桜庭和志プロデュース第2弾!明るく楽しく激しかった「QUINTET FIGHT NIGHT」で目撃した世界トップレベルの技術と”東洋の神秘”
桜庭和志がプロデュースする新感覚の格闘技イベント「Quintet」は、5人の寝技師たちが一体と化す団体勝ち抜き戦。4月11日に開催された第1弾「QUINTET.1」に続き、今回はライトウェイトの選手らによるグラップリングが行われている。“台風の目”は、やはりホベルト・サトシ・ソウザ。加えて、矢野卓見や今成正和らの存在に惹かれ来場したファンも多数存在したはずである。
6月9日、ディファ有明にて桜庭和志がプロデュースする格闘技イベント「QUINTET FIGHT NIGHT in TOKYO」が開催された。
同イベントの特徴は、グラップリングのみで雌雄を決するというところ。
試合前、会場内に流れたVTRで桜庭はグラップリングの魅力を以下のように語っている。
「寝技でギブアップ取るのって、相手が自分の意志で“参った”して負けを認めることじゃないですか? KOとはまた違う感じの気持ちの良さがあるので」
今回のQuintet、細かいルールは以下だ。
・4チームの1DAYトーナメント、5人1組の勝ち抜き戦。
・決着はギブアップのみで決定。
・「QUINTET.1」(4月11日開催)と違い、今回はライトウェイトを謳っている。1チームの総体重は360kg以内に設定。
・時間切れ引き分けはあり。大将同士で対戦した場合のみ判定がある。
・8分1本勝負(体重差が10kg以上あると4分1本勝負に)
●矢野卓見の技術とスタミナと世界観に会場内が沸騰
1回戦のファーストマッチは、所英男率いる「TOKORO PLUSα」と、日本のブラジリアン柔術最強軍団「TEAM CARPE DIEM」という組み合わせだ。
それにしても、所軍団のメンツが凄い。総合格闘技団体「ZST」で一時代を築いた猛者たち“ZST四兄弟”(所英男、小谷直之、今成正和、矢野卓見)が全員所属しているのだから。
「所チームを作らせてもらえると言われた時に、真っ先に思い付いた人たちです。このチームは相当面白いと思います。楽しみです。本当、楽しみですよ」(所)
「所英男が声かけて『ああ、はい』と集まった人たちです。僕のやる気は微妙な感じですね。『どう凌ごうかな?』くらいの。まあ、そもそも俺、凌ぐ闘いしかしたことないんで(笑)。フッフフフフフフフフ」(矢野)
1試合目は、伊藤盛一郎(TOKORO)vs杉江“アマゾン”大輔(CARPE)の一戦。伊藤はZSTのフライ級チャンピオン。今回はアマゾンの方が10kg以上重いので、4分1本勝負だ。
試合開始から1分経過したタイミングで豪快な飛びつき腕十字を成功させる伊藤。アマゾンの腕が今にも伸びそう。「所英男2世」という異名を持つ伊藤らしいキャッチーさだが、これは足を使ってアマゾンが何とか外す。
体重で約15kg上回るアマゾンは「相手の技を抜けてから極めるのが自分のスタイル」と語るとおり、腕十字を抜けてから上のポジションをキープし続け、そこからバックチョーク狙いに。だが、伊藤が凌ぎ切り、時間切れ引き分けという結果に。
両者の体格差を見るにつけ、うまく伊藤が引き分けに持ち込んだというところだろうか。
次鋒戦は、今成正和(TOKORO)vsデヴィッド・ガルモ(CARPE)。ゴングが鳴るや、向き合わずトコトコ歩き、斜に構えながらガルモと対峙する今成独特のムーブ。目線も相手から外しており、何とも不気味である。
しかし、ガルモは動じずに強いタックルでテイクダウンを奪う。上のポジションを取ったガルモだが、体勢からして警戒していることは明らか。“足関十段”の異名を取る今成からなるたけ足を遠ざけている。そして腕十字を取りかけたガルモだが、同時に今成が足を抱えると慌てて体を起こしスタンディングに戻る。極めてないのに凄みを見せる今成に館内が沸く。
スタンドから押さえ込みに入り、先手を決めるのはガルモ。今成はあえて簡単にポジションを取らせているよう。これは、餌を撒いているのか? 体格差を利して肩固めに入るガルモ。それを外してスライディング関節を狙う今成だが、デヴィッドはかからない。対策は十分のようだ。
対して、今成は防戦一方。終盤は今成も下からの攻めを見せたが、タイムアップ。時間切れ引き分けとなった。
中堅戦は、所英男(TOKORO)vs松本義彦(CARPE)。U系vsブラジリアン柔術というイデオロギーの対立構造が鮮明な一戦だ。
松本は相手の足を取って回転しいつの間にかバックを取っているというマジカルな動きを見せ、会場を沸かせる。そして、そのままバックチョークを狙うが、所は足を絡ませる松本ごと体を持ち上げて外すことに成功。
グラウンドに戻ると、やはりバックのポジションを確保する松本。どうしてもポジショニングで後手に回ってしまう所だが、流れの中で腕がらみに入りかける。所らしい見せ場だ。派手な動きでパスガードを狙う所と下からねちっこく引き込もうとする松本という展開が続くが、試合終了直前に所は松本の足を取って膝十字の体勢へ!
