豊かな色彩とパワフルな音と歌で描かれる「マジックアワー」の風景とは? 内田真礼『Magic Number』TOUR 2018 東京公演レポート

2018.6.27
レポート
アニメ/ゲーム

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UCHIDA MAAYA Magic Number TOUR 2018 『Magic Number 2 TOKYO』
2018.06.24(SUN) 東京国際フォーラム ホール A

地平線に太陽が沈んでから空が夜の帳に包まれるまでのわずかな時間、空は夕映えのオレンジと夜空の濃紺が溶け合う幻想的な色合いに染まる。「Magic Hour(マジックアワー)」と呼ばれるそんな時間の名を冠した2ndアルバムを、4月にリリースした人気声優・内田真礼のライブツアー『Magic Number TOUR 2018』が6月17日の福岡公演を皮切りにスタート。その折り返しとなる東京公演『Magic Number 2 TOKYO』が、去る6月24日に東京国際フォーラム ホールAで開催された。今回は会場を揺るがすほどに白熱したライブの模様をレポートしよう。

マジックアワーの風景を思わせる青と紫に染まった街並みを模したステージで、この時期の日没に近い午後6時半ジャストにライブがスタート。大型スクリーンに映し出されるのは、宇宙を突き進むまばゆい光。そしてカウントダウンが表示され、客席のファンもそれに合わせてカウントを叫ぶ。それが終わると同時に、ステージ中央へ移動階段に乗って、星空をイメージした濃紺に星の模様をあしらったドレス姿の内田真礼が登場。

オープニングナンバーは2ndアルバムの冒頭を飾る「My Star is Here!!」で、歌い終わるなり「今日も行くぞー!」というかけ声と共に2曲目「+INTERSECT+」に突入。出会いの喜びを歌ったこの2曲で、この会場でのファンとの出会いに感謝の気持ちを送る様な歌いっぷりに、客席もスタート時からテンションは最高潮に。そして2曲目ラストの「好きだよ」の一節を叫ぶように歌った内田に大きな歓声が沸き起こった。

「こんばんわー! お待たせ、内田真礼だよー! 本日は東京国際フォーラムにやって参りましたー!」

オープニングを歌い終えて最初のMCタイム。初めての会場となる国際フォーラムAホールの広さと、客席を埋めつくすサイリウムの光に感激しながら「今日は、この東京国際フォーラムをみんなで揺らしまくって楽しんでいきたいと思います!」と宣言して、再びライブへと突入。

3曲目はテレビアニメ『たくのみ。』OPテーマでもある「aventure bleu」。新たな世界へのときめきを「冒険の海」への旅立ちに例えた歌詞にちなみ、ブルーと紫のライティングやシャボン玉で海をイメージした演出がステージを彩り、ファンもブルーのサイリウムで客席を染めて応える。そしてブルーの羽衣を手にしたバックダンサー達が曲の終盤で内田を羽衣で覆い隠すと、ステージから内田の姿が消えてしまう。

するとステージはハードなロックのメロディと赤のライティングに包まれてイメージが一転。そして激しいスモークの中からステージ中央に姿を現したのは、鉄格子に閉じ込められた内田真礼。曲はデビュー曲のテレビアニメ『悪魔のリドル』OPテーマ「創傷イノセンス」。ファンには思い出深いナンバーを内田は渾身の絶唱で披露し、曲の終盤で鉄格子から解き放たれた内田の「私の道は私が決める」のクールなモノローグに客席からは大きな歓声が巻き起こった。

そのままノンストップで5曲目「Resonant Heart」に突入。テレビアニメ『聖戦ケルベロス 竜刻のファタリテ』OPテーマでもあるヒロイックで激しいロックナンバーを、ブルーとオレンジの炎を思わせるライティング演出で「戦いの歌」の雰囲気を盛り上げていく。さらに「行くぞー!」というかけ声と共に6曲目「North Child」がスタート。ダンサーが引き上げてソロとなったステージで、内田はすべてのファンの姿を確かめるように歌いながら前方を左右に縦断していく。レーザーのように細かな無数のスポットライトがステージに降り注ぎ、ファンのサイリウムもまばゆい白一色に染まり、光に包まれたステージから内田は一旦姿を消した。

歌が終わり内田が姿を消した後も激しいバンドソロが続き、今回のライブでは8人が登場するダンサー達がそれに合わせた様々なスタイルのダンスを披露して会場を熱くする。そしてダンスが終わると同時に、会場にトランペットの勢いのある音が響き渡り、フィフティーズ風の花柄のドレスをまとった内田がブラスバンドを引き連れて登場。そこからスタートした7曲目は陽気なダンスナンバー「クラフト スイート ハート」だ。

