国際教育音楽祭「ミュージック・マスターズ・コース・ジャパン ヨコハマ2018」開幕。フィナーレは、猿谷紀郎委嘱新作やバルトークをオーケストラで

レポート
クラシック
2018.7.5
 毎年、気迫の演奏で感動のフィナーレを飾るMMCJのオーケストラ・コンサート (c)K.MIURA

毎年、気迫の演奏で感動のフィナーレを飾るMMCJのオーケストラ・コンサート (c)K.MIURA


若手クラシック奏者を日本で育成する国際教育音楽祭「ミュージック・マスターズ・コース・ジャパン ヨコハマ」=MMCJが、6月28日から横浜みなとみらいホールで始まった。

指揮者の大友直人(群馬交響楽団音楽監督、京都市交響楽団桂冠指揮者)がアラン・ギルバート(元ニューヨーク・フィルハーモニック音楽監督、東京都交響楽団首席客演指揮者)と01年に千葉県木更津市で始め、11年からは拠点を横浜に移し、今日に至っている。毎年6~7月に、オーディションにパスした20人余の若い器楽奏者を奨学生として受け入れ、世界的に活躍している約10人の音楽家とともに約3週間研鑽を積み、コンサートで成果を発表する。

堅い信念で続ける大友直人。「他の先生の教え方や考え方と直に接することができ、教える自分にとってもいい勉強になる」という (c)Rowland Kirishima

堅い信念で続ける大友直人。「他の先生の教え方や考え方と直に接することができ、教える自分にとってもいい勉強になる」という (c)Rowland Kirishima

大友はかねてからこんな思いを抱いていた。
「クラシック音楽はヨーロッパが源流ですが、もはや世界に普及し、日本も含め各国に優秀な演奏家がいます。そんな中、日本は70年代以降、海外から有名なアーティストが稼ぎに来る国際的市場となり、東京では毎晩、複数のホールで当たり前にコンサートが開かれているにもかかわらず、海外ではこの事実が認知されていません。また、日本人奏者は海外で学んでキャリアを積み、ステータスを得ることに懸命で、次代の担い手を世界から集めて、日本で育成しようという発想は無いに等しい、この状態を変えなければ・・・」

 大友は今から30年前、米国の「タングルウッド音楽祭」でギルバートと構想を語り合い、意気投合。年月をかけて実現させ、途切れることなく続けて18年目を迎えた。次世代教育でクラシックシーンのいい土壌を作り、世界をリードする意識を持って質の高い音楽を発信することで「日本発の音楽文化を世界へ!」という壮大なプロジェクトだ。すでに修了生は約500人に及び、世界各地で活躍するまでになった。

講師を囲んで、概ね朝9時から夜8時頃までハードなレッスン。A.ギルバート(右)とクラリネット講師、ヴィセンテ・アルベローラ  (c)T.Tairadate

講師を囲んで、概ね朝9時から夜8時頃までハードなレッスン。A.ギルバート(右)とクラリネット講師、ヴィセンテ・アルベローラ (c)T.Tairadate

審査にパスさえすればどの国の誰でも受講できるように、MMCJの受講費、交通費、宿泊費、食費は主催者負担。講師と受講生が寝食をともにする合宿方式で、音楽に対する理解力、演奏力アップはもとより、日本文化を体験したり交流パーティーなど、国際感覚も育むカリキュラムが組まれている。

 今年は、日本、アメリカ、フランス、イタリア、韓国など9カ国から21人の駿才が参加。弦楽器は四重奏、木管楽器は五重奏を徹底的に学び、さらに全員オーケストラの講習も受ける。英語による会話で国際感覚を磨きながら、言葉を超えたコミュニケーション力も発揮して、質の高い密なアンサンブルを仕上げていく。成果発表の室内楽コンサート(7/10)の他に、無料のロビーコンサート(7/6、9)も行う。

受講生による室内楽コンサート。弦楽器は四重奏、管楽器は五重奏を披露する。曲目は当日のお楽しみ! (c)K.MIURA

受講生による室内楽コンサート。弦楽器は四重奏、管楽器は五重奏を披露する。曲目は当日のお楽しみ! (c)K.MIURA

受講生による、無料のロビーコンサート。これは、ホールの近くにある結婚式場での木管五重奏 (c)T.Tairadate

受講生による、無料のロビーコンサート。これは、ホールの近くにある結婚式場での木管五重奏 (c)T.Tairadate

また、講師陣による「ガラ・コンサート」もある(7/5)。今年は、リヒャルト・シュトラウスやドヴォルザークの弦楽六重奏などを用意している。大友が「世界最高水準のアンサンブル」と太鼓判を押す、知る人ぞ知る公演だ。

締めくくりのオーケストラ・コンサートでは、講師や有志参加のOB、OGらとともに、現代作曲家・猿谷紀郎の委嘱新作やバルトークの晩年の大作「管弦楽のための協奏曲」などを演奏する(7/15横浜みなとみらいホール、7/16東京・紀尾井ホール)。国籍、人種、年齢などを超えた大編成の楽団で、圧巻のフィナーレを飾る。

文=原納暢子

イベント情報

ミュージック・マスターズ・コース・ジャパン ヨコハマ2018
 
●ガラ・コンサート(講師による室内楽コンサート)
7/5(木)19:00開演(18:30開場) 横浜みなとみらいホール 小ホール
ジェニファー・ギルバート(フランス国立リヨン管コンサートマスター)
ハーヴィー・デ・スーザ(アカデミー室内管リーダー)
ヴィオラ :マーク・デスモン(フランス放送フィル第1首席奏者)
鈴木学(東京都響ソロ首席奏者)
チェロ :ニコラ・アルトマン(フランス国立リヨン管ソロチェリスト)
エリック・キム(インディアナ大学ジェイコブス音楽院教授)
クラリネット:ヴィセンテ・アルベローラ(マーラー室内管首席奏者)
[プログラム]
R.シュトラウス:弦楽六重奏のためのカプリッチョ Op.85
モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581
ドヴォルザーク:弦楽六重奏曲 イ長調 Op.48
[チケット] 全席指定4,000円 学生1,000円

 
●受講生による、無料のロビーコンサート
7/6(金)みなとみらいホール1階エントランス 11:30開演
7/9(月)結婚式場・アニヴセェルセルみなとみらい横浜メゾンチャペルラウンジ 14:00開演

 
●受講生による、室内楽コンサート
7/10(火)18:00開演(17:30開場) 横浜みなとみらいホール 小ホール
※プログラムは当日発表(弦楽四重奏曲と木管五重奏曲を予定)
[チケット] 全席自由1,000円

 
●オーケストラ・コンサート
7/15(日)14:00開演(13:30開場) 横浜みなとみらいホール 大ホール
7/16(月・祝)14:00開演(13:30開場)紀尾井ホール
[出演]
指揮:大友直人、マイケル・ギルバート、管弦楽:MMCJ2018オーケストラ
[プログラム]
 猿谷紀郎:委嘱作品(新作)
ベートーヴェン:交響曲第1番 ハ長調 Op.21
バルトーク:管弦楽のための協奏曲 Sz.116
[チケット] 各 全席指定 S席3,000円 A席2,000円 学生1,000円

 
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