しかし、タイムアップ。松本にとってはヒヤッとした場面だった。
副将戦は、小谷直之(TOKORO)vs世羅智茂(CARPE)。試合開始早々、世羅がギロチンチョークを決めるも小谷は冷静に対処。その後、小谷の体によじ登って飛びついてのギロチンを見せる世羅。
グラウンドでもギロチンを狙う世羅に対し攻めあぐねる小谷であったが、中盤で負けずにギロチンを取りかけて挽回。要するに、相手が技を仕掛け、仕掛けられた相手はカウンターで対処し自分も技を仕掛ける……という一進一退の攻防が続く。結果、世羅が腕十字に入りかけた体勢のままゴング。この試合もドローだ。
大将戦は、矢野卓見(TOKORO)vs岩崎正寛(CARPE)。“東洋の神秘”と“日本柔術界の至宝”による夢の顔合わせが実現! ちなみに、矢野は現在48歳である。ここで、試合前にアクシデント発生。ルールで禁じられていた整髪料を付けていた岩崎に指導が与えられた。その間、悠然と待ち続ける矢野の表情が不気味だ。
そして、試合開始。みんな待望していたのだろう。館内の「ヤノタク」コールが凄い。異次元の対決は、岩崎が豪快にタックルを決めたところからスタート。しかし、矢野は下からいきなりセンタクバサミを見せて対処。館内、待ってました! とばかりに沸きまくる。
ここからしばらく、「上四方を取る岩崎とセンタクバサミを仕掛ける矢野」という展開が続く。岩崎からするとやりづらいに違いない。
そして、3分経過辺りでブレイク。スタンドへ戻るよう審判が促すが、矢野が立ち上がれない。バテて動けないのだ。
これは“死んだふり”なのか、本当にスタミナ切れなのか? 判断のつきづらいところだが、違った意味でお客さんは大喜び。より一層の「ヤノタク」コールが響き渡る。
まだ元気な岩崎は攻めまくり、肩で息する矢野はなんとか技術で凌いでいく。肩固めなど岩崎もいい攻めを見せるのだが、どうしても仕留めきれない。なぜ決まらないのか本当に不思議。これが、矢野が“東洋の神秘”と呼ばれるゆえんだろう。
タイムストップが掛かり中央に戻る場面では立ち上がることさえできず、グルグル寝転びながら移動する矢野。今まで見たことのない不思議な光景だ。
チャンスとばかりに腕がらみを極めにかかる岩崎だが、なぜかどうしても極め切れない。恐るべし、東洋の神秘!
だが、さすがに守りを固めすぎたか、矢野に指導が与えられる。もう、虫の息の矢野だが、でもやっぱり岩崎に取らせない。どうなってるんだ!?
残り1分半の時点で岩崎のバックチョークが完全に入ったかに見えたのだが、でもやっぱり矢野は凌ぐ。
現役トップの柔術家がフルパワーで絞めにいってるのに絞まらない。これぞ、魔術。自分からは全く攻めていないのに、場内は「ヤノタク」コール一色に! 最後は岩崎が渾身の力の肩固めで絞るも、矢野が凌いだままタイムアップ。
ゴング後、矢野は大の字の体勢で動くことができない模様。心配になった岩崎が気遣うほどの消耗っぷりである。矢野卓見の世界を、存分に楽しむことができた。
この対抗戦は両チームの指導数が一緒だったため、勝敗は大将戦の判定に委ねられる。当然、岩崎に凱歌が上がった。TEAM CARPE DIEMの決勝進出が決定!
