宇都宮は“餃子の街”だけじゃない 夏の鬼怒川と花火を楽しむ「うつのみや花火大会」

インタビュー
イベント/レジャー
2018.7.30

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──花火大会のはじまりなど、これまでの歴史をお知らせください。

1984年に『祝’84とちぎ博きぬ川大花火大会』を開催したことをきっかけに、以降は地元企業の主催・協賛により、宇都宮の夏の風物詩として地域住民から親しまれてきました。しかしながら地元経済の冷え込みの煽りを受けて2003年はやむなく中止に。翌年以降も中止が重なり再開できずにおりましたが、4年が経った2007年、もう一度宇都宮の夜空に花火を上げたい、地域のこども達にもう一度花火を見せてあげたい、と集まった地域の若手有志が実行委員会を結成し、ボランティア運営による異例の復活を遂げました。たった数人から始まった活動でしたが、「地域のこども達に夢と希望と感動を」という想いに共感した地域の方々が少しずつ集い、実行委員は50名を超えるまでに成長。現在では地元企業の後押しもあり、活発に活動をしています。

──地域の方々が花火大会をとても大事にされてきたことがわかります。ボランティアで運営するにあたり、大変なことも多かったのでは?

そうですね。2008年はゲリラ豪雨による大会順延、翌年の開催に大きな影を落としたリーマンショック、そして2011年の東日本大震災など、これまでには様々な困難がありました。それでも、こども達の笑顔のために、挫けることなく前向きに続けています。2012年には「この花火大会が途切れることなく百年先も続くように」と、花火大会としては初の特定非営利活動法人“NPO法人うつのみや百年花火”を立ち上げました。皆様の温かいご支援・ご協力のお陰で、ボランティア運営として再開してから今年で12年目を迎え、これまで以上に地域に愛される花火大会、日本一安全な花火大会の実現を目指しています。

──当大会ならではの特徴や自慢できるプログラムを教えてください。

まずは2007年に復活してから毎年続けている“花火の絵の打ち上げ”ですね。これは地域の幼稚園や保育園にご協力いただき、こども達が描いた絵を展示する“花火の絵 展覧会”を花火大会の約1ヶ月前から行っており、そこで展示した花火のイラストのうち、抽選で選ばれた複数名の花火を実際に制作して当日打ち上げています。これは我々のスローガンである「地域のこども達に夢と希望と感動を」を具体的に実現するための大切なプログラムだと考えております。また、復活から10周年の2016年に特別企画としてスタートして以来、今年で3回目を迎える“ことだま花火”。テーマに沿ったメッセージを伝えたい方を公募し、当選者は特設ステージにご登壇のうえ、大切な人へメッセージを伝えていただきます。我々はそのメッセージにマッチした花火を打ち上げることで、参加者の想いを演出し、一生の思い出づくりをお手伝いします。ご観覧の皆様にも立会人として思いを共有、また祝福することで、会場中が笑顔で溢れるプログラムにしたいと考えております。昨年はこの“ことだま花火”で見事プロポーズを成功され、その後ご結婚されるという嬉しい出来事がありました。それから、毎年のクライマックスを飾る“雷都うつのみや”も大変好評です。日本一雷の多い地域である宇都宮の夏を、高密度そして大迫力の花火で再現しています。打ち上げエリアを最大限に使った圧巻のフィナーレを体感していただけます。

──運営の想いが存分に伝わるプログラムが盛りだくさんですね。

ありがとうございます。他にも、ワイドな打ち上げ幅を誇る特大スターマインをはじめ、昨年好評いただいた餃子花火を惜しみなく使用したスターマイン“キラ×2☆餃子”や、尺玉ワイド同時打ち上げなど、うつのみや花火でしか見られない演出でお楽しみいただけるものとなっています。日本屈指の煙火店である(株)マルゴー、(株)丸玉屋小勝煙火店は昨年から継続し、今年は地元から(株)須永花火田島煙火工場にもご参加いただき、3社が強力タッグを組んで行います。

