リリースから15年、Nothing's Carved In Stoneの3rdアルバム再現ライブが知らしめた圧倒的個性と異質さ
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Nothing's Carved In Stone
Nothing's Carved In Stone SPECIAL ONE-MAN LIVE "BEGINNING 2026" feat.『echo』
2ndアルバム『Sands of Time』の全曲再現ブロックを含んだ昨年に続き、今年の『BEGINNING』では3rdアルバム『echo』を全曲演奏することが予めアナウンスされ、タイトルにもその旨を添えての開催となった。『echo』といえばNothing's Carved In Stoneが2011年にリリースした作品で、シングル曲が収録されておらず、したがって普段のライブで頻繁に演奏される曲も多くないという、言わばかなり通好みなタイトルと言っていいだろう。昨年の2ndアルバム再現に続き、通し番号的に3rdアルバムということなのかとも思ったが、ライブ中のMCによればファンからの「『echo』の曲を演ってほしい」というラブコールに応えての敢行だったらしい。そんな年季の入ったナッシングスリスナーの慧眼を讃えずにはいられない、実際にライブを観た身としては。
Nothing's Carved In Stone
ライブはまず現時点での最新作『BRIGHTNESS』からの「Freedom」でスタート。生形真一(Gt)の歪んだギターサウンドが空間を裂くように鳴り、サビに入るところでグッと力を込めた村松拓(Vo/Gt)のボーカルに合わせて大喜多崇規(Dr)が強烈な打撃をお見舞いする──という普段からよく観るシーンに思わずゾクッとした。全体的にローの音域、特にビートの部分を強調したサウンドバランスとなっており、広大な豊洲PITをものともしないド迫力の圧で迫ってきたのである。それはおそらく、『echo』という作品が持つ特性と無関係ではない。
村松拓(Vo/Gt)
ギターの鋭利なカッティングと日向秀和(Ba)のスペクタルなスラップベースがせめぎ合う「Like a Shooting Star」、ドライヴ感満載で力強く疾走していくサウンドに大人の色気が香る「YOUTH City」まで終えたところで、あらためて流れ出したSEが「Material Echo」──アルバム『echo』冒頭に収録されたインストゥルメンタルであることに即座に気づいたフロアは大いに沸き立つ。アルバム収録順通りに、まずは「Truth」。やや哀愁を帯びた変則的なギターリフが引っ張るサウンドは、拍子こそオーソドックスだが拍の取り方がかなりイレギュラーで、ストイックでハードなロックと捻りの効いたポストロック的な志向、そしてダンサブルなノリとが複雑に絡み合った曲だ。
大喜多崇規(Dr)
続く「Falling Pieces」では冒頭のシーケンスに生形のギターが楔を打ち、蠢き続けるベースラインによって怪し気な音像が立ち上がっていった。特に速いわけでもなくメロディは物憂げでさえあるのだが、全体の印象は非常にアグレッシヴ。さらにミニマルな立ち上がりから高速ダンスビートへとシームレスに移行し、サビではポップに開花する「Spiralbreak」へ──という前半から顕著であるように、つまり『echo』とは技巧的でありながら高い熱量を有し、ポストロックやプログレ顔負けのイレギュラー要素を含みながらも、中心にはしっかり歌が添えられているという、ナッシングスの特色や「らしさ」を煮詰めたようなアルバムなんである。そして全編を通して半ば倒錯気味に踊り倒せるダンスミュージック色の強い作品でもあるから、先ほどふれたようなマッシヴな低音域に関しても必定というわけだろう。
日向秀和(Ba)
再現パート内で他のライブで披露された記憶が新しかったのは数曲くらいで、それ以外の大多数は相当ご無沙汰だったはずだけれど、あらためて聴くと粒揃いにも程がある。ベース始まりでパンキッシュに弾けるロックンロール「False Alarm」はカラッとした差し色として機能していたし、ファンク要素が強めでON/OFFが鮮やかに切り替わっていく強靭なミクスチャーテイストの「Everlasting Youth」にも無茶苦茶痺れた。ただし同時にアルバムとしての流れや、今はおろか当時でも異色な装いで統一された空気感が完成されきっているがゆえ、何の脈絡もなく普段のセットリストにポンと放り込むのが逆に難しいのかもしれないな、ということもなんとなく肌で感じた。ひょっとしたらこれからも「隠れた」ポジションとなってしまうかもしれない名曲の数々を、みな一心に眼と鼓膜へ焼き付けている。