さらに「みんな声出していこー!」のかけ声と共に続く「からっぽカプセル」では、ダンサー達がマーチングドラムを携えて登場し、内田を先頭にマーチングバンド風の行進を織り込んだダンスを披露。間奏では内田もドラムを叩いたりと会場のテンションを上げていく。そしてビッグバンド・ジャズのような軽快なテンポの「Agitato」へとそのままなだれ込み、三つの階段状のステージに内田とダンサー5人が上がってノリの良い歌とダンスを披露。こうして最初のMC後から数えて、ロックありダンスありで連続7曲という白熱のショータイムが終わり、二度目のMCタイムへ。

「ここってブーンって感じだったね! 9曲歌ったよ!!」

7曲目からステージに参加したブラスバンドチーム「Maaya Horns」の紹介から入ったMCでは、初めての会場となる東京国際フォーラムのレーザーや照明の凄さと、会場全体のファンがよく見える眺めの良さが嬉しいと語り、そして今回のステージのコンセプトに触れた。

「このステージもマジックアワーの風景に見立てて、色んな街並みが見えたりしているんです。このライブはみんなにも2ndアルバム『Magic Hour』の世界に飛び込んできてほしいという気持ちも込めて、綺麗にキラキラしています」

ここまでの曲がすべてライティングなど色にこだわる演出で彩られていたのは、マジックアワーならではの色彩と風景をライブで再現する試みだったのだ。そして様々な区別をつけながらのコール&レスポンスで内田が再び客席に熱を入れ、「みんなで踊っていこうぜー!」のかけ声と共に再びライブがスタート。

再開のトップを飾る10曲目は、ノリの良いディスコティックなナンバー「ロマンティックダンサー」。総勢8名のバックダンサー全員がステージに上がり、ステージ中央に据えられたミラーボールの光と極彩色のレーザーが会場内を飛び交う様は、まさにディスコそのもの。内田からの「みんなで声出して下さーい!」のかけ声に応えて、間奏ではファン全員によるかけ声が入ってさらなる盛り上がりを見せる。続けざまに同じくダンスナンバーの「モラトリアムダンスフロア」へと突入。スクリーンに映し出された「ちゅるりちゅるりら」「同じ阿呆なら」「踊らにゃ損損」の合いの手をファンが叫び、ステージ中央に作られた二つの移動階段を合体させたお立ち台に内田が上がって桜吹雪の舞う中で熱唱するという、まさに曲のコンセプトの「祭り」を体現するかのようなステージが展開した。

百花繚乱のダンスナンバー二連発の後、しばしのバンドソロを挟んで内田が再びステージに登場。「マジックアワー」の多彩な色彩をイメージしたドレスをまとって歌うのは、切ない恋心をテーマにした「セツナ Ring a Bell」「TickTack…Bomb」の二曲。フィルム撮影のような質感のPV映像や時限爆弾のタイマー内をイメージしたCGムービーをバックに、それぞれの曲が描く「恋」を情感たっぷりに歌い上げた。

続いての曲は、自分を縛りつける様々なモノを振り払って飛びだつ感情を歌った「シンボリックビュー」。その感情を空を飛ぶことに見立て、スクリーンには大空や大地を飛んでいくCGムービーが。そしてライティングやファンのサイリウムも空に見立てた青で染められ、会場全体で曲の世界を色で描き出していった。

「ちょっとさあ……すごい熱量なんだけど」

三度目のMCタイムで、開口一番ライブのテンションの高さを満足げに振り返る内田。ファンの声援の熱さに応えるように「10秒間好きなこと言っていいタイム!」などを設けた後、彼女の口から今回のライブと2ndアルバム「Magic Hour」について語られた。

「去年の『+INTERSECT♡SUMMER+』があって、『Magic Hour』までの一年ぐらいですかね、その間のストーリーになったら良いなと思って、アルバムの13曲を並べました。それはいま私が見ている景色だったりとか、今まで作ってきたいっぱいの思い出更新がそこに詰まっていて、そこからさらに先に進むにはどうしていくのがいいのかと考えた、それが一枚のアルバムになっています。それでね、今回の「Magic Number TOUR」っていうのは、今までに感じてきた思い出を目で見て思いだして、それを踏まえた上で次に行けるような、ここの会場に居るみんなが、私といつも一緒だったんだって思えるようなツアーにしたいと思っています……」