試合後の会見では、所チームの選手が思い思いの感想を口にしている。
「今日は自分が取るべき試合だったんで、本当に申し訳ないです。僕が取るべきでした」(所)
「(岩崎選手は)すごい力強かったです。俺が女の子だったら強姦されてるところでした。腕絡みでバキバキ言ったんですけど、それどころじゃないんで。みんないい試合したから負けてらんない。意識がある間はがんばろうと思って。しかし、8分は長いっすね。もう、体力の限界値超えてます」(矢野)
とにかく、矢野の世界観が辺りに充満する。それは、試合中でも試合後でも変わりはない。
今成 「圧倒されてしまって、いいところ出せませんでした」
矢野 「緊張感あって、良かったよ」
伊藤 「相手チームの一番デカい選手と闘えることになって、普通の試合じゃないので楽しみにしてて。最初の飛び十字はずっと狙ってて、腕折れちゃうんじゃないかってくらい入ってて、でも耐えられちゃって」
矢野 「いやあ、でも良かった。最初にカマして、うん」
最後は、記者団との質疑応答だ。
――所選手、今回このメンバーでチームとして試合できたことをどう思いますか?
所 「それに関してはものすごく大満足してますし、良かったです。うれしいです」
小谷 「でも、大方の予想よりは善戦したんじゃないですか。僕の中では、矢野さんが時間耐え抜いた時点で温情で勝ちにしてくれないかって思っちゃいましたけどね。その代わり、次闘えるかわかんないですけど(笑)」
矢野 「いや、もうね、プレミアムチャレンジのオーディエンスジャッジだったら俺たちの圧勝だよ」
小谷 「そうすね」
矢野 「ああ。まあ、意味はわかんないと思いますけど」
実はこの時、無念さから所は落涙している。その姿を見て、フォローするのはやはり矢野だ。
「これはもう、泣くしかないよね。でも、お客さんもすごい喜んでたじゃないですか。いや、もう、Quintetという大会の勝利ですよ」(矢野)
●現在進行系のドリームチーム vs Uの遺伝子
1回戦の2試合目は、豪華メンバーが集結した「TEAM HALEO」と、Uの遺伝子を受け継ぐ「TEAM U-ZUKIDO」による一戦。
会場内に流れる煽りVTRで、U-ZUKIDOメンバーは以下のような意気込みを発している。
「『Uって格闘技っぽいやつでしょ?』って言われることを覆すために集まったチームだと思うので。もちろん、優勝して覆しますんで。まだ終わってねえんだ、Uは」(佐藤光留)
「自分の中では凄い良いメンバーが揃ったなと思っていまして。柔術のセオリーにないことをドンドンやっていきたいですね」(中村大介)
まずは、先鋒の徳留一樹(HALEO)vs佐藤光留(U-ZUKIDO)の一戦からスタート。この試合は両者の体重差が10kg以上あるので4分1本勝負となる。
試合開始早々、徳留が飛びついてギロチンチョークを決めにいく。
これが見事に成功、なんと佐藤はタップした。ギロチンを取りながら足を絡める「ジャパニーズ・ネクタイ」で、徳留が秒殺の1本勝ち! 佐藤は天を仰いだ。
U-ZUKIDOからは宮戸優光の弟子・井上学が次鋒で登場し、徳留と対戦だ。試合開始早々、9.9kgの体重差を利して攻め込む徳留。ダースチョークを狙い続け、井上はブリッジ等をしながら凌いでいく。
徳留にバックチョークを狙われ、苦悶の表情になる井上は「痛て!」と声を上げる。ドクターチェックによると、井上に肋軟骨骨折の疑いがあると判明。
ストップがかかり、徳留が勝利を収めた。
2人抜きを果たした徳留に対するは、U-ZUKIDOの中堅・濱岸正幸だ。3人目との対戦となる徳留だが、攻め気はまだ失わない。開始早々に飛びつき腕十字を見せ、はたまた積極的なタックルでテイクダウンを狙いに行く。スタミナ十分!
