前田美波里は「私が芸能界に入ったのが15歳で、その年にやられていた作品が『マイ・フェア・レディ』の初演でした。私は憧れの『マイ・フェア・レディ』を拝見しながら、『あぁやりたいなぁ』と思いつつ、『声が自信がないなぁ、あんな高いキーはとても無理だなぁ』と思っていました」と作品への思い出を語る。

「今までミュージカルに出演してきた中で、(ヒギンズの母役のような)温かく見守る役はなかなか頂いたことはないんですが、実生活でも母親でございますので、本当の母親というの気持ちを今回表現できたらなぁと思っております。(英国が舞台なので)アメリカの血が入っている私にはちょっと邪魔するところもあるんですが(笑)、そこは抑えて、気品よく、頑張っていきたいと思います」と話した。

朝夏まなとと寺脇康文

続いて質疑応答があった。

−−どのようなイライザを作っていきたいですか?

朝夏 歌唱披露でも1曲歌わせていただきましたが、誰もが知っている名曲・ミュージカルなので、本当に緊張して、震えてました。数々の先輩が演じてきて、皆さんそれぞれのイライザのイメージがあると思うのですが、私は本当に初心者マーク。G2さんにも共演者にも体当たりでぶつかっていって、いろんな面を引き出していただいて、そこから何か「自分のイライザはこうです」というのが、稽古を重ねてから生まれてくるといいなと思っています。イライザという人はとてもチャーミングな人だなぁというのが、私の中で深く残りましたので、そこをベースに作りたいなと思っております。

神田 このイライザという役を目指して、私はミュージカルを志したところもありますので、決まった時は泣き崩れましたし、大声で叫びました。大人になってから、それだけ興奮できて、目標であり続けてくれた存在だったんですね、イライザという役と『マイ・フェア・レディ』という作品は。なので、この初心をずっと持ったまま、過去にイライザを演じられた先輩方への尊敬の気持ちを最後まで持ち続けて……私はどこの劇団にいたわけでもなく、本当に私でいいのかなというのもあるんですけれども.……こうして立たせていただくからには私であった意味というのを自分で一つちゃんと見つけたいですし、皆様にもそれをバッチリと提示していきたいなと思います。

ファンだったということもあり、イメージトレーニングはすごく何百回もしてきておりますので(笑)、役立つかどうかは分からないですが、決まりを作らず自由にまずはやってみて、G2さんとお話ししていけたらなと思います。

別所哲也と神田沙也加

−−演出プランをもう少し具体的に教えてください。

G2 男と女の話というのが根本にあります。男と女は千差万別なので、そういう意味で、二つのカップルが誕生します。カップル同士で違う個性のカップルを作っていきたいなぁと思っています。ディスカッションしながら、この二人でないとやれない、ヒギンズとイライザを今回作っていきたいと思います。

−−どんなカップルになるのか、お相手の魅力を教えてください。

寺脇 (朝夏の宝塚の)卒業の時の公演を見せていただいて、ちょっとだけお話しさせていただいたのと、僕のやっている舞台を見に来ていただいたのと……お会いしたのが今日で3回ぐらい。ドブロクはまだ一緒に飲んでいないんですけど……。お酒飲まれますか?

朝夏 はい(笑)。

寺脇 じゃあ一度ねぇ、お話しをしながら……(笑)。もともと男役でいらっしゃったから、女性役はまだ初心者マークと仰っていましたが、がさつなイライザは絶対に◎だと思うんですけど(笑)、そこからの淑女になってからのイライザに不安を持っていらっしゃるようなので、その辺もフォローしながら、二人で一緒に、僕は3回目ですけれども、新たな気持ちで。ドブロクでも飲みながら...(笑)。

別所 神田沙也加さんは、横にいるだけで瞳がキラキラしていて、吸い込まれそうなぐらいお美しい。僕らもまずは飲みニケーション。

神田 飲めないんです……(小声)。

別所 え!飲めない! じゃあ飲みニケーションではない形で...私たちはドブロクではなく、英国風にお茶会でね(笑)。どんなカップル像がG2さんの演出の元にできるのか。お客様も2度それぞれの『マイ・フェア・レディ』をお楽しみいただけるんじゃないかなと思います。僕も大人の男をきちんと演じられるように、そして沙也加さんの美しさに負けないように素敵な作品にしたいと思います。

イライザ・ドゥーリトル役の神田沙也加

イライザ・ドゥーリトル役の朝夏まなと

−−最後に一言お願いします!

朝夏 じっくりと共演者の皆様と初めてお会いして、ますます頑張ろうという気持ちが強くなりました。初日まで稽古を重ねて、皆様に新しい『マイ・フェア・レディ』、伝統を残しつつも新しい『マイ・フェア・レディ』をお届けできるように頑張りたいと思いますので、よろしくお願いします

神田 初めてこんなに製作発表で笑いました。すごくお稽古も刺激がたくさんで、笑いでいっぱいになるんじゃないかなと思いました。目指していたものが一つ形になったと喜んでいるだけではなくて、無事に終わるまで最後までやり遂げたいです。とにかく『マイ・フェア・レディ』がすごく大好きなお客様もいらっしゃると思います。その皆さまに納得していただけるように、新しい2018年の『マイ・フェア・レディ』がよかったなと感想を持っていただけるように頑張ります。お会いできてうれしかったです。ありがとうございました!

『マイ・フェア・レディ』の出演者ら

取材・文・撮影=五月女菜穂

公演情報

ミュージカル『マイ・フェア・レディ』

■日程:2018年9月16日(日)~30日(日)
■会場:東急シアターオーブ
■脚本/作詞:アラン・ジェイ・ラーナー
■音楽:フレデリック・ロウ
■翻訳/訳詞/演出:G2
■製作:東宝
■配役:
イライザ:朝夏まなと / 神田沙也加(Wキャスト)
ヒギンズ教授:寺脇康文 / 別所哲也(Wキャスト)
ピッカリング大佐:相島一之
ドゥーリトル:今井清隆
フレディ:平方元基
ピアス夫人:春風ひとみ
アインスフォードヒル夫人:伊東弘美
ヒギンズの母:前田美波里

 
 
《福岡公演》
2018年10月6日、7日
久留米シティプラザ ザ・グランドホール

《広島公演》
2018年10月10日、11日
上野学園ホール

《大阪公演》
2018年10月19〜21日
梅田芸術劇場メインホール

《愛知公演》
2018年10月24日、25日
日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

 
《大分公演》
2018年10月31日、11月1日
iichiko総合文化センター iichikoグランシアタ
 
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