ここで感極まってしまったのか、背を向けて顔を隠してしまった内田にファンからの励ましの声が飛ぶ。そして、「大好きなんだよ……この場所が」という絞り出すような言葉に、会場は大きな拍手と応援に包まれた。

そんな思いに応えるように、MCからのアカペラでツアーのテーマともいえる要の曲「magic hour」が始まった。スクリーンにはオレンジと紫が溶け合うマジックアワーの時間だけにしか見られない空が映し出され、ステージには雲を思わせるスモークが立ちこめていき、それがライティングに染まって同じような不思議な彩色の雲へと変えていく。そして曲の終わり近くでふと演奏が止まり、雲の中の内田をスポットライトが浮かび上がらせる。

「…ありがとう」

そのファンへの言葉と共に曲はラストへとなだれ込み、立ちこめる雲の中に内田は消えていく。そしてステージも、マジックアワーから夜の帳へと移っていくように、暗闇に覆われていった。

そんな暗闇のステージをカラフルなレーザーが飛び交い、それが止むと同時にラメ色のカラフルに煌めくドレスをまとった内田が登場。そんな衣装の輝きに合わせたかのような16曲目は、咲く花のように明日を生きて夢を追おうという希望を唄った「c.o.s.m.o.s」。ドレスの煌めきをより輝かせるライティング演出もあって、まるで日の出のようなステージとなった後に、再びMCタイムが始まった。

今回のライブの各衣装は、ライブや曲の流れに合わせてこだわったデザインだったことを明かし、最後のこのドレスは「すべてをものを背負って最強になりました! キラキラで最強の気持ちです!」というコンセプトだと語る内田。そして前のMCの途中で泣いてしまったことを受けて、「泣いてる場合じゃないんだよ! こんなところで感極まってる場合じゃないの! ここにいる私は、みんなと楽しい時間を作らなきゃいけないわけですよ!」と自分を鼓舞しながら、次の曲「Applause」に入る前に、ファンと共に手拍子の練習をすることに。

事前に公式Twitterに練習動画がアップされていたので、内田のアカペラに合わせてファンも絶妙に手拍子を合わせていく。そして幾度か繰り返してそのまま歌がスタートし、サビに入ると「いくよー? みんな一緒にー!」という内田のかけ声に合わせて見事な手拍子が会場全体に広がっていく。そのタイミングでスポットライトが客席を明るく照らし出し、ステージと客席が一体化したかのような盛り上がりを見せた。

「OK東京! もっとアゲてくよー!」

そんな盛り上がりを引き継ぐような内田のかけ声と共に始まったのが18曲目の「Smiling Spiral」。「みんなの「がんばって!」が聞こえたから、また強くなれたよ」というフレーズなど、このライブを体現するような内容に加え、ダンサー達も内田のドレスと同じラメ色のスカートをまとい、ライティングによる煌めきも倍増してステージはますます盛り上がる。ファンもサビの「You can do it! ガ・ン・バ・レ!」を合唱し、ラストには客席にメタルテープが打ち出されるなど、会場内は天井知らずのヒートアップぶりを見せるが、ライブはまだまだ終わらない。そのままアップテンポなポップロックナンバー「take you take me BANDWAGON」に突入し、ギターとベースと共にステージ最前面にまで進みでて叩きつけるような絶唱でファンを魅了。盛り上がりまくりの三連曲を締めくくった。

「今日ここから新しい一歩を! 明日もまたがんばろうねー!」

そんなかけ声と共に、いよいよライブもラストに。最後を飾る「Step to Next Star!!」はたくさんの思い出を抱えながら、未来という次の星に向かって突き進んでいくという力強いメッセージソング。それに合わせて、スクリーンには初ライブから今に至るまで重ねてきた様々なライブでの内田の映像が流れていく。さらに5人のダンサー達が、過去のライブでの代表的な内田の衣装と同じ姿で登場。さながら過去と現在の邂逅といった粋な演出にファンも盛り上がり、最後は内田の「ありがとーう!」の絶叫からのジャンピングで熱狂のライブの幕は閉じた。