一方の濱岸は小内刈りで徳留を転がすなど、ベースである柔道のスキルを見せつける。いわば“ノーギ小内刈り”だ。
残り3分の時点で、濱岸はサイドポジションをキープ。徳留は口で息をしており、さすがに苦しそう。最後は濱岸がアームロックを極めかけ、苦しげな表情のまま強引に徳留が外し、そのままタイムアップ。2人抜きして1人を道連れにした徳留、大活躍と言っていいだろう。
続いて、U-ZUKIDOからはジョシュ・バーネットの弟子である副将・ビクター・ヘンリーが登場。HALEO次鋒・金原正徳との対戦が実現した。ちなみにこの日、海外向け配信の解説者としてジョシュが来場している。
愛弟子の試合では、居ても立ってもいられずセコンドに付いていたようだ。
シッティングして引き込みを図る金原に対し、飛び込んで豪快なパスガードを狙うヘンリー。今度は一転してタックルで自らテイクダウンを狙う金原。肩固めなどで終始攻め続け、残り1分を切ったところでアキレス腱固めにスイッチ。
これを見事に極まり、金原の1本勝ち! 金原の引き出しの多さに驚かされる決まり手だった。
遂にU-ZUKIDOは大将の中村大介が登場し、金原と対決。2戦目の金原はノッているのか、いきなり飛びつき腕十字を狙うが、取り損ねて頭から落下。何をやっても明るい男である。
気を取り直し、すぐにタックルでテイクダウンを奪う金原。一方、サブミッションマシーンの中村は肩固めから腕十字へと流れるような動きを見せる。この時の腕十字で腕が伸びかけるも、暴れて逃げる金原。しかし、中村が腹ばいの状態でしっかり固めた二度目の腕十字には、金原もたまらずタップ!
中村、さすがの1本勝ちを収めた。
続いてHALEOからは大注目のホベルト・サトシ・ソウザが登場し、中村と対戦。開始早々、自ら寝転びアキレス腱固めを仕掛けるサトシ。
中村は腕十字を仕掛けるも、サトシはそれを読み、回転して回避。続くサトシの動きを、今度は中村が回転して回避。お互いがグルグル回りながら展開する攻防に館内が沸く!
その後、流れの中でリアネイキッドチョークを決めかけるサトシ。中村は顎を引いて防御するもサトシは顎の上から絞め続け、中村はタップした。サトシ、別格!
サトシが持つ世界有数のテクニックが堪能できた一戦であった。
●日本柔術界が最も観たいカード、Quintetで遂に実現する
決勝はTEAM CARPE DIEM とTEAM HALEOの対決に。
初戦は、杉江“アマゾン”大輔(CARPE)と小見川道大(HALEO)の対決からスタート。序盤からアマゾンが小見川を上から押さえ込み続け、試合は進む。
守りに徹する中で指導を与えられ「動かなければいけない」と意識の変わった小見川の隙をアマゾンが突き、腕十字で見事な一本勝ち!
続いて、TEAM HALEOからは今日初戦となる宮田和幸が登場。とにかく、宮田の動きが速い! 引き込みにかかるアマゾンの上に覆いかぶさり、目にも留まらぬ動きで気付くと腕を取っている。力も技も抜群! 結果は67秒、アームロックで宮田が柔術家から電光石火の1本勝ちだ。
TEAM CARPE DIEMからは、次鋒のデヴィッド・ガルモが登場。下からの一瞬のサブミッションに賭けて攻めるガルモと、上になって距離を取る宮田という攻防で試合は進む。流れの中、ガルモに足を取られヒヤッとする場面もあったが、スタンディングに戻り仕切り直そうとする宮田。「立て、立て」と手招きする宮田と「来い、来い」と天へ上げた足を大股開きしながら挑発するガルモ。お互いが自分の領域へ誘い合っている。
ガルモの仕掛けは、まさに“モダン柔術”といったところ。オモプラッタを仕掛け、宮田がスカすと即座に足を取り、膝十字で1本!
なるほど、今のオモプラッタはおとりだったのか……。TEAM CARPE DIEM とTEAM HALEOのマッチングは、まさに抜きつ抜かれつだ。
HALEOからは、ホベルト・サトシ・ソウザが中堅として登場する。試合が始まると、お互い冷静なのだが不意に激しい動きが出現、ポジションが激変するのが面白い。基本的に、サトシが仕掛けてガルモが対処するという流れ。
最後は肩固めを決めながらバックを取ったサトシが隙間に腕をスッと入れ、リアネイキッドチョークで1本勝ち。
いつの間にか、シンプルな形で難なく技を決めてしまっているのが不思議である。
CARPEからは、続いて中堅・松本義彦が登場。この顔合わせは体重差が10kg以上なので、4分1本勝負に短縮される。
サトシをストップできれば、松本にとっては殊勲だ。一方のサトシは4分という試合時間を意識し、トップギアで攻め込みにいく。上になり、とんでもないスピードで動き回るサトシ。制圧する気まんまん! 対する松本も頑張る。サトシに足を取られかけるも慌てて逃げ、スタンドに戻り仕切り直す反応の良さ。館内は大拍手だ。
このまま松本が凌ぎ切るかと思いきや、残り50秒足らずできっちりチョークを決めるサトシ。見事な1本勝ちを収めた。
サトシのリアネイキッドチョーク地獄から誰も逃れられないぞ!