──今年のテーマ、およびその理由をお聞かせください。

今年のテーマは「希望」。夜空を照らす花火の光、それはまさに希望の光。希望を持つことで心が豊かになり、諦めない強い心が持てます。一生懸命やれば何だって出来る。叶わない夢は無い。大人達が本気になって花火大会を運営し支えているその背中を見せることで、未来を担う多くのこども達に希望を伝えたいと思っております。

──今年特に力を入れているところ、見どころはなんでしょうか。

例年、2尺玉の“3連発”を重要なプログラムとしておりました。この3連発にはうつのみや花火大会が中止になった空白の3年間への想いが込められていますが、打ち上げには保安距離を広く取る必要があります。ありがたいことに例年来場者数が増加傾向にあるため、安心安全な場所を確保する理由から、今年は止むを得ず中止することにしました。しかし我々にとって大切なこの“3”を大切にしたいという想いから、今年は打ち上げ発数をこれまでの1.5倍となる“3万発”に変更することに。これは2017年のデータによると関東では最大、全国でも2位となる打ち上げ発数となります。開催時間はこれまでと変えずに打ち上げ発数を1.5倍にしておりますので、例年以上に濃密な花火をご覧いただけます。なお、今年は未就学児をお連れのご家族でもゆっくり花火をお楽しみいただけるよう、キッズパークもご用意しました。ご来場いただいたお客様に安心してご鑑賞いただける環境づくりにも力を入れています。

有料観覧席・椅子席(イメージ)

有料観覧席・椅子席(イメージ)

──実行委員を担当されて、思い出に残っているエピソードがありましたらお知らせください。

街頭に立って募金活動をしている際、お子様たちが少し恥ずかしそうにしながら募金をしてくださるのを見ると、胸にグッとくるものがあります。先日、募金箱を設置している企業様を訪問した際に、そこで勤務されている方から貯金箱を託されました。お話を伺うと、毎年花火大会を楽しみにされている6歳と5歳のお孫さんが花火大会に募金をしたいと言って、預かったのだそうです。「小銭ばかりで全部で500円もないくらい小さな金額ですけど、孫たちもとても楽しみにしていますので、良かったら受け取ってください」とおっしゃっていただきました。花火大会のためにと託してくれたその気持ちが大変嬉しく、そして有難くとても感動しました。同時に、地域の皆様の想いを背負っている以上、我々は素晴らしい花火大会を実現させなくてはならないと身が引き締まる瞬間でもありました。その想いに応えるべく準備をしておりますので、今年の花火も楽しみにしていただきたいです。

──地方から行くお客様のために、宇都宮の魅力や観光スポットを案内いただけますでしょうか。

宇都宮といえば“餃子の街”として知られているとおり、宇都宮市街には沢山の餃子専門店があります。駅などに置いてある餃子マップを片手に、色んな餃子を食べ歩きしてみるのもおすすめ。また、意外と知られていませんが、宇都宮は“カクテルの街”とも言われており、カクテル技能競技の全国大会で受賞者を数多く輩出しています。市街地にも数多くのバーが存在しておりますので、カウンターに座りカクテルを味わうのも宇都宮の夜の楽しみのひとつです。それから、宇都宮の中心市街地から少し足をのばした先には「大谷(おおや)」という地域があります。ここはかつて大谷石の採掘場として栄えたエリアで、その採掘場跡地にある「大谷資料館」はその幻想的な雰囲気から、数多くのドラマや映画、ミュージックビデオの撮影地としても有名です。またここ数年でオシャレなカフェやレストランがオープンし、県外からの観光客も増加している注目のスポットです。宇都宮中心部から車で15分ほどの距離ですので、そちらもぜひお楽しみください。

イベント情報

2018うつのみや花火大会
開催日:8月11日(土・祝)
会場:宇都宮市道場宿緑地 (栃木県)
公式ホームページ:http://www.utsunomiya-hanabi.jp/

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