光は落ち、再びマジックアワーの街並みが浮かび上がるステージ。だがファンの熱気は収まらず即座にアンコールを求める「まあや!」コールが会場を埋めつくす。そしてしばらくの時間が経ち、その声に応えるようにアンコールナンバーがスタート。そのトップを飾ったのは、内田のプロ野球好きの気合がこもった一曲「クロスファイア」だ。オレンジのツアーTシャツを来たダンサー8人を従え、内田はオレンジ&セージブルーのツートーン特製ツアーTシャツ姿で登場。内田が好きな福岡ソフトバンクホークスのイメージカラーでもあるオレンジのライティングの下、野球の応援歌らしいノリの良い歌を内田は熱唱。さらに間奏の部分では自らがバットを握り、客席に向けてトスバッティングでボールを打ち込むというパフォーマンスも披露し、会場の熱気はまたもや最高潮に。

「人の手の鳴る音って最高だなって、クラップしながら思いました!」 アンコールライブの盛り上がりを喜びながらのMCでは、一緒にステージを盛り上げてくれた8人のダンサーの紹介に続き、今秋放送のテレビアニメ『SSSS.GRIDMAN』のエンディングテーマ「youthful beautiful」を内田が担当し、8枚目のシングルとして10月17日発売されること、そして10月27日にファンクラブ会員限定ライブの開催が決定したことなどが告知された。

最高の盛り上がりで東京公演を終えられる事への喜びとファンへの感謝を伝えながら、いよいよライブの本当の終わりが近づいていく。

「私はこの場所が本当に好きだし、みんな一人一人がいなかったら困るんです。私がさくらんぼだとしたら、みんなは同じ房のもう片方なんだよ?」

「私にはみんなが必要なの。これからも色んなことが起こるし、ライブをしたりCD出したり色んなことがあるけど、私を…いっぱいいっぱい…レスキューしてください!」

その「レスキュー」という言葉で、それにまつわる歌がラストを飾るとわかったファンから歓声が巻き起こった。そのナンバーはファンには思い出深い2ndシングル「ギミー!レボリューション」だ。1stアルバム「PENKI」で印象的なナンバーということもあり、内田真礼の歌の原点とも言える曲だけに、ポップでハイテンポなメロディがライブのフィナーレを明るく盛り上げていく。ファンもサビのラストの「レスキュー!」で声を上げて、ステージの内田真礼やバンド&ダンサーとの一体感を作りあげながらライブを締めくくった。

最後に内田真礼を中心にバンド、ダンサー、ブラスバンドとフルメンバーが整列し、内田の生声での「今日は本当にありがとうございましたー!」というお礼の挨拶、さらに最後までステージに残った内田が客席に改めてお礼を告げる。そしてライブ会場のご当地方言でのシメの挨拶……今回は東京なのでストレートな「好きだよ!」の一言で、終始盛り上がり通しのお祭りのようなライブは幕を閉じた。

バラエティに富んだ楽曲と構成、そして一曲一曲を全力で歌いきった内田真礼のアーティストとしてのパワフルさが全編に満ちる、エネルギッシュなライブとなった『Magic Number TOUR 2018』東京公演。文字通り客席が終始地震の如く揺れまくるほどの盛り上がりを見せただけに、ラストを飾る7月1日大阪公演ではどんな「マジックアワー」を内田真礼は描き出すのか? 大阪のファンは期待して待っていてほしい。

レポート・文:斉藤直樹

セットリスト

UCHIDA MAAYA Magic Number TOUR 2018 『Magic Number 2 TOKYO』
2018.06.24(SUN) 東京国際フォーラム ホール A

M01 My Star is Here!!
M02 +INTERSECT+
M03 aventure bleu
M04 創傷イノセンス
M05 Resonant Heart
M06 North Child
M07 クラフト スイート ハート
M08 からっぽカプセル
M09 Agitato
M10 ロマンティックダンサー
M11 モラトリアムダンスフロア
M12 セツナ Ring a Bell
M13 TickTack・・・Bomb
M14 シンボリックビュー
M15 magic hour
M16 c.o.s.m.o.s
M17 Applause
M18 Smiling Spiral
M19 take you take me BANDWAGON
M20 Step to Next Star!!
<Encore>
EN-1 クロスファイア
EN-2 ギミー!レボリューション

ライブ情報

UCHIDA MAAYA「Magic Number」TOUR 2018


【Magic Number 3 FUKUOKA】※公演終了
■日時:2018年6月17日(日) 17時開場/18時開演
■会場:福岡サンパレス ホテル&ホール
 
【Magic Number 2 TOKYO】※公演終了
■日時:2018年6月24日(日) 17時30分開場/18時30分開演
■会場:東京国際フォーラム ホールA
 
【Magic Number 1 OSAKA】※ SOLD OUT
■日時:2018年7月1日(日) 17時開場/18時開演(予定)
■会場:大阪国際会議場メインホール(グランキューブ大阪)
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