松本に続きCARPEから登場は、副将の岩崎正寛。サトシと岩崎の対戦は、日本の柔術界が最も観たいカードの一つである。開始早々、いきなり飛びつき腕十字を見せるサトシ。岩崎は冷静に対処。パスガードを試みるが、サトシがさせない。パスできるのか、できないのか?
それにしても、サトシはやっぱり凄い。3人目との対戦なのに、岩崎が試みるパスをずっと防ぎ切るのだ。
スタンドへ戻り、クローズドガードで引き込んだサトシ。そのまま三角絞めを狙うが、岩崎相手に決めるのは至難の業。岩崎は岩崎で執拗にパスを狙うが、やはりどうしてもできない。
そして、残り15秒で遂にサトシが三角絞めに成功! 岩崎の頭を抱えてお腹を突き出すが、この体制のままタイムアップ……。
息もできないような攻防の末のドローで、両者脱落となった。
さあ、HALEOからは副将の徳留一樹が、そしてCARPEからからは大将の世羅智茂が登場だ。
開始30秒、パスガードを狙う徳留の腕を取った世羅が目の覚めるような腕十字を極め、見事な一本勝ちを奪取!
大仕事をやってのけた世羅。大将同士の一戦に持ち込むことができた。
ついに、HALEOから大将・金原正徳が登場。世羅vs金原で全てが決まるという、単純明快な状況である。試合は下からの世羅、上からの金原という体勢で進んでいく。流れの中、上下が入れ替わり、世羅が上から首を取ってギロチン! 入るか、入らないか? ……これは、金原が体勢をずらして未遂に終わらせる。逆に今度は金原が足関節を狙うが、こちらも未遂。両者の攻め気に館内は大歓声だ。
不意に金原がタックルを狙うも、世羅は受け止めてまたしてもギロチンチョークの体勢へ。
でも、金原は動き回ることで脱出に成功。お互いに攻め気を全く失うことなく、最後は世羅がギロチンを狙いかけた体勢でタイムアップ!
この試合はドローだったが、チーム全体の合計指導数はTEAM CARPE DIEMの方が少ないと判明する。よって、優勝はTEAM CARPE DIEMに決定!
柔術家の強さを見せつけた結果に終わった。
優勝したTEAM CARPE DIEMの5人には、Quintetプロデューサーの桜庭和志より優勝メダルが贈呈される。前回の「QUINTET.1」と同様に、「♪チャーン、チャーン、チャチャーン、チャーン、チャラララチャンチャンチャーン」と、セルフで優勝BGMを口ずさメダルを掛ける桜庭プロデューサーであった。
イベント終了後、桜庭プロデューサーと、中井祐樹審判委員長が今大会を総括した。
桜庭 「めちゃくちゃ面白かったです! 攻める意識を持っているのが観ている側もわかるんで、そこが面白かったです」
――MVPを選ぶなら誰?
桜庭 「急に言われても困ります(笑)」
中井 「絶対面白くなるって、会った人みんなに僕言ってたんです。『日本人が多いんで手の内知ってて固くなるんじゃないか』って声もあったんですけど、観たら面白さがわかるし、参加したくなるだろうし。そういう魅力が詰まってるんで、今後応援してください」
最後に大仕事をやってのけた世羅、レベルの違うスキルを見せつけたサトシなど印象に残る選手が多かった今回のQuintetだが、大会終了後、SNSで話題を独占したのは“東洋の神秘”矢野卓見だった。筆者も矢野への大きな期待を胸に会場へ訪れたが、期待以上のインパクトをいただけた気分。
明るく楽しく激しい、そんな形容がぴったりの「QUINTET FIGHT NIGHT in TOKYO」だった。
(取材・文・撮影:寺西ジャジューカ)