生形真一(Gt)
個人的に思いっきり喰らったのは「Goodnight & Goodluck」だ。しっとりと歌から始まる、バラードと形容しても差し支えないメロディを有した曲なのだが、基本的に7拍子。加えて、メランコリックな展開からポジティヴな爆発を見せる展開の妙もあり、その中で8ビートに変わってからまた戻ってくるという変態ぶり(褒めてます)。初期から近作に至るまで、彼らには「どうかしてるな」という曲は多々あるけれど、この『echo』を経て次作からメジャーへとフィールドを移した歴史を振り返れば、それまでの集大成とばかりにとことんまで突き詰めこだわりまくった作品だったことは想像に難くない。その真価を15年の時を経て味わうことができる、なんとも幸せな時間である。そして、再現パートを締め括ったのは「To Where My Shoe Points」。村松と生形がハーモニーを重ねながらゆったりと始まる大曲は、やがてギターソロも交えた長尺のアウトロへと至っていく。淡々とした決して派手ではない曲だが、映画のエンディングを思わせるフィニッシュにはフロアから長い長い拍手と喝采が贈られた。
Nothing's Carved In Stone
「全力で行きます、ついてきてください。いけるか豊洲! いこうぜ!!」(村松)
再現パートを終えてからは明確にラストスパートの時間となった。「Spirit Inspiration」「Out of Control」「November 15th」と狂乱必死の代表曲を連打して、ラストはライブタイトルの「Beginning」で締め。アンコールに応えて再登場したあと、村松はMCで「コロナ禍明けのライブ以上に拍手がすごかった気がする」「やってよかったね。『echo』の曲が難しすぎて、でもやればやるほどかっこいいなって再確認もさせてもらった。みんなのおかげです」と喜びを口にしていた。そして、本稿が公開される頃にはリリースされているであろう最新アルバム『Fire Inside Us』についても言及。曰く、「正直マジでめっちゃいい。俺たちの人生で一番いい」とのことだ。名盤を最新の技量とスタイルで再現した後は、いよいよ正真正銘の最新形を提示する時。誇張なしに「最新が最高」を地でいく4人は「Red Light」と「Dear Future」を届けた後、充実感たっぷりの笑顔でステージを後にしていった。
取材・文=風間大洋 撮影=RYOTARO KAWASHIMA
Nothing's Carved In Stone
セットリスト
1. Freedom
2. Like a Shooting Star
3. YOUTH City
[SE:Material Echo]
4. Truth
5. Falling Pieces
6. Spiralbreak
7. Chain reaction
8. False Alarm
9. Seasons of Me
10. My Ground
11. 9 Beat
12. Everlasting Youth
13. Goodnight & Goodluck
14. TRANS.A.M
15. To Where My Shoe Points
16. Spirit Inspiration
17. Out of Control
18. November 15th
19. Beginning
[ENCORE]
20. Red Light
21. Dear Future
ツアー情報
OPEN 17:00 / START 18:00
OPEN 17:00 / START 18:00
OPEN 16:30 / START 17:30
OPEN 17:00 / START 18:00
OPEN 17:00 / START 17:30
OPEN 17:30 / START 18:00
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OPEN 17:00 / START 17:30
OPEN 17:00 / START 18:00
OPEN 16:30 / START 17:30
OPEN 18:00 / START 19:00
・一般 5,500円(+1D)
※小学生以上
※整理番号アリ(東京公演のみ2F指定席あり)
※小学生・中学生・高校生・高等専門学校生・専門学生・大学生の方が対象の
※整理番号アリ(東京公演のみ2F指定席あり)
※公演当日学生証をご持参ください(小学生の方は、各種健康保険証・母子手帳・住民票など) 。確認が取れない場合、通常価格の
※上記ご持参いただくものは、コピー及び、写真データは不可となります。有効期限内の現物をご持参ください。